僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。


エピソード8 いいぞガンバレ飯田くん?異論ないし俺も頑張ろ

 初戦闘訓練の翌日――

 

 

 

「はぁ~……」

 

 朝からくたびれた……。

 

 登校してきたら、張り込んでいたマスコミに囲まれて、ギャーギャー騒がれた……。

 当たり障りなくスルーしたつもりだが、ああいうのは鬱陶しくて嫌いだ。

 

 クラスの皆も登校時に絡まれたっぽい。

 その事でまたワイワイしている。

 

ガラ

 

「おはよう」

 

 相澤先生が来て、ホームルーム開始。

 

「昨日の戦闘訓練、お疲れ~」

 

 相澤先生は長話はせず、爆豪・緑谷にお小言を一言二言言って昨日の件については終わり――

 

「あと気賀」

 

 と思ったらここで俺?!

 

「出来る事が多いのは結構だが、【個性】の詳細はなるべく事前にこっちに伝えとけ。今後の指導にも関わる事だ」

 

「あ、はい」

 

 オーラを感知する事とか、他人に分けられる事の話か。

 オールマイトから情報共有されたんだな。

 他には知らせていない事はないと思うが……【ヤードラット式瞬間移動】とか【影分身の術】みたいな特殊技は再現不可能みたいだし……まあ、何か思いついたら報告すればいいか。

 

「ホームルームの本題だ。急で悪いが今日は君らに……」

 

 瞬間、クラスに『また臨時テストッ!?』と緊張が走る――。

 

「――学級委員長を決めてもらう」

 

(((学校っぽいのキタ~!)))

 

 一気に緩んだ。

 声とか出てないのに、何故か物凄い連帯感……!

 

 さておき、学級委員長と聞いて始まる自己アピール合戦――

 

「委員長!やりたいです!それ俺!」

 

 と、切島が諸手を挙げれば。

 

「俺も!」

 

「ウチもやりたいっす」

 

 続いて上鳴、耳郎も手を挙げる。

 

「僕の為にあるヤ「リーダーやるやるー!」」

 

 芦戸が青山に被せて跳ねる様にアピール。

 

「オイラ、マニフェストは『女子全員のスカート膝上30センチ』ー!!」

 

 峰田、アウトー。

 

「俺にやらせろーッ!!俺にーッ!!」

 

 爆豪……昨日のアレであいつにやらせる気にはならんな。

 

 結局は皆がみんなやりたい訳だ。

 俺(と轟もか?)はそれ程でもないが。

 

 しかし、このままじゃいつまでも纏まらずに相澤先生に睨み殺されそうなので――

 

パァンッ!

 

『!?』

 

 俺は柏手でもって全員を一度静め、注目を集める。

 

「一旦ストップ!皆が皆『俺が~』『私が~』って言い合ってたって纏まらねえ。全員自分がやりたいって事はもう分かったから、どう決めるかを話し合おうぜ」

 

「気賀くんの言う通りだ!」

 

 飯田が話し出す。

 

「学級委員長は、他を牽引する責任重大な仕事だ。ただ単純にやりたい者がやれるものではないだろう。周囲からの信頼あってこそ務まる聖務!民主主義に則り、真のリーダーをみんなで決めるというのなら!これは投票で決めるべき議案!」

 

『腕そびえ立ってるじゃねえか!』

 

 飯田の右腕は誰よりも高らかに、ピンと伸びていた……正直者か。

 

「何故発案した?」

 

「日も浅いのに信頼もくそもないわ、飯田ちゃん」

 

「そんなん皆、自分に入れらあ」

 

 上鳴・梅雨ちゃん・切島の順に懐疑的意見が出る。

 まあ恐らくは全員同じ事を思っているだろう。

 

 ならばとここで俺は追加提案――

 

「じゃあ、名前を2人書いたらどうだ?」

 

『2人?』

 

「そう。『自分が委員長なら副委員長はコイツ』って感じで。勿論、任せたい誰か2人でもいい。それなら自薦・他薦が同時に出来るから、飯田が言った信頼も、現時点でのが計れるんじゃないか?」

 

『なるほど』

 

 結果として、俺の案が採用され、投票開始――

 言い出しっぺの飯田と俺、そして八百万の協力で投票用紙と集計箱が用意され、全員が投票、勿論無記名――誰が誰に入れたかは秘密が基本だ。

 ただし、ちゃんと2人名前を書かない・自分の名前を2人分書く・白紙票などルールを守らないのは一律無効とした。

 

 で、投票結果――

 

気賀 巧――18票

八百万 百――4票

飯田 天哉――2票

緑谷 出久――2票

青山 優雅――1票

芦戸 三奈――1票

蛙吹 梅雨――1票

尾白 猿夫――1票

上鳴 電気――1票

切島 鋭児郎――1票

口田 甲司――1票

砂藤 力道――1票

障子 目蔵――1票

耳郎 響香――1票

瀬呂 範太――1票

常闇 踏影――1票

葉隠 透――1票

峰田 実――1票

 

麗日 お茶子――0票

轟 焦凍――0票

爆豪 勝己――0票

 

 

「えっ?俺18票?」

 

「ぼ、僕2票!?」

 

「湯気野郎はともかくなんでデクにッ!?誰がッ!?」

 

「ぼッ……俺にも、2票……!」

 

 何故か俺に票が集まるという結果に……これは流石に驚く。

 ホント何故に俺?

 特に俺はそういう信任集まる様な事はしてない筈だが……?

 

 てか爆豪、湯気野郎て……湯気ってオーラの事か……?

 

「じゃあ、委員長は気賀、副委員長は八百万だ」

 

 相澤先生の言葉で本決まりになってしまった……。

 飯田が委員長になる流れが変わっちまったな。

 まあ、こうなったからには仕方ない。

 

「まあ……皆が票をくれた訳だから、責任もってやるわ。よろしく」

 

「悔しい気持ちはありますが、わたくしも精一杯務めさせていただきますわ」

 

 クラス委員長・副委員長は決まって、ホームルームが終わった。

 

 

 

「あー、腹減った」

 

 昼休み――俺は定番の唐揚げ定食・大盛りを持って、緑谷・麗日・飯田と同じテーブルに着いた。

 

「それにしても、やっぱり凄いね!気賀くん!」

 

「もぐ?」

 

 唐揚げを頬張ったところで、緑谷に話しかけられる。

 

「投票結果だよ!クラスの殆どが君に投票してたじゃないか!」

 

「確かにな。流石だ、気賀くん」

 

 咀嚼していたカレーライスを飲み込んだ飯田もそう言ってくる。

 

「誰もが『自分が委員長に!』と主張する中、それを一瞬で鎮め、納得させる提案を行える気賀くんの冷静さは、他を牽引するに値する。あの圧倒的な投票結果も、納得がいく」

 

 そんなもんかね~と思いつつ、頬張った唐揚げを噛んで飲み込み、すぐさま白米を投入――。

 

「でも、飯田くんも委員長やりたかったんじゃないの?眼鏡だし」

 

 何気にざっくりいくよな、麗日……。

 

「……やりたいと相応しいか否かは別の話、僕は僕の正しいと思う判断をしたまでだ」

 

「「僕?!」」

 

 何の気なしといった感じで一人称が変わった飯田に、緑谷と麗日が驚きの声をハモらせる。

 

「ちょっと思ってたけど……飯田くんって、坊ちゃん!?」

 

「坊っ……!?」

 

 ホントにざっくりだな、麗日……。

 

「……そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが」

 

「「……」」STARE~STARE~STARE~

 

「……おい、緑谷、麗日……凝視やめたれ」

 

 興味津々すぎるだろ……。

 

「……いや、構わないよ、気賀くん。俺の一家は代々ヒーロー一家なんだ。俺はその次男だよ」

 

「「ええっ!凄ぉお!!」」

 

「ターボヒーロー『インゲニウム』を知っているかい?」

 

「勿論だよ!東京の事務所に65人ものサイドキックを雇っている大人気ヒーローじゃないか!」

 

 ヒーローオタク緑谷が情報を補足――

 

「はっ!まさか!?」

 

「それが俺の兄さっ!」

 

 思いっ切り胸を逸らす飯田――憚る事なく兄貴が自慢なんだろう、良い意味で。

 

「あからさま!」

「凄いやー!!」

 

 麗日と緑谷がそれぞれ声を上げる。

 

「規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー。俺はそんな兄に憧れ、ヒーローを志した!」

 

 良い顔、そして良い動機だ。

 少し羨ましくなる……残念ながら俺には、この世界でこれと言って憧れるヒーローはいないから……。

 『ドラゴンボール』とか『NARUTO』とかには憧れキャラは多数いるが、あれらは別次元の二次元存在だし……。

 

「はは、良い顔するじゃないか、飯田」

 

「む?そうか?」

 

 首を傾げる飯田に、俺のみならず緑谷と麗日が頷く。

 

「なんか初めて笑ったかもね!飯田くん!」

 

「え?そうだったか?笑うぞ?俺は」

 

 麗日の言葉に、今度は逆に飯田が首を傾げる。

 

 なんだか良いな、こういう談笑ってヤツは……青春って感じだ。

 前世の俺は、こういう青春時代を送れなかったからな。

 

ジリリリリリリリッッ!!!

 

『ッ!?』

 

「警報!?」

 

『セキュリティー3が突破されました。生徒の皆さんは、速やかに屋外に避難して下さい』

 

 途端、食堂が騒がしくなる。

 

「セキュリティー3って何ですか!?」

 

「校舎内に誰かが侵入してきたって事だよ!」

 

 飯田と上級生のやり取り――思い出した!

 朝もいたマスゴミが雄英に侵入して警報が鳴るエピソードがあったな。

 でも、あれは確かカモフラージュで、本当は『敵連合』の雄英襲撃計画の準備――本当の侵入者は敵。

 

「……!」

 

 騒乱を余所にオーラによる感知を試みると、外の方にマスゴミと思しき多数の生命反応の他に、少し離れた場所――位置的に恐らく校舎内と思しき場所に、あんまり良くない感じの反応が2つ……多分敵連合の『死柄木弔』と、あと……何て言ったかド忘れしたが、黒い靄の様な奴がいたから、多分そいつだ!

 

 だが、この時点では幾ら侵入を感知できても俺に出来る事はないな……。

 出来る事があるとしたら、後で相澤先生にでもそれとなく報告しておくぐらいか……。

 

 で、今は――

 

「ぼ、僕達も避難しないとっ!」

 

「はいストップ!」

 

 慌てて避難しようと立ち上がる緑谷達を俺は止める。

 

「気賀くん!?」

 

「落ち着け!いま廊下に出たら人の波に飲まれるぞ!」

 

 言って指を差し示した先――警報とアナウンスを聞いて、生徒が一斉に避難しようとして大渋滞を起こしていた。

 

「うわっ!?すっごい詰まっとる!」

 

「むうっ、流石最高峰……!危機への対応が迅速だ!しかし……!」

 

「み、みんながみんな、迅速過ぎてパニックになってる……!慌てて避難してたら、僕達もあの一部になってた……!」

 

 麗日、飯田、緑谷が通路の様子を見て動きを止めた。

 よしよし。

 

「あれじゃどの道暫く身動きが取れん。少し様子を見よう」

 

「確かにそれが賢明だな!しかし、一体何が侵入したというんだ……!?」

 

 パニック状態の廊下を見ながら、飯田が顎に手を当てて思案顔……。

 

 そう言えば、これはアレか――飯田の『非常口』エピソードでもあったか。

 

 思えばあれでパニックも鎮まったし、飯田にとって貴重な経験と言えるか……よし。

 

「何もせずに眺めているのもなんだ。飯田、麗日、協力してくれ」

 

「気賀くん?」

「え?何?」

 

 振り向く2人――俺は【疑似・九尾チャクラモード】を発動、オーラの掌を出す。

 

「麗日、飯田を浮かせてくれ。飯田、俺がお前さんをオーラの掌で掴んで窓際まで運ぶから、外の様子を見てきてくれ。多少なりとも何か分かるかも知れない」

 

「なるほど、分かった!麗日くん、やってくれ!」

 

「はい!」

 

 麗日が飯田に触れて【個性】を使う。

 飯田の足が地面から離れたところで、俺がオーラの掌で飯田の胴体を掴む――力加減を慎重に。

 

「いくぞ!」

 

 一声かけたからオーラの掌を伸ばし、人の波の上を越えて飯田を窓際へ。

 

「……?!……!!」

 

 飯田が何かを――ってか外のマスゴミ共を見つけたんだろうな。

 体を捻ってこっちに手を振って合図してきた。

 

「侵入者はマスコミだった!校舎前に詰めかけているのが見えた!」

 

 食堂内まで引き戻した飯田の報告――やっぱりここは原作と同じだな。

 

 まんまと敵に利用されるとは、マスゴミ共め、迷惑千万……!

 大体門が謎に開いているからって許可なく入るか、普通?

 頭のネジ2、3本ぶっ飛んでいるとしか思えん……。

 

ガヤガヤガヤ……!

 

「ちょっ!待て!人倒れたって!!」

「押すなァ!」

 

 おっと、パニックが加速し始めた。

 さて、ここからどうやって飯田に『非常口』をさせるか――

 

「気賀くん!!」

 

 飯田?

 

「このまま俺を!通路の先に投げてくれ!」

 

「ッ!」

 

 これは……俺が何かする前に思い付いたか!

 

「よしきた!行けぇ!飯田ぁ!」

 

 オーラの掌で飯田を投げ――るのではなく、生徒達の頭上で押し出す。

 勢いよくブン投げたら、麗日の【無重力】の影響下にある飯田が壁に激突してしまうからな。

 

ズギャーーアアンッ!!

「――皆さん!!大丈ーー夫ッ!!!」

 

『!?』

 

 出たぁ!

 飯田の『非常口』――!!

 

 飯田の大声で、生徒たちの動きが止まる。

 

「只のマスコミです!!何もパニックになる事はありません!!大丈ーー夫ッ!!ここは雄英!!最高峰の人間に相応しい行動を取りましょうッ!!」

 

 廊下から緊張が抜け、生徒たちが落ち着きを取り戻した。

 パニックは回避できた様だ。

 

 やがて外にサイレンを鳴り響かせてパトカーが数台到着――事態は収束した。

 

 飯田の『非常口』を生で見れたのも良かった。

 

 

 

 大騒ぎだったが、一先ずまた雄英での1日が終わった――。

 

 

 

 余談だが、昼に侵入したマスゴミ共は、不法侵入騒ぎがネットに多数アップされ、そこから報道会社も幾つか特定されてしまい、各方面から盛大に叩かれて炎上したらしい。

 

 そしてもう1つ……感知した敵連合・死柄木弔の侵入の件、放課後に相澤先生に報告しておいた。

 

 流石に敵連合云々は言えないが、あの騒ぎの中で不審な気配が2つ、校内にいた事を話すと相澤先生は「分かった」と短く、それでいて迫力を漂わせて返してきた。

 それと「この件は他言無用だ」とも……当然だろうな、下手に言い触らして、余計な不安を広げるのは間違いない悪手だ。

 

 これで少しでも、この先の事件にプラスになればいいが……。

 

 




各員投票者
 青山――青山・気賀
 芦戸――芦戸・気賀
 蛙吹――蛙吹・気賀
 飯田――気賀・緑谷
 麗日――気賀・緑谷
 尾白――尾白・気賀
 上鳴――上鳴・気賀
 気賀――飯田・八百万
 切島――切島・気賀
 口田――口田・気賀
 砂藤――砂藤・気賀
 障子――障子・気賀
 耳郎――耳郎・気賀
 瀬呂――瀬呂・気賀
 常闇――常闇・気賀
 轟――気賀・八百万
 葉隠――葉隠・気賀
 爆豪――爆豪・(空欄)
 緑谷――気賀・飯田
 峰田――峰田・八百万
 八百万――八百万・気賀

殆どが自薦と有効そうな提案をした事から巧、巧は原作知識から、爆豪は緑谷以外の名前を憶えておらず無効票、峰田はスケベ心から
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