僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。


エピソード11 そういうことねお茶子さん?麗日は立派過ぎるんよ

 宿敵(予定)『(ヴィラン)連合』の襲撃の乗り切り、臨時休校1日を挟み、学校は一応平常通りに再開した――。

 

 

「ねえねえ!昨日のニュース視た?」

 

「どのチャンネルも結構デカく扱ってたよな!」

 

「無理ないよ。プロヒーローを輩出するヒーロー科が襲われたんだから」

 

 教室に集まった皆は、やっぱり先日の襲撃の事とニュースの事で盛り上がっていた。

 

 原作と違い、俺達1-Aの面々はほぼ全く戦っていないし、オールマイトを初め先生達にも負傷者はいないという話だ。

 クラスの皆に経験値が入らないのはマイナスなのかも知れないが、オールマイトや相澤先生に怪我がなかった訳だから、一応プラマイゼロって感じじゃないかと思う。

 

ガラ!

 

「おはよう」

 

 我らが担任相澤先生のお出まし――全員が席について静まる。

 

「さて、事件はあったがもう過ぎた事、気持ちを切り替えていけ。何せまだ、戦いは終わってねえ」

 

『戦い……!?』

 

 クラスのみんなに「まさかまた敵が……!?」と緊張が走る。

 

「『雄英体育祭』が迫ってる」

 

『クソ学校っぽいのキターーー!!!』

 

 一斉に盛り上がるクラス。

 でも『敵に侵入されたばっかなのに!?』という冷静な意見もあり、相澤先生が説明する。

 

「逆に開催する事で、雄英の危機管理体制が盤石だと示すって考えらしい。警備も例年の5倍に強化するそうだ。何よりウチの体育祭は最大のチャンス、敵ごときで中止していい催しじゃねえ」

 

 峰田が「そこは中止しよう……」なんて言ったが、雄英体育祭はそんじょそこらの学校の運動会の類とはワケが違う。

 

「ウチの体育祭は日本のビックイベントの1つ。かつては、オリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。今は知っての通り、規模も人口も縮小し形骸化した。そして日本において今、かつてのオリンピックに代わるのが、『雄英体育祭』だ」

 

 日本全国から注目が集まるビックイベントだけに、テレビの視聴率も半端なく、発生する諸々の収益も半端ない訳だ。

 開催しても批難は来るだろうが、中止したらその比じゃないぐらい大顰蹙を買う。

 メリット・デメリットを天秤にかけたら、開催の方に傾くっていうのはわかる。

 

 俺達にとっても、ここで好成績を出せば、将来かなり有利になる。

 プロヒーロー達もスカウト目的で見に来たりテレビで見るし、自己アピールのチャンスだから。

 

「当然、名のあるヒーローの事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれれば、その場で将来が開ける訳だ。年に1回、計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!その気があるなら準備は怠るな!」

 

『はい!』

 

「ホームルームは以上だ」

 

 

 

 で、午前の授業が終わって昼休み――

 

 

 

「あんな事はあったけど、テンション上がるなオイ!!」

 

 切島の熱血声が響く。

 事件の後な所為か、皆も体育祭のことでテンション上げ上げだ。

 俺もその事で障子・上鳴・耳郎・八百万と集まって話している。

 

「いいよなぁ、障子は。そのガタイだけで目立つもんなあ」

 

 上鳴はそんな事を言う。

 

「自分の有用性を知ってもらわねば意味がない」

 

 上鳴、障子、どっちの言う事も分かる。

 確かに上鳴の言う通り、障子は体もデカいし、マッチョだし、体の造りも独特だから目立つ。

 【個性:複製腕】で目や口や耳、腕などを生やす事での索敵など多目的な動作が売り――その有用性は多岐に渡る。

 だからこそ、雄英体育祭で先ず興味を持たれるところから始めて、追々その有用性を理解してもらえれば、卒業後の進路、活躍の場面はきっと多かろうよ。

 収まるべき所に収まる、ってヤツだ。

 

「その点で言えば、上鳴は有用性高い【個性】だし、あちこちからオファー来るだろ」

 

「えっ!?マジ!?俺イケてる感じ!?」

 

 俺が思った事を言うと、パッと顔を明るくする上鳴、素直な奴。

 

「気賀、あんま上鳴おだてない方がいいんじゃない?コイツチャラくてアホだからすぐ調子乗るよ?」

 

「折角上げてもらったトコ落とすなよぉ~!?」

 

 面白いなぁ、耳郎と上鳴の掛け合い。

 この2人と言えば、上鳴が【個性】使いすぎで『ウェイ』になった時の顔が、耳郎はツボだったんじゃなかったっけ?

 あ、そうか、USJで戦ってないからか。

 

「――皆ぁ!!私がんばるッ!!」

 

「おっ?」

 

 麗日の麗らかじゃない声――見れば、麗日が麗らかじゃない顔で拳を上げて燃えていた。

 なんかキャラが違う……。

 

 そう言えば、麗日には頑張りたい胸キュンな理由があったんだっけ。

 

 思い出した俺は、なるべく自然に緑谷・飯田・麗日に合流して食堂へ向かった。

 

「麗日さん」

 

「なに?」

 

 緑谷が麗日に声をかける。

 

「麗日さんはどうして雄英に、プロヒーローになろうとしてるの?」

 

「えっ!?え、えぇと~、それはぁ~……」

 

 言い難そうに麗日が言った答えは――

 

「お、お金?お金欲しいから、ヒーローに……?」

 

「究極的に言えば……」

 

 稼ぎたい――だった。

 

 メッチャ頭掻きながらそう言った麗日。

 だが、俺は知っている、知ってしまっている――麗日が稼ぎたい理由を。

 

「なんかゴメンね!不純で!飯田くんとか立派な動機なのに、私、恥ずかしい……!」

 

「何故っ?生活の為に目標を掲げる事の、何が立派じゃないんだ?」

 

 飯田は独特の動作を交えて言う。

 

「同感だ。麗日何も恥ずかしい事ないぞ。なあ、緑谷」

 

「うん」

 

 俺が話を振ると、緑谷も普通に頷く。

 

「でも、意外だね」

 

「……ウチの実家、建設会社やってるんだけど……全ッ然仕事なくて素寒貧なの。こういうの、あんま他人に言わん方がいいんだけど……」

 

『建設会社……』

 

 左手を顎に、右手を左肘に当てて考える――俺・飯田・緑谷の動作が一致、まあ俺は2人に合わせただけなんだけども。

 

「なるほどな、“個性自由使用許可”があれば……」

 

「そうか!麗日さんの【個性】なら、コストが掛かんないね!」

 

「どんな資材も浮かせることが出来る!重機要らずだ!」

 

「でっしょー!?わたしそれ昔、父に言ったんだよ!……でも」

 

 麗日父ちゃんは「お茶子が夢叶えてくれた方が、何倍も嬉しいわ。そしたら、お茶子にハワイ連れてってもらえるしな!」と、言ったそうな……麗日父ちゃんにも胸キュンだよ。

 

「っ……わたしは絶対、ヒーローになって、お金稼いで……父ちゃん、母ちゃんに楽させたげるんだ!」

 

『っ!』

 

 決意に満ちた凛とした表情……俺だけじゃない、飯田も緑谷も胸を打たれている。

 

「ブラーボ!!麗日くん!ブラーボ!!」

 

 飯田が高らかな拍手とエールを上げる。

 

 俺も全く同感だ。

 麗日ブラボーだ!

 

 麗日は間違いなく良いヒーローになる――彼女がヒーローになれなかったら嘘だ!

 

「ハーハッハッハッ!!」

 

 余韻をぶち壊す笑い声――

 

「緑谷少年がー!いたー!!」

 

 オールマイトがー、キター!

 俺達がいるからマッスルフォームだ。

 

「オールマイト!?どうしたんですか?」

 

「ご飯、一緒に食べよ?」

 

「乙女やー!」ブフゥー

 

 オールマイトの乙女的仕草に、麗日メッチャ吹いた。

 

「いいかな?」

 

 緑谷への問いなのか、俺達への許可なのか、イマイチ分からんが、まあ俺達は別に構わない。

 

「是非」

 

 皆で頷いて緑谷を送り出し、残った俺達は食堂へ。

 

「デクくん何だろうね?」

 

「【個性】の関係じゃないか?」

 

 食堂で列に並びながら、麗日と飯田が話す。

 

「USJの事件があった日、バスの中で“梅雨ちゃんくん”が言っていただろう。緑谷くんの【個性】はオールマイトに似ている、と」

 

 梅雨ちゃんくん……飯田、独特……。

 

「ああ~!」

 

 麗日が納得の声を上げる。

 

 まあ、似ているどころか、って話だしなぁ。

 おっと内緒内緒。

 

「2人の超絶パワーは似ているし、その関係でアドバイスを受けているんじゃないか?緑谷くんは【個性】を使う度に体を壊しているからな。見兼ねたオールマイトが指導している、という所だろう」

 

「なるほどー」

 

 2人は勝手に納得したようだ。

 オールマイトと緑谷、ここでの2人の会話内容は詳しく覚えてないが、雄英体育祭に関連した話がメインだった筈……それに付随して【OFA】の話もしているとすれば、飯田の推測も、当たらずとも遠からずって感じだろう。

 

 そっちはまあ当事者お2人に任せて――さーて、今日も唐揚げ定食大盛りー♪

 

 

 

◇仮眠室での緑谷とオールマイト――

 

「90分前後……!?」

 

「ああ、私の活動限界時間だ……無茶が続いてね。あの脳無とやらも手強い相手だった、結構痛かったし。マッスルフォームは、大体2時間か、頑張ればもう少し維持できる感じかな(これも気賀少年の【個性】のおかげかな)」

 

 【OFA】譲渡に伴うオールマイトの弱体化は確実に進行している。

 しかし、気賀の存在によって僅かではあるが、その進行を遅らせていた。

 

「そんなことに……ごめん「ゴブハッ(※喀血)ーハッハッハッ!」うわっ!?」

 

「謝らんでいいよ!まったく似たトコあるよな!君と私!」

 

 オールマイトは吹き出した血を拭い、茶柱が立ったお茶を緑谷に差し出す。

 

「それよりも体育祭の話だ。前の戦闘訓練を見る限り、僅かだけど【OFA】の調整、できていた様に見えたね。まあ、最後はアレだったけど……何か進展があったのかい?(思えば全然指導できてないんだよな、私……)」

 

「あっ、はい!実は――」

 

 緑谷は入学初日に、気賀から受けたアドバイスと、そこから着想を得た【OFA】の制御方法【OFA・フルカウル】についてを語った。

 

「OH!なるほど!それなら腕を犠牲にSMASH1発打って戦闘不能とならずに済むし、活動の幅も広がって良いじゃないか!ここに来て大きく進展したね!良かった!」

 

 緑谷の【OFA】の進展に喜ぶオールマイト。

 

(しかし、ここでも気賀少年が関わってくるか。本当に、彼は凄いな……USJの事件、彼がいなければ私はあの脳無とやらにもっと苦戦していただろうし、活動限界時間ももっと短くなっていた筈だ。それに加えて……私よりずっと、緑谷少年の成長を後押ししている……)ズゥーン……

 

 少年と呼び、守るべき存在と定める者に指導者として劣っている自身の不甲斐なさに密かに落ち込むオールマイト。

 しかし、落ち込んでいる場合ではない。

 

「ぶっちゃけ、私が“平和の象徴”として立っていられる時間って、実はそんなに長くない……」

 

 【OFA】を緑谷に譲渡した今、オールマイトの中に残るのは『残り火』……それも時間と共に小さくなっていく。

 オールマイト自身の体の後遺症も合わせて、“平和の象徴”の終わりの時は刻一刻と近づいている。

 

「そんな……」

 

「悪意を蓄えている奴の中に、それに気づき始めている物がいる」

 

 象徴を失った社会、悪の隆盛……オールマイトは危機感を募らせる。

 

「君に力を授けたのは、“私”を受け継いでほしいからだ」

 

 思い出すのは、雄英受験に向けて無茶なトレーニングメニューに取り組み、歯を食い縛りながら「あなたのようになりたいんだ!」と言った緑谷の姿……。

 

「雄英体育祭……プロヒーローが、いや!全国が注目しているビッグイベント!今こうして話しているのは他でもない――次世代のオールマイト、“平和の象徴”の卵……緑谷出久が、君が来たって事を世の中に知らしめてほしい!!」

 

 オールマイトは、緑谷に奮起を強く促した――。

 

 

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