Persona3 Elias   作:ぷにっかる

8 / 10
8th shot:PUT

「……………何も言うなよ」

 

俯いたままエレナが固まった。

 

ウッキウキで見せようとしていたものがこの有様では仕方ない。

 

とはいえ彼女達には光るものがある。

 

特に精霊は何かを守ろうという強い意志をその瞳から感じる。

 

きっと良いペルソナを持っているはずだ。

 

「市長様…!ローネに部隊を一任するというあり得ない行動のせいで絶望する羽目になった市長様…!」

「その絶望した顔、なんとお美しいことか…♡」

 

上司の失態に対して興奮する秘書官、それだけでもおかしいがそれ以上に様子がおかしい。

 

恍惚とした表情で息を荒らげながら、まるで大人向けビデオを親に隠れてこっそりと見ている少年のような視線をエレナに向けている。

 

「え、えっと…装備の説明でしたよね…!」

 

元凶のローネはやや動揺しながらも何事もなかったように話を本題へと移そうとした。

 

誰も彼もが滅茶苦茶で、これがモナティアムという土地なのかと困惑する。

 

「そ…そうだな、まずはこの召喚器からだ!」

「あとローネはあとで減俸な」

 

ついでに減俸処分を受けるローネ、残念でもなく当然だ。

 

しかし一番気になっていた部分から入ってくれたのは少し助かる。

 

桐条財閥が幾度も研究を重ね、多くの犠牲の上に完成した召喚器。

 

それと同じものが何故この世界に存在するのか。

 

「こいつは銃の形をしているんだが、機能としては注射器に近い」

「こいつをこう…頭に向けて引き金を引くと脳に直接、私が開発した特殊な因子が打ち込まれる」

「その因子が作用して対象者から無理矢理ペルソナを引き出すんだ」

 

卒倒した。

 

「教主様…わかります、私もこれはちょっといただけないかと」

 

やっていることがストレガを想起させる上、脳に直接因子を注入するという手法が生理的に受け入れられない。

 

「ローネ、実際にやってみせろ」

 

「え!?」

 

案の定、実演を指示されたローネも目に見えて怯えていた。

 

彼女は震える手でホルスターから召喚器を抜く。

 

「……待って、見せなくていい」

 

もう既に帰りたい気分になっていた。

 

完成品がアレならば開発の経緯を聞かされたら間違いなく手を出す。

 

それに加えて受け入れられないことばかりでとにかく一刻も早くその場を後にしたかった。

 

「そ、そうか…」

(なんかこいつ感触悪くないか…?)

 

「如何しますか、市長様」

 

「そうだな…よし、ローネ!隊員達の紹介をしてやれ!」

(こいつらがやり手だとわかればまだ巻き返せる…!)

 

「はい!」

 

そう言ってローネは最初に竜族を指した。

 

「この人はシルフィールさんです、炎が弱点で氷に耐性があります」

「使ってる武器は小回りの効くダガーで命中率も高いんですよ!」

 

「よろしく」

「あんたが教主?ふぅん、結構良いじゃない」

(見ただけじゃわからないけど…こいつ相当強いわよ…!)

 

やたら説明がゲームのキャラっぽいのは置いておくとして、隊員の特性が把握できているのは評価できる。

 

そして次にローネが指したのは精霊。

 

「この人はガヴィアさん、大地の精霊です!」

「特にこれといった弱点はないんですけど特殊攻撃が無くて物理攻撃がメインの戦い方になります」

 

「…………………」コクコク

 

大地の精霊か、推測はほとんど当たっていたようだ。

 

そしてやはりガヴィアからは強い意志を感じる。

 

精霊とは世界樹の為に働く種族と聞くが、彼女もまた精霊として影時間の収束に向けて一役買おうという気概に溢れているのだろう。

 

「最後はうちのエース、ティグさんです!」

「…ティグさん?」

 

そこにはティグの姿が無かった。

 

「どうやらティグ隊員は帰ったようですね」

「出動でないとわかるや否や興を失ったものかと」

 

「まぁいつも通りだな」

「強くなれるから、あいつがここに来たのはたったそれだけのことだからな」

 

強くなれるというのが彼女がPUTに加入した理由らしいが、具体的にはどういうことだろうか?

 

シャドウとの実戦で経験が積めるだとか、或いはモナティアムの最先端技術で作られたトレーニング器具があれば効率的に体を鍛えることができるだとか。

 

様々なことが考えられる。

 

「そうそう、忘れるところだったな」

「アメリア、あれを出せ」

 

「はい、ただいま」

 

そう言ってエレナの秘書──アメリアは、何処からか取り出したアタッシュケースを開いて中の物を見せた。

 

「……これは」

 

「先代教主が行方を眩ます前に残していったものを元に複製したものだ」

「まだ完成とは言えない出来でな、改良のためにコイツを君達にテストしてもらいたい」

 

ケースの中身は僕が使う召喚器とほとんど同じものだった。

 

S.E.E.S.の文字は無く、代わりにP.U.T.と刻印されていてサイズもエーリアス人用に小さくなっていた。

 

しかもご丁寧にネルとエルフィンの分で2つも用意されている。

 

「これで私達も…」

 

しかし、先代教主もこれを持っていたということはその者はS.E.E.S.の誰かなのだろうか?

 

それならシャドウの脅威を理解している筈で、召喚器を手放すなど考え難い。

 

謎は深まるばかりだ。

あとがきって要りますかね…

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