メガゾーン23 量産型ガーランド前編 ―追撃―   作:tell M.G.

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第2話 待機

修二は追撃部隊のブリーフィングに参加していた。

 

追撃部隊を指揮するのは後藤准尉である。

 

「フラッガ隊は上空から索敵。目標を発見次第、ガーランド部隊へ即時連携」

 

淡々とした指示が室内に響く。

 

「矢作省吾は殺すな。必ず生け捕りにしろ!」

 

一瞬だけ空気が重くなる。

 

「各員、配置につけ。以上、解散!」

 

その直後、修二の耳に先程の情報が蘇る。

 

――町川という男からの証言。

 

ガーランド1号機を乗り回した、一般人。

 

だがただの一般人ではない。そう断言できるだけの“違和感”がある。

 

油断できない相手だ。

 

「ガーランド部隊、集合!」

 

号令が飛ぶと同時に、修二の意識は一気に戦闘モードへ切り替わった。

 

現在、六本木旧大使館周辺では包囲網の構築が進んでいる。

だが同時に、その包囲が突破される可能性も想定されていた。

 

「今から全機、各ポイントで待機。以上、解散!」

 

修二は素早くスーツへ着替え、自らの愛機――量産型ガーランドへと乗り込んだ。

 

起動スイッチを入れる。

 

「――起動シーケンス、スタート」

 

低く重い機械音が響き、機体がゆっくりと浮き上がる。

 

ホバリング特有の振動が足元を伝った。

 

修二は静かに機体を発進させる。

 

待機ポイントへ向かうその背中には、すでに戦場の空気がまとわりついていた。

 

配置されたポイントは予想以上に多い。

 

それだけ今回の任務が重大である証拠だ。

 

修二の待機地点は、東京ベース近郊の首都高速高架下。

 

人工的な影の下で、機体は静かに待機状態へ移行した。

 

その時だった。

 

全機へ一斉通信が入る。

 

『六本木旧大使館より対象集団が行動を開始』

『ただし分散行動。囮多数確認』

『付近小隊は各自、接触・追撃に移行せよ』

 

空気が一気に張り詰める。

修二は隣の機体へ視線を向けた。

 

「佐原修二です。階級は軍曹。よろしくお願いします」

 

隣の男が短く応じる。

 

「大野清です。伍長です。よろしくお願いします」

 

大柄な体格。

 

量産型ガーランドのコックピットには、やや窮屈そうにも見えた。

 

(この機体、こいつには少し狭いかもな)

 

修二は一瞬そんなことを考えたが、すぐに意識を切り替える。

 

「いよいよ動き出したな」

 

「まだ距離はありますね。でも、いつ来てもいいように準備しておきましょう」

 

大野は生真面目な声で答えた。

 

その時――

 

「フラッガ隊より通信!」

「矢作省吾を含むと思われる集団を発見!現在、東京ベース高速道路を走行中!」

 

空気が変わった。

 

遠くから、複数のエンジン音と振動が伝わってくる。

 

「来た……!」

 

修二と大野は同時に顔を上げた。

 

その音は急速に近づいてくる。

すぐそこだ。

 

「行くぞ!」

 

修二の声と同時に、二機のガーランドが一斉に浮上した。

 

ホバー推進が全開になり、機体が空へと滑り上がる。

 

眼下に高速道路が見えた、その瞬間。

 

そこにいた。

 

赤い機体。

 

――プロトガーランド。

 

「見つけた……あれが矢作省吾だ!」

 

修二の声が鋭く響く。

 

次の瞬間、量産型ガーランドは赤い影へ向かって空中を加速した。

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