機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100 作:shuda
C.E.100.06.30
イリュリア連王国第三連王、ラムレザル。
20歳という若さで王位に就いた彼女が、オーブを公式訪問する――。
その話題は、すでにアリエルス艦内でも持ちきりとなっていた。
アリエルス乗員A
「聞いたか? イリュリアの話」
アリエルス乗員B
「ラムレザル第三連王のオーブ訪問だろ」
アリエルス乗員A
「どうやら大艦隊を引き連れて来るらしいぜ」
アリエルス乗員B
「まあ、他の連王への牽制って意味もあるんだろうな」
噂話で賑わう通路を、ミリアとクレアが歩いていく。
クレア
「ニュースでも毎日のようにイリュリアの話題ですけど……」
「艦内も変わりませんね」
ミリア
「そりゃそうよ」
「20歳で王様なんだもん」
「カガリさんがオーブの代表になった時だって」
「18歳で大騒ぎだったらしいし」
少し間を置き、ミリアは悪戯っぽく笑う。
ミリア
「何より、あの子可愛いし」
クレア
「あの子って!……」
「いえ、そもそもそんな理由なんですか!?」
ミリア
「あら?」
「そういうのも大事よ」
「おっぱいも大きいし」
クレアは一瞬固まり、そのまま顔を真っ赤にした。
クレア
「おっぱ……って」
「何言ってるんですか、隊長!」
ミリア
「だってそうでしょ?」
「セフィリアだって美人だし」
「おっぱいは私の方が大きいけど」
クレアは少し頬を膨らませる。
クレア
「姉様は別格です」
「胸も私よりは大きいです」
ミリア
「あら?」
「そういうところはちゃんと見てたんだwww」
クレア
「見てません!!」
「私は姉様には勝てないって言いたいだけです!」
その言葉を聞いたミリアは、小さく肩を落として呟いた。
ミリア
「……それじゃあ、いつまでもセフィリアには勝てないわよ」
クレア
「姉様に勝つつもりなんてありません」
「私は姉様が居ない、この宇宙(ソラ)をしっかり守るだけです」
迷いのない瞳で、クレアは言い切った。
ミリア
(この子の、こういうところ……)
(少しずつ変えてあげないとねえ)
ふと、自分自身に気付いたように微笑む。
ミリア
(あら?)
(私ったら、ちゃんと隊長してるじゃない)
しかし、そんなミリアには構わず、クレアの『セフィリア語り』は止まらない。
クレア
「だいたい、姉様と他の人を比べること自体が間違いなんですよ……」
ミリア
(セフィリアの副官って立場)
(楽で良かったんだけどなあ)
(でも……隊長ってのも悪くないかもね)
クレア
「聞いてますか!? 隊長!!」
ミリア
「聞いてないわよーーwww」
クレア
「ちょっと! 隊長!」
セフィリアという大きな背中を追い続けるクレア。
そして、そんな部下を見守りながら、少しずつ隊長としての自覚を育み始めるミリア。
今日もアリエルスは、静かに漆黒の宇宙を巡航していた。
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C.E.100.07.03 早朝
オーブ領海。
朝焼けに染まる海原へ、圧倒的な威容を誇るイリュリア連王国の大艦隊が姿を現した。
イリュリア艦隊スピーカー
『こちらはイリュリア連王国国軍、第三大隊である』
『オーブ代表、カガリ・ユラ・アスハ氏への謁見のため』
『第三連王ラムレザル・レトランジュ・ベルローズ様をお連れした』
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タケミカヅチ改。
ブリッジ。
ソウマ
「予定時刻通りか」
「よし! 全艦、イリュリア艦隊周囲に展開!」
「計画通り、防御態勢!」
「相対速度を合わせろ!」
命令が飛ぶと同時に、ブリッジの空気が一変する。
オーブ艦隊全艦へ、ソウマ・トダカ一佐の指示が次々と伝達されていく。
ソウマ
「本艦及びオオワダツミ搭載MSは、艦隊守備位置展開後」
「全機発進!」
「イリュリア艦隊上空に防御態勢で展開!」
イリュリア艦隊スピーカー
『オーブ艦隊。護衛に感謝する』
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シルヴィア
『さて、そろそろ私らの出番ね』
タケミカヅチ改格納庫。
シルヴィア・ノイマン二尉は、カゲロウの操縦桿を力強く握り締める。
サクラ
『まさか、この前話してたラムレザル第三連王を』
『私達が護衛することになるなんてね』
シルヴィア
『まあ、いいんじゃない?』
『最近は巡回警戒強化で、ずっと艦内から領海監視ばっかりだったし』
サクラ
『それもそうね』
『護衛任務とはいえ、久々のモビルスーツだし』
シルヴィア
『まあ、アンタにとっては』
『シュダくんの居るコンパスへ行けない方が』
『よっぽど寂しいんだろうけどwww』
その一言で、サクラの表情が曇る。
サクラ
『……アタシが行っても……』
(アイツはアリシアと一緒に居るし)
(アリシアも……アイツのこと……)
シルヴィア
『? ……まあ、何かあったんだろうけどさ』
『そろそろちゃんと伝えたらどう?』
ソウマ
『コラッ! シルヴィア二尉! サクラ三尉!』
『不用意に個別回線を使うな!』
シルヴィア
『アンタのせいで怒られたじゃない』
サクラ
『話しかけたのはアンタでしょ』
タケミカヅチ改オペレーター
『タケミカヅチ改及びオオワダツミ搭載MS』
『全機発進!』
シルヴィア
『シルヴィア・ノイマン、カゲロウ、発進します』
サクラ
『サクラ・ホーク・アスカ、ホワイトピオニー、出ます』
次々とハッチが開き、タケミカヅチ改とオオワダツミから多数のモビルスーツが青空へ飛び立つ。
各機は隊形を整えながら、イリュリア大艦隊の上空へ広く展開していった。
ソウマ
「しかし……まさか本当に、こんな大艦隊で来るとはな」
その時、タケミカヅチ改にオーブ軍最高司令官から通信が入る。
アスラン
『ソウマ艦長』
『一応、こちらでも目視しているが』
『そっちはどうだ』
ソウマ
「問題ありません、ザラ司令官」
「ザフトのカーペンタリアも警戒はしているようでしたが」
「下手に動くことなく、そのまま見送っていました」
アスラン
(イザークにも伝えておいて良かったな)
アスラン
『わかった』
『オノゴロの国防本部まで、しっかり頼む』
ソウマ
「承知しました」
やがてイリュリアの大艦隊は、予定通りオーブ国防本部へ入港する。
入港後、しばらく準備を整えると、旗艦にはラムレザルと一部の高官だけが乗り込み、首都オロファトのあるヤラファス島へと向かった。