機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100 作:shuda
C.E.100.07.15
会議当日。
年1回開催されているG4のような対面での会議ではない。
しかし今回は、G4にコンパスと各国の軍部を加えた、通信による会議となる。
一堂に会することはできなくても、世界の主要国と軍事組織、その中枢にいる人物達が同じ回線に集まる。
主催者となるオーブ連合首長国の首長代表、カガリ・ユラ・アスハが共有回線を開く。
回線が繋がると、すぐにマルチウィンドウへ各国代表の面々が姿を映し始めた。
まずはG4の首脳と各国の軍トップ。
主催国であるオーブから、国防軍最高司令官アスラン・ザラ。
プラントからは最高評議会議長ラクス・クラインと、国防委員長――つまりザフトのトップであるイザーク・ジュール。
大西洋連邦から大統領ヴァーノン・アルスターと、国防長官アクセル・L・クロイツ。
イリュリア連王国から、第三連王ラムレザル・レトランジュ・ベルローズと、第三大隊総隊長エルフェルト・ヴェステンフルス。
そして、コンパス総裁キラ・クライン。
地上部隊統括指揮官シン・アスカ。
宇宙部隊統括指揮官ディアッカ・エルスマン。
現在の世界政治と軍事。
その中心となる顔ぶれが、ひとつの回線に集まった。
直接顔を合わせる会議ではない。
それでも、画面の向こうにいる一人一人が、世界の今後を左右する立場にある。
カガリ
『みな、揃っているようだな』
『それでは、主催者として私が仕切らせてもらうが、よろしいか』
参加者達が、それぞれに頷く。
カガリは全員の反応を確認してから、会議を進める。
カガリ
『まずはラムレザル第三連王にご挨拶をお願いしたいがよろしいか』
ラムレザル
『ああ、ありがとう』
『父と何度か公式の場で顔を合わせた方も居るとは思うが』
『先日、イリュリア連王国、第三連王に就いた』
『ラムレザル・レトランジュ・ベルローズだ』
『ヴァーノン大統領やアクセル長官とは面識はあると思うが』
『彼女、エルフェルトには引き続き第三大隊の総隊長をお願いしている』
ヴァーノン
『父上と同じく、国民からの信は厚いと聞く』
『今後ともよろしく頼む』
ラクス
『わたくしは久しぶり』
『といったところですが、よろしくお願いいたしますわ』
カガリ
『では、会議を始めようか』
『事前に説明したように、コスモ・オラクルに対しての』
『今後の対応が議題となる』
『まずはオーブの状況から説明させてもらう』
『ザラ准将』
アスラン
『はい』
『現在、オーブ国防軍は領空及び領海内の警戒を強化』
『また、コンパス地上部隊との連携を密にして』
『特にアカツキ島については、コンパスと協力の上』
『24時間態勢で巡回を行っています』
淡々とした報告だった。
だが、それが意味するところは大きい。
オーブは既に、コスモ・オラクルによる襲撃を単なる局地的な事件として扱ってはいなかった。
カガリ
『現状は軍にも大きな死傷者は出ていない』
『もちろん市民に被害は出ていないが』
『今後はどうなるかはわからん』
カガリが、ラクスへ視線を送る。
その視線を受け、ラクスが静かに口を開く。
ラクス
『では、わたくしから』
『プラント内は地上ではないということもあり』
『市街地は平穏を保っています』
『幸い国内にコスモ・オラクル信者も少なく』
『現状では議会でもほとんど議題に上がっていません』
イザーク
『だが、ザフトも同じ……というわけにはいかん』
ラクスの報告を受けるように、イザークが続ける。
イザーク
『宇宙(ソラ)、特にプラント周辺のL5の警戒も強化はしている』
『地上ではジブラルタルからカーペンタリアに』
『人員や戦力の移動を行った』
『いつでも動ける状態にはしてある』
ヴァーノン
『我が国では、先日』
『非武装政策を唱えたばかりだ』
『同盟国とはいえ他国、しかも現状での襲撃は』
『全てコンパス極東基地というのは国民にも周知されている』
『一部ではコンパスとの関係を絶とうとする声も上がっている』
ヴァーノンの言葉に、画面の向こうの空気が僅かに変わる。
大西洋連邦が抱えている事情は、他国とは異なる。
アクセル
『海軍及び空軍はザフト同様に警戒強化は行っていますが』
『非武装政策を掲げた今、戦力増強には舵をきれない状況です』
ラムレザル
『我が国は申し訳ないが、国内の情勢が不安定だ』
『国内のコスモ・オラクル施設の動きを把握するだけでも』
『手が回っていないのが実情だ』
エルフェルト
『軍としても一枚岩ではありません』
『第二連王直轄の第二大隊は兵器開発や戦力増強に』
『資金を大量投入していますが』
『イリュリア全土ではないように感じます』
エルフェルトの言葉には、軍内部の状況を知る者だからこその重みがあった。
ヴァーノン
『おそらくは第二連王が他の連王よりも力を付けるためだろうな』
ラムレザル
『ああ』
『だからこそ、私が先だって』
『コンパスへの連携強化と協力支援の要請に出向いた』
シン
『その点に関しては近日中に』
『こちらから連絡を入れる予定をしています』
ラムレザル
『ああ、よろしく頼む』
続いて、話題はコンパスへ移る。
イザーク
『で、コンパスの状況は』
キラ
『ザフトからの多数の支援を受けて』
『宇宙側の戦力を維持しつつ』
『地上の戦力を大幅に強化しました』
ディアッカ
『月の裏側になるL2は大西洋連邦にお任せしています』
『同じくプラント周辺はザフトに』
『ですので、我々はL1からL4にかけての巡回を行っています』
シン
『オーブ軍とザフトの支援で』
『現状では被害も少なく、迎撃は出来ています』
『しかし、皆さんご存知のように』
『コンパスは少数精鋭です』
『仮に大部隊の襲撃があれば……』
シンの言葉が途切れる。
その先にある可能性は、誰もが理解していた。
少数精鋭であることは、コンパスの強みであると同時に弱点でもある。