衛宮美遊(水着)
能力の詳細はFGOの美遊・エーデルフェルト(水着)のマテリアル参照。
向こうと違う点として、イリヤエアプの状態でやっている。その為多少理性が垣間見える。
カルメンにより大いに
「微小特異点……ですか」
「うん。本来なら放っておいても消える程度のものだが、最近急にここの反応が大きくなってね。
とはいえ規模の大きさは微小の域は出てないし、折角だからバカンスに行かせたくてさ。上手くやれば聖杯が手に入るかもだし、調査のついでに時間が余ったら遊んでおいでよ」
「ここは……冬木にビーチなんてありました?」
「そこは特異点だからね。多分召喚された英霊が変わったとか、そんな所じゃないかな」
「南国の英霊が居そうですね、先輩!」
ロンドンの特異点を攻略して数日経った頃のこと、メインルームの集合アナウンスに従って赴き、伝えられたのはそんなものだった。
人理焼却を目論んでいる犯人がソロモンと分かった直後にこんなことをしてて良いのかと思うけど、ロマニが言うにはそんな時だからこそリフレッシュが必要なんだという。
「時期は西暦2015年。丁度カルデアが爆破された時期の特異点になるかな。本来なら聖杯戦争を開催するエインズワースもとっくに解体されて居ないし、何も起きない筈だけど……カルデアスはエインズワースの健在を示したんだ」
「つまりこれはチャンスな訳さ。未だ謎に包まれている
ブラックボックスを解明して直すより、新しく作った方が早いってワケ。だから召喚システムは新規開発中なんだけど、モデルが有れば加速するよね?
な・の・で! 二人にはそういう参考資料を取ってきて欲しいんだ!」
「なるほど。ダヴィンチちゃんでも召喚システムの復旧は難航してますからね。分かりました、不肖ながらマシュ・キリエライト、マスターを護衛しつつ工房を捜索します!」
……という事らしい。
そんな訳で僕とマシュは何ヶ月振りに冬木の地に降り立つ事になった。
「レイシフト完了しました。マスター、体調の方はどうでしょうか」
「……うん、問題ない。"寧ろ良い"。"だから異常"って感じかな」
「! それは…!」
街並みはあの時のように炎上はしておらず、されど住民は誰も居ない。
少し離れた場所の海の小波が聞こえて、蝉の鳴き声が遠くの山から聴こえる。
身体の調子は……今までの戦歴の跡が全て消えたみたいだ。
「うん、居るのかもね、カルメンさん」
この消え方には既視感があった。それも、結構最近の記憶から。
それはロンドンの終盤に受けたカルメンの宝具、全てが平凡になるアレに似ていて……魔力が使える辺りが、ちょっと違う。
もしかしたら弱体化してない本来のクラスで呼ばれたのだろうか。だとすれば納得だけど……全て終わった後にカルデアスが算出したカルメンの行動履歴の結果を見るに、そう簡単な話では終わらないだろう。あの人、運が良いのか悪いのか微妙な出来事が立て続けに起きてるし。
ピッピー。
[おっ繋がったね。そちらの状況は?]
「はい。事前の情報通り敵影、負の異常反応はありませんでした。マスターの調子が良くなってますが、後々悪くなる可能性は低いかと」
[了解。それじゃあ早速エインズワースの屋敷に向かってくれ。観測は続けるけど、不安なことが起きたら連絡するんだよ]
「分かりました。通信を切りますね、ドクター」
ロマニとマシュの通信が終わり、マシュが盾を備えながら僕の側に寄る。
ロンドンでの僕への奇襲以来、マシュは自然とこういう動作をするようになった。
歩き辛いしそんなに不安にさせる事に不甲斐なさを感じるが、マシュにとってはこれもシールダーとしての成長だ。僕も受け入れる事にして、その距離のまま先に進む。
「それではマスター、エインズワースの工房に向かいましょう」
「うん。だけどその前に……よし」
折角ならと。
マシュが進もうとする前に、僕は今回の魔術礼装を水着の物に変えてみた。
「あ、今回のミーティングで貰った礼装ですね! 良く似合ってますよ、マスター!」
「ありがとう。うーん……気分はプールの授業がある時のズボラスタイルだね」
内側に何処かの学校指定の水着、上に体操服、そこにジャージの上を肩に掛けたスタイル。
ダヴィンチちゃんが性癖に走ったとしか思えないものだが、かつての日常を思い出させる礼装だ。
人は居なくても普通の市街地を歩くというなら、折角ダヴィンチちゃんが作ったのだ。着ない手はないだろう。
「まぁ……これから他所様のお家に侵入するにしてはかなり場違いだけど」
「夏だからね!」
「ん?……ま、行こうか」
一瞬マシュがしないような言葉回しだったが、そんな事もあるかと気にせず歩いて……数分のこと。
ひらひら。
「すみませーん!」
「……! 白旗です、マスター! 初めて見ました!」
「その下に居るのは……"水着のイリヤ"? なんであんな所に」
歩いて数分後、マンションの4〜5階辺りのベランダでチラつく物に目を引かれると、そこには
……なんで?
ひらひら。
「助けてくださーい! ずっと降りられなくて困ってるんです!」
涙目で身体を振って自己主張しているが……一番の疑問は"すごくペラペラなこと"だろう。
僕は最初に布団に挟まってると言ったけど、あれは正しくない。
正しくは、紙のようにペラペラになった水着のイリヤが布団に挟まって干されているのだ。
うん、意味分からん。
「……どうしますか!? マスター!」
「助けようか。前にイリヤちゃんには助けて貰ったしね」
「分かりました。マシュいきます! はあ!」
「ひでぶ!!?」
ペラペラのイリヤがマシュの盾投げに巻き込まれたが、挟んでいた布団やはさみを破壊しつつも助けることが出来た。ペラペラのイリヤがふわりふわりとゆっくり落ちていくのを眺めつつ、こんな事を考えた。
「……久しぶりに会ったけど、テンションも何もかも違うなぁ」
なんだか前に会った時とテンションが違うけど、僕達とイリヤは知らない仲じゃない……そう、そうなのだ。
"実は、僕達はイリヤとはこれが初対面ではない"。
それは冬木の大聖杯の時のこと。燃え盛る冬木を乗り越える際、僕達は
あの時は
"……イリヤちゃん、失礼な事だけど、必要だから聞くね。 ここで何があったの?"
"────……なにも。うん、何も無かったんだよ。そう……なにも"
結局イリヤの身に何が有ったのかは分からず仕舞いだったが、きっと碌な事ではないんだろう。
同い年だからこそ、僕達の年齢であんな顔をする意味はよく分かっている。
だからこそ……。
「ありがとうございます……」
「……ええと、その…ペラペラの身体は?」
「ペーパーです」
「ペーパー……確かに触った感触は紙ですが……」
「二人はもこもこしてるね……いいなぁ、まだもこもこしてて」
「何が有ったんですか…?」
「うーん……舞台を開いたら紙にさせられちゃった…?」
「舞台…あっ! あー! もしかしてカルメンさん!?」
「はい。イリヤです。ここではイリヤの事はイリヤとしか呼べないので、イリヤなのです」
「カルメンさんだ! お久しぶりです!」
………。
例えカルメンさんとこの特異点の固有現象の相乗効果だとしても、こんな姿は見たくなかったなぁ。
色々有ったんだろうけど、ペーパーマ☆オみたいなイリヤは見たくなかったなぁ…!!
でもトンチキかぁ……よし、そろそろメンタル変えなきゃだ。
「事情を、一から、説明してください」
「あ、マスターが無心モードに! あぁ…ギャグに耐え切れなかったんですね、マスター…」
「う〜ん…美遊がすねすねモードになっちゃった…かな?」
ぷっちーん。
「一から!!! お願いします!!」
「はい! 一から説明させて頂きます!」
流石にマズいと思ったのか僕に敬礼してから正座する。
そうしてイリヤ(カルメン)の説明会が始まった。
「先ず、ロンドンで死んだ私が五年前の冬木にクラスカードとして召喚されまして……」
「うん」
「小鳥になりまして……」
「うん?」
「カーマの霊基に適合した現人神が現れまして……」
「はい?」
「美遊が不貞腐れて全部イリヤにするって言ってなにも聞かなくなっちゃった……」
「マシュ」
「シールドアタック!」
「うわらば!」
衝撃で盾に張り付いたペラペライリヤを剥がしつつ、改めて問いただした話から必要な部分を抜き取ると以下のようになった。
「イリヤポイントを高めないと「脱落」する……?」
「その美遊さんが思うイリヤらしさに近い程脱落しない……」
「全員が脱落すると全てがイリヤになる……???」
「はい……ワケわかんないと思うけど本当にそうなんです……」
項垂れながら何故か弁明してるけど、僕は別に嘘だと否定する気はない。
胡乱な話ではあるが、似たような物ならインドの神が統一されたユガの特異点で体験済みであるからだ。ガネーシャさんがいなければ死んでたので未だ記憶に新しい。
「そこは信用してる。要は一定周期で善人じゃない人が消える特異点の同類でしょ?
そのイリヤ像がカルメンさんの話したイリヤちゃんなんだね?」
「立香ちゃん〜…! そうなんだけど、私は特別例外枠でして……全員の見本になれ〜って、ペラペラの紙に押し込められちゃったのです」
「紙の中に封印された状態になったんですね」
「うん……なので何人か残ってるんだけど、その人達も消えたら全部私になります……」
紙になっても動けるなんて……さすが紙芝居の英霊と言うべきか。紙に封印された状態で動くのがどれだけ精神力がいるのか分かるから、その出鱈目には舌を巻く。
睡眠中にどこかの未来に描かれた紙の中の自分自身にレイシフトして、AI相手にドンパチした事があるから分かるのだ。
あの時ほどセプテムの反動でレイシフトした大奥で、カーマちゃんと縁を繋いでて良かったと思った事もない。カルデアに召喚出来ずとも、英霊と縁を繋ぐに越した事はないと改めて痛感させられる夢だった。
「よく動けますね。紙丸ごと動くなんて僕は出来ませんでしたから」
「まるで一度体験したみたいな言い方……お、恐ろしい子!」
「あはは……オケアノスでマゼラン船長の船に乗った時に色々ありまして……」
「すごく気になるんですけどぉ!? 立香ちゃん、どんな旅をしたのか後で教えてね!!」
なんだっけ……マゼラン船長がギリシャの神の船団、その内の探査船の神骸? なのは教えられてるけど、それ以外詳しく聞けたワケじゃないからあんまり分かってないんだよね。人じゃないから星の開拓者はないのは覚えてるんだけど……。
「カルデアに来たらね。データベースに色々残してるから。
僕の口から全部説明出来るものじゃないし、説明できる自信もない。
だから頑張って。クラスカードじゃなくて、自力で来てくれたらすごく助かるから」
とんでもない無茶振りだが、僕のカルデアはそのくらい出来ないと来れない。
召喚システムが壊れた反動で良くも悪くも色んなものを寄せ付けない領域になってるみたいだから。ソロモンがカルデアに手出し出来ない代わりに、英霊も来れなくなってるんだって。
「無茶振りだぁ〜……頑張るけど期待しないで欲しいなって。
……そろそろ行こっか。美遊に見つかる前に立香ちゃん達の用事を片付けないと」
「そうだね。行こう」
一区切り付いたとみるや、イリヤ(カルメン)は先に進むことを急かし始める。
僕もそれに同意して話がまとまった頃に──奴は来た。
「イリヤじゃない気配を感じる……」
背後からの声、振り向こうとした瞬間に被さる閃光。
直後に訪れる────
「私、イリヤだった気がしてきた……」
「マスター!?」
「そちらの半英霊は……効きそうにないので、特例で見逃してあげます。では、良きイリヤライフを」
くらくらしている間に謎の少女──カルメンが言う美遊は立ち去ってしまった。
そして自認をイリヤから取り戻した頃には、僕の手の甲には「27」と書かれた数字……イリヤポイントが表示されていたのだった。
「これって解決しないとダメ…だよね?」
「特異点から逃げても影響から逃れられないから……うん」
空を仰ぐ。
どうやら、僕はこれからカルメン……イリヤちゃんの演技をしなければいけなくなったらしい。
あーー……もう……夏だなぁ。
イリヤポイント
別名、「憧れは理解から最も遠い感情ゲージ」
カルメンが美遊に語ったイリヤと美遊の物語のイリヤにどれだけ近いか表すパーセントゲージ。
高い程長生きでき、低い程すぐ脱落して全てがイリヤになった時に虫……妖精扱いを受ける。
判断は全て美遊の独断と偏見に基づいているものの、生真面目な性格なのである種公平な判決が齎されている。
カルメンを120%に置いた際のゲージなので、仮にイリヤ本人が来ても98%にしかならない。
現在脱落ライン20%、残り人数305名+1。