私は今から転生をします。   作:あかさたなはまやる

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書いていて楽しかった。
自分では読みやすい文だと思っていても、
別視点で見ると読みづらい文だったり
することがあるからどきどきしてる。


世界征服やってみた。

 

「武器はこの剣とかどうでしょうか。魔力を込めやすくて、この中だと一番シエロ様の魔力量に耐えれるかと思います。」

 

私たちは誘拐犯をやっつけるために、

村の倉庫から武器を探していた。

 

「じゃあこれにします。勇者っぽいし。」

「本当にそんな理由でいいんですか...?」

 

私の武器は強そうな剣と予備の短剣で決定した。

剣は右肩に、短剣は左の腰に備えている。

 

次は外に出て、魔力の使い方を練習。今は1番簡単な身体強化のやり方を教えてもらっている。

 

「まずは自身の体力を意識します。そうしたら

身体能力とは別のエネルギーを感じますか?それが魔力です。」

 

これが魔力か。さっきまで無意識に使ってたかも。本当に身体の機能に魔力があるんだと改めて実感した。

 

「なるほど!なんか魔力の使い方が少しわかったかも!」

 

私はそう言って少量の魔力を使用し、拾った小石を握りつぶした。その後は少し剣の扱い方の基礎を学んで、それから。

 

ーーー近くの森ーーー

 

マーシャの『村近くでたくさんの人を監禁出来る

ような場所はこの森ぐらいしかありません。』

という推測により、私たちはこの森を探索していた。魔力があることで体力の消費はほとんど無いようなものだった。

 

「うーん......」

「先程から何をなされているんですか?」

 

マーシャが尋ねてきた。

 

「戦いに備えて魔法を何か使ってみようと思って。

体力を消費しない範囲で炎を出そうとしています。」

 

魔法の練習中にマーシャが一瞬見せた

指先から炎を出す魔法を見てやってみたくなった。

 

「膨大な魔力量のシエロ様でも身体強化以外の魔法は困難だと思います。魔法は全て型を作ってその中に魔力を流し込む物なので、大体は魔導書で勉強して習得します。」

 

このメガネでもマーシャの魔法を見た時には

魔力に関する情報は分からなかった。記憶喪失の

人間でさえ魔力は知っているものなんだなぁ。

 

「あれ!村のみんなです!」

 

びっくりした。彼女が指した場所には拘束されたエルフ達と、誘拐犯らしき人?達がいた。数は5、6人ほど。

 

メガネは誘拐犯達の姿を魔族だと言っていた。でも見た目はツノがあるだけの人間にしか見えない。

 

「まだ気づかれてないようですね。あれで全員かは分からないから、少し様子見をしませんか?」

 

「......分かりました。もし気づかれそうになったら先に攻撃魔法を打ちます。」

 

きっと早く助け出したいだろうに。ここで確実にみんなを助け出すために堪えるのは、彼女が完成された存在だからだと考えていいだろう。

 

「作戦はマーシャさんの攻撃魔法で敵を皆殺し。

もしも生き残りがいた場合は〜」

 

ーーー少し時間が経過したーーー

 

マーシャについて少しずつ分かってきた。

彼女は私が居なかった場合、誘拐犯に1人で挑む

ような勇敢と無謀を履き違える馬鹿ではない。

自分にできることを理解して動くことの出来る様な

しっかりした人なのかもしれない。(人ではない)

 

『ボッ』私の指先からマッチより小さい炎が出た音だった。

ついに1分間ぐらい集中したら炎を出せるようになったのだ。

感覚で言うと小さい穴に水を通す感じだった。

 

「うっ......」

 

監禁された村民が誘拐犯に殴られたのを見た

マーシャがうめき声をあげた。見ていて面白いな。

 

「そろそろ行きますか?」

 

これ以上遠くから見ていても得られる情報はもう無いだろう、と判断した。

 

「はい。それでは今から初撃の攻撃魔法を放ちます。」

 

マーシャの目の前からなにか違和感が生じた。

身体強化を強めることでそれが魔力だと分かった。

 

そして、轟音がなった。ガシャーン的な音だった。

 

誘拐犯達がいた場所に目をやると、クレーターって言うのかな。その場所だけ地形が抉れていた。

 

「村の人達、死んでないですよね?」

「行きますよ、シエロ様!」

 

ーーー誘拐犯の拠点ーーー

 

拠点とはもう言えない場所に私たちは身体強化で駆け寄る。敵が今の攻撃で生きていた場合、確実に仕留めるために。

 

「生き残りが居ました!」

 

マーシャの方が敵と近かったからマーシャが攻撃魔法を仕掛けた。私は村民たちの安全を確かめようとした。横からは轟音が聞こえた。マーシャの攻撃魔法を2回も受けたら流石に死ぬだろうと思っていた。

 

「......ほう?いきなり攻撃をしてくるなんて...

村のやつらに当たったらどうするんだ?」

 

そこには男がいた。観察していたときからやけに

目立っていた、フードを深く被った大人の魔族。

マーシャの攻撃魔法を2回受けても衣服の乱れさえ無く、落ち着いている。

 

「なんで、私の魔法が...効いて...」

 

「俺は魔族だ。この中で1番魔力を扱えて当然だろう?まあ耐魔法服は使っているが、な。」

 

マーシャの魔力量は多分多い方だと思う。

だってあれが平均だったらめちゃくちゃでしょ。

それを防いだなら並大抵の身体強化も無力化

されるだろう。並大抵の魔力量ならね。

 

「にしてもあの村に残りが居たなんてな。しかも2人も。」

「村の村民を返せ!魔族!なんでアンタたちはいつも!平和を脅かすんだ!」

 

マーシャが怒っている。けどそんなに怖くは無い。

 

「そんなの決まってるだろう?俺ら魔族はほとんどが次期魔王派閥のDALEの構成員だ。組織の目標を達成しない限り、この戦いは終わらねえんだよ。それにDALEは壊滅なんてしないようになっている。俺にだって愛する娘がいるしな。」

 

その言い方だと、仕方なく戦っているだけのように聞こえた。まるで魔族にも人質がいるかのように。けどとにかく目標が気になった。

 

「それで、君たちDALEの目標は何なの?」

 

「DALEのことを知らないなんて随分世間知らずなやつだな。なら良いだろう、教えてやる。

 

 

俺たちを動かすDALEのトップの目標は.........

 

 

街中に次期魔王の銅像があって、全てが次期魔王の思い通りになる悪の帝国、

魔王ランドを作ることだ。」

 

「ダッセ!しょうもねえ!」

 

まじかこいつら、そんなことのために誘拐して

いろんな種族と殺し合いしてるの?嘘でしょ?

しかも魔王ランドってなんだよ。もっとあるでしょ、なんかいいの!

 

「くっ、魔族めえ!」

 

マーシャはなんか納得してる!!!

 

「まあ、どっちにしろ俺たちの殺し合いは存在終わらないんだ。きっかけなんて些細なものだろう?」

 

こいつも理由受け入れてそう!!!

 

「村のやつらを誘拐したのも魔王らしさを演出するためらしい。それで、そこのエルフの魔法が俺に効かない以上残るはお前だけだが...DALEを敵に回した以上は両方納得のいく死はないだろう。けど今なら痛みもなく殺してやれるぞ?」

 

「シエロ様.....................................」

 

気づいたら話が進行してしまっていた。まあいいか、初めて殺し合う相手としてはかなりいい相手だろう。どうせDALEと戦うのは変わらないんだし。

そして私は背中の剣を抜いた。

 

「マーシャさんは村の人達を逃しておいてください。ここは僕が戦います。」

 

私の初めては1体1がよかった。だからマーシャには別のことをやっておいてもらおう。

 

「え、でも、けど、そうしたらあなたが、」

 

「ぼくには勝機があるけどマーシャにはないでしょ。早く行って!」

 

早くどっか行ってほしいので強めの口調で彼女を急かす。数秒まごついて、村民の救助へ向かった。相手の魔族はそれを黙って見ている。

 

「それじゃ、戦いを始めようか?」

 

私はそう言って剣を構える。そういえばさっき、

勝機があるって言ったけど私が勝てる保証はない。

ただ身体能力が高いだけだ。付け加えるように言うと、転生特典で私の身体能力は魔力も含めて人類の中では最強クラスらしいけど、そもそもこの世界だと人間は何の特徴もない最弱の種族らしい。

 

「お前、この状況でよく笑えるな。」

 

指摘されて、自分が笑ってることに気付いた。

 

「え?本当だ。ふふふ......そうだね、私は今まで

こんな戦いはしたことなかったんだよ。しかも自分の命をかけた戦いじゃなくて、それ以上の戦い。

君だって愛する娘が居るんでしょ?

私だってここで負けたらせっかくのこの人生が

ちゃらになるからね。それを一度もやったことの

無い殺し合いで出来るなんて、

私個人の、魂の実力が試されるんだ...!」

 

そうだ。私はこういうのがしたくて転生したんだ。

転生させてくれてありがとう神さま。そして私が勝った時には村民も、神も、魔族も、全員

私を認めろ、称えろ!

 

「...急に一人称を変えたりたくさん喋ったり楽しそうなやつだな。」

 

...あっ、また指摘されて気づいた。完全に自分の世界だったな。顔が熱い。

 

「あぅ、えっと...一人で失礼しました。何はともあれぼくはDALEを壊滅させる者として、全てをかけて君と戦います。」

 

「何、別に恥じることはない。お前だってそれ程この戦いに真剣に取り組んでいるんだろう。どんな者であろうと、最後まで守りたいものを守れるやつが笑えるんだ。だから俺は最愛の娘、クレールのたった1人の父として、お前と戦うことだ。」

 

そうして、相手の魔族は被っていたフードを脱いだ。この世界には美形が多いのか、紫色の髪と目をしたクールな雰囲気の魔族だった。徐々に戦いの始まりが近づいてくるのを感じる。

 

「...ぼくが勝ったらクレールってやつは覚えておこう。だから君が勝ったら、シエロという名前を覚えて帰ってね。」

 

魔力による身体強化をがっしり使う。

 

「お前たちには何か感じるものがあるからな。マーシャと言ったか、あのエルフの名前も覚えといてやるよ。」

 

相手は何も無い空間から黒色の剣を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして私たちは互いに動き出す。

見る限り身体能力は魔力を含め私の方が圧倒的だ。

背後に無理矢理回って背中を斬りつけようとする。

だが、相手は正面を向いていたというのに一瞬で

身体をねじってこっちの方を向いて、剣を剣で弾いてきた。私は体勢を崩してしまう。相手は剣を弾いた勢いのまま私の首を狙ってくる。

私が剣を持っている右手は弾かれた勢いで右肩より向こうにあり、対して相手は私から見て左真横から首の位置を狙ってきたため、一旦フィジカルの差で無理矢理距離をとった。

 

「ハッ、お前本当に人間なのかよ。戦い方は素人もいい所、どうやらさっき言っていた通り本当に殺し合いは未経験らしいが、なぜそこまでの身体能力を普通の人生で得られるんだ?まるで身体能力だけを与えられた子供の様だ。」

 

殆ど正解のことを言われて、ちょっと驚いた。

 

「ぼくからしたらその身体能力の差を技術だけで潰してくる方が凄いよ。魔法とか使ってくると思ってたのに。」

 

「生憎俺には魔法の才能は無くてな。余った魔力は身体強化に回しているんだ。それに魔力を外部から遮断する耐魔法服を着ているから、大抵の魔法は俺から放つのも遮られるしな。一つの事に魔力を集めることしか出来ないんだよ。」

 

耐魔法服にはそんな欠点があるんだ。

 

「まあいいよ、そろそろ君の対処法も分かってきたし。かかってこいよ。」

 

身体能力の差により、全力で戦える時間は私の方がずっと長い。それを理解しているからこそ、向こうは私に突っ込んでくる。結局この魔族の対処法は

耐魔法服に触れずに身体強化を維持し続けて、スタミナ切れになったところを叩くことだ。今はまだフルで魔力を使った場合、倒せなかった時が怖い。

 

「チッ......」

 

相手が舌打ちをした。もちろん戦闘経験なんてないから、常に一定距離を保つことでずっと警戒させるぐらいしか思いつかなかったけど思ったより効果的のようだ。

 

「余裕が無くなってきたんじゃない?そんなんじゃ愛しの娘は守ーーーっ!?」

 

急に速度を上げて接近してきた。この男は今決着をつけるつもりだ。あまりにも急だけど、だからこそ押し切れると判断したのだろう。彼の最初の攻撃で大体の避け方を理解したつもりでいた。けれど彼の全力は剣の動きを見てからじゃ避けられない!距離を取ろうにも次はどこを狙ってくるかを予測して動かないと避けられないから不可能だ!

 

「ああ、その通りだ。ここで負けるようだったら

クレールを守るなんて出来やしない!」

 

一つ一つの攻撃が一度受けたら再起不能になるようなものだった。攻撃が来る度に脳が生き残るための最善策を叩き出す。もしも一瞬反応が出来なかったらという死の恐怖と、回避することで得られる生の実感が交互に頭にぶつかってくる。

 

「素敵な攻撃だ!初めて戦う相手が君で良かった!」

 

私は転生してくるまで、地球ではこんな心が踊るような体験なんて誰もさせてくれなかった!けどこの世界は違う、私というはただの純粋な乙女にここまで注目している!今は男だけど!

 

「はぁ、はぁ......なっ...!?」

 

でも、今回の楽しいイベントはここで私の勝ちで終わりのようだ...。私はずっと回避に専念していたから、相手の隙を見抜くことができた。完全に相手の間合いに入れたので、魔力を全て使って全力の身体強化を発動して、斬撃を放つ。自分でも認識できない速度でそれは耐魔法服を貫通した。

 

「ぼくの勝ちだ。」

 

最後は決着にふさわしいように、表情を崩さずに攻撃をした。また変ににやけちゃうと恥ずかしいからね。そして、剣が急所を貫いたことを確認する。

 

「こふっ......ここまで、か。」

「思ったより悔しがらないんだね。」

 

「......お前にはDALEと戦い抜く何かがあるんだろ......?お前は初めての戦闘で手練れの俺に勝った。経験を積んだら世界でも上澄みの実力者になるだろう。あのエルフだって相当な強者のようだしな。

......そろそろDALEのやつが10人程村へ行く予定だ。

......なに、DALEさえ壊滅すれば自由のために命をかける魔族は居なくなるからな。...お前にこれを渡しておく。」

 

胸ポケットにハンカチを入れられる。何これ?

にしても話長いなあ。

 

俺の娘は俺が死んだから復讐を始めるかもしれないが。............なぁ、俺の娘をーーー」

 

話が長いから、首を斬り落とした。

この魔族にも事情があるらしいけど、

もう負けたんだからさっさと死んで欲しいんだよな。

ていうか急所を刺したのにしぶといんだよ。

 

「それより、うーん。どうしようかなあ。」

 

手を伸ばしながらこれからのことを考える。

今から村にいる魔族達と戦うのは正直めんどくさい。

まあマーシャなら1人で村民を守りきってくれるだろう。

なら私はこの魔族の死体でもいろいろ弄って遊んでいるとしよう。

 

 

 

 

 

 

side:マーシャ

 

私はシエロ様と別れて囚われていたみんなを村へと避難させていた。

 

「みんな大丈夫?怪我はない?全員いるよね?」

 

森から逃げ出す際にみんなの治癒は済ませたが、

村に着くまでに負傷した者はいないかを確認する。

全員怪我一つないようだ。

 

「これから私は村の安全を確認してから状況確認の為にもう1人の味方と合流するわ。みんなはこの建物に隠れて!私?私は平気よ。だって、もう1人の味方はこの村の言い伝えの勇者様なの!だから心配することないわ。じゃあ扉は閉めるわね。」

 

さて、シエロ様と早く合流したいが私の魔法攻撃を防いだあの魔族は村のみんなを解放しに行くことを一切止めなかったのが引っかかる。最悪森の奴らとは別の魔族がこの村にくる可能性もある。

とはいえ索敵魔法だと、村の中では魔族の気配を探知できなかった。念の為に索敵魔法の範囲を広げると......

 

「!...魔族がいる。」

 

急いで相手の位置を確認する。今なら奇襲できそうだ。みんなを誘拐犯から解放した時に消耗の激しい治癒魔法を使ってしまったため残りの魔力量はあまり残っていない。だからこの一撃に全てを込めるつもりで攻撃魔法を放つ。

 

 

...が、敵はまだ3人程生き残っていた。生き残りは私に気づいて攻撃をしてくる。

普段ならこの程度はなんともないのだが、

残りの体力的にただ防御に徹するしかなかった。

 

 

体力の底が尽きてくる。敵が迫ってくる。避けるのは難しい。このままだと.........

 

突然、魔族が一人倒れた。

 

 

「加勢するよ。まだ動ける?」

 

現れたのは黒と白のコートを着た斧使いだった。顔はフードを被っていてよく見えない。高い声をしているから女性だろうか。

 

「...あ、ありがとうございます、魔力がほぼ尽きていて次の魔法を放つまで時間がかかりそうです。」

 

こんな状況だ。いちいち慌てて足を引っ張ってなんかいられない。お礼は後にして、状況を説明する。

 

「ならボクが時間を稼ぐよ。魔法の準備ができたら合図をして。」

 

「分かりました。お願いします!」

 

この方の動きは見る限りとても斧使いとは思えない程、素早くて戦闘技術にも長けていた。

 

「準備ができました!!」

 

魔力が回復したので合図をする。

 

「うん!ボクの斧に魔法を当てて!!」

 

これは斧と攻撃魔法を掛け合わせることで、強力な一撃を狙う戦術だ。この方が外すとは思えないが、一応避けづらい風魔法を斧に向かって放つ。

 

「ここで、終わりだ!」

 

3人の魔族の体が全員真っ二つになった。

 

「やった...私たちの勝ちだ...!」

 

私たちが今戦った魔族は、シエロ様が戦っている魔族の保険のようなものだろう。魔族達は10人程いたが誰も警戒をしていなかったことからこれ以上敵が来るとは思えない。

 

「お疲れ様、すごい綺麗な魔法だね。」

 

斧に付着した血を浄化魔法で綺麗にしながら

こっちに寄ってくる。

 

「お力添えいただき、誠にありがとうございます。」

「ううん、通りがかったついでだし気にしないで。それよりこの魔族たちの仲間が来たりってしないかな?」

「お気遣いありがとうございます。ですが、ご心配には及びません。もう1人魔族はいますが、そこには仲間が戦っています。敵の加勢が来ないので既に決着はついたのでしょう。」

「そっかぁ。なら良かった。それじゃあボクはそろそろ出発するね。」

 

この方にも礼をしないのは申し訳ないので呼び止める。

 

「お待ち下さい。差し支えなければぜひ、お礼をさせていただけますでしょうか。」

「えっ、そんな悪いよ。特に大したことなんてしてないし...」

「それではせめて、恐れ入りますがお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

彼女はおどおどしながら名前を告げる。

 

「ボクは、アンゼリカですぅ......」

 

戦闘時とは違ってしおらしいその振る舞いに口元が緩む。

 

「アンゼリカ様、素晴らしいお名前ですね。次回お会いする機会がございました際には、その折に感謝の意を表させていただければと存じます。」

 

アンゼリカ様に向かってお辞儀をする。そして顔を上げた瞬間に、そのフードの中を見てしまった。アンゼリカ様の顔はとてもかわいらしい

サキュバスだった。

 

「......あ......」

 

彼女は顔を手で覆って後ずさる。ひょっとして見られたくなかったのだろうか。

 

「あ、ボク、もう、行くので、」

「待っ...」

 

彼女は突然焦り出して走って行ってしまった。

 

 

 

 

 

side:シエロ

 

ずっと同じ場所にいるのも飽きたから、マーシャの村の方へ帰ったら白と黒のコートを来た人が前から走って来るのとすれ違った。マーシャを見つけて手を振る。

 

「シエロ様!無事のご様子、安心いたしました。」

 

「それで状況はーー」

 

マーシャから説明を受ける。

 

村に襲撃があったこと、アンゼリカという人物が助けてくれたこと、その人が走ってどっか行っちゃったこと。あぁ、さっきの人かな。

 

私からはあの魔族が、襲撃してくるグループで最後だと言っていたことを説明した。

 

「ところでさっきから何を食べているのですか?」

 

マーシャは私が持ってる食べ物について聞いてきた。

 

「これはさっきの魔族の肉です。

炎魔法を偶然覚えたので焼いて食べてみました。」

「......」

「入りますか?」

「......」

「...いや、冗談ですよ、鶏肉ですよ。」

 

とりあえず、今回の襲撃はこれで終わりだろう。

この流れも神さまが仕組んだっぽいし、

これ以上敵がやってきてももうつまらないしね。

 

 

 

 

 

そうして1日が経過した。

村の資材はどうやら殆ど荒らされていないようで、

復興までにあまり時間はかからなかった。

 

結局魔族の、いや、DALEの目的は魔王っぽいことをして魔王ランドを作ろうとしているのだろうか。ふっ、だとしたらくだらないね。

 

村の復興が完了して、村長の家に呼び出された。

やっぱりマーシャは村長の娘だった。

話の内容は礼をしたいとのことなので、

DALEの情報を聞いてみた。けどこの人たちも

あまりDALEのことは知らないようで

『魔族は全員悪いやつ』という認識のようだった。

 

DALEと戦う戦力などいろいろ話していると、

マーシャの話も出てきた。どうやら彼女は

この村でも歴代でかなり優秀な方らしく、

目指している魔族の駆逐も、今回の件で村長から

認められたようだった。

 

これはつまりそういうことだ。

 

「それならマーシャさん、もしよかったらぼくと共にDALE討伐をしませんか?君の魔法や判断力は一冒険者に留まる様な存在ではない。記憶喪失で

常識のないぼくには君のような知識のある人が必要なんです。」

 

明るい笑顔で手を差し伸べる。私はイケメンだから断れるはずがないだろう。

 

「おおなんと!勇者様自ら娘を...!」

 

村長も肯定的だ。

 

「わあ...ええ!喜んでお供いたします、シエロ様!

魔族がいる限り戦争は戦争は終わりません。

今後ともDALEを壊滅するまで、よろしくお願いいたします。」

 

マーシャが村から離れることは、村中ですぐに知れ渡った。私への恩と、村が無事な祝いと、マーシャの新たな出発を応援するために村で一週間かけて

パーティーをすることになった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

【ありがとうございます勇者様!】

【あなたのお陰です!】【一生忘れません!】

【助かりました!】

【明日からまた平和に暮らせます!】

 

 

 

村の人達からは常に感謝や憧れの目線で

注目された。ああ、なんて気持ちいいのだろう。

そうだ、みんなは私を認めろ。たくさん褒めろ、

私に声援を送れ、私を賞賛しろ...!!!

 

 

...この世界のラスボス、DALEのトップ。あとは

次期魔王とも言われてたっけ。

今回私と戦った魔族はかっこいいやつだったし、

きっと忘れることはないだろう。

もしも全ての敵があんなに戦っていてわくわくするようなやつらだったら最高だな。

 

ただ、目標が魔王ランドというのが引っかかる。

あんなに良い人材がいて、

ここまで世界を荒らしているというのに

その目標だけ雑だ。私は神さまがこの世界の設定を

大体決めていると勝手に考えていたけど、まるで

『この世界の設定を考えた存在が別人』のように

感じる。それぐらい魔王ランドは酷いものだ。

 

 

 

あと、私の人生はDALEと戦い抜いたあとは

決められていない。さらに話は変わるけど

次期魔王とやらは魔族すら支配できていない様だ。

それなら、私の方が上手に世界を統べることが出来る。

私こそがこの世界の王にふさわしい。

 

 

 

今後の目標が決まった。

 

私はもっとたくさん認められたい。

 

 

【ありがとうございます勇者様!】

【あなたのお陰です!】【一生忘れません!】

【助かりました!】

【明日からまた平和に暮らせます!】

 

 

これは始まりだ。だから宣言するとしよう。

 

 

世界中から祝福されるために。

 

 

全ての感情が私に向けられるように。

 

 

 

「私は、この世界の王になる!」




感想、評価お願いします!

1話目に主人公の血液型書いちゃったせいで
マーシャにも血液型あることにしなきゃ
いけなくなっちゃいました。
どういうことかと言うと、
このせいで「なんで異世界に血液型あるんだよ」
ってなるので設定を増やさないといけないですね。

うける。
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