とある世界
街が廃虚と化し、人が誰も住んでいない。
そんな街で今、戦いが繰り広げられていた。
「こんのぉおおおおおおお!!」
「無駄だ」
金色の鎧で身を包んだ銀髪の男が、黒いフードを被った男に向かって、無数の武器と光る弾が放出
したり剣で斬りかかるが、全てかわされる。
「クソッ!!俺は最強なんだ!!俺は強いんだ!!俺こそ最高で最強の王なんだ!!」
「貴様が最高で最強の王?寝言は寝て言った方が良いと思うぞ?」
「なんだと!?」
「お前は決して、最高でも最強の王などではない。ましてや、王の器ですらない」
「お前に何が分かる!?俺はこの力でこの世界を支配した!!力ある者こそが王なのだ!!」
「違うな」
「なにっ!?」
「力だけでは王にはなれない。人を惹き付け、人々の事を考え、信念をもって動く者こそが真の王だ。少なくとも俺は、そういった王を知っている」
そう言ったフードを被った男は、胸部ににベルト【ゼッツドライバー】を装着し、カプセルのようなアイテム【カプセム】を取り出してベルトカプセムの中央部に装填、ベルトに装備されているレバーを押す。
〈インパクト!〉
〈目覚めろ・・・・・・目覚めろ・・・・・・〉
「な、なんだそれは!?」
「見ていれば分かる…………変身!!」
〈グッドモーニング!ライダー!〉
〈ゼ・ゼ・ゼッツ!インパクト!〉
フードを被った男がゼッツドライバーへ装填したカプセムの1つ、【インパクトカプセム】を回転させる。
するとベルト中央部から霧のようなエネルギーが放出され、フードを被った男の全身を包み込む。
霧が晴れるとフードを被った男の姿は、頭部に角のような物が生えた全身が黒い姿へと変わり、胸部に腹部、両腕に脚部、頭部の一部が緑色へ、首部に両足、ベルトの一部と体の一部ラインを描くように赤くなる。
その姿を見た銀髪の男の顔は、信じられない物を見るような顔になっていた。
「か、仮面ライダーだと!?何故貴様のような奴が、仮面ライダーの力を持っている!?」
「教える気はない・・・・・な!!」
「がっ!?」
変身した男――仮面ライダーゼッツは一瞬で銀髪の男の目の前へと移動し、銀髪の男の腹を思いっきり殴った。
殴られた銀髪の男は、あまりの痛みに腹をおさえて塞ぎ混む。
そんな銀髪の男を気にする事なく、ゼッツへと変身した男はゼッツドライバーのレバー3回押しカプセムを回転させ、右足にエネルギーを蓄積する。
「潮時だ。お前を葬る」
「ま、待て!!仮面ライダーが人を殺していいのか!?」
「何か勘違いしていないか?」
「何!?」
「昭和ライダーの敵である怪人、ファイズが戦ったオルフェノク、電王が戦ったイマジン、ウィザードが戦ったファントム、鎧武が戦ったインベスは元は人間だった。他のライダー達の殆どの敵対勢力もまた、人間ではないとはいえ命ある存在だった。ライダー達は、世界の平和と人間の自由を守る為に怪人を倒してきた……······殺してきたんだ。ライダー達は、その十字架を背負いながら戦っている。別に命を奪ってこなかった訳ではない」
「くっ!!」
「フッ!!」
「ぐっ!?」
「チェア!!」
「あがっ!?」
「ハッ·········ハァッ!!」
〈インパクトバニッシュ!〉
〈ゼ・ゼ・ゼッツ!〉
「がぁああああああ!?」
ゼッツは蓄積された右足で2回蹴りを当てると、その場から跳び、銀髪の男に跳び蹴りを叩き込んだ。
蹴られた銀髪の男は崩れたビルの瓦礫へぶつかり、蹴られた個所から全身にエネルギーが流れ渡り爆発した。
銀髪の男が爆発した箇所から2つの光の玉が出現し、ゼッツの元へと近寄る。
ゼッツは灰色のカプセムを取り出し、其々の光の玉へとくっつける。
すると光の玉はカプセムへと吸い込まれていき、カプセムの色が金色へと変色した。
〈ギルガメッシュ〉
〈アーサー・ペンドラゴン〉
「やはり、あの2人の力だったか……英雄王と騎士王の力を私利私欲の為に使い破滅させるとは………」
カプセムから聞こえてきた名を聞き、死んだ銀髪の男に対し溜め息を吐きながら変身を解くと、荒れ果てた大地から光の粒子が浮かび出してきた。
それを見た男はスマートフォンを取り出し、ある人物へ電話をかける。
「もしもし?対象の転生者を抹殺。同時に世界の再生が開始された」
『ご苦労様、莫騎。此方でも世界の再生が始まったのを確認したよ。流石だね』
「俺なんてまだまださ、アルマ」
男──
『天界に戻ってきて。君にやってもらいたい任務がある』
「了解した」
そう言った莫騎は通話を切り、手の平を前へ向ける。
すると、莫騎の目の前に灰色のオーロラ――【オーロラカーテン】を出現させ、中へと入っていきその場から姿を消した。
場所は変わり次元大天界。
そこは人々から神や女神、天使と呼ばれる者達が住む世界。
彼等は次元大天界であらゆる世界を見守っており、何かしらのイレギュラーや問題が起こり、その原因が転生者や何者かによるものであれば、各々が信頼を置いている転生者を使徒として向かわせ対処している。
また、次元大天界側でも分からない原因不明の問題が起きた場合も、信頼する転生者を派遣し調査している。
その次元大天界で世界を見守る神の1人、アルマは自室で紅茶を飲んでいた。
するとアルマの部屋にオーロラカーテンが出現し、そこから莫騎が出て来る。
「お帰り莫騎。ご苦労様」
「あぁ。ただいまアルマ」
アルマに迎えられた莫騎は、先程灰色から金色へと変わった2つのカプセムをアルマへと手渡す。
「ターゲットが使用していた英雄王ギルガメッシュ王と、騎士王アーサー・ペンドラゴンの力、無事に回収完了だ」
「ありがとう、莫騎。相変わらず頼りになるね~」
「俺なんて先輩達と比べたらまだまださ。それで?電話で言ってた、やってもらいたい任務って?」
「これだよ」
アルマは莫騎の質問に答えながら、手元にあったタブレット端末を操作する。
すると2人の目の前に、ホログラムで出来た地球が現れた。
「やってもらいたいのは、この世界に転生しての長期任務だよ」
「長期任務なんて久しぶりだな?どんな世界なんだ?」
「魔法少女リリカルなのはがベースの世界だよ」
「ベースって事は、既にあらゆる世界因子が?」
「因子どころか、複数の世界まで融合しちゃってるよ」
アルマはそう言うと、タブレット端末を操作し莫騎へと手渡す。
タブレット端末を受け取った莫騎は、画面の内容を目で読み進めていくと冷や汗を流し、険しい顔へと変わる。
「この数は········あまりにも多すぎるだろ。因子が複数混ざる事は多々あるが、世界が融合するのは稀だ。1つだけならまだしも、複数の世界が混ざるなんて········誰かの仕業か?」
「ううん、自然現象だよ。しかも驚く事に、複数の世界が融合して複数の因子を取り込んでいるのにも関わらず、崩壊の兆しが見えず安定しているんだ」
「だったら別に、転生しての長期任務じゃなくても良いんじゃないか?」
「僕も最初はそう思っていたよ、でもこの世界が誰かの原因で破滅するって、ノアークが予測したんだよ。しかも複数」
「ノアークが!?」
アルマの話を聞き、驚く莫騎。
【予測演算システム・ノアーク】
それは次元最高神と呼ばれる存在と、アルマを含めた複数の神々があらゆる事態に対応する為に開発した予測演算システム。
アルマ達はこのシステムを使い、破滅する危険性のある世界へ各々が信頼する転生者を派遣し事態に対処している。
今回アルマが莫騎へ依頼した世界も、ノアークが破滅する危険があると予測したのだ。
しかしその予測が異常だった。
大抵の予測では破滅の原因が1つだけなのだが、アルマが莫騎へ依頼した世界の破滅原因が幾つも予測された。
その原因を引き起こしそうな要因がないにもかかわらず起きた予測に、アルマを始めとした神々は頭を悩ませた。
話し合いの結果、次元最高神の次に上位に当たるアルマが信頼する使徒転生者を送り込み、必要に応じて増援を送る事となった。
アルマから説明を聞いた莫騎は、頭を抱えながらため息をついた。
「話は分かった。でも何故俺なんだ?こういった案件は、先輩方の方が向いてるだろ?」
「一度は考えた。でも君ならどんなアクシデントにも冷静に対応できるし、どんな環境にも順応できるからね。だから今回、君に依頼したんだ」
「なるほど···········」
アルマの話を聞いた莫騎は、目を閉じて考える。
「分かった。その任務、引き受ける」
「了解。それじゃあ、転生の準備を始めるね」
微笑みながらタブレット端末を操作するアルマ。
すると莫騎の足下に、魔法陣のようなものが出現する。
「莫騎、緊急の連絡が必要になるかもしれないから、いつでもテレパシーが使えるようにしておくよ」
「了解した」
「·······莫騎」
「何だ?」
「不謹慎かもしれないけど、嫌な予感がする。気をつけて」
「あぁ············行ってくる」
アルマに返事を返した莫騎は、魔法陣のようなものから放出された光に包まれ転生した。
しかしこの時、莫騎とアルマは思ってもみなかった。
ある人物のやらかしで更に事態が悪化し、次々と大変な事変が起きるとは、この時の2人には知る由もない。
という事で、仮面ライダーゼッツをメインにしたリリなの作品のクロス作品になります!
次回は転生後の莫騎の話になります。
次回も是非読んでください!