第二話 ゲームの三大要素
[Lv1000攻略部隊]
2:47
〈セフィロ〉HeyHeyHey!!
2:48
〈イカロス〉その様子は、何かいいことがあったね?
2:48
〈セフィロ〉そうとも!そうだとも!Lv950クリアでーす!わーいパチパチパチパチ
〈セフィロ〉死ぬほど大変だった。最後は毒殺と爆殺で片を付けたぜ。
2:49
〈イカロス〉そりゃあよかった。
〈イカロス〉僕もLv700をつい先日クリアしてね。
〈イカロス〉いやぁ、精神をがりがり削られたよ。
2:50
〈イカロス〉君、よくもまぁ最初の一人なのにクリアできたね、これ。
〈イカロス〉君がクリアしているっていうから僕は頑張れたけどさ。
2:51
〈セフィロ〉まぁ俺は天才だからな。
〈セフィロ〉それより、次はLv700帯か。
〈セフィロ〉ちなみに私が一番楽しかったのがLv700帯だよ。楽しんでくれ。
2:52
〈イカロス〉そりゃ楽しみだが、流石に暫く休むぜ僕も。
〈イカロス〉このゲーム、精神的な消耗が段違いだからさ。
〈イカロス〉しばらくのんびりしたい。南国とかでね。
2:53
〈イカロス〉そういえば
〈イカロス〉君が前開拓ゲーが性に合わないとかでスルーしてたプロダウだけど
2:54
〈イカロス〉もうそろ新たなフェーズにたどり着きそうだぜ?
〈イカロス〉ネタバレはよしとくがね。僕もあいつもやってるし、君もと思ったんだが。
2:55
〈セフィロ〉ほほう?それは初耳だ。
〈セフィロ〉確かに、私は随分とLv950に囚われていたからな。
〈セフィロ〉確か三ヶ月前からやってる気がする。せっかくだ、気分転換といこう。
2:56
〈セフィロ〉明日から始めることにするよ。
なるほど、プロダウか。久しぶりに聞いた。平均同時接続数1000万だったかのVRMMOにおける覇権ゲーだ。最高同時接続数でVRMMOにおけるギネスをとっていた覚えがある。正式名称プロメティウス・ダウン、だったか。あのゲームを評価するならば……ゲームと言えるか微妙な代物、である。
ゲームには基本的に三つの要素がある。ゲーム性、ストーリー性、世界観の三つだ。基本的にこれを調整して、ゲームというものは作られる。これらの質と、バランス。釣り合いが取れなければそのゲームはクソゲーと化す。しかしながら、実のところこのプロダウというゲーム、ストーリー性とゲーム性がほとんど皆無といっていい。無い訳じゃないがね。少なくとも現状はそうだ。ではそれはクソゲーなのか?それは違う。ストーリ性に特化したものはそれすなわち小説であり、ゲーム性に特化したものはトランプだ。では世界観に特化したものとは?そう、現実である。このゲームはゲームとしての形態は保っているが、本質的には現実にひどく近い。プレイヤーが政治をやって税金を取るゲームなんて聞いたことがあるか?私はない。プロダウ以外はね。
しかしこのゲーム、発売されたときに買ったはいいものの、結局やらずじまいなのだ。先に開拓ゲーといったが、このゲーム聞いたところによると始まった瞬間に大自然に放り込まれたらしい。周囲には何もなく、誰もいない。もちろんプレイヤーは山ほどいたらしいが。
何をすればいいか何も指定がなく、仕方なく楽しく遊べる環境をプレイヤーが自力で用意するためになんと街を作り始めたとかなんとか。先も言ったがこのゲーム、世界観に関する比重が以上に大きい。特にリアリティという面において。物理エンジンの質と、感覚系の質、ともに異常といえるほどに優れていて、現実と差がない、とまで言われている。なんなら勝っている、なんてキャッチコピーもあったな。そのため街作りくらいなら完全に自由にできるそうだ。結果、このゲームは実質的に開拓ゲームになったというわけだ。
残念ながら私は開拓ゲームはあまり好きじゃない。何かを作るより、知り、達成する方が好きである。その点プロダウはどちらも満たせる代物ではあるのだが、何分プレイヤー全体が開拓に躍起になっている状況で遊び惚けるというのも気分が悪い。そのため保留して、忘れて、今に至るというわけだ。
しかし、次のフェーズ、ね。なにがあるのか分からないが、せっかくだしやってみるのもいいだろう。いい加減硝煙臭い戦場は飽き飽きだ。自然に飛び込むのは悪くない。
いやまて、明日は仕事だったな。早く寝なければ。
Tips1 主人公は私と俺がちょくちょくごちゃります。ゲームと現実で少々(少々?)人格を切り替えているためです。
Tips2 LV1000は第一話で主人公がやっていたゲーム。Lv10の時点でロケランドッジボール大会が開催される。