雄英高校の闇、伝説の性癖・尊厳破壊ヒーロー『ミッキー』 作:青梅子
夏休みが明け、ニャローテからマスカーニャレベルの進化を遂げた光己のムチムチボディは、瞬く間に雄英高校ヒーロー科一年生の教室を大パニックへと陥れた。
だが、その衝撃が冷めやらぬまま迎えた、二学期初の実技授業。更衣室の前に立ち、自らの瞳をらんらんと輝かせている一人の女子生徒がいた。ギャル子である。
「てか光己がヒーローコスにしてるセーラー服パツパツじゃん! ウケる!」
ギャル子が腹を抱えて大爆笑しながら、光己の初期コスチュームを指差した。一学期までのみっちゃんであった頃に使っていたそれは、至って地味でささやかな、普通のセーラー服を模した戦闘服だった。
「笑うことないじゃん。私のこれ、リカバリーガールや隠密ヒーローの師匠と大真面目に相談して、隠密性を極限まで重視して設計したんだから」
「いやいや! 一学期まではそれで良くてもさ、今のあんたのその犯罪的なプロポーションで着たら、布地が悲鳴をあげて使い物にならないっての! コスプレかよ!あんたのヴィランの油断を誘うってコンセプトからすると、これを活かさないなんて大損失でしょ!」
「コスプレだよ! 活かすって何よ?」
「よーし決まり! 今日の放課後、サポート科に修正申請を出すから、今すぐ私の言う通りに変形させるよ!」
ギャル子の圧倒的な勢いに気圧され、光己は半ば強引にコスチュームの魔改造計画へと巻き込まれる羽目になった。
それからの一週間、放課後のサポート科は改造計画の秘密基地へと変貌した。しかしそこには、光己のあまりの大激変に精神を破壊され、光己を見るたびに
「ガルルルル……!」
とうなり声をあげ、シャーッと牙を剥いて威嚇するようになってしまった例の控えめ女子(仮)の姿もあった。
「ちょっとギャル子、これ正気!? 布の面積が半分以下になってるじゃん! ほぼ丸出しだよ!」
「安心しなさいって! 隠れるべき急所や絶対領域は完璧にガードされてるから! 雄英のうるさい倫理審査にもギリギリ引っかからない、完璧な合法仕様よ!」
試作品として届いた衣装は、ギャル子の手によって光己の想像を遥かに超えるギャルギャルしい格好へと魔改造されていた。
きゅっと引き締まったウエストを大胆に晒すへそ出しスタイルと、健康的な太ももを限界まで強調する超ミニスカ。さらに、ビカビカしたネオンカラーのアクセサリーに、足元はルーズソックスを模して新調された――刃物すら通さない雄英製の高機能防具を兼ねた戦闘用レッグウェアが、光己の爆豪ママボディの凹凸をこれでもかと密着して浮き上がらせていた。顔を真っ赤にして抵抗する光己と、それをノリノリで強引に進めるギャル子。その横で、控えめ女子(仮)が
「ガルるるる……! そんな犯罪的な体型、存在していいわけないじゃん!」
と再び目を血走らせて威嚇してくる。ギャル子がすかさず、光己の耳元でニヤニヤしながら囁いた。
「ねえ光己、ちょっとあの子に言ってあげなよ。あんたが夏休み明けに急にそんななって戻ってきたから、完全に情緒が不安定になってバグり散らかしてんのよ。ほら、『実は私、二歳上の17歳なんだよねー』って言えばあの子のプライドも形だけでも守れるし、この規格外の体型の言い訳にもなるじゃん? 冗談半分でさ!」
「えっ、そ、そんな大嘘……いくらなんでも無理があるよ」
「いいからいいから! ほら、威嚇が止まらないからさ!」
ギャル子に強引に背中を押され、そそのかされた光己は、激しく戸惑い、顔を真っ赤にしながら、彼女生来の優しさと尋常じゃない気まずさの混ざった顔で、ガルガルとうなり続ける控えめ女子(仮)の肩にそっと手を置いた。
「あ、落ち着いて……。あの、ね? 実は……私、17歳、だから……。みんなより、二歳年上なだけだから……。同級生としての体型じゃないのは当然だよ。だから、その……もう怒らないで」
照れと戸惑いで声を震わせながら光己が口にした、大真面目で不器用な嘘――17歳宣言であった。
だが、その言葉を聞いた瞬間、控えめ女子(仮)の脳細胞は、全く別の方向へと完全にフリーズした。
「え? ……アレ? みっちゃんはクラスメイトだけど……二歳上? 先輩がクラスメイト……? 私、今まで先輩に対して『控えめでささやか』とか言ってタメ口利いてた……!? 嘘、敬語にしなきゃ……!?」
15歳のクラスメイトが実は二歳上の先輩という謎の時空の歪みに、彼女の思考回路は完全にキャパシティをオーバーしてバグり散らかしてしまった。あまりの混乱に頭を抱えてガタガタと震え出した彼女の姿を見て、光己は
「よしよし、可哀想に……」
と、その包容力に満ちた圧倒的なムチムチの胸元で、彼女の頭をぎゅっと優しく抱きしめた。
その瞬間、限界まで発育した光己の暴力的かつ豊潤なバストの肉圧に顔を完全に埋められた控えめ女子(仮)は、頭のネジが弾け飛び、涙目を輝かせながら全力で叫んだ。
「ママーッ!! ママァァァーーーッ!!!」
先輩後輩の概念を置き去りにし、圧倒的な母性(物理)に魂ごと屈服して解脱した、魂の連呼であった。これで彼女は、ヴィラン以外で二人目の被害者(ゴムリロード目撃男子に次ぐ通算三回目の性癖破壊)となったのである。あまりの狂気的な光景に、横で見守っていた普通の女子は
「あの子、完全に終わっちゃったよぉ!!」
と頭を抱えてドン引きしている。そそのかした張本人であるギャル子すらも、虚空を見つめながら乾いた声で呟いた。
「ボヘミアン・ラプソディみたいになってる……」
いや冗談のつもりだったのに、何その神がかった着地と名曲の再現。ギャル子の戦慄をよそに、光己はそんな女子部屋のパニックなどどこ吹く風で、鏡の前に立つと、腰に手を当てて胸を張り、アイドルのような完璧な作り笑顔を浮かべた。
戸惑いながら口にしたはずのである嘘(17歳設定)が、バグ女子を驚くほど大人しくさせ、なおかつ「ヴィランを油断させる」ための最強のハッタリ(ペルソナ)として機能することを、彼女のガチすぎる戦闘脳が一瞬で計算したのだ。
(――なるほど。この17歳という偽りの設定を、これからの戦闘を生き抜くための公式プロフィールとして使い倒せば、敵の精神的な隙をさらに広げられる)
覚悟を決めた光己の口から飛び出したのは、常人スペックの女子高生が完全に脱メスガキを果たし、逆サバさえものともせず、裏社会の悪夢へと変貌を遂げた、伝説のブリっ子ボイスだった。
「もう大丈夫❤なぜって?永遠の17歳の私が来たからだゾ❤」
オールマイトの有名な台詞を、最悪の形でオマージュした一八禁ブリっ子ヒーロの片鱗が垣間見える決めゼリフ。
その、あまりにも完璧に着こなされた狂気の笑顔と、ギャル子プロデュースにより仕立て上げられたド派手でギャルギャルしい犯罪的コスチュームの凄まじい破壊力に、ギャル子たちヒーロー科の女子陣は本気で鳥肌を立てて一歩後退りした。
「……うん、光己。あんた、完全に化けたわ。っていうか、色んな意味で頭のネジが完全にぶっ飛んじゃったね」
常人並みのスペックから這い上がるため、大真面目に狂気の肉体改造を貫き、ギャルギャルしい犯罪的な衣装を纏った15歳の少女。
外見と精神のすべてが『ミッキー』としての完成に向かって、この過激な外見に引っ張られるように変化していくことになる。
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