あのあと完成品の召喚器を無償提供することを条件に協力関係を結ぶ書類にサインさせられた。
こちらの世界の文字は読めなかったが、書類をネルに読んでもらったところ特にこちらが不利になりそうな記述は無かったそう。
「契約という形を取っておいた方がそっちも多少は信用できるだろう?」
「相手がエルフだったとしても…」
エルフとは狡猾な種族だと聞いていたがこの期に及んで優位に立とうとしない辺り、それほど切羽詰まっているのだろうか。
「頼むよ、こっちだって市民がシャドウにやられててなりふり構ってられないんだ!」
(なにが悲しくてまた人間に頭下げなきゃならないんだ…このあたしが…)
考えていることはともかく、あんな風に言われては疑う気も失せるというものだ。
最悪面倒があればぶん殴って事態を解決する選択肢もないことはない。
今後僕がペルソナを集め、エルフィンやネルにもペルソナが発現すれば最終的な総合戦力ではこちらに分がある筈だ。
「待ってください、教主様」
「女王様が!」
「え?」
目を話した隙にエルフィンが居なくなっていた。
通りで静かだと思った。
とはいえあの幼いエルフィンが一人でモナティアムを歩いているとなると非常にまずい。
あの体たらくでも一応は一国の長であり権力者、悪意ある何者かに連れ去られたり犯罪に巻き込まれている可能性もこのエーリアスでは十二分にある。
「教主!きょうしゅー!」
そう思っていたらあっさり見つかって拍子抜けた。
しかも売店で売っていたスナック菓子の袋を持って。
「何処に行かれていたのですか!」
「お、怒らないでよ!」
「お腹空いちゃっておやつ買いに行ってただけじゃない…」
「あとこのお菓子全然甘くないわ!」
「……心配だからやめて」
やはりこの女王、幼い…。
本来の統治者がこの有様では妖精王国の統治はネルが担っているという噂も嘘ではないのかもしれない。
しかし、エルフィンを叱りつけるネルはやはり母親のように見える。
「あとでお説教ですからね!」
「……まずは近くのホテルに行こう」
「……影時間にはまだ早いし」
太陽が沈み始めてはいるものの、影時間が始まる0時はまだまだ時間がある。
それまでに夕食を摂って長旅の疲れを癒しておきたかった。
…………───
「始まりましたね…」
「……始まったね」
時刻は0時きっかり、僕はこの土地に来て二度目の影時間を迎えた。
エルフィンは目に見えて怯えていて、僕の脚にしがみついたまま一言も話さなくなっていた。
何度も経験したそれは“立ち向かう”ということを意識した途端違って見えてくるのか召喚器を手にしたまま固まっている。
それでも彼女にも戦ってもらわなければ…痛む心を誤魔化すようにその頭をゆっくりと、赤子をあやすかのように優しく撫でた。
「……大丈夫?」
「これ、エルフが作ったものよね…」
エルフの悪名は筋金入りらしく、エルフィンも彼女達が作ったものを信用できないようだ。
しかし、様子を見ているとそれだけではなさそうだった。
「教主がやったみたいに頭に当ててみたの」
「でも…怖い……これ使い方合ってる…?」
「……それは正常な反応」
死のないエーリアスでも召喚器があればそれに匹敵するほどの恐怖を感じられるようだ。
ペルソナの召喚に必要な要素は大きく分けて2つある。
『死を強く意識する状況』と『死と向き合う覚悟』だ。
少なとも前者は満たしているようなので、第一の関門は突破できたと言って良い。
あとは
考えても仕方がないのでモナティアム市庁舎へと向かうことにした。
その道中、エルフィンとは対照的にネルは異様に落ち着き払っていた。
それどころか斧を振り回してシャドウを一体残らず殲滅しようと息巻いている。
「……やる気に溢れているね」
「えぇ、ようやくあの忌々しい影共を皆殺しにできるのですから!」
「ヤツらを絶滅させられるならこの身がどうなろうと構いません!」
彼女の場合は強い覚悟もあるのだろうか、おそらく後者もクリアしていることになる。
そんな風に考えていると、ビル群に隠されていた巨大で歪な塔が姿を現した。
「……タルタロス?」
それはかつて僕とその仲間達が登った
入り口の前には先に来ていたPUTのメンバーとエレナの姿があった。
「あれがシャドウの…」
「……あぁ、行こうか」
アンケートを取ったところあとがきはあった方が良いとのことなので書こうと思うのですが、何を書いたら良いのかわかりませんね
コミュは大体誰がどのアルカナかも決まってます(エルフィンが魔術師、ネルが女帝などなど…)が、私の独断と偏見で決めているので解釈違いに関してはご了承頂きたく存じます
あとがきって要りますかね…
-
Yes
-
No