機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100 作:shuda
コンパス地上部隊指揮官執務室。
シュダとアリシアが室内へ入ると、すでにセフィリアとリュウタがソファーへ腰掛けていた。
シュダ
「シンさん」
「さっきはすいませんでした」
セフィリア
「?」
シン
「わかったんなら、もういい」
「お前らもまずは座れ」
シュダとアリシアも向かいのソファーへ腰を下ろす。
リュウタ
「私と、ザラ隊、そして同行中のセフィリア少佐」
「これで全員ですか?」
シン
「ああ」
統括指揮官であるシンに呼び出された四人。
ザラ隊のシュダとアリシア。
同行任務中のセフィリア。
そしてアフロディーテ艦長、リュウタ・シモンズ。
これだけの顔触れが一度に集められることは珍しい。
自然と部屋には重苦しい空気が流れていた。
シン
「知っていると思うが、イリュリアのオーブ来訪」
「その件で、オーブからコンパスにも報告書が上がってきた」
先ほどサクラから概要だけは聞いていたリュウタも、本題に入ると自然と表情が引き締まる。
その時だった。
シュダ
「ん?」
一人だけ首を傾げる。
シュダ
「すいません」
「話の腰を折るんですが」
「イリュリアのラムなんとか王って」
「もうオーブに来てるんすか?」
リュウタ
「すでに出国されましたよ」
シンは思わず額へ手を当てた。
セフィリア
「まさかニュースも見ていないのですか?」
シュダ
「来るみてえな話は知ってたけど」
「そもそも何しに来たかも知らねえ」
「興味ねえし」
シンとリュウタは思わず顔を見合わせる。
開いた口が塞がらなかった。
アリシア
「……イリュリア連王国」
「第三連王ラムレザル・レトランジュ・ベルローズ」
「C.E.100.07.03早朝、大艦隊を率いてオーブ来訪」
「オーブ軍艦隊により護衛され国防本部に入港」
「数名の高官とオロファトに移動し」
「アスハ代表と謁見」
「今後の協力態勢や貿易について会合」
感情を交えず、淡々と事実だけを並べる。
セフィリア
「さすがにアリシアは知っていましたか」
アリシア
「知識として知ってるだけ」
「興味は無い」
セフィリア
「『ほらな』みたいな顔をしないでください。シュダ」
シュダは何も言わず、両手を広げてセフィリアを見ていた。
シン
「お前らに関わりのあるところだけ言うとだな」
全員へ視線を向ける。
シン
「第三連王の意向は、コンパスとの協力支援関係だ」
リュウタ
「イリュリアにはコスモ・オラクルの施設が多いですからね」
シン
「ああ」
「それもあるだろうが、おそらくは――」
セフィリア
「不安定な内政情勢への第三連王のカードの1枚」
シンは静かに頷いた。
シン
「俺達としても、コスモ・オラクル関連での」
「イリュリアへの入国が容易になる」
「断る理由はない」
「すでに総裁からのGOも出ている」
リュウタ
「なるほど」
「今度は逆にコンパスからイリュリアに」
「挨拶に行くわけですね」
シン
「そうだ」
シンは全員を見渡す。
シン
「すぐにという話ではないが」
「アフロディーテに行ってもらうつもりだ」
「もちろん総裁と俺も同行する」
そして続けた。
シン
「あとは、実行部隊の代表として」
「お前ら三人に来てもらう」
セフィリア
「連王が発たれたのは先日」
「帰国しても、あちらで話を纏める必要もあるでしょう」
「こちらとしても総裁が降りてくるには」
「すぐに……というのは不可能」
リュウタ
「一ヶ月後ぐらい……ですかね」
シン
「そうだな」
そしてシュダを見る。
シン
「……わかったか? シュダ」
三人の会話は、シュダには半分以上理解できていなかった。
シュダ
「とにかく一ヶ月後にアフロディーテに乗って」
「シンさんやキラさんと一緒にイリュリア」
「……でいいんすよね」
シンは苦笑する。
それで十分だと思うしかなかった。
シン
「……お前はそれだけわかっていれば構わない」
小さく息を吐く。
アリシア
(パパ……久しぶり)
アリシアがキラやラクスと最後に会ったのは去年。
その記憶が静かによみがえる。
シン
「コスモ・オラクルに知られると厄介だ」
「基地内やコンパス内であっても他言は控えろ」
リュウタ
「アフロディーテの乗員にもですか?」
シン
「ああ」
「念のためだ」
「準備に必要なギリギリの日程で」
「俺から全員に伝える」
シンは最後に全員を見回した。
シン
「話は以上だ」
リュウタとセフィリアは立ち上がり、軽く一礼して執務室を後にする。
扉が静かに閉まる。
そのタイミングで、シュダも席を立とうとした。
シン
「そうだ」
シュダ
「?」
シン
「アリシア」
「すまないがシュダと話がある」
「少し席を外してくれるか」
アリシア
「わかりました」
アリシアは静かに立ち上がると、そのまま執務室を出ていった。
部屋にはシンとシュダ、二人だけが残る。
シュダ
「………話……っすか?」
また怒られるのか。
さっきの自惚れの件か。
それとも、イリュリア来訪を知らなかったことか。
そんなことを考えながら、シュダは身構えた。
シン
「お前……今日、サクラに会ったか?」
シュダ
(なんだ……サクラのことか)
思わず胸を撫で下ろす。
シュダ
「会ったよ」
「飯食う前」
シン
「アイツ」
「何か言ってなかったか?」
シュダ
「何か?」
少し考え込む。
シュダ
「一緒に飯食うか?って話して」
「でも、用事があるとかで帰って……」
「あとは今日誕生日だよなって話はしたかな」
シン
「それだけか」
シュダ
「ああ」
「それぐらいだな」
シン
「そうか……」
シンは静かに頷いた。
シン
「……呼び止めて悪かったな」
シュダ
「え?」
「もういいんすか?」
シン
「ああ」
シュダが部屋を出た後。
シンは一人、静かに天井を見上げた。
おそらく。
娘のサクラは、結局シュダへ想いを伝えられなかったのだろう。
それどころか、特に大きなアクションも起こせていない。
シン
(多分、アリシアも一緒だったんだろうな)
サクラの性格は誰よりも理解している。
シン
(そうなると、サクラの性格上)
(大きなアプローチは出来ないな……)
小さく苦笑する。
シン
(今日のパーティの時にでも)
(ルナやメイリンにアドバイスしてもらうか)
父親として出来ることは限られている。
それでも、娘の幸せを願わずにはいられなかった。
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『例の会議』。
残るは、イリュリア連王国の参加者決定を待つのみ。
C.E.100.07.15。
G4と各軍による世界軍事会議が、いよいよ開催される。