機動戦士ガンダムUC ― ヤクト・ドーガの残影 ―   作:tell M.G.

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第10話 最終決戦

「……分かりました」

 

リュウ・バーンは、わずかな戸惑いを残したまま頷いた。

 

ゼクストは、壁に手をつきながらもその視線を逸らさない。

 

「いいか、よく聞け」

 

荒い呼吸の合間に、言葉を絞り出す。

 

「私は必ず後から追いつく。必ずだ」

 

一歩、踏み出す。

 

「追いついたら――私と代われ」

 

その声には、揺るぎない意志があった。

 

「あのお方のためにも、この局面で倒れるわけにはいかない」

 

リュウは、何も言えなかった。

ただ――

 

「……了解です」

 

強く、頷くしかなかった。

 

⸻

 

ヤクト・ドーガのコックピット。

久しく離れていた空間。

だが、座った瞬間に分かる。

 

「……重いな」

 

機体そのものではない。

この機体が“要求するもの”の重さ。

 

ヘッドデバイスを装着する。

意識が、機体へと接続される。

 

「リュウ・バーン少尉、準備はいいか?」

 

オペレーターの声。

 

「行けます。いつでも」

 

短く答える。

 

「親衛隊、各機――出るぞ!」

 

号令。

 

カタパルトが火を吹く。

次々と機体が射出されていく。

 

「リュウ・バーン、ヤクト・ドーガ――出ます!」

 

推進。

機体が宇宙へと躍り出た。

 

⸻

 

「敵モビルスーツ接近中!

 一分後に交戦距離!」

 

「警戒を怠るな!」

 

「了解!」

 

各機の応答が重なる。

 

視界の先。

敵影――ジェガン。

 

「……行く」

 

リュウは静かに呟いた。

ファンネル展開。

思考を乗せる。

 

“撃つ”のではない。

 

“当たるイメージ”を描く。

 

二基のファンネルが滑るように散開する。

 

背後。

 

側面。

 

正面。

 

多方向からの攻撃。

 

回避は――間に合わない。

 

閃光。

 

ジェガンは爆散した。

 

ファンネルが帰投する。

ヤクト・ドーガの左肩へと収まる。

リュウは右手を上げ、前方へ振った。

 

「行きます!」

 

その合図に呼応するように、部隊が動く。

ドライセン。ガザC。ギラ・ドーガ。

一斉に突撃。

 

リュウも、次の敵へと向かう。

 

接近。

 

回避。

 

反撃。

 

ギリギリでかわしながら、確実に仕留めていく。

 

「まだ……いける!」

 

だが――

頭の奥に、鈍い痛み。

サイコミュの負荷。

思考が、わずかに遅れる。

 

「……っ」

 

(まずい……)

 

ファンネルはもう使えない。

その瞬間。

ビームが走る。

 

直撃。

 

右肩シールドが弾け飛ぶ。

衝撃がコックピットを揺らす。

 

「リュウ!後退しろ!」

 

割り込む通信。

ゼクストの声だった。

 

リュウは迷わない。

スラスターを噴かし、後方へ離脱。

母艦のシルエットが視界に入る。

 

「……了解!」

 

帰投。

 

ハッチが開く。

リュウはコックピットから這い出た。

足元がふらつく。

 

「……くっ」

 

想像以上の消耗。

視界が揺れる。

 

「大丈夫か」

 

声がかかる。

ゼクストだった。

先ほどより顔色は戻っている。

だが――無理をしているのは明らかだ。

 

「少し休め」

 

短く言う。

 

「よく守ってくれたな」

 

わずかな間。

そして――

 

「次は、私の番だ」

 

そう言い残し、ゼクストはヤクト・ドーガへと歩み寄る。

そして

そのままコックピットへ滑り込んだ。

 

リュウは、その背中を見ていた。

何も言えない。

ただ――

 

その姿を、焼き付けるように。

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