僕のヒーローアカデミア A Little Extra 作:ジョン堂
「最下位除籍って……!?入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても……理不尽過ぎる!!」
抹消ヒーロー『イレイザー・ヘッド』にして超合理主義者、我らが担任・相澤消太の理不尽宣告に、麗日がクラスの総意を声に出す。
「自然災害……大事故……身勝手な
だがしかし、相澤先生はどこ吹く風……。
「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから3年間、雄英は全力で君達に、苦難を与え続ける。“Plus Ultra”さ。全力で乗り越えて来い」
“雄英は”っていうか、主に“相澤先生が”じゃないかと思うが……。
理不尽ながらも説得力のある相澤先生の言葉と圧にクラスの皆も口を閉じた。
そして、【個性】把握テスト開始――
第一種目『50メートル走』
俺の記録『3秒29』
中学の時は『5秒31』、オーラの強化などは使わずに走った記録だ。
今回はシンプルに脚の筋肉をオーラで強化するスタイルで走った。
青山がヘソビームの反動でタイムを縮めていたのを見て気づいたが、俺も【擬似・かめはめ波】で飛べばもっとタイムを縮められたか……いや、溜めの分タイムロスか。
第二種目『握力』
記録『999.9㎏w』
『カンストォーー!!??』
オーラ強化駆使してクラスの皆の度肝を抜いた。
【個性】対応型の握力計だった様だが、3桁と小数点第一しか測れない仕様らしくカンストした。
多分、目一杯握ったら壊れた気がする。
第三種目『立ち幅跳び』
俺の記録『計測不能』
俺はオーラによる【疑似・舞空術】を体得しているので、空が飛べる。
勿論、俺はまだまだスタミナ的にも技術的にも未熟なので、往年の『ドラゴンボール』Z戦士達ほど自由自在にはまだ飛べない。
だが、ただ宙に浮くだけ・真っ直ぐ飛ぶだけなら簡単だ、それこそ5・6時間くらい余裕で飛び続けられる。
故にある程度飛んで行き、飛んで戻ってきて見せたところ、時間の無駄という事で『計測不能』が記録となった。
第四種目『反復横跳び』
俺の記録『131点』
意外に難しかった……オーラで脚を強化して挑んだが、ステップでラインを越えた時に、地面で踏ん張ろうとしたら滑るなどしてタイムロス。
更に途中でスニーカーが破れてまたタイムロス……最初から裸足でやればもう少しいけたはずだ。
あ~あ、スニーカー買い直さないと……。
第五種目『ソフトボール投げ』
俺の記録『3006.9m』
デモンストレーションの時より上がった。
その時は盛り上がったが、更に上が1人――
麗日お茶子の記録『∞』
『∞!!?』
彼女の【個性】は【
だから、重力から解放されたボールは投げられたらそのまま空に昇り続け、麗日が【個性】を解除しない限り落ちて来ない。
故に『∞』――流石にこれには敵わない。
さて、ここで原作エピソード――緑谷出久のターン。
緑谷はここまで、【個性】禁止の平均記録ちょい上程度の記録しか出していない。
それもその筈、各テストで1度も【個性】を使っていない。
いや、使えないのだ、体壊れて後が続かないから。
「緑谷くんはこのままだとマズいぞ……?」
飯田の言う通り、このままだと最下位=除籍まっしぐらだ。
麗日も心配して見ている。
「ったりめーだ!無個性の雑魚だぞ!」
爆豪吠える。
この時点だと、こいつはまだ緑谷が無個性のままだと思っているからな。
「無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」
逆に飯田を初め、爆豪と俺以外は緑谷が“元々”無個性である事を知らない。
俺は原作知識っていう反則で知ってるだけだから口には出せないが。
「っ!」
さておき、緑谷が追い詰められた顔から何やら意を決した感じの顔になる。
俺から見ても、この状況でその表情の移行がダメっぽいって分かるぞ……。
で、緑谷の記録は――
『46m』
また普通……いや、普通ってのも違うか。
確か【個性】無しのソフトボール投げ高校1年の平均が約26メートルだから、そこから見れば緑谷も十分“強肩”の部類だ。
が――ここは雄英ヒーロー科、【個性】ありなら常人を逸脱した記録を出してナンボ……だから緑谷の今の記録は“論外”って事になる。
「な……今確かに使おうって……!」
「【個性】を消した」
緑谷の呟きに、相澤先生が答えた。
相澤先生の雰囲気が変わっている――髪が逆立ち全て後ろに流れ、露出した目の鋭さと圧が桁違いに上がっている。
「つくづくあの入試は……合理性に欠くよ。お前のような奴も入学出来てしまう」
「消した……!!あのゴーグル……そうか……!視ただけで人の【個性】を抹消する【個性】!!抹消ヒーロー『イレイザー・ヘッド』!!」
緑谷は相澤先生の正体に気付いた。
「見たトコ……【個性】を制御できないんだろ?まだ行動不能になって、誰かに救けてもらうつもりだったか?」
「そっ、そんなつもりじゃ――っ!」
緑谷は最後まで言わせてもらえず、相澤先生の首の帯で拘束され引き寄せられる。
「どういうつもりでも、周りはそうせざるを得なくなるって話だ」
確かに、このテストに限って言えば、腕がズタボロになった緑谷は保健室直行――これ以降のテストは出来なくなって結局最下位は確実……腕を犠牲にする意味がない。
後先はなるべく考えた方が良いって事だな。
「昔、暑苦しいヒーローが大災害から1人で千人以上を救い出すという伝説を創った」
ああ、オールマイトね。
有名なエピソードらしく動画も残っていて、ニュースとかでもちょいちょい再生されるの見た事がある。
「同じ蛮勇でも……お前のは1人を救けて木偶の坊になるだけ。緑谷出久、お前の力じゃヒーローにはなれないよ」
厳しいお言葉……でも、今の緑谷の前のめり過ぎる姿勢を見ると、的を射ている意見でもあるか。
こういう指摘を自分の成長の糧に出来るかどうか、が鍵なんだろうな。
「【個性】は戻した……。ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」
相澤先生の髪と雰囲気が元に戻った。
そして、緑谷は厳しい表情でラインに戻る。
「ブツブツブツ……(力の調整……)ブツブツブツ……(僕にはまだ出来ない……)ブツブツブツブツブツブツ……!(この一投で『出来る可能性』に掛けるか?オールマイトも言ってたのに?一朝一夕にはいかないって……!)」
緑谷のブツブツ呟き……少し気になったのでオーラで聴覚を強化して聞いてみる。
やがて、緑谷が投球体勢に入った。
「見込み……」
それを見て相澤先生が……
「ゼロ……」
と言い切ろうとした時――
「ブツブツ……(まだ……)」
「――!?」
緑谷の様子がさっきと違うのを見て止まった。
「ブツブツ……!!(まだ!!)」
ボールが手から離れる瞬間――
「ブツブツ……!(最大限で……最小限に……!)」
緑谷の人差し指が一気に充血し――
「今――スマーーッシュッ!!」
ボールは爆発的に超加速――空の向こうへすっ飛んだ。
「ッッ、あの痛み……程じゃない!!」
聞こえた声に緑谷を見ると、その右手の人差し指は……赤紫色に腫れ上がっていた。
うわぁ、痛そう……!
「先生……!まだ……動けます」
「こいつ……!」
涙目で唇を噛む緑谷、何か「やりやがったコイツ」的な顔をした相澤先生……。
だが、引き換えにした指が痛々し過ぎる……!
これならテストも一応続行できるだろうが、捨て身過ぎるだろう。
それを考えても実行できるって、緑谷……言っちゃ悪いが、尋常な精神じゃない。
ぶっちゃけイカれてる……!
あの姿を『格好いい』とは思えないよ、俺は……。
「やっとヒーローらしい記録出したよーー!」
麗日、喜んでる場合じゃないって……。
「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい……おかしな個性だ……」
冷静に言ってる場合でもないと思うぞ、飯田……。
「どーいう事だコラァ!!ワケを言え!!デクてめえ!!」
「うわああ!!?」
爆豪が手を爆破しながら緑谷に迫る――が。
「んぐぇ!!?」
瞬時に帯が巻き付き、奴の【個性】も消えて止められた。
止めたのは勿論、我らが相澤先生だ。
「ったく、何度も【個性】使わすなよ……。俺はドライアイなんだ!」
相澤先生の【個性】は相手を見続けないといけないから、目を酷使するんだよな。
「時間がもったいない。次、準備しろ」
てなわけで、緑谷エピソードはここまで――彼の自己犠牲癖は、マジでどうかと思うんだよなぁ……。