メガゾーン23 量産型ガーランド前編 ―追撃―   作:tell M.G.

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第3話 遭遇

「あれが、矢作省吾……!」

 

修二は赤いプロトガーランドへ向けて空中で加速した。

 

同時に機体をマニューバスレイブ形態へと変形させる。

 

金属が軋むような駆動音と共に、量産型ガーランドの機構が戦闘形態へ切り替わった。

 

左方では大野機も同様に変形し、遅れず追従する。

 

「逃がすか……!」

 

修二は一気に距離を詰めた。

 

町川の言葉が一瞬、脳裏をよぎる。

 

――油断できない相手だ。

 

その直感は、すでに現実になりつつあった。

 

修二は思考伝達で機体へ指令を送る。

 

――攻撃開始。

 

量産型ガーランドが一気に加速し、プロトガーランドへ肉薄する。

 

左腕を振り抜いた。

 

鈍い衝撃音。

 

プロトガーランドのボディを拳が掠める。

次の瞬間、右側のバックミラーが弾け飛んだ。

 

「ちっ、かわされた!」

 

攻撃は浅い。

 

そして――

 

プロトガーランドもまた、マニューバスレイブ形態へ変形していた。

 

正面に、完全に対峙する。

空中で二機の機体が静止する。

 

一瞬の静寂。

 

その直後、通信を開く。

 

「大野、後ろへ回り込め! 相手は丸腰だ、挟み撃ちにするぞ!」

 

「了解!」

 

大野機が高度を変え、後方へ回り込む。

修二は正面から圧をかける形で前進した。

 

狙いは脚部破壊。

機動力を奪えば勝てる。

そう判断していた。

 

だが――

 

プロトガーランドは徐々に間合いを詰めてくる。

異様な圧力。

 

「う、うわ……!」

 

修二は一瞬、反応が遅れた。

レーザーオーブガンを発射。

 

光弾が走る。

 

しかしプロトガーランドはそれを腕で受け止めるように弾き、さらにその腕を掴んだ。

 

「何っ……!」

 

そのまま銃口が後方へ向けられる。

そこには――大野機。

 

「しまっ――!」

 

次の瞬間、発射。

光弾は一直線に大野機へ突き刺さった。

 

爆発。

 

「うわあああっ!」

 

大野の叫びと共に機体が崩れ落ちる。

 

「大野っ!」

 

修二の声が届くより早く、戦況は崩れた。

プロトガーランドが上昇。

視界いっぱいに、拳。

 

「――っ!」

 

グシャッ。

 

鈍い破壊音と共に、修二の機体は大きく弾き飛ばされた。

 

衝撃。

 

視界が暗転する。

地面に叩きつけられ、全身を痛みが貫いた。

 

「ぐっ……!」

 

エンジン音は遠ざかっていく。

 

赤い機影は、まだそこにいるはずなのに、距離だけが離れていく。

 

修二はしばらく動けなかった。

 

やがて――ハッチが開く。

 

白い人工光が差し込む。

 

「大丈夫ですか!?」

 

フラッガ隊の声だった。

 

「あぁ……ありがとう」

 

修二は重い身体を引きずるようにコックピットから這い出た。

 

視線の先に、半壊した量産型ガーランド。

大野の機体。

動かない。

 

「大野は……」

 

修二はフラッガ隊に問う。

 

「命に別状はありません。機体は損傷大ですが、パイロットは生存しています」

 

「そうか……」

 

短く息を吐く。

 

「後処理はこちらで行います。あなたは撤退を」

 

修二は自分の機体を見上げた。

頭部は潰れ、装甲はひしゃげている。

 

「……なんてザマだ」

 

低く呟く。

 

「まさか、一般人にここまでやられるとはな」

 

拳を握る。

悔しさと、理解できない感情が混ざっていた。

 

その時、ふと町川の言葉が蘇る。

 

――油断ならない人物だ。

 

「油断しない方がいい、か……」

 

修二は夜空を見上げた。

 

黒い空の向こうに、何かがまだ潜んでいる気がした。

 

そしてその頃――

 

赤いプロトガーランドは追撃をかわしながら、都市の闇の奥へと消えていく。

 

まるで、最初から捕まるつもりなどなかったかのように。

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