第八話 緊急脱出、夜空の底へ
流石に10分も掴まれてたら慣れてくるよね。うん。いやぁ、逃げ出せる算段もなければ落っこちて生き残る算段もないまま10分が経ってしまった。距離にして最低200km。うーん、広い。
流石に森は途切れたし、いろんな環境が下を流れていくのを眺めている。が、まだ着かない。いやそもそも俺がなんでこいつ…仮称、濡羽の翼としておくが、濡羽の翼がどこに、なんで俺を連れていくのか分かっていない。餌なの?俺は雛の餌なの??
音速なのに肉体が無事どころか風を感じないのは、なんらかの結界かなにかを濡羽が張っていて、それの影響下にあるから、と仮説を立てたが……だからといって安全というわけではない。かぎ爪か何かわからない濡羽色の羽毛?に包まれた足?であるのかもわからないもので掴まれてたままである。ちなみにこいつ、羽ばたきと思われるものを数分に一回しかしないので、揺れもなく快適な空の旅となっている。
さらにおかしなところを挙げるなら、大きさが不確定だということだ。羽ばたきの度に大きさが変わっている気がする。だって今最初に見た時の数倍のサイズである。流石にわかる。
そんな感じで暇をつぶしながら、濡羽の進行先を見つめていたのだが……
「まさか、目的地はあれか?」
大森林……といえば簡単だが、以前までいた場所とは比較にならない。あれは……少なくとも500mは超えてるどころかいや、1000mとかあるんじゃないだろうな?なんだこれは。山かとも思ったが、違う。隙間から見える光景は縮尺をバグらせた森というのが適切だ。俺が今つかまっているやつも巨大だが……なるほど、この巨体を維持できるだけの環境は存在する、というわけだ。いやしかしとなるとなぜ俺は捕まったんだ?やっぱり雛の餌ですか?
はぁ……いや、しかし……
あああとあの問題もあったが……腹くくるしかないか……?
「はぁぁぁああああ、やりたくねぇえええー」
え?何をやろうとしているかって?単純さ、服脱いでそれで爪から逃げて、音速特急から飛び降りるのさ! え?正気かって?うーん、微妙!とはいえ、やらなきゃ多分餌である。それ以外の可能性が思い浮かばない。ほら、俺プレイヤーだし、なんか魔力の塊にでも見えてるんじゃないですかね??
やりたくない理由は主に二つ。服脱いで死んだらインナーでリスポーンすること。正直女アバターでインナーリスポーンはきついものがあります。あとシンプル恐怖体験だよね、音速バンジージャンプ(紐なし)。
どうやって生き残るか、だって?そりゃあ、さっき作った爪付きロープを進行方向の横にぶん投げて、木のてっぺんあたりに引っ掛ける。するとほら、ぐるぐると遠心力と空気抵抗で減速できるって算段よ。
……え?死ぬ以外の未来が見えないって?いけるいける、ほら、紐なしバンジー(10000m)は体験したこと、俺あるから。確かLv350当たりだったか、パラシュート、滑空以外の方法でスカイダイビングを生き残れっていうチャレンジ。あれね、スカイツリーのてっぺんに引っ掛けてどうにかしたよ。(試行回数500回)だから行ける、行けるってマジ!
さぁーてあとタイミング的には1分後あたりに羽ばたきが起きるはず。要するに、その手前が最も遅いタイミング。そこ以外では生き残れる未来が見えない。とはいえタイミングが近すぎると、羽ばたきに吹っ飛ばされて即死する。かなりシビアだ。先に服脱いで爪の上にのっとこ。この爪力かけてるわけじゃなくて固定しているだけっていうのはわかってるからね。ナイフでたたいても傷一つつかなかったし、感覚も鈍いと見た。
よし、真夜中空中1000Mに下着の女が爆誕した。最悪である。というか、さっむ!!爪の外寒すぎ!!!
よし、そろそろ……今!!!!
バッ!!
ババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!
あああああ風ェええええええええ!!うるせぇえ!!!
落ちてる!落ちてる!
ああよかったどうにか引掛けれそうな場所を通る軌道だ!!!無計画!!!
構えろ構えろ構えろあああああロープがバタつく!!!!!
ちょいちょいちょいいまぁあああああ!!!!!
「
スキル全部乗せだいっけえええええ!!!!!
斜め前!!!!!!
ヒュン!!!
……よし引っかかった!!
あとは!
「ぐ、ぐぉおおお!!!」
遠心力!!!握力!!!いやもう巻き付けろ腕が千切れるまでもてぇえ!!
葉っぱに突っ込む!対ショック体制!!!!
体を丸めてストップ・ステップ準備して……!
ボッ、ガサガサガサガサガサ!
痛った!枝ささったが!!肌に!!…よしまだ遠心力ある減速している!足ひっかけろ減速していけ!!……よし、何度かガクッっと減速した感覚がある!
ボッ
抜けたか!!
眼を開き、集中する。
正面
木
着地
素材バラまけ
クッション
「だぁ!!!」
ッダン!!!!
折れた!!痛てぇ!!だが生きてる!!止まった!だが!
ちっくしょロープが真上じゃないから引っ張られる!
ああどうするどうするどうする……!
もう一本!インベントリ開け、投げる!!上の枝!
っし!絡まった!
縄が張り、両腕を広げる形で安定した。
…………ふぅーーーーー。はぁーー。心臓がバクバクしている。
「ああぁあぁあー耐えた~~」
いやまてどうやって下降りようまだ落ち着いてる場合じゃね…………ん?あれ?
下を見ると、落ち葉の山が近くに……?高さじゃないはずだが……こんだけドロップアイテム乗っかって落ちないということは安定している……?どういうことだ……?というか、森の下なのに明るいぞここ……あ、この苔か。発光する苔。取りあえず降りるか。
ひゅるっ
あ、足の骨両足イって……
ドサッ
「ぐ、ぐぉおおお……いってぇ。忘れてた……」
回復ポーションヒールポーション……どうせ下着だし被るか。あ、枝抜かなきゃ。……ふんっ、いてぇ。
ダバダバダバダバ……大盤振る舞いだ。もってけ4000パイア分のポーション。
お、すごい骨折まで治った。流石高級?ポーション。
……はぁーー。まさか、成功するとは……
《スキルを獲得しました》
《スキルを獲得しました》
《スキルが進化しました》
《ツリーが成長しました》
《称号を獲得しました》
おうおうおう、そりゃ色々起きるか。というかモンスター関係なくても起きるのねこれ。まぁ。いったんステータス確認しようかね。
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プレイヤーネーム:ソフィア
性別:女性
種族:人間
ジョブ:
【ステータス】
STR(筋力):15→23
VIT(耐久):15→22
AGI(敏捷):50→55
INT(知力):7→10
MND(精神):10→15
TEC(技術):33→40
LUC(幸運):12→25
SEN(感覚):25→35
【
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- └
【一般スキル】
《アクティブ》
-ファタル・パリィ
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-ストップ・ステップ
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《オート》
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-キルステップ
-ラン&キル
-コールド・ブラッド
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《パッシブ》
-ノンストップ・ランニング
-ゴブリンキラー
-フォレストウルフキラー
-
-暗視
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それと称号が……
えーと、それぞれ効果が、前回確認したもの以外をまとめるとこうである。
称号
うーんと、色々言いたいことはあるが、一つ言いたいのは、
あと、
まぁ冗談はさておき、疲れた。十数時間走り続けて今度は命の危機、絶体絶命。それを解決したともなれば疲れる。というかねみぃ!夜だし!!ここ安全なの!?どうなんですかだれか答えて~
はぁ。まぁ現状エネミーは見えないし、気配もない。足跡とかもない。落ち葉で満ちた空間というだけ。ここの地面どうなってんだろ。枝とか?まぁいいや、
おやすみ~
Tips 絶死より還りし者は非常に獲得難易度の高い称号の一つ。隕石が降ってきたど真ん中から生還するくらいの難易度。なお運ではなく実力で生還したもののみに与えられる。