僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。
 評価いただき感謝の極み。


エピソード18 爆豪vs麗日?麗日は麗らかなだけじゃないさ

 どんまいのその後も、試合は続く──

 

第三試合──塩崎VS上鳴

 

『瞬殺!敢えてもう一度言おう!瞬殺!!』

 

 上鳴、開始直後の最大放電ぶっぱ──

 塩崎、髪の蔓で放電を防御&伸ばした蔓で上鳴拘束──完封勝利。

 

第四試合──飯田VS発目

 

『あ~……発目さん場外、飯田くん二回戦進出!』

 

 試合時間10分……全て発目開発のサポートアイテムのアピールショーに使われた。

 飯田、騙くらかされてサポートアイテムを身に付けて振り回されるばかり……。

 発目、サポートアイテムを存分にアピール……気が済んだところで自ら場外へ……。

 

「すいません、あなたを利用させてもらいました」

 

「キライだ君ー!!」

 

第五試合──芦戸VS俺

 

『芦戸さん場外!二回戦進出、気賀くん!!』

 

 さっさと決めさせてもらった。

 試合開始直後、オーラ強化の速攻ダッシュで芦戸に接近──芦戸の酸を躱し、失礼して姫抱っこで抱えて、リング外に放り出した。

 芦戸に怪我はなく、精々放り出したと時に尻を打ったぐらい。

 

「あいたた……!うあ~、やっぱ勝てなかった~」

 

「勝負だからな。悪く思うな」

 

『秒殺ー!まあ気賀相手じゃしょうがねえ!どんまい、芦戸!』

 

「いやぁぁ!!どんまい止めてー!!」

 

第六試合──常闇VS八百万

 

『圧勝ー!まさに圧勝!常闇の【黒影(ダークシャドウ)】、コレって最強の【個性】なんじゃねえの!?』

 

 八百万は残念だった。

 常闇の【闇影(ダークシャドウ)】は速攻で攻め立て、八百万は思考も【創造】も追いつかず。

 打撃の連続に防戦一方、最後は自分が場外に出されたことも分からなかった……。

 大分気落ちしていたのが少し心配だが……これは八百万自身が乗り越えないといけない事だ。

 八百万の持ち味は正面切ったの戦闘じゃないから、俺は仕方ないと思うんだがなぁ……。

 

第七試合──切島VS鉄哲

 

 【個性】だだ被り対決──【個性】どころか性格と戦法までだだ被り、壮絶なガチガチの殴り合い。

 実力伯仲で見応えのある試合だったが……両者ノックアウトで引き分け。

 

『引き分けの場合は回復後、簡単な勝負──腕相撲等で勝敗を決めてもらいます!』

 

 スタジアムは盛り上がり、プロヒーロー達も好感触だった。

 汗くさいと笑う者もいる反面、真正面からのぶつかり合いには好感を抱きやすいのも事実だ。

 

 そして……この一回戦で最も胃にくる、第八試合がやってくる……。

 

 

『中学からちょっとした有名人!堅気の顔じゃねえ!ヒーロー科・爆豪勝己!』

 

 A組のキングオブ問題児、爆豪……。

 

『バ~サス!俺こっち応援したい……!ヒーロー科・麗日お茶子!!』

 

 A組のベストオブ麗らか、麗日……。

 

 勝負の世界に男女の差はない。

 爆豪も麗日も、ヒーローを目指しているのは同じ……。

 お互いに全力を出して勝ちに行くのが当然……。

 

 だから、これからの試合も目を反らしてはいけない。

 

「……お前、浮かす奴だな。丸顔」

 

「丸……!?」

 

「退くなら今退けよ、痛えじゃすまねえぞ……」

 

「ッ……!」

 

 爆豪の言葉にも、麗日は退く気配なし……。

 

『第八試合、スタート!!』

 

 プレゼントマイクの合図──麗日は速攻で飛び出す。

 

「退くなんて選択肢ないから!」

 

「じゃあ死ね」

 

 爆豪は迎撃態勢──油断なく、麗日の動向を見ている。

 

 麗日の勝ち筋は爆豪を【個性】で浮かして場外に出す……これしかない。

 浮かしさえすれば、爆豪が幾ら爆破の威力を最小限に抑えても、彼方へすっ飛ぶだろう。

 タイミングを見計らって無重力を解除すれば、場外負けを狙える。

 

 が……それも全ては爆豪に触れられたらの話……。

 

ボンッ!

 

 直撃でこそないが、爆豪の爆破は麗日を捉え、吹き飛ばす。

 

 残念ながら、麗日は身体能力はそう高い方じゃない。

 【個性】に加えて独自に訓練もしてきただろう爆豪が相手では……分が悪すぎる。

 

 ましてや、爆豪は容赦も油断もない。

 

ボォォンッ!!

 

ボォォンッ!!

 

ボォォォォンッッ!!!

 

 果敢に向かっていく麗日に対し、爆豪の手加減のない……いやあれでもしているのかも知れないが……とにかく爆破が炸裂──その度、麗日は吹き飛ぶが、麗日は諦めない。

 

 麗日が突進──爆豪、爆破で迎撃──その繰り返しだ。

 

「おい、止めなくていいのか……!?」

 

「だいぶクソだぞ!?」

 

 やがて観客のプロヒーロー達から、そんな声が上がり始める。

 傍から見れば、あまりに一方的な展開……クラスの皆も、表情が大分硬い……。

 

「おい!それでもヒーロー志望かよ!?そんだけ実力差あるなら、早く場外にでも放り出せよ!!」

 

 遂に我慢できなくなったどこかのヒーローから、直でブーイングが入る。

 

「女の子甚振って遊んでんじゃねー!!」

 

「そうだそうだー!!」

 

 同調した他のヒーロー達もブーイングを始め、スタジアムにブーイングの合唱が響き渡る。

 

『一部からブーイングが……!しかし、正直俺もそう思──ぐわあ肘っ!?』

 

 プレゼントマイクの実況が遮られた。

 

『何SOON……!?』

 

『今遊んでるっつったのプロか……?何年目だ!?』

 

 相澤先生だ。

 

『素面で言ってんなら、もう見る意味ねえから帰れ。帰って、転職サイトでも見てろ……!』

 

 いつもの相澤先生とは違う、ガチの怒気が混じった声色だ。

 

『爆豪は、此処まで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう……!本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが……!!』

 

 相澤先生の言葉で、ブーイングが嘘のように静まった……。

 

 そして、リングでは煙が晴れ……息を切らし、ボロボロになりながらも立っている麗日の姿が……!

 

「そろそろ……かな……」

 

「ッ……!」

 

「ありがとう、爆豪くん……!油断してくれなくて……!」

 

「あ……?」

 

 麗日の捨て身の奇策──低姿勢の突進で爆豪の攻撃を下に集中させ、その余波で砕けた瓦礫を【個性】で上空に浮かせ、蓄えた。

 更に無謀や自棄に見える様な突進の連続も、爆破を誘発し、爆煙を起こさせ、爆豪の目を晦ませ、策を悟らせない為の布石……!

 

「勝ぁぁぁつッ!!」

 

 麗日が両手の指を合わせる──無重力解除の動作。

 

 瓦礫が重力を取り戻し、リング目掛けて降り注ぐ!

 

 だが、それすらも爆豪の隙を作る為の策──勝ち筋はやはり、爆豪を浮かして飛ばす──故に麗日は流星群の中を爆豪目指して再び突進、更に自分自身を無重力にして加速。

 

ボオオォォォンッッッ!!!!

 

 大爆発──爆風はスタジアム中に吹き荒れ、瓦礫の流星群もまとめて吹き飛んだ。

 

「デクの野郎とつるんでっかんな、てめえ……何か企みあるとは思ってたが……!」

 

「一撃て……!?」

 

 爆豪の最大火力……麗日の策は、通じなかった。

 

『爆豪!会心の爆撃!!麗日の秘策を、堂々!!正面突破──!!』

 

「ハァー……危ねぇな……!」

 

 果たしてこの会場のどのくらいが……いや、そもそも気付いた奴がいるのか……。

 

 爆豪が、爆破を繰り出した手を震わせていたのをーー。

 

 麗日は、その策でもって、爆豪の最大火力を引きずり出し、爆破の連続による掌と汗腺の痛みによる限界まで持っていった。

 爆豪に、そうしなければならないと、そこまで判断させたのだ。

 

 例え、身体能力や攻撃力で劣っていても、自分の【個性】を最大限に活かして戦った!!

 麗日は、強い……!!

 

「……うう゛……!」

 

 策は破れても、麗日は諦めない。

 立ち上がり、爆豪に向かおうとする。

 

「へッ……いいぜ、こっからが本番だ!麗日ぁー!!」

 

 爆豪も決着を付けようと目をギラつかせる。

 丸顔でなく、麗日と呼んだな……認めたか。

 

 だが……。

 

「……!」

 

『麗日ダウーン!!』

 

 麗日は走りだそうとしたが、すぐに倒れてしまう……。

 もう、限界の様だ。

 

 ミッドナイトが確認に近寄る。

 

『……麗日さん、行動不能。二回戦進出、爆豪くん!』

 

 爆豪の勝利が確定した。

 

 麗日はロボに担架で運ばれていき、爆豪の退場後、セメントス先生がセメントでリングを補修開始──。

 

『一回戦第八試合……ああ、麗日……。あぁ、爆豪一回戦突破……』

 

『ちゃんとやれよ、やるなら……』

 

 プレゼントマイクが分かり易すぎるぐらいガッカリしている……。

 まあ、気持ちは分かるし、会場のプロヒーロー達の中にも結構な数、麗日を惜しむ声が聞こえてくる……。

 

『……さぁ、気を取り直してー!』

 

『私情すげえな……』

 

『一回戦が一通り終わったー!!小休憩挟んだら、早速次いくぞー!』

 

『ワアァァァーーー!!!』

 

 喉元過ぎればなんとやら──会場もあっという間に歓声を戻した。

 

 次は、緑谷と轟の対戦……いや、その前に切島と鉄哲のサドンデスか。

 緑谷は既に控室へ向かった。

 轟はそもそも、ここA組専用席に来ていない。

 

「おーう、爆豪ー!」

 

 瀬呂の声に振り向くと、爆豪がいつものガンくれ面で戻って来た。

 

「何か大変だったなぁ、悪人面!」

 

「組み合わせの妙とはいえ、とんでもない悪役(ヒール)っぷりだったわ、爆豪ちゃん」

 

 瀬呂に続いて声を掛けたのは梅雨ちゃん。

 

「うるっせえんだよ!黙れ!!」

 

 爆豪の悪態は健在、まあずっとだろうが……。

 

「まぁ~しかし、か弱い女の子によくあんな──ぐげッ!?

 

 反射で上鳴にチョップを叩き込んだのは何を隠そう俺だ──その言葉は許さん。

 

「痛ったっ!?何すんっ!?」

 

「口に気を付けろ、上鳴……誰が弱いって?」

 

「え……?」

 

 振り向いた上鳴の表情が凍る。

 多分、今の俺は結構おっかない顔をしていると思う……。

 

「麗日は、強かったろうが!」

 

「え……あ……いや……ごめん……」

 

「……分かればいいが、今一度言う。口に気を付けろ」

 

「……うん、マジ、ごめん……」

 

 上鳴がしゅんとし項垂れる。

 恐らくは反省しているだろう、俺もこれ以上は言わない。

 

「ケッ……!」

 

 爆豪は何も言わず、端の席にどっかり座った。

 

 

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