プロメティウスの夜明け   作:赤い紫陽花

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第四話 プロメティウス・ダウンへようこそ

第四話 プロメティウス・ダウンへようこそ

 

:自宅

 

あ、あ、あ ギアを入れ替える。哲学をやるのは脳みそが疲れるな。まったく。どちらかというと素は哲学のほうではあるのだがね。

 

ん、まだ少し硬いな、思考が。まぁ私のギアが明確に変わるのはVR空間に入る時だからな。仕方ない。ちなみに、哲学の時に用いる思考というのは基本的にDMN、デフォルトモードネットワークという脳の部位を用いる。簡単に言えば、情報の整理と内省だ。哲学でいう考える、というのはこれを用いて行う。少なくとも、私はそうだ。私のギアは、感覚とDMN、どちらを主体とするかで変化する。

 

さて、お堅い話はよそう。さっさとゲームに潜って人生を楽しむべきである。

 

そこで取り出されるは、この一本のエナジードリンク。エメラルド・タブレット社のアルケミアシリーズ。その名もELIXIR(エリクサー)。これ一本飲むだけで栄養補給が完了する、完全食エナドリである。極めてぶっ飛んだ代物だが、私は愛飲している。まさにこれこそ、エナジードリンクといえるだろう。

少々青く発光していることには目をつぶって、飲む。

 

ぷはぁー。まぁ味も悪くない。少々値段は張るが、10秒足らずで栄養を完全補給できる。それには十分な価値がある。

 

さて、潜りますか。

 

私のVRシステムはなかなかいいもの、言葉を選ばずに言えば最高級と言っていいものを使っている。私は仕事をしに大学に行っている以外の時間基本的にVRにどっぷりなため、実質的に家ともいえる場所だ。まぁ、数百万くらい掛けても問題ない代物だと思わないかね?いやカスタム含めて1000まで届いて……まぁいい。これはいいものだ。

 

ちなみに、基本寝たきりになるこのVRシステム、数百万もかければ寝たままでも健康体でいられるようなシステムを手に入れられる。筋肉への電気刺激だか何だったか……その点を鑑みれば、かけて悪くない金だと思う。

 

さて、起動完了。最高級VRシステムこと流線型の棺桶のハッチの蓋を開けて、中に滑り込む。なかなかクッションが優れていて、VR関係なしにここで睡眠をとるのも悪くないと思わせる質である。中に入り、ボタンを押せば自動で蓋が閉まる。あとは頭に装置を取り付ければ準備が完了する。

 

DIVE IN!

 

さてさて、プロダウプロダウ…あっ、これだ。

 

 

 

 

 

プロダウを起動すると、真っ白な空間に飛ばされた。どうやら、キャラメイクを行う空間のようだが、一つ異物がある。

 

言うなれば、翼の生えた帽子。茶色い、つばのある帽子の両側に、翼が一対ついている。それが、丸テーブルの上に乗っているわけだが……

 

「こんにちは、プレイヤー。私はヘルメス。キャラメイクの補助役だとでも思ってくれ。」

 

しゃ、しゃべった!帽子が喋った!

 

「あ、あぁ、こんにちは?ヘルメスっていうと、あれか、ペタソスか。あれが君のモチーフか?」

 

「おや、お詳しい。」

 

「いや、とあるゲームで知ってね。ところで、キャラメイクの方法を教えてもらえるか?」

 

「ああ、もちろん。」

 

ヘルメスが浮き上がり、それに呼応して正面に大きくキャラメイク画面が出現した。

 

「まず最初に行ってもらうのは、感覚設定だ。これらのパラメータを決定してくれ。」

 

[プロメティウス・ダウン キャラクター作成]

 

> 感覚配分

 

あなたが仮想世界でどれだけ感覚を感じるかを設定します。

高くするほどリアルな体験なります。

 

[痛覚]      ━━━━━   50%

[疲労]      ━━━━━   50%

[空腹]      ━━━━━   50%

[温度]      ━━━━━   50%

[触覚]      ━━━━━   50%

[嗅覚]      ━━━━━   50%

[味覚]      ━━━━━   50%

[平衡感覚異常]  ━━━━━   50%

―――――――――――――――――――

[プリセット]

- 快適モード(全感覚20%)

- 標準モード(全感覚50%)

- リアルモード(全感覚80%)

 

なるほど、このゲーム感覚自由なタイプか。となれば選択は決まっている。

 

[プロメティウス・ダウン キャラクター作成]

 

> 感覚配分

 

あなたが仮想世界でどれだけ感覚を感じるかを設定します。

高くするほどリアルな体験、低くするほど快適な体験になります。

 

[痛覚]     ━━━━━━━━━━ 100%

[疲労]     ━━━━━━━━━━ 100%

[空腹]      ━━━━━━━━━━ 100%

[温度]     ━━━━━━━━━━ 100%

[触覚]     ━━━━━━━━━━ 100%

[嗅覚]     ━━━━━━━━━━ 100%

[味覚]      ━━━━━━━━━━ 100%

[平衡感覚異常] ━━━━━━━━━━ 100%

――――――――――――――――――――

[プリセット]

- 快適モード(全感覚20%):初心者向け、痛みも疲労もほぼ感じません

- 標準モード(全感覚50%):バランス型、現実の半分程度の感覚

- リアルモード(全感覚80%):上級者向け、現実に近い感覚

 

全て百パーセント、現実と同じ、である。持論だが、ゲームを本気で楽しむなら、現実と同じであるほうがいい。痛みに関しても、私は耐性あるから問題にならないしな。

 

「本当にいいのか?」

 

「ああ、問題ない。痛覚100%は何度かやったことがある。」

 

「そうか。じゃあ次は外見設定だが……」

 

「取りあえず現実反映してくれ。」

 

「了解した。」

 

正面に、最低限の服だけ着た俺の体が浮かび上がる。相変わらず、無駄に見目はいいんだから。使いもしないのに。

 

俺の見た目は言うなれば、中性的、というやつだ。中性に関してはわりと意図したものではあるのだが、VRMMOでそのまま使っても違和感がないくらいには、見目が整っている。わりとナンパとかされる。男女問わずな。長髪なのも原因の一つだろうが。

 

見た目を詳しく説明するなら、黒髪ロングで黒目で華奢な平均身長ちょい低めの男性である。かわいいといえばかわいいし、かっこいいといえばかっこいい。そんな具合に整っている。

 

さて、さすがにこのまま使うのは流石にリテラシーに欠ける。最低限、髪色と目の色くらいは変えなければ。ん?性別も変更できるのか、これ。うーん、見た目をあまり変更したくない以上、性別を変えるのもアリか。特に性別にこだわりはないしな。よく女アバターも使う。

 

「となると……性別女、髪色は目立たないようにグレー、目の色は……お、これいいな、似合ってる。金色にしよう。……そういえば、声ってどうなってるんだ?」

 

「声は基本的には現実と同じだ。」

 

「……変声とかも現実と同じようにできるか?」

 

「可能だ。」

 

それはよかった。なら、ごまかしたいときだけ変えればいいだろう。

 

「じゃあ見た目はこれでひとまず完了だ。」

 

「次は、名前とジョブを決めてくれ。」

 

ああもうこういうの一括でやらせてくれないだろうか、早く潜りたいんだが。

 

[プロメティウス・ダウン キャラクター作成]

 

> 基本情報

 

[プレイヤーネーム]:[ ]

 

[種族]:[ 人間 ]

 

> ジョブ選択

 

利用可能なジョブが表示されています。

 

戦闘職(コンバット)

 

 剣士 

 槍使い

 斧使い

 弓手

 棒術士

 盾使い

 体術士

 

魔術職(マジック)

 

 魔術師

 

生産職(クラフター)

 

 鍛冶師

 木工師

 石工師

 革職人

 裁縫師

 薬師

 料理人

 農家

 採掘師

 

補助職(サポート)

 

 神官

 歌手

 

探索職(レンジャー)

 

 狩人

 盗賊

 

無職(ニュートラル)

 

異端職(ヘレティック)

 

 生還者(サバイバー)

 

ふんふんふん。なるほど?まぁ取りあえず名前から決めるか。名前は、女アバターを使うときはソフィア、男ならセフィロと決めている。なので今回はソフィア、である。

 

そんでもってジョブだが……なんだこの生還者(サバイバー)ってのは。他と毛色が違うが……ほう?

 

_____________________________________________________

 

生還者(サバイバー)

 

感覚パラメータ全て100%で解放される隠し職業。

 

HPとMPとSP、Lvが消失し、ステータスにSENが追加される。

_____________________________________________________

 

そういうのもあるのか。じゃあせっかくだし、これにするか。戦い方にこだわりがあるわけでもないしな。

 

「終わったぞー」

 

「では最後に、ステータスを。」

 

えーっと、今度は?

 

[ステータス配分]

 

ステータスポイント:100

 

[STR(筋力)]:

[VIT(耐久)]:

[AGI(敏捷)]:

[INT(知力)]:

[MND(精神)]:

[TEC(技術)]:

[LUC(幸運)]:

[SEN(感覚)]:

 

計100ポイントの振り分けか。どうしたものかな。聞いたところによるとこのゲーム、INTに振れば頭が実際によくなるし、MNDに振れば精神が安定する、なんて効果が出るらしい。オカルトじゃないぞ?実際にそうなっているって噂だ。そしてその最たるものがこのTEC。これがこのゲームを神ゲーたらしめている部分といっても過言ではないパラメータである。これは書いてある通り、振れば技術が手に入るパラメータである。職業、スキルに対して働くパラメータであるらしく、これに振ればPS問題も解決できるという優れものである。もちろん、自前で技術を用意できるなら削ってもいい項目だが、増やせばその分だけさらに上手くなるため、誰であっても振って損のない項目だ。

 

そういった関係があるため、このゲームのステ振りは一つのことしかしない、とかでない限り、極振りは悪手である。基本的にはバランス良くが鉄則。とはいえ聞きたいことがある。

 

「Lvがないなら、生還者ってどうやってステータスポイントを手に入れるんだ?確かステータスポイントってLvに呼応して手に入る代物だろ?」

 

「そこに関しては、経験値によって自動成長だ。行動によって自動的にな。」

 

「あーまじ?じゃあ振れるのってこの初回だけ?」

 

「ほかにも手段がないわけじゃないが、基本的には。」

 

「んーとなるとなぁ、先にスキル見てから決めるかぁ。スキル見せてくれ。ふーん?職業ごとにそれぞれ初期スキルがある感じ?……へぇーこんなスキルが」

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、こんなもんか。」

 

10分ほど試行錯誤した結果が、これである。

 

_______________________

 

プレイヤーネーム:ソフィア

性別:女性

種族:人間

ジョブ:生還者《サバイバー》

 

【ステータス】

STR(筋力):12

VIT(耐久):15

AGI(敏捷):20

INT(知力):5

MND(精神):5

TEC(技術):18

LUC(幸運):10

SEN(感覚):15

 

【初期スキル】

- 生命《ヴィタ》

- 観察《オブザーブ》

- 適応《アダプト》

- 集中《フォーカス》

_______________________________________________

 

INTとMNDは魔法関連のものであるため現状関係がない。そのため低めに設定した。あとは、敏捷と技術、あと生還者専用ステータスの感覚を多めに振った。まぁ、自動成長ということなので初期はそんなに気にする必要がないのかもしれないが、これで完成としよう。

 

「ヘルメス、これでOKか?」

 

「No problem.キャラメイクはこれにて終了だ。では、このサークルに立ってくれ。初期地点へ転送する。」

 

キャラメイク画面が消失し、地面に白く光るサークルが現れる。

 

「準備はいいな?」

 

「ああ。」

 

「では、よき人生を。」

 

シュバッ!!

 

サークルが光を放ち、そして、俺の肉体が消失した。




Tips Lv1000におけるLv700~800は諜報任務である。そのため変声技能や変装技能が求められる。久世はここで変声技能と女装を学んだ。
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