メガゾーン23 ヴィルデ・ザウ ―FX艦隊壊滅―   作:tell M.G.

6 / 6
第6話 敗北

辺りは静寂に包まれていた。

 

つい先程まで激戦が繰り広げられていた宙域とは思えない。

 

漂う残骸。

砕けた機体。

燃え尽きた護衛艦。

 

その中央で、新造戦艦FXだけが静かに浮かんでいた。

 

艦内からは、断続的に警報音が響いている。

 

『――主砲発射シークエンス開始』

『エネルギー充填率、臨界到達』

 

無機質なアナウンスだけが、静寂の宇宙へ流れていた。

 

一隻の小型艇がFXへ接近する。

乗り込んでいたのは、一人の兵士だった。

 

「……何だ、これは……」

 

艦内へ足を踏み入れた瞬間、兵士は言葉を失った。

 

倒れた人間。

 

人。

 

人。

 

人。

 

通路一面に広がる血溜まり。

 

壁へ叩き付けられた死体。

 

引き裂かれた兵士達。

 

濃密な血の臭いが充満していた。

 

「うっ……!」

 

吐き気が込み上げる。

だが兵士は、それを必死に押し殺しながら進んだ。

 

誰か生き残っているかもしれない。

その一心だった。

 

だが――。

 

ブリッジへ到着した瞬間、その希望も消え去った。

 

全員死亡。

 

操舵士。

オペレーター。

艦長。

 

誰一人として生きていなかった。

 

兵士は震える手で通信回線を開く。

 

「こちら救援隊! 生存者はいるか!?」

 

返答は無い。

 

「誰か応答しろ! 生きている者はいないのか!?」

 

静寂。

 

ノイズだけが返ってくる。

 

兵士はゆっくりと俯いた。

そしてブリッジ内部を捜索し始める。

 

やがて、床へ転がっていた記録媒体を発見した。

 

FX101のボイスレコーダー。

そして――。

 

センチュリアン第一師団長、ウッズマン大尉のビデオコーダー。

 

兵士はそれらを回収し、本部へ帰還した。

 

暗い報告室。

 

重苦しい沈黙。

 

兵士は敬礼し、静かに報告する。

 

「自分が到着した時には……FX艦隊は既に全滅しておりました」

 

低い声が部屋へ響く。

 

「生存者は確認できません」

 

兵士はテーブルへ記録媒体を置いた。

 

「これがFX101のボイスレコーダー。そして、センチュリアン第一師団長ウッズマン大尉殿のビデオコーダーであります」

 

室内の誰も言葉を発しない。

 

やがて映像解析が開始された。

そこに映し出されていたのは――。

 

炎。

 

悲鳴。

 

逃げ惑う兵士達。

 

そして、人間を次々と惨殺していく異形。

 

正に地獄絵図だった。

 

最新鋭戦艦FX。

 

多数の護衛艦。

 

精鋭マニューバスレイブ部隊。

 

あれほど期待されたFX艦隊は――。

 

敗北した。

 

 

 

宇宙艦隊は全滅し、防衛ラインは崩壊した。

そして、

敵デザルグから放たれた異形は、MZ23へと放たれた。

 

その現実を、

まだ誰も知らなかった。

 

これから始まる、崩壊へのカウントダウンが始まった事に。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。