僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。


エピソード39 合宿二日目?もうエグい……!

 林間合宿の目的──ヒーロー仮免許、“仮免”の取得を目標に俺達1年の【個性】を伸ばすこと。

 

 その為にやる事は1つ、すなわち『限界突破』──筋繊維を酷使する事で壊し、いわゆる超回復を経て太く強くなるように、【個性】も同じく使い続けることで強くなり、逆に使わなければ衰える。

 

 許容上限のある『発動型』は上限の底上げ、『異形型』・その他『複合型』は【個性】に由来する器官・部位の強化鍛錬──これを基本として、各々の【個性】に合った特訓が課される。

 

 俺達雄英1年A組・B組総員41人、41通りの【個性】、それを各々に合った特訓を課すに当たって力を貸してもらうのが、今回の合宿場所を所有するヒーロー集団『プッシーキャッツ』である。

 

「煌めく眼でロックオン!」

 

「猫の手手助けやって来る!」

 

「どこからともなく、やって来る……!」

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「「「ワイルドワイルド!プッシーキャッツ!フルバージョン!!」」」」

 

 昨日会った赤のマンダレイ、青のピクシーボブに加えて、黄色の『ラグドール』、茶色の『虎』が合流してプッシーキャッツ全員集合──

 

「アチキの【個性:サーチ】!この目で見た人の情報を100人まで丸分かり!居場所も弱点も!」

 

「私の【土流】で、各々の鍛錬に見合う場所を形成!」

 

「そして私の【テレパス】で、一度に複数の人間へアドバイス!」

 

「そこを我が、殴る蹴るの暴行よ……!」

 

 この強化合宿に打ってつけのチーム構成(最後はどうかと思うが)──建前および事実として、雄英高校の教師陣も忙しく、ヒーロー科1年だけに人員を割くことは難しい。

 この4名の実績と広域カバーが可能な【個性】は、短期で全体の底上げをするのに最適である。

 

 そして、裏の事情として『敵連合』への警戒がある……。

 トムラから貰った、雄英内に『AFO』の内通者がいるという情報……そこから今回の合宿の場所と日程がバレているという話……。

 敵に動向を悟られないように~、なんて前提は端から破綻している……。

 

 こちらも一応、秘密裏に迎撃態勢は整えているが……敵の出方が分からない以上、下手に警戒を露わにする訳にもいかない。

 

 よって、予定通り強化訓練が実施される──。

 

「うおおおッ!!クッソがあ!!」

 

 爆豪──熱湯に両手を突っ込んで、都度、爆破を繰り返す特訓。

 汗腺の拡大と強化、および爆破の規模を大きくする。

 

「ハア……ハア……んっ!」

 

 轟──ドラム缶風呂に浸かりながら、氷結と炎を交互に発動し、風呂の温度を一定に保つ特訓。

 凍結に体を慣れさせ、炎の温度調節を試みる。

 

「うおああああ〜〜!??」

 

 瀬呂──テープを限界まで射出し続ける特訓。

 容量の拡大、テープの強度と射出速度を強化する。

 

「うっ…!おっしゃ来い!」

 

「ふんっ!はあっ!」

 

 切島と尾白──【硬化】した切島を、尾白の【尻尾】で打ち続ける特訓。

 お互いの【個性】の強度を高める。

 

「いぃぃやあぁぁあばばばばッッ!!??」

 

 上鳴──大容量バッテリーと通電する特訓。

 大きな電力にも耐えられる体にする。

 

「ああああ〜〜……!!」

 

 口田──大声を出し続ける発声の特訓。

 生き物を操る声が遠くまで届くように声帯を鍛え、ついでに内気な性格を直す。

 

「うぅ、ぅぅ……!??」

 

 青山──ヘソビームを撃ちまくる特訓。

 腹痛を限界まで我慢して撃ち続けることで体を慣らし、ビームの飛距離アップを目指す。

 

「うああああ……!!闇影ぉぉぉ……!!」

 

 常闇──洞窟の奥の暗闇の中で【闇影】を制御する特訓。

 闇が深いと暴走する【闇影】をコントロール出来るようにする。

 

「うぶっ……!ぅ、ぶぶ……!?」

 

 麗日──自分を【無重力】で浮かし、どこかのアトラクションで見た透明なボールの中に入って転がる特訓。

 三半規管を強化して酔いを軽減し、【無重力】の限界重量を上げる。

 

「ふんふんふんふん!!」

 

 飯田──全速力で走り込みの特訓。

 脚力と持久力を高める。

 

「ケ、ロ……!」

 

 梅雨ちゃん──舌と全身を使ってロッククライミングをする特訓。

 【個性:蛙】に由来する舌と全身の筋力を鍛える。

 

「はぐ!ふん!ふん!もぐ!ふん!ふん!」

 

 砂藤──甘い物を食べながら筋トレ特訓。

 【シュガードープ】の持続時間と筋力を強化する。

 

「はく、もぐもぐ……!」

 

 八百万──高脂質のチョコレートなどを食べながら【創造】で物を作り続ける特訓。

 創造物の拡大、また創造時間の短縮を目指す。

 

「やあああッ!!」

 

 耳郎──岩にピンジャックを叩きつける特訓。

 ピンジャックを鍛え、音質を高める。

 

「ぅう……!くぅ……!」

 

 芦戸──岩に断続的に酸を出し続ける特訓。

 分泌する酸の強度と量を増やし、更に皮膚の耐久力を上げる。

 

「うぅぅ、ひぃぃ……!」

 

 峰田──頭の【モギモギ】をもぎり続ける特訓。

 もぎっても血が出なくなるよう頭皮を強くする。

 

「……む」

 

「……!」

 

 障子と葉隠──障子は【複製腕】を駆使して、【透明】で隠れ潜む葉隠を探す特訓。

 障子は【複製腕】を同時かつ素早く切り替え、葉隠は徹底して隠密行動をとる事で互いの【個性】を鍛える。

 

「さあ今だ!打ってこい!!」

 

「【5%デトロイト・スマーーッシュ】!!」

 

「よぉし!まだまだキレッキレじゃないか!伸ばせ千切れ!ヘボ【個性】を!!」

 

 緑谷──【OFA・フルカウル】維持、更に手足にリストウエイト装着でプッシーキャッツの黒一点、プロヒーロー『虎』の『我ーズブートキャンプ』特訓。

 【フルカウル】持続時間の延長と強化率の上昇、および持久力と全身筋力を強化する。

 

 そして俺──【疑似・超サイヤ人】状態のままオーラを限界まで高めた状態を維持しつつ座禅体勢のまま【疑似・舞空術】で宙に浮き続ける特訓。

 『念』の基礎『四大行』の一つ【練】──オーラを練り上げ、通常時以上の量のオーラを生み出す技術、それを長時間維持することでオーラの底上げと持久力を上げる修行があったのを流用した。

 相澤先生にも方法を伝えて了承を貰ってある。

 

 で、皆と同じく特訓に励んでいる訳だが……滅茶苦茶キツい!!

 気を抜くとオーラが弱まるか、【擬似・舞空術】の制御が乱れて落ちそうになる……!

 そして、忘れてはいけないのが周辺警戒──気を感知し、敵の襲撃を察知する事……これは最優先事項だ。

 【擬似・舞空術】+ 【練】+気の感知……脳みそが焦げそうなマルチタスクだが、それを可能にしているのが【擬似・超サイヤ人】、オーラの出力が爆上がりするのと同時に肉体も超強化される事で、このマルチタスクを実現した。

 後でくるだろう疲労感がエグい事になりそう……。

 

 

 

 そうして俺達は夕方まで強化訓練に励んだ――。

 

 

 

「――さあ!昨日言ったね!『世話焼くのは今日だけ』って!」

 

「己で食うメシくらい己で作れー!カレー!」

 

 空が夕焼けで赤くなる頃、今日の訓練は終了――夕メシは自炊、メニューはこういう野外合宿の定番カレーらしい。

 外の炊事場で、揃えられた材料と調理器具を前にピクシーボブとラグドールが音頭をとる。

 

 しかし……。

 

『イエッサー……』

 

 俺達全員、疲労困憊……。

 ヤバ、消耗キッツ……俺、【疑似・超サイヤ人】切れそう……。

 

「アハハハッ!全員全身ブッチブチ!」

 

 何がツボに入ってるのか、ラグドールは爆笑――しかし俺達にそこにツッコむ気力は残っていない……。

 

「だからって雑な猫まんまは作っちゃダメね!」

 

「ハッ!確かに……!」

 

 ラグドールの言葉に、飯田が考える仕草を取る。

 

「災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも、救助の一環……!さすが雄英!無駄がない!」

 

 『さすが雄英』はどうかなと思うが、実際飯田の言う事も尤もだ。

 敵を倒すのは民間人を助ける手段の一つ、食事も同じく――美味いものはそれだけで人の心を満たす。

 ここでの自炊経験も、将来の役に立つはず――そう思って、もうひと踏ん張りするのは悪くなかろう。

 

「皆、疲れてるだろうが、疲れを取るためにも栄養付けねえとだ。もうひと踏ん張り、美味いカレー作って食おうや」

 

『おお……』

 

 飯田に乗って、俺も全員に声を掛ける。

 飯田に負けず、委員長らしいこともしないとだからな。

 

 疲れはあれど、皆それぞれ夕メシの為に動き出す。

 火起こし、下拵え、調理、食器準備、等々……作業を分担して、カレーを作っていく。

 こういうキャンプっぽさはワクワクして好きだ。

 皆も同じなのか、作業が始まると疲れを引っ込めて楽しそうにしている。

 束の間、心の癒しだな。

 

 そして日もすっかり暮れて夜空となった頃、カレー完成――ランタンで明かりを点けて、全員に配膳したところで、お待ちかねの夕メシである。

 

『いただきまーす!』

 

ガツガツガツガツ!

 

 食いだしたらもう止まらない!

 空っぽの胃袋にカレーの香辛料と肉の脂と野菜の旨味と白飯の甘味が染みる!

 

「おかわり!」

 

 思わず言ってしまったが、おかわりはセルフである。

 

「気賀早えな!?」

 

「カレーは飲み物だ」

 

 近くに座る瀬呂にそう応えて席を立ち鍋へ――カレーも白飯も、全員がじゃんじゃんおかわりできる様にたんまり用意されている。

 

「ヤオモモもがっつくね~」

 

「ええ」

 

 盛り付けて戻ると、芦戸と八百万の会話が耳に入る。

 

「私の【個性】は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山蓄えるほど沢山出せるのです」

 

「う〇こみてえ」

 

ブッ――!?

 

「~~……!」

 

ズガアッ!!

「「謝れッ!!」」

 

「ずい"ま"ぜん"ッ!?」

 

 落ち込む八百万――瞬間、俺と耳郎の怒りの【疑似・クロスボンバー】が瀬呂に炸裂――選りにも選って何てこと言いやがる!!

 色々何重にもアウトだ!!

 

「……ッ!」

 

 来た──!

 

 遠くに突如現れた気を感知した。

 黒霧、そして知らない気が4つ……黒霧が現れた時点で『敵連合』確定──トムラはいないが、あいつは既に『AFO』から離れたんだろうか?

 つい心配になるが、トムラがどうしたかは知る術がないので、頭の隅に置いておくしかない。

 

 残りのカレーをかき込んで席を立ち、施設内の食堂で食事を取っていた相澤先生に報告に行く。

 

「相澤先生!来ました……奴ら(・・)です」

 

「っ、分かった……。すぐに仕掛けてきそうか……?」

 

「……今のところ、現れた場所から動いていませんね。人数も、まだ4人と少ないですし……」

 

 黒霧の気が消えている……。

 襲撃の人員を集めに回っているというところか……。

 

 こっちは相澤先生にブラドキング先生、プッシーキャッツと計6人のプロヒーローがいるし、学生とはいえ俺達ヒーロー科41人もいる。

 奇襲だとしても、4人そこらで仕掛けてくるとは考え難い。

 

「そうか……一旦様子を見る。他の奴らには知らせるな……雄英には俺から連絡する。お前は一先ず食事に戻っておけ。それと悪いが、引き続き敵を監視し、奴らの動きに変化があればすぐ知らせろ……」

 

「承知です……!」

 

 報告を終えて俺は一旦、メシの席に戻る。

 皆に悟られないように注意して、顔も取り繕ったつもりだ。

 

 それが功を奏したか、俺の緊張が皆にバレることはなく、カレーを残さず食べ切って夕メシは終了――後片付けを済ませ、風呂に入って汗と汚れを洗い流し、部屋に戻って就寝となった。

 

「……」

 

 皆が泥のように眠る中、俺は1人起きていた――。

 

 というか、いつ『敵連合』が仕掛けてくるかという緊張で眠れなかった……。

 距離が離れていて、施設内からでは幾ら【凝】や【疑似・九尾チャクラモード】を使っても、敵の話し声は拾えない……。

 しかし、襲撃の兆候を見逃すわけにはいかないと思うと、使える技を最大限使うことを止められなかった……。

 

 結局、その夜、奴らは仕掛けてはこなかった。

 ただ、人数は6人に増え、向こうの準備は進んでいる様に感じた。

 

 結果、俺は緊張を解くことができず、一睡も出来ずに翌朝を迎えてしまった……。

 

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