メガゾーン23 ―託された希望―   作:tell M.G.

4 / 4
第5話 希望の光

月面から放たれた巨大な光が、

真っ直ぐMZ23へ降り注いでいた。

 

白い奔流。

 

それは攻撃というより、

まるで世界そのものを書き換えていく光だった。

 

光に触れたMZ23の外装が、

灰のように崩れていく。

 

都市の表面が静かに溶け、

無数の破片となって宇宙空間へ流れていった。

 

ゆっくりと。

 

だが確実に。

 

巨大都市MZ23は崩壊を始めていた。

 

ナカオは、

損傷したヴィルデ・ザウのコクピットから、

その光景を黙って見つめていた。

 

言葉が出ない。

 

これが――。

 

月の防衛システム、

ADAM。

 

人類を遥かに超えた存在。

 

その時だった。

 

崩壊していくMZ23の内部から、

巨大な円柱状の物体が飛び出した。

 

ゆっくりと浮上する。

 

外装の一部が剥がれ落ち、

内部構造が露出していく。

 

ナカオは目を見開いた。

 

「あれは……」

 

円柱の物体は、

まるで導かれるように姿勢を変える。

 

そして次の瞬間。

 

凄まじい速度で、

青い地球へ向け加速した。

 

「あれは……

バハムート……なのか?」

 

呟くナカオ。

 

隣では、

B.D.もまた静かにその光景を見つめていた。

 

長い沈黙。

 

やがてB.D.は、

小さく言った。

 

『あれは、これからの希望だ』

 

その声に、

かつての狂気じみた執念は無かった。

 

ただ静かに、

未来を見送る男の声だった。

 

『イヴが託した……光だ』

 

ナカオは何も答えなかった。

 

答えられなかった。

 

ただ二人は、

地球へ向かっていく光を、

ずっと見つめていた。

 

やがて円柱の物体は小さくなり、

青い地球へ消えていく。

 

その瞬間。

 

宇宙空間が、

再び白く染まった。

 

A.D.A.Mの光。

 

圧倒的な白。

 

ナカオの視界が光に包まれていく。

 

それでも彼は最後まで、

地球へ向かった希望の光を見つめていた。

 

 

【エピローグ】

 

厚い雲の切れ間から

柔らかな光が降り注いでいた。

 

風が吹く。

 

草木が揺れる。

 

遠くでは、

動物達の鳴き声が響いていた。

 

どこまでも続く緑。

 

川が流れている。

 

MZ23の人工都市では決して見る事のできなかった、

本物の大地。

 

その中央に、

巨大な円柱状の物体が静かに着陸していた。

 

長い旅を終えたかのように、

機体表面には無数の傷が刻まれている。

 

しばらく静寂が続く。

 

やがて。

 

円柱状の物体の内部から、

小さな声が聞こえ始めた。

 

人々の声。

 

誰かの笑う声。

 

楽しそうに、そして感嘆の声が聞こえる。

 

新しい世界へ降り立った、

人類の声だった。

 

空から差し込む光が、

その巨大な円柱状の物体を優しく照らしている。

 

そして――。

 

イヴの願いは叶った。

 

希望の光たちは

ここへ辿り着いた。

 

青い星へ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。