僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

5 / 5
 お読みいただき恐縮千万。


エピソード5 落ち着け緑谷?少しでも足しになればいい

 暴発しかけた爆豪が一旦鎮まった後、【個性】把握テスト続行――

 

 

 

第六種目『上体起こし』

 

 俺の記録『153回』

 

 所謂“腹筋”、筋肉ならお手の物だ。

 

 

第七種目『長座体前屈』

 

 俺の記録『57.1cm』

 

 柔軟も鍛えてはいるが、流石に如何ともしがたい……。

 

 

第八種目『持久走』

 

 俺の記録『91秒』

 

 1500メートル程度、短距離走並みの速さをゴールまで余裕で維持できる。

 

 

 で、全種目終了――

 

 

「んじゃ、パパっと結果発表」

 

 

1位 気賀 巧

2位 八百万 百

3位 轟 焦凍

4位 爆豪 勝己

5位 飯田 天哉

6位 常闇 踏影

7位 障子 目蔵

8位 尾白 猿夫

9位 切島 鋭児郎

10位 芦戸 三奈

11位 麗日 お茶子

12位 口田 甲司 

13位 砂藤 力道

14位 蛙吹 梅雨

15位 青山 優雅

16位 瀬呂 範太

17位 上鳴 電気

18位 耳郎 響香

19位 葉隠 透

20位 峰田 実

21位 緑谷 出久

 

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

『!?』

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

 出た、相澤先生の名言『合理的虚偽』。

 

『はーーー!!??』

 

 飯田、麗日、緑谷が驚愕の声を上げる――特に緑谷が面白い顔になってる。

 

「あんなのウソに決まってるじゃない……。ちょっと考えれば分かりますわ……」

 

 八百万百が呆れた感じで言うが、それは温い考えだ。

 

 相澤先生は見込みがないと判断すればマジで除籍する――原作知識も勿論あったが、何よりさっき見たあの顔で本気だと俺は直感した。

 

 イレイザー・ヘッド、マジヤベぇ……。

 

「これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから戻ったら目ぇ通しとけ」

 

 と、簡単に言うだけ言って、相澤先生はとっとと去って行った。

 

「緑谷。保健室で婆さん(リカバリーガール)に治してもらえ。明日からもっと過酷な試練の目白押しだ。覚悟しておけ」

 

 去り際に緑谷に保健室に行くように告げて……。

 

 

 

 その日はそれで終い――俺達は着替えて解散となる運びとなった。

 

 

 

 ただ、ちょっとした事だが更衣室にて――

 

「なあ気賀!お前、凄ぇな!」

 

 と、着替えていたら切島鋭児郎がフレンドリーに話し掛けてきた。

 

「俺、切島!切島鋭児郎!よろしくな!」

 

「ああ、よろしく。改めて、気賀巧だ」

 

「おう!」

 

 ガシッと握手。

 切島って、本当に良い奴だ。

 こういう裏表のない友好的な奴は、好感が持てる。

 

「俺も俺も!俺、上鳴電気な」

 

「ああ、よろしく」

 

 切島に続く様に上鳴電気も自己紹介してきた。

 チャラい感じはどうしても拭えないが、上鳴は上鳴で良い奴だ。

 まず嫌いにはなれない。

 

 2人を切っ掛けに、男子だけだが、教室では出来なかった自己紹介が始まった。

 

「俺は砂藤力道、よろしくな!」

 

「俺、瀬呂範太な!」

 

「オイラ峰田実!」

 

「俺は尾白猿夫、よろしく」

 

「障子目蔵だ」

 

「常闇踏影」

 

「…………ボソ(こ、口田、甲司、です……)」

 

「僕、青山優雅ね☆」

 

 そうして皆とワイワイガヤガヤ自己紹介を交わし、初日の交流とした。

 

 当然というか、爆豪と轟は参加しなかった。

 あいつらはキャラ的にそんな感じだから、仕方ないだろう。

 

 

 

 で、初日終了――放課後、俺は保健室前で緑谷を待ち伏せた。

 

 ある“お節介”をする為だ。

 

「ありがとうございましたぁ……」

 

 お、出てきた。

 めっちゃ疲れとる……。

 確か、保険医のリカバリーガールの【個性】の影響だったか。

 

 まあ、そこはいい。

 

「緑谷」

 

「わ!って、あれ?き、気賀、くん?」

 

 少し驚いた後、意外そうな顔で首を傾げる緑谷。

 まあ、まだお互い名前を知ったぐらいで、友達どころか知り合いってレベルにも達してない間柄だからな、仕方ない。

 

「指、大丈夫か?」

 

「う、うん。リカバリーガールのおかげで……。それより、どうしたの?なんで、ここに……?」

 

「ああ、さっきのテストで、お前さんの【個性】の使い方を見て、ちょっと気になってさ」

 

「あ……えっとぉ……」

 

 少し目が泳ぐ緑谷。

 【個性】を上手く使えていない後ろめたさに似たものか、それとも【OFA(ワン・フォー・オール)】の秘匿関連か、まあどっちにしろここは知らぬ振りだ。

 

「お前さんは【個性】を、上手く扱えてない感じだったな」

 

「う、うん……僕は、その……【個性】の発現が、凄く遅かったから……!上手く、調整が出来なくって……」

 

 段々と落ち込みモードに入っていくな……。

 これに付き合ってると長くなる気配がする……敢えて無視して用件を伝えよう。

 

「俺が見た限りだけど、緑谷は【個性】の使い方を間違えてる気がする」

 

「ま、間違えてる……?」

 

「ああ」

 

 俺がやろうとしているのは要するに「この場で【OFA・フルカウル】を思い付かせて早く身に付けさせよう」って事だ。

 さて、上手く伝えられるといいんだが……。

 

「聞くが緑谷、【個性】を使う時にどんな感じで……そう、どんなイメージで使ってる?」

 

「え、えっと、電子レンジに入れた卵が爆発しないイメージ……」

 

 そうか、そういうイメージでやってるって確か原作でもあったな。

 しかし、だ――。

 

「悪いが緑谷、それがきっと間違いの元なんだと思う」

 

「えっ!?」

 

「考えてみてくれ。電子レンジに卵って、基本『やっちゃダメ』或いは『おススメしない』使い方だろ?」

 

 もちろん昨今、電子レンジで卵を調理する使い方も調理器具もありふれてはいるが、そこは置いておく。

 

「うっ、い、言われてみれば……!」

 

「恐らく緑谷の中で、【個性】と『失敗』が強く結びついたイメージになってるんだと思う」

 

「ッ!」

 

「だから、失敗を恐れて使うのを躊躇してしまう。使わないから調整もできない。余計に失敗のイメージがこびり付く。悪循環だ」

 

「っ、確かに……」

 

 疲れも手伝ってか、緑谷が落ち込み始める。

 そこに付き合ってたら日が暮れそうだから、話を進めさせてもらう。

 

「先ずはさっき言った電子レンジと卵のイメージは捨てろ。別の新しいイメージを刷り込み直すんだ」

 

「で、でも、僕も手探り状態で、新しいイメージって言っても、どうしたらいいか……」

 

「焦るな。俺が【個性】を使う時にイメージしている方法がある。それを試してみよう。言う通りにやってみてくれ」

 

「う、うん!どうすればいいの!?」

 

「その前に、場所を変えよう」

 

 保健室の前、通路の真ん中でやるのは拙い。

 外に出て校舎の裏、という程じゃないが人気のない校舎の陰に行く。

 

「先ずは力まずに背筋を伸ばして、両足を肩幅ぐらいに、両腕は力を抜いて、無理なく自然な体勢で立つ」

 

「……こ、こうかな?」

 

 緑谷が俺が言った通りの姿勢で立つ。

 

「よし。次に目を閉じて、ゆったりと呼吸をする。くれぐれも力まずにな」

 

「すぅ……ふぅ……」

 

 うん、オーラも落ち着いているな。

 

「オーケー。その状態を維持しつつ、頭の中に自分の体を思い浮かべる。頭の天辺から足の先まで、一つの輪郭として。どうだ?」

 

「う、うん……できた、と思う」

 

「よし。次はヘソをイメージに加える」

 

「へ、ヘソを……?」

 

 目を閉じつつ疑問符を浮かべる緑谷。

 

「東洋医学や武道の世界で、ヘソの少し下に『丹田』と呼ばれる『人体の中心』『力の集まる場所』とされる箇所がある。俺はこれを自分の【個性】のイメージに組み込んでいるんだ。でも、ヘソの下だと微妙に意識がブレるから、ヘソを体の中心として捉える。やってみ」

 

「う、うん」

 

「そしたら、そこを中心に【個性】が全身を巡り、循環する――いや、させる様に意識する。通り道として血管や神経をイメージするといい。どっちも筋肉、内臓、骨といった全身の隅々まで張り巡らされているからな。あ、呼吸と体勢は崩さず、変に力まず、ゆっくりとな。【個性】も身体能力、お前の体の一部、お前の血肉なんだ。扱えない訳がない」

 

「ッ!」

 

 おっ、緑谷のオーラが高まり始めた。

 俺が言ったイメージが上手く出来たみたいだ。

 

バチチ…!

 

 良い感じ、アニメで見た【フルカウル】のスパークが見えた。

 

「~~!で、出来た……!そうか、これだったん――だッ!?」

 

 と思ったら一瞬で消えた。

 

 どうした?

 折角【フルカウル】出来たと思ったのに……。

 

「どうした、緑谷?」

 

「た、体力が……ゼェ、ゼェ……!」

 

 途端、息を切らす緑谷。

 

 そうか、【フルカウル】が出来たはいいが、リカバリーガールの【個性】で怪我を治した影響で、【フルカウル】を維持し続けるだけの体力が残ってないって事か。

 

「ゼェ、ゼェ……で、でもっ……!ありがとう、気賀くん!ゼェ、ゼェ……君のおかげで、僕、取っ掛かりを掴めた気がするよっ!ゼェ、ゼェ……!」

 

「そ、そうか、それはよかった」

 

 めっちゃ息切れしとるが……ともかくこれで、すぐには無理でも原作より大分早く【フルカウル】を身に付けられるだろう。

 後は、緑谷の頑張り次第――大いに頑張ってもらいたい。

 

「ハァ、ハァ……ふぅ……それにしても、凄いね、気賀くん。今日見ただけで、ここまで僕の【個性】を調整できるなんて……!」

 

「ああ、それはな。俺は【個性:オーラ】の影響で、自分以外の生き物のオーラ――生命エネルギー的なものを感覚的に捉える事が出来るんだ。それで緑谷がボール投げをした時のオーラを感じ取って推測した」

 

「す、凄いや!」

 

 おい、その年季の入ったノートとシャーペンどこから出した?

 ガリガリ高速で書き込んでるし……!

 

 と、そこから始まる緑谷ブツブツ劇場――

 

「ブツブツ……(気賀くんの【個性:オーラ】……)ブツブツブツ……(生き物のオーラを感じ取れるって事は探知系も内包してる……)ブツブツブツブツ……(その上オーラを飛ばしたり空も飛べるなんて凄過ぎる【個性】だ……)ブツブツブツブツブツ……!(さっき気賀くんが言ってたイメージ、凄く分かりやすかったし……!)ブツブツブツブツブツブツ……!(言われてみれば当たり前だった今まで僕は腕や足にだけ【OFA】を使ってその度に壊してきた【OFA】は何人もの極まりし身体能力が1つに集束されたものそんな大き過ぎる力を箇所を限定してそこに集中するから破裂して……!)」

 

 緑谷がオタクモードに入りかけている!?

 おいおい、俺が目の前にいるのに危険な内容を口走るなよ!

 周りには俺達以外いないし、【オーラ】で鍛えた俺だからブツブツの内容まで聞こえちゃったとはいえ、迂闊だぞ、緑谷……。

 

 まあ、何はともあれ、少しは緑谷の強化になっただろう。

 何せ緑谷は『僕のヒーローアカデミア』の主人公、来たる『死柄木弔』や『敵連合』や『AFO』との戦いの中心ど真ん中に立つであろう男だ。

 その強化はきっと、未来の平和を近くに引き寄せる……筈だ。

 

 さて、それじゃあ目的も達した事だし、お節介はここまでに――

 

「ゼェ、ゼェ……!」

 

 て、また息切れしとる。

 オタクモードも体力使うのかな?

 

「……大丈夫か?帰り道、付き添おうか?」

 

 お節介、もう少し続けようか。

 

「はぁ、はぁ、ふぅぅ……だ、大丈夫、ありがとう。でも、出来ればもう少し【個性】の使い方について話が聞きたいんだ。それで、その、気賀くんさえ良ければ、その……」

 

 モジモジせんでくれ……。

 男のモジモジなんて誰得?って話よ。

 

「ああ、良いよ。駅まででよければ一緒に帰ろうぜ」

 

「っ!うんっ!」

 

 まあ、嬉しそうな顔。

 ここまで喜ばれると、悪い気はしないがちょい照れ臭くもあるな。

 

 ともあれ、俺と緑谷は2人で話しながら校門へ向かった。

 

 そこで――

 

「指は治ったのかい?」

 

「わ!飯田くん……!」

 

 飯田が待ち構えていた感じで合流。

 

 続いて――

 

「おーい!3人ともー!」

 

 麗日も合流。

 

 何となく、4人で友達同士になった感じで、色々話しながら帰った。

 

 こうして雄英高校入学初日は終わった――。

 

 




 独自解釈、ご容赦を。
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