メガゾーン23 量産型ガーランド後編 ―迎撃―   作:tell M.G.

3 / 4
第6話 異形の敵

白鳥少尉のヘルメット越しに、低く不気味な笑い声が響いていた。

 

「フハハ……」

 

プロトガーランドのコクピット。

金髪の男は肩を震わせながら笑う。

 

やがて――

 

「ワーッハッハッハッ!!」

 

白鳥少尉は怒りに震えていた。

 

「キ、キサマー!!」

 

ヴィルデ・ザウのモノアイが赤く光る。

対する男は、まるで相手にしていないように笑った。

 

「矢作ぃ? 誰だよ、それ。知らねーなぁ」

 

さらに哄笑。

 

その時だった。

 

ゴゴッ――

 

「!?」

 

杉山は機体の足元の異変に気づいた。

 

量産型ガーランドの下。

アスファルトが盛り上がる。

 

いつの間にそこへ来ていたのか。

全く分からなかった。

 

地面を突き破り現れたのは、丸い巨大な単眼。

その周囲から無数の触手を伸ばす異形の存在だった。

 

「敵襲だぁーっ!!」

 

杉山は反射的にレーザーオーブガンを乱射した。

 

青白い閃光が地面を焼く。

 

しかし――

 

「なっ……!?」

 

無数の触手が杉山機へ絡みつく。

量産型ガーランドが宙へ持ち上げられた。

 

「うわああああっ!!」

 

悲鳴。

 

白鳥少尉は即座にオーブガンを発射した。

町川も、黒崎も、同時に乱射する。

 

異形の敵が爆散――

 

だがその瞬間。

 

別の地点から、新たな異形が地面を破って現れた。

 

「隊長! 後方に敵です!!」

 

黒崎が叫ぶ。

銃口を向け、即座に発砲。

 

「サーベルを使え!」

 

ヴィルデ・ザウが抜刀した。

白い機体が一気に加速する。

 

だが――

 

その斬撃よりも早く。

触手が伸びた。

 

ビシュゥッ!!

 

杉山の量産型ガーランドが、胴体から真っ二つに切断された。

 

「杉山ぁぁっ!!」

 

さらに別の触手が黒崎機を貫く。

 

何本もの鋭い触手。

 

コクピット。

脚部。

胸部。

 

次々と突き刺さっていく。

 

「ぐあああっ!!」

 

同時に、ヴィルデ・ザウのサーベルが異形を両断した。

 

爆散。

 

しかし。

 

ヴィルデ・ザウ自身も触手に貫かれていた。

 

火花が散る。

胴体左に穴が空く。

だが、まだ動ける。

白鳥少尉は低く呟いた。

 

「……ついに、ここまで侵入して来たか」

 

白鳥の脳裏をよぎる。

宇宙では、FX艦隊が敵を迎撃しているはずだった。

それなのに。

 

ここまで地上深く侵攻しているという事は――。

 

「軍曹、無事か?」

 

通信。

 

「……ガキにいっぱい食わされた。初めに逃げたのが矢作だ。追うぞ」

 

そして白鳥は気づく。

 

「どうした? 軍曹――」

 

その瞬間。

黒崎機が爆散した。

 

轟音。

 

爆炎がヴィルデ・ザウを包み込む。

 

「黒崎ぃ!!」

 

町川機だけが、辛うじて触手の包囲から逃れていた。

 

「杉山ー!! 黒崎ー!!」

 

返事はない。

だが悲しむ暇すら与えられなかった。

再び地面が裂ける。

新たな異形。

 

一機。

二機。

三機。

 

ヴィルデ・ザウを取り囲む。

無数の触手が一斉に襲いかかった。

白鳥少尉はサーベルを振るう。

 

斬る。

 

避ける。

 

切り払う。

 

だが。

 

避けきれない。

装甲が削られていく。

 

左脚。

肩。

胸部。

 

次第に損傷が増えていく。

 

「隊長!!」

 

町川は後方の異形へレーザーオーブガンを発射した。

 

数発命中。

異形が痙攣する。

 

さらに撃ち込む。

爆散。

 

「隊長! 加勢します!!」

 

二機は残る敵へ向き直る。

町川が射撃。

白鳥が接近。

 

ヴィルデ・ザウのサーベルが閃くたび、白い装甲が削られていった。

 

一機撃破。

残る一機。

 

ヴィルデ・ザウが振り返った瞬間――

 

ドガァッ!!

 

右腕が吹き飛んだ。

 

「くっ!!」

 

ヴィルデ・ザウが後退する。

町川は急いでカートリッジを交換した。

震える手で銃を構える。

 

「このぉぉっ!!」

 

レーザーを乱射。

しかし敵は上下左右へ激しく動き回る。

 

当たらない。

 

敵の注意が町川へ向いた、その一瞬。

ヴィルデ・ザウが背後へ回り込んだ。

 

サーベル一閃。

 

異形を後ろから両断する。

爆発。

敵撃破。

 

その時、司令室から緊急通信が飛び込んだ。

 

『敵多数、東京ベースへ侵入! 直ちに迎撃に向かえ! 大至急だ!!』

 

「東京ベースだと……!?」

 

その瞬間だった。

 

ズガァン!!

 

ヴィルデ・ザウの頭部が吹き飛んだ。

 

「!!」

 

町川が振り返る。

遠距離から新たな異形が攻撃していた。

白鳥少尉の声が響く。

 

「ここは私が引き受ける! 曹長は東京ベースへ向かえ!!」

 

「し、しかし!」

 

町川は躊躇した。

いくらヴィルデ・ザウでも。

ここまで損傷した機体では――。

 

「曹長!! 早く行け!!」

 

白鳥の叫び。

 

「私はコイツを倒して矢作を追う!! 早く行くんだ!!」

 

町川は唇を噛み締めた。

 

「……了解!!」

 

量産型ガーランドが後退を開始する。

その最中。

 

町川は遠くを見た。

 

暗闇の向こう。

 

さらにもう一機。

 

新たな異形の敵が、ゆっくりと姿を現していた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。