次々と押し寄せてくる敵部隊。
暗黒の宇宙空間で、
無数の閃光が交差していた。
前衛では、
B.D.のザーメ・ザウと二機のヴィルデ・ザウが激しく敵を迎撃している。
ザーメ・ザウが撃ち漏らした敵機を、
周囲のヴィルデ・ザウが次々と仕留めていた。
だが敵の数は減らない。
まるで絶望そのものが、
こちらへ押し寄せてくるようだった。
その時。
ナカオの警報が鳴り響く。
後方から三機のH型が高速接近。
敵だ!
ナカオは叫ぶ。
敵機は巧妙だった。
スペースシップ群を背後に捉える位置取りで接近してくる。
こちらが撃てば、
誤射でスペースシップを巻き込む。
友軍のヴィルデ・ザウは射撃を止め、
サーベルを抜いた。
だが。
敵H型が先にビームを放つ。
直撃。
ヴィルデ・ザウが爆散した。
さらに別方向でも閃光が走る。
別の友軍機が被弾。
爆発。
機体の破片が宇宙へ散っていく。
――こいつ!
ナカオは怒りのまま、
先ほど味方を撃墜したH型へオーブガンを放つ。
一発、
二発。
敵は避ける。
三発目。
ようやく敵機が爆散した。
だが休む間もない。
次の敵がすぐ目前まで迫ってくる。
ナカオの横を、
一機のヴィルデ・ザウが高速で通過した。
敵H型へ接近。
サーベルを突き立てる。
敵装甲を貫通。
だがその瞬間、
H型の触手がヴィルデ・ザウへ絡みついた。
離脱できない。
『くそっ……!』
パイロットの声。
そのまま敵機は、
ヴィルデ・ザウごとスペースシップへ突っ込んでいく。
閃光。
爆発。
スペースシップが轟沈した。
その光景を見た瞬間。
B.D.の動きが、
ほんの僅か止まった。
敵はその隙を逃さない。
二機のH型が左右から触手を伸ばす。
ザーメ・ザウの脚部、
そして右腕へ絡みつく。
バチバチッ――!!
高圧電流。
『ぐっ……!』
B.D.が苦痛に顔を歪めた。
すぐ横にいた友軍のヴィルデ・ザウが、
サーベルで触手を切断する。
だが。
直後に別の敵ビームが直撃。
援護に入ったヴィルデ・ザウは爆散した。
触手から解放されたザーメ・ザウ。
しかし機体の機動力低下は明らかだった。
少佐!
ナカオは加速する。
ザーメ・ザウへ向け一直線に飛ぶ。
もう少しで届く――。
その瞬間。
警報。
背後。
うわっ!
敵の砲撃がナカオ機へ直撃した。
背部バーニア損傷。
機体が激しく揺れる。
スピードが上がらない。
――やられる!
そう思った瞬間だった。
ザーメ・ザウが振り向く。
オーブガン発射。
ナカオの背後へ迫っていた敵H型が爆散した。
その時だった。
敵部隊を突破したスペースシップ群が、
次々と地球へ向け加速していく姿が見えた。
青い星へ向かって飛んでいく、
最後の希望。
『ナカオ』
通信が入る。
B.D.だった。
『お前も行け』
『今ならまだ間に合う』
『スペースシップに回収してもらえ』
ナカオは即座に首を振った。
「自分は……!」
乱れる呼吸。
震える声。
「自分は少佐と最後まで共に行きます!」
「ずっと一緒だったじゃないですすか!」
「なのにこんなところで、一人にしようなんて、
納得できません!」
「少佐の信じていた正義を……共に貫かせて下さい!」
沈黙。
そして。
『……ふっ』
B.D.が小さく笑った。
何かを言いかけた、その瞬間だった。
宇宙空間が、
突如白く染まり始める。
ADAM。
月面から放たれた巨大な光が、
MZ23と周囲の兵器群へ向け広がっていく。
「あれは……!?」
ナカオは息を呑んだ。
機体を動かす事すら忘れ、
ただその光を見つめていた。