【FGO×スレイヤーズ】特異点FGO-S 虚構祭祀神殿ミプロス 〜ドラまたの美少女魔道士〜 前編   作:matsuru_curdis

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第三章 合縁奇縁!? 呪われた都市サイラーグへ

 

 鬱蒼と生い茂る木々により昼なお暗い森の中をぐだおとマシュ、そしてリナたち一行が歩いていた。

 

「ずいぶんと深い森ですね、先輩」

 

「ああ、真っ昼間だってのに木漏れ日でかろうじて前が見えるくらいだなんて……リナさん、本当にこの道なのか?」

 

「大丈夫よ、これが一番近いんだからつべこべ言わない!

 それにこれでも前よりはましになったのよ、ここ。ねえ、ゼル」

 

「ああ、ここは以前瘴気の森と呼ばれていてな。

 百二十年前、魔道都市と呼ばれていたサイラーグを滅ぼした魔獣ザナッファーが倒された際に流れ出た血が瘴気を発し、その影響で森全体が妖しい気配を帯び、行方不明者が続出したりや犯罪発生率が異様に高かったりしたもんだが、とあることでその瘴気自体が消え失せ、今じゃ普通の森とたいしてかわらんくらいだ」

 

「へぇ~、リナさん、魔獣ザナッファーなんて呼ばれてたんだ」

 

「ちょと待てい! ぐだお!

 なんであたしがザナッファーなのよ!」

「え? だってさっき野盗が『サイラーグを二度滅ぼした女』って言ってたからてっきり」

 

「ザナッファーが滅ぼしたのは一度目!

 しかも百二十年前だってゼルが言ってたでしょ?」

 

「うん、だから百二十年前にザナッファーって呼ばれてたリナさんが……」

 

「あんた、あたしをいくつだと思ってんのよ!」

 

「え? もしかして意外に若いとか?

 強大な魔術師ほど見た目と年齢が違うって聞いたことあったからリナさんもそーなのかなーって、つい」

 

「だー! もー!

 あたしは十八よ! じゅーはちっ!

 百二十年前に生きててたまるもんですか!」

 

「え? 俺と同い年!?」

 

「あんたも十八なの? それにしては童顔ねえ」

 

「いや、リナさんもでしょそれ。

 ん? そーすると、今向かってるサイラーグって最低でも三度は滅んでることになるのか?」

 

「そうなるな。

 先程も言ったが、一度目は百二十年前。

 魔道実験により生み出された魔獣ザナッファーをガウリイの旦那の先祖の光の剣の勇者が倒している」

 

「てことは、ガウリイさんて勇者の子孫!?」

 

 ゼルガディスの説明に、ぐだおは後方をのほほんと歩いているガウリイを見る。

 

「ん? おう、なんかそうらしいぞ。

 ガキの頃、似たような話聞きながら寝てたから詳しくはないけどな」

 

 関係者感をまったく感じさせず笑うガウリイにぐだおは頬を引きつらせる。

 

「で、二度目が二年くらい前ね。

 とあるグレた賢者が作ったコピーホムンクルスがさらにグレて、あたしとガウリイ、ゼルを極悪人って指名手配して、そいつの広範囲無差別呪文で壊滅させられたってわけ」

 

「グレたけんじゃにつくられたグレたコピーホムンクルス!?

 それに恨まれるって……リナさんたち、いったい何やらかしたんたよ?」

 

「何って……そのグレた賢者の心に封印されてた魔王の欠片が復活したから滅ぼしたのが始まりで……」

 

「「ぶほっ」」

 

 あまりのことをさらっと言うリナに、ぐだおとマシュは思わず吹き出した。

 

「で、そのグレた賢者の生前に酷い魔道実験されて自我が芽生えて復讐の機会を伺ってたコピーホムンクルスに逆恨みされただけよ?

 いい? 逆恨みだかんね?

 そこんとこ勘違いしないように!」

 

「ま、魔王の欠片を倒して、しかも、逆恨みで都市ひとつ壊滅させられる相手を打ち倒すなんて……」とマシュの盾を握る手に力が籠もる。

 

「やっぱりリナさんてザナッ……」

 

「違うわよ!

 まったく、あんたら、あたしをなんなんだと……」

 

 言いかけたぐだおを制したリナは、ぶつぶつと文句を口にする。

 

「し、しかし、いくら物語のヒロインとはいえ、あまりにも、その、偉業が凄すぎて……やはり師事するしか……」

 

「そ、それだけリナさんが特別な存在だってことだよ!

 だから、ね? マシュ、どーかそれだけは思い止まって!」

 

「なーに言ってんのよ?

 あたしはただの美少女天才魔道士ってだけで特別ってわけじゃないわ。

 それに特別ってんなら、ガウリイは光の剣の勇者の子孫、ゼルはさっき言ってたグレた賢者の孫だか曾孫、アメリアなんか聖王国セイルーンのお姫様なんだし、そっちのほうがよっぽど特別じゃない」

 

「おい、リナ、レゾの話は……」

 

「そうですよ、リナ

  今のわたしは一介の正義の味方!

 悪を倒して、正義を広めるため、こうして旅をしているんですから」

 

「はあ、つまりアメリアさんはリナさんが悪事を起こさないために監視としてついてきている、ということなのか」

 

「はいそこー。また変な勘違いしない!

 なんであたしが監視されなきゃなんないのよ!」

 

「でもやっぱりさっきの野盗が『セイルーンを滅ぼしかけた女』って……」

 

「なるほど。だからそこのお姫様のアメリアさんが監視としてついてきてる、と先輩は思ったわけですね!」

 

 マシュの言葉にこくこくとうなずくぐだおを見て、リナは大きくため息をつく。

 

「違うわよー……ってあたしに何度言わせる気よ、もー。

 あれはー、その、セイルーン王家内部に入り込んだ魔族と戦闘になって、そいつらが浮かした島くらいの大きさの大地が王都めがけて落下する前に、増幅版竜破斬ぶっぱなしたら、余波で街がちょっぴり巻き添えになったってゆー……あーまー……たしかに滅ぼしかけたになるわね、これ」

 

 珍しく己の所業を省みるリナに、興味津々と言った目でぐだおが尋ねる。

 

「それで、リナさん、サイラーグの三度目の滅亡は?」

 

「三度目ぇ?

 三度目は魔王の腹心の部下の冥王(ヘルマスター)があたしを呼び寄せるためにサイラーグに巣を作ってたのよ。

 で、偶然が重なって、そいつが自滅して滅んだわけ。

 巣っていっても壊滅する前のサイラーグにそっくりな街でね、それを何人もの人が目撃してたから、そいつが滅んだのと合わせて消滅したのをどこからかあたしが滅ぼしたってウワサになって広まったってわけ。

 分かった?」

 

「魔獣に滅ぼされて、グレた賢者のコピーに壊滅させられて、魔族の幹部(?)が巣を作ってまた滅んだ、って……呪われた都市なのか、サイラーグって」

 

「まあ三度もそんな目に遭ってるし、実際、あたしもそう思いながら向かったこともあるから否定はできないわね……あれ? 向かったのいつだっけ?……なんかおかしいわね?」

 

「ああ。気を付けろ、リナ。なにかいるぞ」

 

「ガウリイ?」

 

 後方を歩いているガウリイの剣呑な言葉に、リナたちはぐだおとマシュを守るようにして周囲を警戒する。

 

「リナさん!? な、なにかいるのですか?

 ドクター!? 敵性反応は?

 こちらではなにも確認できません」

 

 突然の緊迫感にぐだおをかばいながら、マシュは大きな盾を手に構え、ロマニに問い掛ける。

 

『すまない、マシュ!

 こちらでは相変わらず君とぐだおくんを観測するので精一杯なんだ!』

 

 マシュに突然呼び掛けられ焦る様子を見せるロマンだが、イレギュラーなレイシフトの状況下では周囲の索敵もままならないらしい。

 

「いるのは分かってるわ!

 辺り一面を吹き飛ばされたくなければ、さっさと出てきなさい!」

 

 警戒しつつ隠れている相手を挑発するリナに合わせ、ガウリイたち三人も身構える。

 

 すると、前方の一際暗い木陰から三つの人影が現れた。

 

 ひとりは柔和な笑みを浮かべ神官服を着た男性。

 

 ひとりは目付きの悪い黒髪短髪の男性。

 

 最後のひとりは銀髪をポニーテールにしたやや無表情な美人の女性だった。

 

「なっ!?」と息を呑むリナ。

 

「お前は!?」と警戒するゼルガディス。

 

「なんで、あなたが!?」と構えをとるアメリア。

 

「おお!……こいつら誰だっけ?」と首をかしげるガウリイに、

 

『このクラゲ頭ぁ!』

 

 リナ、ゼルガディス、アメリアは、声を揃えてツッコミを入れた。

 

「え、えーっと、リナさん、こちらの三人、知り合いなんだよね?

 でもガウリイさん、知らないってのは……」

 

「あー、ガウリイの記憶力に期待しないで。知り合いなのは確かよ」

 

「ああ、だが俺とアメリアが知っているのはひとりだがな」

 

「はい。獣神官ゼロス。

 魔王の腹心の部下のひとり獣王(グレーター・ビースト)がただひとり作り出した『竜を滅せし者(ドラゴン・スレイヤー)』の異名を持つ強大な力を持った魔族です」

 

 緊張した顔のゼルガディスとアメリアの説明に神官服の男性ーゼロスは微笑みながら応える。

 

「いやですねえ。

 アメリアさん、ゼルガディスさん、そんな物騒な呼び名は止めて、いつものように気軽に謎の神官(プリースト)とお呼びください。

 いやー、それにしてもお久しぶりですね。

 リナさんもガウリイさんもおかわりなく。そして、そちらのお二人は……」

 

「ゼロス、下がってろ」

 

 ぐだおとマシュに声をかけようとしたゼロスだったが、目付きの悪い黒髪短髪の男の短い言葉に「これは失礼を」と一礼して後ろに下がった。

 

「なによ、ルーク。

 あんた、いつの間にゼロスと知り合いになったのよ?」

 

 少しトゲの含んだ問いかけに、黒髪短髪の男性ールークは黙ったまま、その鋭い目付きでリナを見つめる。

 

「なによ?

 言いたいことがあるならはっきり言ったらどうなの?」

 

「……ザナッファーに間違えられてやんの」

 

「はあ!? ちょと待て、今なんつった!!」

 

 ルークの言葉に声を荒げるリナ。

 

「いっくら別の世界からきたやつだからって、魔獣と間違われるって、出会ってからこの二人の前で何やらかしたんだか!」

 

「うるさいうるさいうるさーい!

 あんたこれ以上言うようなら容赦しないわよ!」

 

 爆笑するルークに顔を真っ赤にしたリナが大声で怒鳴り散らす。

 

「その辺にしてルーク。話が出来ないわ」

 

 本格的な喧嘩に発展する前に、銀髪の女性ーミリーナが割って入った。

 

「でもよぉ、ミリーナ……」

 

「いい加減にして、ルーク。

 事は急を要することくらい分かっているはずよ」

 

 相棒に諭され口をつぐむルーク。

 

「とはいってもここじゃ込み入った話は難しそうね。ついてきて、魔獣リナッファー」

 

「あんたもかっ、ミリーナァ!」

 

 真顔で放たれるボケに、リナのツッコミが元・瘴気の森に響き渡った。

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