【FGO×スレイヤーズ】特異点FGO-S 虚構祭祀神殿ミプロス 〜ドラまたの美少女魔道士〜 前編 作:matsuru_curdis
人理継続保障機関・カルデアでは、二〇一六年で人類は絶滅するという未来観測を覆すため、霊子転移(レイシフト)による時間遡行を実行し、召喚に応じた様々な時代・世界の英霊とともに、歪められた七つの特異点を修復し、人理を取り戻す聖杯探索の旅を続けている。
「新たな特異点、ですか?」
管制室に呼び出されたカルデア唯一のマスター・ぐだおの問いに、ロマニ・アーキマン(通称・Dr.ロマン)はうなずいた。
「ああ。だが、詳しい時代や場所が特定できない、非常に不確かな状態なんだ」
「人理への影響はあるのでしょうか?」
同じく呼び出されたサーヴァントであるシールダー、マシュ・キリエライトが尋ねると、Dr.ロマンは困ったように首をかしげる。
「現時点では判断は難しいね。
だけど、規模を考えると間違いなく聖杯が関係していると思われる。
でも、僕としてはこんな危険なレイシフトは行ってほしくないと思っているよ。
現カルデアの司令官としてだけでなく、君たちの友人としてもね」
「でもこのまま放っておくわけには……」
気遣うロマンの言葉を嬉しく思いつつも、ぐだおは、特異点を見過ごすことがどんな惨事の引き金になるか顔を曇らせた。
「時代や場所が分からない……これは以前に魔法少女の世界へ行ったときのように、本来の地球とは異なる並行世界へのレイシフトなのでしょうか?」
「いい着眼点だ。その可能性も高いと思うよ、マシュ」
「ドクター、こうしていても埒があきません。レイシフト、実行してください!」
「そうですね、先輩!
どんな危険が待ち受けていても、先輩は必ず私が守ります!」
「……分かった。
ただし、十分に気をつけて行動するんだ。
それと同行するサーヴァントは厳選してくれ。
どんなことが起こるかまったく予想のできない未知の領域に飛び込むんだからね」
「はい! まかせてください、ドクター!」
管制室に様々なアナウンスがせわしなく響く中、ぐだおとマシュは、コフィン内でレイシフトを待っていた。
「霊子転移(レイシフト)、シークエンスを開始します。各員、最終調整に入ってください」
「マスター適性、問題なし。
魔術回路、正常に接続。
クライン・コフィン、封印条件クリア」
モニターに流れる様々な情報を処理しつつ、Dr.ロマンは、コフィン内のぐだおとマシュに呼びかける。
「いよいよだね。
無事に成功することを祈ってるよ。
レイシフト、開始!」
瞬間、光の渦が収束し、ぐだおたちは真っ白な光に包まれた。
その中、マシュはいつものレイシフトとは違った違和感を覚えた。
しかしそれはごく僅かな霊子情報の乱れのようなもので、不確かな特異点へのレイシフトゆえのものだと納得した。
同じくマスターも違和感を感じていた。
それはマシュが感じたものとは異なり、冷たいような、そして熱いような、判別できない薄い膜に包まれるような感覚だった。
しかしそれはすぐに消え去り、彼の右手の令呪だけが微弱に赫く脈動していた。
「こちら管制室。
応答して! 聞こえるかい?
君たちの霊子転移は成功したようだ!
しかし、同行するサーヴァントたちはこちらに残されてしまっている!
おーい! 応答してくれ!」
そう呼びかけるロマンだが、返答はなく、レイシフト先の映像もモニターには映らず、音声も砂嵐のようなノイズ音だけが流れている。
「やはり無理があったか……ふたりのステータスチェックはどうなっている?」
「はい、ドクター。
マスター及びサーヴァントともに若干の誤差はありますが、正常値を維持しています。
しかし、マスター側に解析不能なノイズらしきものが検出されています」
「なんだって?」
オペレーターの言葉に、ロマンは、目の前のモニターにステータスを表示させる。
「これは……霊基反応?
いや、似て非なるなにか、か?
誤差の範囲だけど、気になるな……すまないが正常値の維持と並行して解析を進めてくれ」
「了解です。あ、今、特異点の起点、つまり聖杯と思しき魔力反応のある場所が判明しました」
オペレーターの指し示すモニターの表示にロマンは、再びレイシフト先のふたりに呼びかける。
「ふたりとも応答してくれ!
そちらの様子はどうなっている?
判明した目指す場所は、『ミプロス』!
繰り返す! 約束の島『ミプロス』だ!」