僕のヒーローアカデミア A Little Extra 作:ジョン堂
評価いただき感謝の極み。
どんまいのその後も、試合は続く──
第三試合──塩崎VS上鳴
『瞬殺!敢えてもう一度言おう!瞬殺!!』
上鳴、開始直後の最大放電ぶっぱ──
塩崎、髪の蔓で放電を防御&伸ばした蔓で上鳴拘束──完封勝利。
第四試合──飯田VS発目
『あ~……発目さん場外、飯田くん二回戦進出!』
試合時間10分……全て発目開発のサポートアイテムのアピールショーに使われた。
飯田、騙くらかされてサポートアイテムを身に付けて振り回されるばかり……。
発目、サポートアイテムを存分にアピール……気が済んだところで自ら場外へ……。
「すいません、あなたを利用させてもらいました」
「キライだ君ー!!」
第五試合──芦戸VS俺
『芦戸さん場外!二回戦進出、気賀くん!!』
さっさと決めさせてもらった。
試合開始直後、オーラ強化の速攻ダッシュで芦戸に接近──芦戸の酸を躱し、失礼して姫抱っこで抱えて、リング外に放り出した。
芦戸に怪我はなく、精々放り出したと時に尻を打ったぐらい。
「あいたた……!うあ~、やっぱ勝てなかった~」
「勝負だからな。悪く思うな」
『秒殺ー!まあ気賀相手じゃしょうがねえ!どんまい、芦戸!』
「いやぁぁ!!どんまい止めてー!!」
第六試合──常闇VS八百万
『圧勝ー!まさに圧勝!常闇の【
八百万は残念だった。
常闇の【
打撃の連続に防戦一方、最後は自分が場外に出されたことも分からなかった……。
大分気落ちしていたのが少し心配だが……これは八百万自身が乗り越えないといけない事だ。
八百万の持ち味は正面切ったの戦闘じゃないから、俺は仕方ないと思うんだがなぁ……。
第七試合──切島VS鉄哲
【個性】だだ被り対決──【個性】どころか性格と戦法までだだ被り、壮絶なガチガチの殴り合い。
実力伯仲で見応えのある試合だったが……両者ノックアウトで引き分け。
『引き分けの場合は回復後、簡単な勝負──腕相撲等で勝敗を決めてもらいます!』
スタジアムは盛り上がり、プロヒーロー達も好感触だった。
汗くさいと笑う者もいる反面、真正面からのぶつかり合いには好感を抱きやすいのも事実だ。
そして……この一回戦で最も胃にくる、第八試合がやってくる……。
『中学からちょっとした有名人!堅気の顔じゃねえ!ヒーロー科・爆豪勝己!』
A組のキングオブ問題児、爆豪……。
『バ~サス!俺こっち応援したい……!ヒーロー科・麗日お茶子!!』
A組のベストオブ麗らか、麗日……。
勝負の世界に男女の差はない。
爆豪も麗日も、ヒーローを目指しているのは同じ……。
お互いに全力を出して勝ちに行くのが当然……。
だから、これからの試合も目を反らしてはいけない。
「……お前、浮かす奴だな。丸顔」
「丸……!?」
「退くなら今退けよ、痛えじゃすまねえぞ……」
「ッ……!」
爆豪の言葉にも、麗日は退く気配なし……。
『第八試合、スタート!!』
プレゼントマイクの合図──麗日は速攻で飛び出す。
「退くなんて選択肢ないから!」
「じゃあ死ね」
爆豪は迎撃態勢──油断なく、麗日の動向を見ている。
麗日の勝ち筋は爆豪を【個性】で浮かして場外に出す……これしかない。
浮かしさえすれば、爆豪が幾ら爆破の威力を最小限に抑えても、彼方へすっ飛ぶだろう。
タイミングを見計らって無重力を解除すれば、場外負けを狙える。
が……それも全ては爆豪に触れられたらの話……。
ボンッ!
直撃でこそないが、爆豪の爆破は麗日を捉え、吹き飛ばす。
残念ながら、麗日は身体能力はそう高い方じゃない。
【個性】に加えて独自に訓練もしてきただろう爆豪が相手では……分が悪すぎる。
ましてや、爆豪は容赦も油断もない。
ボォォンッ!!
ボォォンッ!!
ボォォォォンッッ!!!
果敢に向かっていく麗日に対し、爆豪の手加減のない……いやあれでもしているのかも知れないが……とにかく爆破が炸裂──その度、麗日は吹き飛ぶが、麗日は諦めない。
麗日が突進──爆豪、爆破で迎撃──その繰り返しだ。
「おい、止めなくていいのか……!?」
「だいぶクソだぞ!?」
やがて観客のプロヒーロー達から、そんな声が上がり始める。
傍から見れば、あまりに一方的な展開……クラスの皆も、表情が大分硬い……。
「おい!それでもヒーロー志望かよ!?そんだけ実力差あるなら、早く場外にでも放り出せよ!!」
遂に我慢できなくなったどこかのヒーローから、直でブーイングが入る。
「女の子甚振って遊んでんじゃねー!!」
「そうだそうだー!!」
同調した他のヒーロー達もブーイングを始め、スタジアムにブーイングの合唱が響き渡る。
『一部からブーイングが……!しかし、正直俺もそう思──ぐわあ肘っ!?』
プレゼントマイクの実況が遮られた。
『何SOON……!?』
『今遊んでるっつったのプロか……?何年目だ!?』
相澤先生だ。
『素面で言ってんなら、もう見る意味ねえから帰れ。帰って、転職サイトでも見てろ……!』
いつもの相澤先生とは違う、ガチの怒気が混じった声色だ。
『爆豪は、此処まで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう……!本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが……!!』
相澤先生の言葉で、ブーイングが嘘のように静まった……。
そして、リングでは煙が晴れ……息を切らし、ボロボロになりながらも立っている麗日の姿が……!
「そろそろ……かな……」
「ッ……!」
「ありがとう、爆豪くん……!油断してくれなくて……!」
「あ……?」
麗日の捨て身の奇策──低姿勢の突進で爆豪の攻撃を下に集中させ、その余波で砕けた瓦礫を【個性】で上空に浮かせ、蓄えた。
更に無謀や自棄に見える様な突進の連続も、爆破を誘発し、爆煙を起こさせ、爆豪の目を晦ませ、策を悟らせない為の布石……!
「勝ぁぁぁつッ!!」
麗日が両手の指を合わせる──無重力解除の動作。
瓦礫が重力を取り戻し、リング目掛けて降り注ぐ!
だが、それすらも爆豪の隙を作る為の策──勝ち筋はやはり、爆豪を浮かして飛ばす──故に麗日は流星群の中を爆豪目指して再び突進、更に自分自身を無重力にして加速。
ボオオォォォンッッッ!!!!
大爆発──爆風はスタジアム中に吹き荒れ、瓦礫の流星群もまとめて吹き飛んだ。
「デクの野郎とつるんでっかんな、てめえ……何か企みあるとは思ってたが……!」
「一撃て……!?」
爆豪の最大火力……麗日の策は、通じなかった。
『爆豪!会心の爆撃!!麗日の秘策を、堂々!!正面突破──!!』
「ハァー……危ねぇな……!」
果たしてこの会場のどのくらいが……いや、そもそも気付いた奴がいるのか……。
爆豪が、爆破を繰り出した手を震わせていたのをーー。
麗日は、その策でもって、爆豪の最大火力を引きずり出し、爆破の連続による掌と汗腺の痛みによる限界まで持っていった。
爆豪に、そうしなければならないと、そこまで判断させたのだ。
例え、身体能力や攻撃力で劣っていても、自分の【個性】を最大限に活かして戦った!!
麗日は、強い……!!
「……うう゛……!」
策は破れても、麗日は諦めない。
立ち上がり、爆豪に向かおうとする。
「へッ……いいぜ、こっからが本番だ!麗日ぁー!!」
爆豪も決着を付けようと目をギラつかせる。
丸顔でなく、麗日と呼んだな……認めたか。
だが……。
「……!」
『麗日ダウーン!!』
麗日は走りだそうとしたが、すぐに倒れてしまう……。
もう、限界の様だ。
ミッドナイトが確認に近寄る。
『……麗日さん、行動不能。二回戦進出、爆豪くん!』
爆豪の勝利が確定した。
麗日はロボに担架で運ばれていき、爆豪の退場後、セメントス先生がセメントでリングを補修開始──。
『一回戦第八試合……ああ、麗日……。あぁ、爆豪一回戦突破……』
『ちゃんとやれよ、やるなら……』
プレゼントマイクが分かり易すぎるぐらいガッカリしている……。
まあ、気持ちは分かるし、会場のプロヒーロー達の中にも結構な数、麗日を惜しむ声が聞こえてくる……。
『……さぁ、気を取り直してー!』
『私情すげえな……』
『一回戦が一通り終わったー!!小休憩挟んだら、早速次いくぞー!』
『ワアァァァーーー!!!』
喉元過ぎればなんとやら──会場もあっという間に歓声を戻した。
次は、緑谷と轟の対戦……いや、その前に切島と鉄哲のサドンデスか。
緑谷は既に控室へ向かった。
轟はそもそも、ここA組専用席に来ていない。
「おーう、爆豪ー!」
瀬呂の声に振り向くと、爆豪がいつものガンくれ面で戻って来た。
「何か大変だったなぁ、悪人面!」
「組み合わせの妙とはいえ、とんでもない悪役(ヒール)っぷりだったわ、爆豪ちゃん」
瀬呂に続いて声を掛けたのは梅雨ちゃん。
「うるっせえんだよ!黙れ!!」
爆豪の悪態は健在、まあずっとだろうが……。
「まぁ~しかし、か弱い女の子によくあんな──ぐげッ!?」
反射で上鳴にチョップを叩き込んだのは何を隠そう俺だ──その言葉は許さん。
「痛ったっ!?何すんっ!?」
「口に気を付けろ、上鳴……誰が弱いって?」
「え……?」
振り向いた上鳴の表情が凍る。
多分、今の俺は結構おっかない顔をしていると思う……。
「麗日は、強かったろうが!」
「え……あ……いや……ごめん……」
「……分かればいいが、今一度言う。口に気を付けろ」
「……うん、マジ、ごめん……」
上鳴がしゅんとし項垂れる。
恐らくは反省しているだろう、俺もこれ以上は言わない。
「ケッ……!」
爆豪は何も言わず、端の席にどっかり座った。