僕のヒーローアカデミア A Little Extra 作:ジョン堂
『さあー!昼休憩も終わって、いよいよ最終種目発表ー!と、その前に~、予選落ちのみんなに朗報だ~!』
時間が来てプレゼントマイクの実況と共に、スタジアムに1年全員が戻ってくる。
『あくまで体育祭、ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してるのさ~!』
この種目は、確か最終種目に出る選手は出場自由だったな……俺も出るか。
楽しめて気分転換になりそうだし、最終種目の前の準備運動に使わせてもらう。
『本場アメリカからチアリーダーも呼んで、一層盛り上げ──ありゃ?』
プレゼントマイクの実況が止まる。
入場中の同級生たちの動きも止まる。
その視線の先には──チアリーダー姿の我がA組の女子たち。
『どーしたA組!?どんなサービスだそりゃ!?』
パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!
観客席のカメラ小僧共のフラッシュが止まらねえ……。
「──峰田さん!上鳴さん!騙しましたねー!?」
八百万の怒りの声が響く。
その視線の先に、サムズアップを交わす峰田と上鳴……。
「いや、騙されんなし……」
思わず呟いてしまう。
「なぜこうも峰田さんの策略に嵌ってしまうの、私……衣装まで【創造】で作って……」
へたれこむ八百万……う〜ん、ピュアセレブ……。
てか、他の女子たちも誰か1人ぐらいおかしいと思わなかったんかい……?
まあ、最終的にレクリエーションの一環として、乗り気の葉隠に引っ張られる形でA組女子チアリーダーは継続するらしい。
いや、まあ、似合ってるし、目の保養的にはアリだけども。
『さあさあ!みんな楽しく競い合えよレクリエーション!!』
スクリーンにトーナメント表が映し出される。
『それが終われば、最終種目進出4チームもとい5チームから選出の総勢16名からなる、トーナメント形式ー!!1対1のガチバトルだぁーー!!』
という訳で、最終種目が発表された訳だが……そこでひと騒ぎ。
緑谷チームから選出者が発表されようとした時──心操チームとして騎馬を組んでいたうちのクラスの尾白、そしてB組の庄田二連撃(親のネーミングセンス……!)が揃って最終種目出場辞退を申し出た。
理由は『騎馬戦での記憶が殆どなく、何もしていないのも同然なのに最終種目に上がるのはプライドが許さないから』というもの。
更にそれを見て、俺と組んだ葉隠まで辞退を申し出てしまう――。
「おい、葉隠」
「だって私、気賀くんに肩車されてただけだよ?しかも尾白くんたちみたいに記憶がないとかそんな事も無しでだよ?これで次に進むのは自分で納得いかないよー」
「だから、それは──」
「いーのいーの!私1年間特訓して、来年の体育祭でリベンジするから!」
そう明るく言って、手袋ピースを向けてくる葉隠。
「くぅ、何だよ葉隠!漢らしいなあ!!」
「私女の子だよ!?切島くん!」
切島とのショートコント、その様子からも葉隠から悲壮感の類は感じられない。
これ以上、俺がとやかく言うのは野暮か。
ミッドナイトは3人の申し出を「そういう青臭いのは好み!」と言って受け入れた──ミッドナイトは青春フェチなのだ。
で、緑谷チームから選出の話がなくなり、緑谷たちは全員最終種目進出決定。
更に繰り上がりでB組鉄哲と、茨の様な髪をした女子『塩崎茨』が最終トーナメント出場決定──拳藤チームが繰り上がるところを辞退して、向こうで相談の上、決まったらしい。
鉄哲が号泣していたのが印象的。
そして最終トーナメント進出16名が確定し、くじ引き抽選開始──
『抽選の結果、組みは──こうなりました!』
第一試合──緑谷vs心操
「心操って……確か……」
「あんただよな、緑谷出久って……」
「っ……むぐ!?」
「緑谷」
「っ、尾白くん……?」
第二試合──轟vs瀬呂
「……いきなり当たるとはな」
「か~、轟かよぉ。勝てる気しねえな……」
第三試合──塩崎vs上鳴
「おお~、清楚系美少女イケてねえ?」
「……これも神に与えられた試練……!」
第四試合──飯田vs発目
「飯田ってあなたですか?」
「如何にも。俺は飯田だ」
「ああ~!良かった~!実はですねぇ……!」
第五試合──芦戸vs気賀(俺)
「うわぁ~!?初戦で気賀ー!?」
「悪いが手は抜かねえぞ」
第六試合──常闇vs八百万
「全力でいく……」
「の、望むところですわ!」
第七試合──鉄哲vs切島
「「またか!?被りすぎだろ!?」」
第八試合──麗日vs爆豪
「ああ?麗日ぁ?」
「ッ(ヒィ~!?)!?」
『よ~し!それじゃあトーナメントは一先ず置いておいて~!イッツ束の間~!楽しく遊ぶぞレクリエーション!!』
レクリエーション種目は先ず借り物競争──グラウンドに置かれたカードを1枚取り、そこに書かれたお題を借りてゴールへ走る。
俺が取ったカードは『サングラス』──観客席のプロヒーローに借りて2位でゴール。
お次は大玉転がし──自由に数人のチームを組み、大玉を転がして競争する。
俺は砂藤・上鳴と組んで挑んだが、大玉がコースアウトしたり、他のチームとぶつかったりで3位。
それらレクリエーションが終わり、リング整備を兼ねた小休憩を挟んで──
『HEY GUYS!!アーユーレディー!?』
『イエ~~~~!!!』
会場が一気に盛り上がる。
俺は他のクラスメイトと一緒に、スタジアムのクラス専用席で観戦する。
『オーディエンスども!!待ちに待った最終種目が、遂に始まるぜー!!』
例年、雄英体育祭で1番盛り上がるのはこの最終種目──内容こそ毎年変わるが、大体が1対1のトーナメント形式だから、勝ち上がった選手は張り切るし、【個性】も駆使するから派手だ。
『第一回戦──成績の割にはなんだその顔?!ヒーロー科・緑谷出久!』
赤コーナー、は違うか──入場口の片方から、微妙に引き攣った笑顔の緑谷が登場。
『バ~サス!!ごめん、まだ目立つ活躍なし、普通科・心操人使!』
反対から、相澤先生と似た雰囲気の心操が登場。
2人がセメントス先生制作の特設リングに上がる。
セメントス先生の【個性:セメント】は、コンクリートを自在に操る事が出来るのだ。
『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする!あとは「参った」とか言わせても勝ちのガチンコだぁ!!怪我上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから、道徳・倫理は一旦捨て置け!だがまあ、勿論命に関わるようなのはクソだぜ!アウト!!ヒーローは、敵を捕まえる為に拳を振るうのだ!!』
「クソの場合は止めるからね」
セメントス先生が副審としてリング脇に椅子を作って座る。
「参った、か……」
リング上の心操が、ポツリと話し始める──歓声と距離で、他のみんなには聞こえてないだろうが、俺は聴力強化でくっきり聞こえる。
試合開始はまだだが、心操が早速仕掛け始めた。
「これは心の強さを問われる戦い……。強く思う将来があるなら、なりふり構ってちゃダメなんだ」
『レディ……!』
「あの猿はプライドがどうとか言ってたけど──」
『スタート!!』
「──チャンスをドブに捨てるなんて馬鹿だと思わないか?」
プレゼントマイクの試合開始の合図が掛かったタイミング──
「っ!なんて事を言うんだ──ッ!?」
緑谷は引っ掛かってしまった──心操の、文字通り“口撃”に。
「ああ~!?折角忠告したってのに!!」
緑谷の様子に、尾白が立ち上がって頭を抱える。
『おいおい!ど~したぁ!?大事な初戦だ!盛り上げてくれよ~!?』
走り出したかと思った緑谷は、3歩進んだところで完全に停止した……。