僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。


エピソード19 俺vs爆豪?ありがたく全力でやらせてもらう

『さあさあ、小休憩も終わって――お次はこいつら!!』

 

 プレゼントマイクの実況と共に、リングに七回戦で引き分けた切島と鉄哲が上がる。

 

『七回戦【個性】だだ被り対決で、壮絶な殴り合いの末に引き分けた、A組切島とB組鉄哲!!二回戦進出を賭けたサドンデスだー!!』

 

 対戦方法は──腕相撲。

 

 セメントス先生が作った台の上で、切島と鉄哲がガッチリ腕を組み、それぞれ【硬化】と【鋼鉄】で自身を固める。

 

『レディ……GO!』

 

 ミッドナイトの開始の合図──切島と鉄哲が力を入れた事で、コンクリの台座がひび割れる。

 

「「んんんんんん゛ッ!!」」

 

 またも実力伯仲──腕力まで互角で、組んだ腕はどちら側にも動かない。

 

 しかし、勝負は着いた。

 

ビキッ

 

「ぐお……ッ!?」

 

「ガァ!!」

 

 鉄哲の手がひび割れ、一瞬怯んだ隙を突いて、切島が一気に倒した。

 

『勝者、切島くん!二回戦進出!!』

 

「シャアァーー!!」

 

『切符を勝ち取ったのは、切島だぁーー!!』

 

 会場が盛り上がる。

 シンプルで熱く良い勝負だったから、さっきの麗日vs爆豪の微妙な空気も払拭した様だ。

 

「ぐおぉぉ、金属疲労が……!もっと鉄分を取っておけば……!」

 

 膝をつき、腕を抑える鉄哲。

 そこに切島が歩み寄る。

 

「良い、勝負だった……!」

 

「っ……けっ」

 

 差し出された切島の手を、鉄哲はガッチリと握る。

 漢の友情、爆誕──アオハルかよ。

 

『さあーこれで二回戦の進出者が出揃ったぁ!つーワケで!そろそろ始めよかぁ!!』

 

 

 ベスト8が決まり、続いて二回戦が始まる――。

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 

 

「…………」

 

 俺は1人、スタジアムの裏にいた……。

 

 ちなみに今は、二回戦第四試合――切島vs爆豪まで進んでいる。

 

二回戦第二試合――飯田vs塩崎

 

 飯田が開始直後の速攻で、塩崎を押し出し場外へ――。

 

二回戦第三試合――気賀(俺)vs常闇

 

 常闇には悪いが瞬殺させてもらった。

 【闇影(ダークシャドウ)】の弱点直撃の【疑似・太陽拳】も出来たが、それより直接戦った方が早いと判断、【疑似・九尾チャクラモード】で【闇影(ダークシャドウ)】を弾き飛ばし、一気に間合いを詰めて常闇の腹にオーラ球を至近で当てて、場外まで吹っ飛ばした。

 

 で、試合の後、俺はクラスの席にも控室にも戻らず、誰もいないスタジアムの裏に来た。

 少し考える時間が欲しかった……。

 先に見た一戦……この体育祭における大きな見所のひとつ──

 

二回戦第一試合――緑谷vs轟

 

 あれは思っていた以上に原作通りの展開だった……。

 

 試合開始直後、轟は氷結ブッパ──対する緑谷は、自損覚悟の指弾き衝撃波で相殺という戦法……。

 轟は氷結による体温低下、緑谷は肉体の損傷限界……その痛々しい耐久レース。

 

 原作との違いと言えば、緑谷は【フルカウル】を使い、多少動き回って轟を翻弄した場面があった程度……。

 

 緑谷が轟の精神の縛りを壊しにかかった所も、覚えている限り変わらなかった。

 

 最終的に、心の枷を壊した轟は左腕の炎を使って、温度差大爆発攻撃を繰り出し、原作と同じく緑谷は場外負け──観客のプロヒーロー達の緑谷への評価も、聞こえた限り、原作と同じく低かった……。

 

 差異は、緑谷・轟両名の怪我の程度……崩壊したリングの補修タイムに、リカバリーガールのところに運ばれた2人の様子を見に行った。

 

 緑谷は右腕の粉砕骨折のみで脚の負傷はなく……轟は打撃を受けた回数が多かった所為か、あばら骨が3本折れ、胸骨にもヒビが入っていたらしい。

 

 これ、原作より悪くなっているんじゃないか……?

 俺が緑谷に【フルカウル】を早く習得させた結果は、轟の怪我が重傷化しただけ……緑谷は誤差程度に軽傷化しただけ……。

 安易にさっさと【フルカウル】を覚えさせれば、この先の展開が良くなると考えた俺が浅はかだった気がしてくる……。

 

 俺がした事は、余計だったのか……?

 

『切島くん戦闘不能!爆豪くんの勝利!!』

 

「っ!」

 

 試合が終わった様だ。

 

『爆豪えげつない絨毯爆撃で、三回戦進出!これでベスト4が出揃ったー!!』

 

 次は飯田と轟の試合か……戻る……いや、もう少しここで頭を冷やしていこう。

 

 俺がしたことが余計か否か……そもそもにして俺の存在が余計といえば余計か、原作ヒロアカからしたら。

 だが、それでも俺はここにいるし……俺にとってここは漫画の中じゃない。

 

「…………はぁ、考えても答えなんか出ない、か」

 

 結局は堂々巡り……。

 多少原作知識があろうと、何でも思う通りに進めようなんて、思えば烏滸がましい話だ。

 いきなり原作を忘れるというのも難しい、というか無理だし、緑谷の【フルカウル】に関しては完全に裏目という訳でもなかった。

 悪く考えるのは止めて、少しでも前向きにいこう。

 きっと何をやっても『あの時ああしていれば……』『あの時ああしなければ……』と思う時が必ず出てくるはずだ。

 

 だが、そこを恐れていたら何も出来なくなる。

 この先も、俺に出来る限り、思う通りにやっていくしかない。

 

『飯田くん行動不能!轟くんの勝利!!』

 

『轟!炎を見せず決勝戦進出だぁ!!』

 

 ミッドナイトとプレゼント・マイクの声──ここも原作と同じ結果……いや、そういう事を考えるのは止そう。

 

「さてと」

 

 いくか。

 次は、俺と爆豪の試合だ。

 

「ふっ……」

 

 勝手だが、いつもは関わりたいとも思わない爆豪が、今は有難く思える。

 あいつなら、何も気兼ねなく全力が出せる。

 勿論、無駄に怪我させていいとは思わないが、爆豪は全力で向かってくる相手に嬉々として全力を返す男だ。

 遠慮しなくていい相手、というのはどんな形でも有難いものだ。

 

「存分にやらせてもらうぜ、爆豪……!」

 

 関節をほぐしながら、俺はスタジアムへ戻った。

 

「……来やがったな……!」

 

 俺がリングに着いた時、爆豪は既にいた。

 なんて狂暴な顔……俺への殺意に満ちている気がする、しかも笑ってるし……。

 

「……待ってたぜ、この時をなぁ……!!」

 

 爆豪はそう言うなり、両手をゴリゴリ鳴らしながら、姿勢を低く構える。

 

「てめえをぶっ殺して……俺が1位になってやるッ!!」

 

 勝利宣言……これは自信からじゃない、完全勝利を自身に課し、自分をとことん追い込む姿勢。

 また原作知識だが……知らなきゃ、ただの戦闘狂だとか、自信過剰だとか思ってしまっただろうな。

 まあ、そういう側面もない訳じゃないだろうが……。

 

 ともかく、そんな向上心の塊の様な男に対して、手を抜くなんていうは最大級の侮辱だよな。

 

「殺されちゃあ敵わんな……」

 

 俺は、体操着の上とスニーカーを脱いでからリングに上がる。

 爆豪と戦ったら100%破れるからな。

 それに、全力でやるなら裸足の方が踏ん張りがきく。

 

「おお、すっげえ体!」

 

「鍛えこまれた良い筋肉だ!」

 

「ナイスバルクッ!」

 

「あれで高校1年生かよ……!?」

 

 何だか観客席からそんな声が……意識すると少し恥ずかしいが、今は試合に集中だ!

 

「全力で返り討ちにしてやるぞ、爆豪!!」

 

 言いながら、俺は構えを取る。

 

「ハッ!!上等だぁ!!」

 

 狂暴な笑みを深める爆豪……もう、その顔つきだけで人が殺せるんじゃないのか?

 

『おいおい!準備万端だなお2人さん!!だったら早速いっとくかー!三回戦第二試合──』

 

 プレゼント・マイクの声を聞きながら、精神を集中してオーラを高めていく。

 そして──!

 

『──スタート!!』

 

 開始と同時に一気に爆発させる──!

 

「はあぁぁぁーーー!!」

 

 俺の全身から赤いオーラが立ち上る。

 同時に駆け巡る――激痛!!

 

「ぐ、ぐく……ッ!!」

 

 ヤバい体がバラバラになるんじゃないかってぐらい痛い!!

 筋肉が裂けていってるようだ!!

 骨が砕けてるみたいだ!!

 

 だが、この痛みが技の成功を教えてくれる――!

 

【擬似・3倍界王拳】!!!

 

「ゴッ──!!??」

 

 瞬間、爆豪との距離が一気に0に──そして俺の繰り出した拳が爆豪の頬を打ち抜く!!

 

「くッッ!!」

 

 吹き飛ぶ爆豪に、【擬似・3倍界王拳】プラス【擬似・舞空術】の追撃ドロップキック――!!

 

 頭部への拳も蹴りも危険極まるが、倫理道徳は一旦捨ておけ──!

 

「――――ァアアッッ!!」

 

ボボボンッッ!!

 

「っ!?」

 

 爆豪、あの野郎――場外一直線だったのに、寸前で爆破の反動でリング内に留まりやがった!

 

 あれで気絶しなかったのか!?

 いや、寸でのところで起きたのか!?

 どっちにしてもあいつも尋常じゃないタフさだ!

 

 だが――

 

「ぁ、が、はッ……っ!」

 

 ノーダメージな訳はない。

 リング内にギリ残ったとはいえ、倒れたまま起き上がれていない。

 

「ぅぐ……!が、ぁぁ……!!」

 

 起き上がろうと、踠いてはいる。

 だが、体を起こす事が出来ず、その場でのた打ち回るだけ……脳震盪か何かを起こしているのかもしれない。

 

「ッ……!」

 

 出来ればそのまま寝ててくれ……!

 立ってこそいても、俺も体がガタガタで、実はもう限界が近いんだ……!

 

『……爆豪くん、意識はある?あるなら返事をしなさい』

 

「ッッ、ぁ……だ……!」

 

 ミッドナイトの呼び掛けに、呻く様な声をあげる爆豪。

 

『……爆豪くん戦闘不能!気賀くんの勝利!!』

 

「ッッ、ァアアァァ〜〜!!」

 

 ミッドナイトの宣言の直後、爆豪は大声を絞り出して激しくのた打ち回る。

 

『……!』

 

 しかし、ミッドナイトが腕の薄布を破り、【個性:眠り香】を放つ。

 

「ァァ……ァ……」

 

 【眠り香】を吸った爆豪は、動きを止めた。

 

『ふぅ、改めてもう一度。爆豪くん戦闘不能!この試合、気賀くんの勝利!決勝戦進出よ!』

 

『ワアァァァーーー!!!』

 

『決着ー!!実況挟む隙もねえ開幕直後の気賀の超ハイスピードクリティカルヒット!!爆豪意地と根性で踏みとどまるも轟沈!!気賀が決勝進出だーー!!』

 

「ゔぐ……!」

 

 決勝進出はいいが……痛えぇ……!!

 【擬似・界王拳】の反動で体が……!

 

『これで決勝は、轟vs気賀に決定だぁー!!』

 

 痛みを堪え、ふと爆豪を見れば、担架で運ばれていくところだった。

 大丈夫かな、爆豪……手加減する余裕なんてなかったからかなり強烈なパンチを叩き込んでしまった。

 リカバリーガールの【個性】で何とかなるといいが……。

 

ビキッ!

 

「うぎ!?」

 

 ひ、他人(ひと)の心配してる場合じゃない──俺もリカバリーガールに治療してもらわないと……!

 まだ俺には決勝が控えているんだから……!

 

 

 その後、何とか俺もリカバリーガールのところへ行き、治療を受けた。

 体の痛みは治ったが、体力をごっそり持って行かれた……。

 

 

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