僕のヒーローアカデミア A Little Extra   作:ジョン堂

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 お読みいただき恐縮千万。


エピソード9 未知との遭遇?この未知には浪漫などない

 マスゴミ侵入騒動から数日後の午後――

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見る事になった」

 

 この前のマスゴミ騒ぎの影響……というより、その騒ぎの裏で暗躍していた“奴ら”への備えか。

 

 原作通りなら……今日、来るはず……。

 

「災害、水難なんでもござれ『レスキュー訓練』だ」

 

 コスチュームの着用は自由――俺のコスは物凄く丈夫なだけで特殊機能とか無いから、着ても着なくてもほぼ自力対処になる。

 

「訓練場は少し離れた所にあるから、バスに乗っていく。以上、準備開始」

 

 

 そして、メーカー修理中の緑谷以外全員がコスチュームに着替えて校舎前の専用バス乗り場に集合――。

 

 

「んじゃ分かりやすく出席番号順にバスに乗り込んで好きな席へ座ろう。でも先に乗る奴はなるべく奥へ端へ座るように頼むな」

 

 一応、委員長っぽく指示など出しておく。

 

 そしてスムーズに乗り込み、各々着席、バス出発――バス内で訓練場に着くまでは少し掛かる為、皆雑談に興じる。

 

「私、思ったことを何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」

 

「なっ、は、はい!?蛙吹さんっ!?」

 

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

 蛙吹――もとい梅雨ちゃんが声をかけると、隣に座る緑谷は妙にきょどって返事する。

 ちなみに緑谷は体操服と貸し出しのコスチュームパーツだ。

 

「あなたの【個性】、オールマイトに似てる」

 

「えっ!?」ギク

 

 凄い洞察力か直感力だ、梅雨ちゃん。

 

「そ、そ、そうかな!?いやでも、あの僕は、えとそのぉ~!?」

 

 緑谷、きょどり過ぎ……隠せ、怪しまれるぞ。

 

「待てよ、梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねえぞ。似て非なるアレだぜ」

 

「ほっ」

 

 切島の全く悪意・他意のない横やりに、あからさまに安堵の息を吐く緑谷……だから隠せ。

 

「しっかし増強型のシンプルな【個性】は良いよな!派手で出来る事が多い!」

 

 まあ、確かに。

 シンプルで派手なのは、周りから見ても分かりやすく強く見えて、ヒーローという魅せる事も活動の一環になっている職業には向いていると言える。

 

「俺の【硬化】は、対人じゃ強えけど、如何せん地味なんだよなぁ」

 

「僕は凄いカッコいいと思うよ!プロにも十分通用する【個性】だよ!」

 

 緑谷は純粋に切島の【個性】を褒める。

 元が無個性だから……それで嘲笑され続けた過去がその価値観を生んだんだよな……。

 差別って、本当に厄介だ……人類誕生から現在に至るまで消えた試しが無い。

 

「プロなぁ。しかしやっぱヒーローも、人気商売みてえなとこあるぜ?」

 

 と、思考が変な方向は飛んでいた――戻れ戻れ。

 ヒーローの現実の側面を口にした切島、彼は人当たりと性格が良いから、プロになったら人気が出ると思う。

 それに【個性:硬化】だってシンプルで、使い方次第でやれることは幾らでもある。

 

「切島は人柄が良いから、プロになったら人気出るだろ」

 

「そ、そうか?」

 

「ああ、少なくとも俺はそう思う」

 

 俺が思った事を言うと、切島は頭を掻いて照れ臭そうな嬉しそうな笑みを浮かべる。

 

「へへ、ありがとな!でも気賀こそあんだけ派手で強えんだから、人気出そうだよな!てか、もうプロでも通用しそうだ!」

 

「おいおい、それは過言ってもんだろ、切島」

 

 幾ら何でもプロの世界はそんなに甘くないだろう。

 前世の地球より、世紀末が身近なこの物騒な世界……きっとヒーローの受難はこれからなんだから……。

 

 

 その後、話の流れで爆豪が弄られて騒ぐ場面があったりしたが、平穏にバスは訓練場に到着した――。

 

 

「皆さん、待ってましたよ」

 

 俺達を出迎えたのは、宇宙服みたいなコスチュームに全身を包んだプロヒーロー。

 

「スペースヒーロー『13号』だぁ!災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー……!!」

 

 緑谷の説明的な台詞……流石はヒーローオタク。

 

「早速、中に入りましょう」

 

『よろしくお願いします!!』

 

 13号に先導され、訓練場に入る俺達1-A。

 

「ハーハッハッハッ!!やっと来たなぁ!有精卵ども!!」

 

 そこに掛かる高らかな笑い声――

 

「わーたーしーがー!!今日は『ヤングエイジ』のコスチュームで待ってた!!」

 

 拳を天に突き上げるポージングを決めるオールマイトがそこにいた。

 クラスが湧き立つ――やはりオールマイトがいるとテンションが上がる様だ。

 

 それにしても、確か原作だとオールマイトは初め遅刻か何かでいなかったんじゃなかったっけか……?

 何か変わったかな……?

 それにしても、よくよく感知してみるとオールマイトの気がなんか少し弱っている様な……?

 

 そんな俺の疑問を他所に、施設の紹介が始まる――。

 

 ドーム状の建物の中は、一見アトラクション――広大なドームの中にまた小さなドームがあったり、瓦礫と化したビル群が再現されていたり、岩山があったり、湖があったり……本当に雄英、どこから、そしてどんだけの予算が出ているのやら。

 

 これらの設備は全て災害の再現――水難事故、土砂災害、火災、暴風、etc……あらゆる事故や災害を想定し、13号が設計した演習場、その名も――

 

「『“ウソ”の“災害”や“事故”ルーム』、略して『USJ』!」

 

 それ、いいのか?

 

「えー、では始める前にお小言を1つ、2つ……3つ、4つ、5つ、6つ……」

 

 増える増える……。

 

 ともあれ始まる13号から為になるお説教――

 

 と、同時にオールマイトが何やら相澤先生に寄る。

 俺は気付かないフリをしつつ、2人の会話に意識を向ける――『念』の応用技【凝】を使わずとも、長年の修行の成果で地の聴覚も鍛えられ、この位の距離であの位の内緒話ならちょっと集中すれば聞き取れてしまう。

 

「……何です、オールマイト……?」

 

「……実は、その、通勤中色々あって、結構活動時間使っちゃってね……?何とか最速で片付けて授業に間に合わせたんだけど、ぶっちゃけ、かなりギリギリなんだ……。それで、ちょっと、最後までは居られないかも知れないんだ……」

 

「……不合理の極みですね……何の為に3人体制にしたと思ってるんですか……?」

 

「……本当に申し訳ない……!!」

 

 おいおい、オールマイトェ……。

 通りで気が弱ってる筈だ……。

 

 大丈夫かな……?

 いざとなったら、何か適当な理由を付けてオーラを分けるか……。

 

 一先ず、13号先生のお小言演説の方に意識を戻す――。

 

 曰く、【個性】とは他人を簡単に殺せる力……俺然り、爆豪然り、轟然り……クラスの皆がそうだ。

 超人社会は【個性】の使用を資格制にし、厳しく規制する事で一見成り立っている様に見える。

 しかし、一歩間違えば容易に人を殺せる、行き過ぎた【個性】を個々が持っている事を忘れてはならない。

 相澤先生の体力テストで自分たち力が秘めている可能性を知り、オールマイトの戦闘訓練でそれを他人に向ける危険性を体感した。

 

「この授業では心機一転、人命の為に【個性】をどう活用するかを、学んでいきましょう。君たちの力は、人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだと、心得て帰ってくださいな。――以上、ご清聴ありがとうございました」

 

 語り終えた途端、13号先生に向けて、歓声が沸く。

 

 胸にスッと入る、実に為になるお話だった。

 そこで思う――俺は、どんなヒーローを目指すか……。

 正直、原作がどうのこうのばかり考えていて、自分がこの世界でヒーローというものになるに当たってのビジョンが不明確だった様に思う。

 俺の【個性:オーラ】なら、出来る事は多かろう。

 しかしだからと言って何でもかんでも手を出していたら、どっち付かずの中途半端になる事は目に見えている。

 

 基本中の基本『人助け』――それは大前提、問題はどうやって人を助けるのかという事だ。

 

 将来の敵との戦いに備えるのも大事だが、この先も生きていくこの世界に地に足を着けていく事も考えるべき……これからの課題としよう。

 

「よぉし、そんじゃ先ずは――」

 

バチ

 

 突如、照明がスパークして消えた。

 

 不穏な気を感じる……来たな……!

 

 USJ中央の噴水の手前、そこに黒い渦が現れる。

 渦は広がり、そこから現れる、顔や頭に人の“手”を付けた白髪の男……。

 

 死柄木弔……!

 

「一塊になって動くな!!」

 

 気付いた相澤先生の鋭い指示が飛ぶ。

 

「……相澤君、13号。生徒達を守ってくれ」

 

 ゆらりと前に進み出るオールマイト。

 気が一気に膨れ上がった……!

 

「……?何だありゃ?」

 

 異変に気付き、その視線を追った切島が気付く。

 

 見れば広がった黒い渦から次々と敵が姿を現している。

 

 その中から、筋肉質の巨体、全身が黒く、脳が剥き出しの、一際気持ち悪い姿の敵が現れた。

 

 あれが『脳無』――オールマイト対策に調整されたという改造人間……死柄木の隣に立ち、2人が並ぶと異様さが際立ちすぎて寒気がする。

 何であんな悪趣味極まる姿に……AFO、一体どんな神経してやがんだ?

 

「まぁた入試ん時みたいな、もう始まってんぞパターン?」

 

「――動くなッ!」

 

『!?』

 

 相澤先生の鋭い声に、僅かに動こうとしていた皆が止まる。

 

「あれは、敵だ……!」

 

 その一言で、全員に緊張が走る。

 

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