機動戦士ガンダムUC ― ヤクト・ドーガの残影 ―   作:tell M.G.

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第4話 選ばれた者

ネオ・ジオン残党拠点。

 

格納庫の一角で、

ヤクト・ドーガの適合試験が繰り返されていた。

 

候補となるパイロットは複数。

だが――

 

「……ダメだ」

 

モニターを見つめる整備員が、首を振る。

 

サイコミュは反応する。

だが、それだけだ。

 

機体は“応じていない”。

 

その中で、ただ一人――

反応が違う者がいた。

 

リュウ・バーン。

 

かつてニュータイプ研究所に在籍していた男。

 

「……ファンネル、起動」

 

低い声と共に、肩部ユニットが展開する。

三基のファンネルが、静かに浮かび上がった。

 

「行け」

 

次の瞬間。

 

ファンネルは、迷いなく軌道を描いた。

 

「……使えている?」

 

周囲がざわつく。

完全ではない。

動きは粗く、制御も不安定。

 

だが――

 

「他の連中とは違う」

 

それだけは、誰の目にも明らかだった。

 

⸻

 

試験終了後。

クバル・ジャンブは結論を下す。

 

「……現状では、こいつが一番だな」

 

視線は、リュウへ。

 

「暫定だが――」

 

一拍置く。

 

「ヤクト・ドーガのパイロットは、リュウ・バーンとする」

 

⸻

 

数日後。

その機体は、初めて実戦へと投入される。

 

けたたましい警報が、艦内に響き渡る。

 

「敵影接近!」

 

オペレーターの声が飛ぶ。

 

「連邦軍モビルスーツ――三!」

 

映し出される機影。

 

ジェガン。

 

哨戒部隊だ。

 

「迎撃しろ!」

 

クバルの号令が響く。

 

「ヤクト・ドーガ、ギラ・ドーガ、緊急発進!」

 

格納庫。

リュウは、コクピットへと滑り込む。

深く息を吐く。

 

「……行ける」

 

自分に言い聞かせるように呟く。

 

「リュウ・バーン――ヤクト・ドーガ、出ます!」

 

ヤクト・ドーガが、闇の宇宙へと飛び出した。

 

「敵ジェガン部隊、捕捉」

 

照準が展開される。

リュウは、迷わなかった。

 

「ファンネル――行け!」

 

三基のファンネルが、一斉に射出される。

 

高速で散開。

右側へ展開した敵機へと向かう。

 

ジェガンが旋回する。

回避機動。

だが――

 

リュウは目を閉じた。

 

「……そこだ」

 

頭の中に、敵の位置を描く。

見えた――気がした。

 

その瞬間。

 

「撃て!」

 

ファンネルが、同時にビームを放つ。

交差する光。

逃げ場はない。

 

ジェガンは反応すら間に合わず――

爆散した。

 

「……1機撃破」

 

「次!」

 

リュウは即座に切り替える。

 

別のジェガンが、

ギラ・ドーガと交戦している。

 

再び、意識を集中する。

敵の位置を“感じる”。

 

「……見えた!」

 

ファンネルが再び攻撃態勢に入る。

だが――

 

「なに!?」

 

一基のファンネルの反応が、突然消えた。

映像が割り込む。

 

別のジェガンが、ライフルで迎撃していた。

 

「ファンネルが……!」

 

「くそっ!」

 

リュウは即座に判断を切り替える。

ヤクト・ドーガのライフルを構える。

 

照準、固定。

発射。

 

一射――外れる。

 

二射――回避される。

 

三射――

 

「……堕ちろ!」

 

次の瞬間。

ビームが直撃する。

 

ジェガンは爆散した。

 

残る一機。

 

ギラ・ドーガと連携しながら、追い詰める。

 

二基のファンネルが、軌道を描く。

挟み込むように――

 

同時攻撃。

最後のジェガンも、爆発に包まれた。

 

戦闘終了。

 

静寂が戻る。

 

リュウは、ゆっくりとファンネルを回収する。

 

残るのは――二基。

 

「……一つ、やられたか」

 

小さく呟く。

その声に、悔しさが滲む。

 

ヤクト・ドーガと、ギラ・ドーガは帰投する。

 

初陣は、勝利。

だが――

 

それは“完全な勝利”ではなかった。

 

ヤクト・ドーガ。

その力は、まだ引き出されていない。

 

そしてリュウもまた――

 

“選ばれた者”には、届いていなかった。

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