ガンダムSEED LEGACY   作:shuda

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PHASE-012「晴れ渡る日」シーン1/2

C.E.100.06.25 晴天

 

コンパス地上部隊極東基地。

兵舎内。

 

久しぶりの休日だった。

戦いに追われる日々の中で訪れた、束の間の静かな朝。

シュダはいつもと変わらぬ時間に目を覚ます。

 

オーブ市街へ行こうと言い出したのはアリシアだった。

だが、それを受け入れたシュダ自身も、心のどこかで少しだけ気分が高揚していることを自覚していた。

 

任務で街へ入ることは何度もあった。

先日も実家の近くまでは足を運んでいる。

それでも、私用でオーブ市街を歩くのは久しぶりだった。

 

シュダ

「たまには家にも帰ってみるか」

 

ぽつりと独り言を漏らした、その時。

 

ビーーーーッ。

 

自室のチャイムが鳴る。

鍵を開けると、ほとんど間を置かず扉が開いた。

そこに立っていたのはアリシア。

 

黒いミニスカートタイプのキャミワンピースという、普段の軍服姿とはまるで違う私服だった。

 

アリシア

「準備……まだ?」

 

そう言いながら、シュダの姿を足元から頭まで見渡す。

どう見ても寝巻き姿だった。

 

シュダ

「早いな……(汗)」

「悪りぃ。すぐ用意すっから、ちょっと待っててくれ」

 

慌てて洗面所へ向かい、顔を洗って歯を磨く。

そのまま手近にあった私服へ着替え、急いで戻ってきた。

 

シュダ

「悪い悪い」

「じゃあ、行くか」

 

アリシア

「うん」

 

二人は並んで兵舎の廊下を歩き始める。

すると、一室の前に積み上げられた複数の段ボールが目に入った。

 

セフィリア

「もう! ただの一時的異動なのに」

「パパもママも荷物送りすぎ」

 

部屋の扉は開いたまま。

中から聞こえてきた声は、いつも基地で聞くものとは違っていた。

軍服姿であることは変わらない。

 

だが、その口調も声色も、年相応の柔らかな女性らしさに満ちている。

普段の凛々しい少佐としての姿しか知らないシュダには、まるで別人のようにも聞こえた。

 

シュダ

「邪魔だからサッサと部屋に入れとけよ」

 

セフィリア

「!? シュダ!?」

 

プライベートな一面を見られたセフィリアは、慌てて背筋を伸ばす。

表情を引き締め、いつもの少佐としての顔を作った。

 

セフィリア

「お……おはようございます」

「今日はお二人でオーブ市街へ行かれるのでしたね」

 

シュダ

「ああ」

 

セフィリア

「昨日の怪我の影響は無いのですか?」

 

シュダ

「別にモビルスーツに乗るわけでも、訓練するわけでもねえからな」

 

セフィリア

「そうですか」

「アリシアも、楽しんで来てください」

 

アリシア

「……うん」

「もう行こう。シュダ」

 

シュダ

「ん?」

「ああ、そうだな」

「じゃあな、セフィリア」

 

セフィリア

「はい」

「いってらっしゃい」

 

並んで歩き去る二人の背中を、セフィリアはしばらく見つめ続けていた。

 

セフィリア

(せっかくミリアが提案してくれたアリシアとの食事でしたが)

(……でも、嫌だと言われたわけではありません)

(タイミングが合わなかった……それだけ……のはずです)

 

その小さな呟きは、誰にも届くことはなかった。

そこへ廊下の向こうから聞き慣れた声が響く。

 

サクラ

「セフィリア?」

「また演習に降りて来たの?」

 

セフィリア

「サクラ。おはようございます」

「あなたは連絡係の任務ですか?」

 

サクラ

「オーブ軍とコンパスの沿岸部巡回強化の管轄調整」

「最近この辺、物騒だから」

 

セフィリア

「そうですね」

「私は、しばらくこちらへ異動となりました」

「ザラ隊の戦力強化です」

 

サクラ

「なるほどね」

「コンパスもやっぱり、コスモ・オラクルの標的はここだと思ってるわけね」

「……ってか、ザラ隊ってシュダとアリシアの部隊にセフィリアが!?」

 

コンパスだけではない。

オーブ軍もまた、近海一帯の警備態勢を強化していた。

いつ敵が現れても不思議ではない。

そんな緊張感が、このオーブ全体を包み始めている。

 

セフィリア

「そうです」

「あくまでも上級士官の同行という名目ですので」

「シュダが隊長であることに変わりはありませんが」

 

サクラ

(それって、シュダの奴、大丈夫なのかな)

(……アリシアも……なんかセフィリアとうまくいってないっぽいし)

 

サクラ

「そういえばシュダは?」

「食堂?」

 

セフィリア

「シュダは今日は休みです」

「先程、アリシアと共にオーブ市街へ出掛けられました」

 

サクラ

「え?……なんで……アリシアと?」

 

思わず声が裏返る。

サクラは動揺を隠せなかった。

 

セフィリア

「アリシアが誘った」

「とのことです」

 

サクラ

「なんで……突然」

 

セフィリア

「私も驚きました」

「まさかアリシアがシュダにそのような想いがあったなんて」

 

サクラ

「え!?」

 

セフィリア

「え!?」

 

互いに驚き返す。

 

しかし、その驚きの理由はまったく違っていた。

 

サクラ

「アリシアってシュダのことを!?」

 

セフィリア

「てっきりサクラは気付いているものだと思っていました」

「違うのですか?」

 

サクラ

「いや……私はシュダがプライベートで出掛ける相手なんて」

「私ぐらいしか居ないかと……」

 

セフィリア

「サクラはシュダとは幼馴染でしたものね」

 

セフィリアは、恋愛に関して決して鋭い方ではない。

だからこそ、自分では気付かないまま言葉を重ねてしまう。

 

サクラ

(アリシアが!? そんな……)

(何となくシュダには、なんか態度が違うとは思ってたけど)

(そうか!? だからアリシアは私に対して冷たいんだ)

 

セフィリア

「サクラ?」

 

サクラ

「え? あ……うん」

「……意外……だね」

 

セフィリア

「シュダはアリシアをどう思っているのでしょうか」

 

サクラ

「私は……大事な部下……妹みたいな存在だと思ってたけど……」

 

セフィリア

「気になって仕方がありません」

 

サクラ

「妹。だから?」

 

セフィリア

「それもありますが…………」

 

サクラ

(えーーーー!? もしかしてセフィリアもシュダを!?)

(どうすんのよ、シュダ)

(……いや、『どうすんの』は私か……)

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