機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100   作:shuda

27 / 27
PHASE-015「王の来訪」シーン3/3

時は遡り――

 

C.E.100.07.02 夕刻

 

オーブ首長官邸。

代表首長執務室。

 

カガリ

「戻ったか、ソル」

 

ソル

「ふーー……」

「何とか間に合いましたよ」

「まったく無茶なんですよね」

「隠密調査で遠方なのに一週間って」

 

疲れた様子で肩を回しながら、ソルは苦笑する。

 

カガリ

「だが、間に合ったじゃないか」

 

ソル

「本当にギリギリですよ」

 

カガリ

「で、どうだった」

 

ソルは表情を引き締める。

 

ソル

「やはり以前から続いている第一連王と第二連王の派閥争いは」

「現在も続いています」

「ラムレザル第三連王の即位を受けて」

「さらに加熱しているようですね」

 

一呼吸置いて続ける。

 

ソル

「また、ラムレザル第三連王は先代同様」

「民衆からの人気は群を抜いているようです」

 

カガリ

「となると、オーブへの謁見はやはり……」

 

ソル

「そうですね」

「その線が濃厚かと思います」

 

カガリ

「ラムレザル個人についてはどうだ?」

 

ソル

「特にこれといって」

「こちらのカードになるような情報はありませんでした」

 

少しだけ口元を緩める。

 

ソル

「ただ、一つだけ面白い情報が――」

 

-------

 

時は戻り――

 

C.E.100.07.03

 

カガリ

「……それをオーブにどうしろと?」

「さすがに内政への干渉は出来かねる」

 

ラムレザル

「そんな無茶は言わないよ」

 

穏やかな口調のまま、ラムレザルは本題を口にした。

 

ラムレザル

「こちらの希望は」

「コンパスとのパイプだ」

 

カガリは静かに頷く。

 

カガリ

「やはりそうだったか」

 

ラムレザル

「我が国は、その大半が旧ユーラシア連邦だからな」

「必然的にコスモ・オラクルの信者も多い」

 

その瞳に、わずかな憂いが宿る。

 

ラムレザル

「まだ大きな抗争にまでは発展していない」

「だが、きな臭い施設へも手を出せていないのが現状だ」

 

カガリ

「つまり、コンパスへの支援と協力の要請か」

「しかし現状、コンパスから戦力を回せるだけの余力があるかは分からんぞ」

 

ラムレザル

「それは十分理解している」

 

小さく頷く。

 

ラムレザル

「今は、オーブからコンパスへ繋いでもらえる」

「それだけで我が国としては十分なのだよ」

 

カガリ

「わかった」

「その件は私から話を通しておく」

「追ってコンパスから連絡を入れてもらおう」

 

ラムレザル

「ありがとうございます」

 

少し間を置き、ラムレザルは話題を変えた。

 

ラムレザル

「ついで……と言っては何ですが」

「近々、G4に近しい軍事会議が開かれると耳にしました」

 

カガリ

「うむ」

「貴国から参加の意思は示されている」

「だが、どの連王が参加するのかまでは回答をもらっていない」

 

ラムレザル

「私の参加は難しいでしょうか」

 

カガリ

「我々としては誰が参加してくれても構わん」

「だが、それは貴国で決めてもらうべき話だ」

 

そう答えたあと、カガリは腕を組み、しばらく考え込む。

やがて、その意図に気付いたように口を開いた。

 

カガリ

「なるほど」

「コンパスとの繋がりを功績として示し」

「軍事会議参加への足掛かりにもするわけか」

 

感心したように笑う。

 

カガリ

「考えたな」

 

ラムレザル

「はい」

 

静かに頷く。

 

ラムレザル

「さらに言えば、おそらく来年のG4はレオ第二連王になるでしょう」

「そうなれば、私が他国との接点を持てる機会は、さらに先になります」

 

カガリ

「その前に軍事会議へ参加できれば……」

 

思わず笑みを浮かべる。

 

カガリ

「三重の効果とは」

「これは驚いたな」

 

ラムレザル

「恐れ入ります」

 

和やかな空気が流れたあと、カガリはふと思い出したように口を開く。

 

カガリ

「……これは雑談なんだが」

 

ラムレザル

「はい?」

 

カガリ

「セフィリア・クライン」

「知っているな」

 

ラムレザルはわずかに目を細めた。

 

ラムレザル

「ほう」

「あの斥候」

「そこまで調べていましたか」

 

カガリは驚きを隠せない。

 

カガリ

「!?」

「気付いていたのか」

 

ラムレザル

「もちろんです」

 

即答だった。

 

ラムレザル

「我が国の内政状態は、ご存知の通りです」

「情報の遅れは、そのまま命の危険に繋がります」

 

その言葉には、王として生きる覚悟が滲んでいた。

 

カガリ

「この情報には私も個人的に驚いたよ」

「まさかラムレザル第三連王とセフィリアが、幼少からの友人だったとはな」

 

ラムレザルはどこか懐かしそうに微笑む。

 

ラムレザル

「と言っても」

「最後に話したのですら」

「もう十年以上も前になります」

 

カガリ

「まあ、コンパスと接点を持てば」

「いずれ顔を合わせることもあるかもしれん」

 

ラムレザル

「そうですね」

 

静かに頷いたその横顔には、どこか遠い日々を思い出すような穏やかさがあった。

 

その後は、輸出入や関税に関する会合が行われ、夜には歓迎パーティーが開かれた。

 

翌朝。

 

ラムレザル一行は予定通り帰国の途につく。

カガリやアスランと短い別れの挨拶を交わし、来訪時と同じくオーブ軍艦隊の護衛を受けながら、イリュリアへの帰路についた。

 

ラムレザルとセフィリア。

 

幼き日に別れた二人が再び相まみえる日は、まだ少し先のことになりそうだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。