僕のヒーローアカデミア A Little Extra 作:ジョン堂
騎馬戦残り時間半分切り──轟チームが緑谷チームに迫る。
現時点で轟は、俺や爆豪は眼中にない。
轟から見てオールマイトに似た【個性】、オールマイトに目を掛けられている緑谷こそ、父親エンデヴァーへの当てつけに打ってつけだから……返すがえすも闇深いよなぁ、轟の家庭環境……。
ボン!
今の爆発、てか爆発の時点で爆豪しかいないな。
物間チームに仕掛けるところか。
現状、爆豪は唯一、俺に仕掛けてくる気満々の男だ。
物間を潰したら、すぐにまたこっちに仕掛けてくるだろう。
地上にも注意を払わねば。
『残り時間1分!轟!フィールドを
実況で緑谷vs轟の方を見れば、氷の囲いの中で睨み合う両チーム──。
『緑谷!何とこの狭い空間を5分間逃げ切っているー!』
原作と同じ対戦展開だな、緑谷は常に距離を置いて轟の左側に位置取っている。
轟が左の炎を使うのを拒否している事を見抜いての作戦……は、いいんだが、緑谷チームは原作と違って1000万無いから、このままただ逃げ続けるだけだと敗退かもなんだが……大丈夫か?
「みんな、残り1分弱……この後、俺は使えなくなる」
お?
飯田が勝負を掛けるか。
「取れよ、轟くん!」
飯田の気が高まった──やっぱり【個性】の威力や出力などを上げる時は、気が高まるんだな。
「トルクオーバー!!レシプロバースト!!」
飯田、超加速──今までにないスピードで緑谷の左側を通過、轟が鉢巻をギリ奪い取った。
「うわあー!?何なに!?飯田くん今すんごいスピード!!」
葉隠が頭の上で興奮している。
それはいいんだが……前に身を乗り出すのやめよう?
当たってるのよ、頭に……なにがとは言わないが……。
『なあ!?何が起きた!?速っ!速ぁー!!飯田!そんな超加速があるんなら予選で見せろよー!!』
プレゼントマイクはそんなことを言うが、そうできない訳があるのだ。
「っ、飯田、何だ今の……!?」
「ハア、ハア……トルクと回線数を無理矢理上げ、爆発力を生んだのだ。反動でしばらくすると、エンストするがな。クラスメイトにはまだ教えていない、裏技さ……!」
という訳だ。
予選のマラソンでこれをやったら、僅かな超加速で瞬間的に順位を上げてもエンストで失速、すぐ他の誰某に追い抜かされてしまう。
「言っただろ、緑谷くん……君に挑戦すると!」
『ワアァーーー!!!』
飯田の不敵な笑みと共に、スタジアムの熱狂が加速する。
飯田も中々に熱い男だ。
『ライン際の攻防!その果てを制した轟チーム!一気に2位に浮上!!そして緑谷チーム!急転直下の0ポイント!!』
「突っ込んで!!」
緑谷が攻勢に出る。
もう他のチームのポイントを取りに行く余裕がない緑谷チームは、轟から点を取り戻すしかない。
一か八かの勝負──原作でもそうだったが、やっぱり緑谷周辺は見応えがある。
『残り1分を切って現在、轟、鉢巻4本所持!!ガン逃げヤロウ緑谷からポイントをもぎ取り2位!!上位4チームこのまま出揃っちまうか!?』
スクリーンを見ると、俺と葉隠が1000万キープで1位、2位が轟チーム、3位は物間チーム、4位は……あ、しれっと心操チームがもう入っている!
いつの間に……他のチームのドンパチに紛れてポイント取ってたか。
『爆豪チーム!2本奪取で3位にー!!』
おっ、よそ見している間に爆豪が物間から鉢巻ぶんどったか。
『この終盤で順位が変わりゆくー!若気の至りかー!?』
なんのこっちゃ?
しかし爆豪はやっぱり諦めないな。
そして
他の連中は、攻撃が届かないと見て1000万狙いは早々に諦めた様だ。
轟と緑谷は……未だ膠着状態って感じか。
『爆豪容赦なしー!!』
『ワアァァァ──!!』
スクリーンの物間チームが0ポイントに……爆豪にやられたか。
『やるなら徹底ー!彼はアレだな!完璧主義だな!さあさあ!時間ももう僅かー!!』
「次!!気賀だ!今度こそぶっ殺す!!」
そろそろ来るか、爆豪。
いつでも迎撃できるように準備はずっと整っている。
『そろそろ時間だー!カウントダウンスタートー!!』
あと10秒……!
ドォン!!
「湯気野郎ォーー!!」
遂に来た!
だが、あと7秒!
このまま距離を取る!
「1000万寄こせやーー!!!」
とんでもない台詞だ、爆豪。
あと5秒!
4、3、2、1……!
『タイムアーップ!!第2種目!騎馬戦終了ーー!!』
フ、ヒュ~……
届かず、失速して落下していく爆豪。
よし、守り切った。
騎馬を崩して各々地面に立つ。
『んじゃ~早速上位4チーム見てみよかー!』
結果発表──
『1位!葉隠チーム!!』
「お疲れ、葉隠」
「全然疲れてないよ~……う〜ん、私、これ、いいのかなぁ?」
いいんだって。
真面目だな、葉隠。
『2位!爆豪チーム!!』
「はぁ~、もう少しだったのに……!」
「まあ、2位で勝ち抜けだし、結果オーライ」
「……そんなこと思うかよ、あいつが……」
「クソがぁーーー!!」
芦戸はやや悔しがり、瀬呂は結果をポジティブに受け入れ、切島は死ぬほど悔しがる爆豪を見ながら呆れ気味。
『3位!轟チーム!!』
「……くそ……!」
「残りはしましたが、薄氷を踏む思いでしたわ……。それに結局、気賀さんの牙城は崩せませんでした……」
「むぅ、流石に空を飛ばれては如何ともしがたいな……!」
「いや、つっても俺ら3位だし!あれはもうしょうがなくね?!」
タイムアップ手前で緑谷にポイントを奪い返される場面があり、轟・八百万・飯田は静かに悔しがり、上鳴は何とかフォローしようとする。
『4位!鉄て──あれ?!心操チーム!?いつの間に逆転してたんだよ!?』
ここでシレっと滑り込んでいた心操チーム……。
「お疲れ」
「「……!?」」
前にA組に宣戦布告に来た普通科の心操を中心に、うちのクラスの尾白、B組の名前知らない寸詰まり体形の男子……。
不敵に笑う心操以外、全員が自分の置かれた状況に戸惑っているという有り様……。
心操の【個性】で操られ、今まで意識がなかったからだな。
戦闘向きでも運動能力に寄与する訳でもない、その【個性】を駆使して、心操はここまで勝ち上がった訳だから、大したもんと言えば大したもんだ。
『上位4チームはこうなったが、最終種目出場枠は16名!あと3人は5位のチームから選出だ!5位は緑谷チーム!!』
「の、残った……!けど……」
「選出……」
「むう……」
「ベイビー……」
常闇の【
緑谷、麗日、常闇の3人は複雑な表情……ただ1人、発目は壊れたメカの修理に没頭という自由さ……。
これは、どうなるんだ……?
『それじゃあ1時間ほど、昼休憩挟んでから午後の部だぜ!緑谷チームはその間に出場者を選んでおけよ!じゃあな!』
さて、昼休憩か……昼飯は、抜くか。
最終戦はガチのタイマンバトル、動きやすいように胃は空にしておこう。
流石に、悟空みたく試合直前に大食いは俺には無理。
「そういえば……」
原作だと、轟が緑谷と話すシーンがあったっけ。
その轟と緑谷は……見える範囲にはもういないな。
まあ、あの2人の話の内容より、いま俺は緑谷達がどうするのかが気になる……。
緑谷チームの面々は、それぞれ決勝に出たいはずだ。
しかし、発目を除く全員が遠慮して、残り1枠を譲り合う様が目に浮かぶ……。
気になる、気にはなる……が、そこに俺が入り込むのは筋違いだ。
緑谷達の決断を黙って待つ。
俺は体力とオーラの回復の為に早々にスタジアムの関係者専用出入口からスタジアムを後にした。
ちなみに轟と緑谷が話をしたのがどうかについても、確認していない。
気にはなるが、盗み聞きも介入も、やはり筋違いだろう。
俺も、他人の事ばかり気にしてないで、自分の事にも集中せねば……精神統一でもするか。