機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100 作:shuda
ヤラファス島。
一般港では、先日シュダとアリシアが利用したフェリーをはじめ、民間船舶はすべて別港へ移動していた。
港湾一帯はオーブ政府関係者と警備部隊によって厳重に封鎖され、普段の賑わいは影を潜めている。
その中央には、オーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハ。
そして、ラムレザル一行より一足早くオロファト入りしていたアスラン・ザラの姿があった。
周囲には十数名の政府高官が整列し、イリュリア旗艦の到着を静かに待っている。
やがて、イリュリア旗艦がゆっくりと港へ接岸した。
重厚なゲートが開く。
最初に姿を現したのは数名の高官たち。
そして――。
第三連王ラムレザル・レトランジュ・ベルローズが、静かにヤラファス島へ降り立った。
白金色の髪。
褐色の肌。
身長はクレアより少し低い程度だろうか。
しかし、サクラほど小柄でもない。
その姿を見たアスランは思う。
20歳で王位を継いだばかりとは、とても思えない。
その一歩一歩には、すでに一国を背負う者としての確かな風格が漂っていた。
カガリ
「会うのは初めてだな」
「オーブ代表首長国連邦、代表首長のカガリ・ユラ・アスハだ」
カガリは穏やかに微笑み、握手を促すように右手を差し出す。
ラムレザル
「イリュリア連王国、第三連王ラムレザル・レトランジュ・ベルローズだ」
「こちらこそ、急な申し出に応じていただき感謝する」
二人は固く握手を交わした。
ラムレザル
「すまない」
「私は左利きでね」
「ぎこちない握手になってしまうのは勘弁してくれ」
カガリ
「いや」
「そんなふうにはまったく感じなかったよ」
少し表情を和らげる。
カガリ
「しかし、お父上のご病気の話は耳にしていた」
「惜しい方を亡くしたものだ」
ラムレザル
「ああ」
「父は偉大だった」
「おかげで私は『王位の継承』と言われているよ」
イリュリア連王国の連王制は、『王』という称号こそ持つものの、その地位は国民による選挙で選ばれる。
もちろん、ラムレザルも例外ではない。
本来であれば、現連王の退位、あるいは死去の後に選挙が行われる。
しかし、父である前第三連王の病状悪化に伴い、次期第三連王選挙は異例にも父の存命中に実施された。
建国以来、多大な功績を残した偉大な父。
その存在感は計り知れず、少なからず国民の投票にも影響を与えたことは否定できない。
ラムレザルは『選挙によって選ばれた王』である。
それでも世間やマスコミは、彼女を『継承した王』と呼び続けた。
だが、それは能力を疑う言葉ではない。
偉大な父への敬意が、そのまま娘へと向けられた呼び名でもあった。
カガリ
「だが、ラムレザル第三連王は間違いなく選挙によって就任された」
「国民からの信頼は本物だろう」
???
「ラムレザル様のお力は、私が保証いたします」
突然聞こえた声に、カガリが視線を向ける。
カガリ
「君は?」
???
「失礼しました」
「イリュリア国軍第三大隊、総隊長を務めさせていただいております」
「エルフェルト・ヴェステンフルスと申します」
ラムレザル
「すまない」
「彼女は私の直轄となる将軍を任せている」
「将軍ではあるが、モビルスーツパイロットとしても非常に優秀だぞ」
カガリ
「そうでしたか」
「ぜひ、お手並みを拝見してみたいものです」
アスラン
「では、第三連王」
「こちらへ」
アスラン
(ヴェステンフルス?………ハイネ?……まさかな)
アスランに案内され、ラムレザル一行は公用車へと乗り込んだ。
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首都オロファト。
オーブ首長官邸。
応接用の来賓室へ案内されたラムレザル一行を、静かな空気が包む。
壁には、オーブの礎を築いた男――ウズミ・ナラ・アスハの肖像画が飾られていた。
ラムレザル
「ウズミ様……」
「そちらのお父上も、偉大な方だったと聞いている」
カガリ
「ありがとう」
一度頷くと、話を切り替えた。
カガリ
「で、今日は謁見と聞いていたが?」
ラムレザル
「すまない」
「コスモ・オラクル関連で忙しいのだったな」
「では、早速本題に移ろうか」
ラムレザルは静かに目を閉じ、言葉を選ぶように数秒考える。
そして、ゆっくりと口を開いた。
ラムレザル
「まずは……そうだな」
「我が国の内政状態はご存知か?」
カガリ
「うむ」
「第一連王と第二連王による派閥争いについてなら耳にしている」
ラムレザル
「……そうだ」
その表情から笑みが消える。
ラムレザル
「そこへ私の即位が重なり」
「今度は、その矛先が私にも向かおうとしている」
カガリ
「……それをオーブにどうしろと?」
「さすがに内政への干渉は出来かねる」
ラムレザル
「そんな無茶は言わないよ」
ラムレザルは静かに首を横へ振る。
そして、まっすぐカガリを見据えた。
ラムレザル
「こちらの希望は--------」