僕のヒーローアカデミア A Little Extra 作:ジョン堂
遂に現れた『
原作と違って、オールマイトが初めからいる。
活動時間が少し心配だが、相澤先生と共闘すれば何とかなるのではないかと思う。
現状、戦力になれない以上、俺に少しでも出来る事……!
「相澤先生!俺達は退避しますか!?」
とっととこの場から立ち去る――これしかないだろう。
俺達がいたら先生達の邪魔になる!
状況の確認とか悠長なことする前にとにかく退避だ退避!
「ああ、そうだ。13号!避難開始!学校に電話試せ。恐らくセンサーの対策も頭にある敵だ。電波系の奴が妨害している可能性がある。上鳴!お前も【個性】で連絡試せ!」
「ッ!?っス!」
相澤先生の指示で上鳴が戸惑いつつコスチュームのヘッドホンみたいなのに触れて操作し始める。
「皆!走れ!!USJの外に出るんだ!!」
『!!』
俺は声を上げて皆に行動を促す。
こういう場合はスピード命――兵は迅速を貴ぶ!
13号先生が先導し、皆が走り出す――俺は委員長の立場として殿を務める。
「っ!おい緑谷!止まるな!!」
「!?ご、ごめん!」
走り出してすぐに止まって後ろを、オールマイトを振り返っていた緑谷の背中をはたく。
オールマイトが心配なんだろうが、そうやって立ち止まる方が邪魔だと分かってほしい。
今は時間との勝負なんだ――!
原作よりは有利な状況だし、多少でも素早く避難を始められたと信じたい。
出来ればこのまま外に出られればいいんだが……。
「――させませんよ」
湧いて出た黒モヤに行く手を遮られた――やっぱダメか!
死柄木の指示か独自判断か知らないが、抜け目なく俺達の動向を伺い、即座に反応してくるとは……この黒モヤ、マジで厄介だな!
「初めまして。我々は『敵連合』――」
語り始める黒モヤ――俺も準備だ、上手くいってくれ……!
「――僭越ながら、この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは、『平和の象徴』オールマイトに息絶えて頂きたいと――」
出来た――いくぞ【擬似・九尾チャクラモード】!
「ふんッッ!!」
バシンッッ!!
「ぐあッ!??」
全速で、巨大化させたオーラの両手で俺は黒モヤを握り締める――それこそ握り潰すつもりで!
大の大人1人を握れる大きさの両掌を作り出す為のオーラを練るのに時間が掛かっちまった!
「ぐぅっ!?し、しまっ――ぐあぁ……っ!?」
黒モヤが苦しそうな声を漏らす。
上手くいったか!?
朧げな記憶を振り絞って思い出した黒モヤの弱点――それは実体部分、ワープゲートである黒いモヤは体の一部だけで、奴にはちゃんと固まった実体がある!
だから余す事なく丸々握ってしまえば捕えられると考えた!
一応実体を掴んでいる感覚はある!
上手くいって――いやもう上手くいってなくても時間が稼げればこの際それでいい!!
「皆ぁ!!走れぇ!!」
『っ!?』
俺は黒モヤを握り締めながら叫ぶ――が、皆はすぐには走り出してくれない!
判断が遅い――と責められないか、こんな状況じゃ!
「皆何やってんだ!!早く行けってえ!!」
「ぐ、ぅ、に、逃す訳には、いきません……!」
黒モヤの顔が揺らめき出す。
ヤバい、指の隙間からモヤが漏れ出る……これだけ締め上げてるのにまだ動けるのかコイツ!?
「っぐっ!?」
と思ったら漏れていたモヤが引っ込んだ!
「ワープか、レアで厄介な【個性】だな。こっちこそお前を逃す訳にはいかない――13号!避難急げ!」
「ッ、了解!皆さん行きますよ!!走りなさい!!」
13号に強く言われて、やっと皆が走り出す。
「気賀、お前ももう行け。こいつは俺が抑える。そいつの実体は捉えた」
相澤先生――イレイザー・ヘッドが首の捕縛布を構える。
黒モヤの【個性】を封じつつ、俺がオーラの掌を解いたら即座に縛り上げるつもりか。
「了解!3カウントで離します!3、2、1――ハイッ!」
オーラの掌を解放――するとすかさずイレイザー・ヘッドの捕縛布が黒モヤを絡め縛り、地面に引き倒す!
「ぐぅ……!?」
「大人しくしとけ」
黒モヤを踏みつけるイレイザー・ヘッド――慣れを感じる澱みない動き、これがプロの技!
俄か知識と独学で鍛えた俺には、まだまだ真似出来そうにない。
「よし、行け気賀!」
「はい!けどその前に受け取ってください!」
俺はオーラの球を両手に作り出し、イレイザー・ヘッドとオールマイトに向かって撃ち出す。
「OH!?」
「これは……!?」
オーラ球は2人の体に入り込む――そして、2人の体から揺らめく白いオーラが噴き上がる。
「俺のオーラを分けました!戦闘の足しにしてください!では行きます!ご武運を!!」
返答は聞かず、俺はUSJの出口へと走った――。
状況は大分変わった。
かなり不利な状況に陥っていたはずの原作でも、オールマイトが脳無を倒して終わる――最初からオールマイトがいて、厄介な黒モヤも抑えられて、俺達1-Aは誰も散らされず、オマケにオールマイト達に俺のオーラを分けられた。
結構な量のオーラを渡したから、オールマイトの活動時間もそこそこ補充出来たんじゃないかと思う。
これだけ状況が上向けば、およそ問題なく死柄木達を制圧出来る筈――あわよくば、このまま死柄木を逮捕できたりして……!
その後の話――結論から言うと、死柄木と黒モヤは逃走、他の敵共は全員逮捕された。
USJを無事脱出する事に成功した13号先生と俺達1-A。
その時点ではまだ通信は妨害状態……そこでクラス最速の飯田が連絡員として校舎へと走る事に。
残った俺達は待機――爆豪や轟、それに切島に緑谷が中に戻って加勢を主張したが、13号先生がそれを強く却下して事なきを得た。
やがてUSJのドームが轟音と共に突き破れ、何かが空の彼方に吹き飛んでいく光景を全員が目撃――。
俺は咄嗟の『念』応用技【凝】で微かに見た。
飛んで行ったのは黒いゴリマッチョ、脳無だった。
オールマイトが勝ってくれたのだ――!
それから少しして、飯田が雄英教師プロヒーロー達を引き連れて帰還――プロヒーロー先生達は残敵掃討にUSJ内に突入、俺達は逆にUSJから退避させられた。
事の顛末は事件の収束後に、ほぼ無傷だった相澤先生からクラスに伝えられた……残念ながら、詳細は俺達は知る必要がないという事で省かれたが。
まあ、仕方ない……。
俺達はまだヒーローの卵、プロから見れば一般人と大差ないのだ。
で、USJ襲撃事件の翌日――学校は臨時休校となった。
◇1‐A全員が退避してからのUSJ内の出来事――
イレイザー・ベッドは黒霧を封じる為、【個性:抹消】の要である目を離せず膠着状態に。
(普段より“瞬き”を長く我慢できるな……これが気賀の【個性】の効果か)
オールマイトは生徒達の退避を確認してから戦闘開始――前に出ていた三下の敵達を文字通り瞬く間に全員気絶させた。
「さて……それじゃあ、いってみようか――カロライナ・スマーシュッ!!」
「脳無!」
直後に死柄木は、脳無にオールマイトへの攻撃を指示――オールマイトと脳無の戦いが始まる。
【個性:ショック吸収】でオールマイトの打撃を無効にする脳無。
「効かないのは【ショック吸収】だからさ……!脳無にダメージを与えたいならゆ~っくりと肉を抉り取るとかが効果的だね……それをさせてくれるかは別として!」
「わざわざサンキュー!!」
その様に気を良くした死柄木の暴露により脳無の【個性】を知ったオールマイトが打撃からバックドロップによる
「くッ!これじゃダメか!」
「ひひ、無駄だよ……!脳無はお前並みのパワーを持たせた上に、お前の100%にも耐えられるよう改造された、超高性能サンドバッグ人間なのさ……!」
「へえ、そうかい……ならば!!」
オールマイトはそこから真正面からの殴り合いを仕掛け、全力のラッシュで脳無を力技で捩じ伏せにかかる。
「君の【個性】が【ショック無効】ではなく“吸収”ならば!限度があるんじゃないかあ!!?私対策……私の100%を耐えるならあぁ!!更に上から捻じ伏せよう!!」
――敵よ、こんな言葉を知ってるか!!?
―― 更に向こうへ、“Plus Ultra”!!!
【ショック吸収】の限度を超え、オールマイトの打撃が通り、渾身のスマッシュで脳無は吹き飛ばされ、USJを突き抜け、空に消えた。
「フゥ、やはり衰えた……。全盛期なら、5発も打てば十分だったのに……100発近く打ってしまった!(しかも、気賀少年のおかげで、あと僅かだが時間が残っている……!奴らを捕えるには、十分……!!)」
原作ではその時点で活動限界を迎えていたオールマイトだったが、この次元では気賀から分かられたオーラの分、およそ20分ほど活動限界が延長されていた。
それ故に、残り時間でオールマイトは死柄木をその手で捕えようとした――。
「さてと……決着といこうか」
「ッッ、チートがぁ……っ!?ごぽ……!?」
「むっ!?」
しかし、既の所で死柄木の口から黒い液体が吐き出され、そのまま全身を包む様にして姿を消してしまう。
同時にイレイザーヘッドに拘束されていた黒霧にも同様の現象が発生し、逃げられた。
他の敵達を置いて……。
その後は飯田の報せで集結したプロヒーロー教師達により、USJ内各所に潜んでいた敵ヴィラン達が制圧され、通報によって駆けつけた警官隊に引き渡され、事件は一応収束した……。
そして翌日――