機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100 作:shuda
C.E.100.07.10
イリュリアからの連絡は、カガリの予想よりも早かった。
オーブ首長国連邦。
首都オロファト。
内閣府官邸。
首長執務室。
静かな執務室に、通信の接続を知らせる音が響く。
カガリ
『思っていたよりも、かなり早いな』
カガリは、ラムレザルからの通信を受けていた。
予定では、もう少し時間が掛かると思っていた。
それだけに、この早さはカガリにとっても少し意外だった。
ラムレザル
『ああ』
『当初の予定では、首都まで戻って他の連王と話すつもりだったんだがな』
『エルフェルトの意見でな』
『返事は早いほうがいいと言われてな』
ラムレザルの言葉に、カガリは以前のオーブ訪問時のことを思い出す。
謁見の前に紹介され、オーブ来訪時には常にラムレザルの傍らにいた人物。
ラムレザル連王直属の将軍、エルフェルト・ヴェステンフルス。
軍人としてラムレザルを支えるだけではない。
どうやら彼女には、政治的な判断においてもラムレザルを補佐するだけの手腕があるようだった。
カガリ
『なるほど、では今は自身の管轄地域から』
『そこから他の連王に連絡したということか』
ラムレザル
『ああ』
『私自身がコンパスとの接点を持てたことで』
『第一連王も第二連王も、会議への私の参加を快諾してくれたよ』
『もっとも、彼らにとってはG4ではない』
『対面での会議でもないからな』
『そこまで重く捉えていないのだろう』
ラムレザルは淡々と話している。
だが、その言葉の中には、イリュリア連王国が抱える複雑な事情も滲んでいた。
同じ国に属しながらも、三人の連王がそれぞれの領域を治める。
そのため、一人の連王が動いたからといって、それだけで国全体が同じ方向へ動くわけではない。
カガリ
『では、主催者である私から』
『他国と他軍には連絡しておこう』
ラムレザル
『よろしく頼む』
カガリ
『あとは、しばらく先にはなるが』
『そろそろ直接連絡もあるだろう』
『コンパスが貴国へ伺う段取りになっている』
ラムレザル
『それはありがたい』
『是非とも歓迎させて頂こう』
即答だった。
カガリは、その返事の早さにわずかに目を細める。
ラムレザル
(………もしかして、セフィもくるのだろうか)
しかし、ラムレザルの頭に浮かんだのは、別のことだった。
それを口に出すことはしない。
カガリ
『……私にはわからんから』
『連絡をよこすコンパスの者に聞いてみるといい』
一瞬の沈黙。
ラムレザル
『一瞬の『間』で心を読まれたか』
『さすがは長くオーブを治めているだけあるな』
カガリ
『買い被りだ』
『今のは、ただの勘だよ』
カガリは苦笑する。
長年の付き合いがあるわけでもない。
それでも、相手の言葉の間や反応から、ある程度のことを察することはできる。
ラムレザル
『私は、そういったことは』
『後の楽しみに取っておくタイプでね』
『コンパスが来るまでわからない』
『というのが理想だよ』
カガリ
『なるほどな』
『そういう気持ちは私もわからなくはない』
通信越しの会話は、そこで一度穏やかな空気に戻った。
だが、二人が話しているのは、決して小さな出来事ではない。
コスモ・オラクルを巡る問題。
そして、その背後にある可能性。
これから始まる会議は、それに対して世界がどう動くのかを決める場となる。