機動戦士ガンダムSEED LEGACY C.E.100   作:shuda

36 / 36
PHASE-019「受け継がれる想い」シーン2/3

ディアッカ

『そう言えば、他の子達はどうなんだ?』

『ミリアは隊長としてちゃんとやれてるみたいだし』

『クレアも査察官での関わりもあったから』

『アリエルスでも上手くやれてるみたいだぜ』

 

話題が、アリシアから他の若い世代へと移っていく。

その中でも、まず名前が出たのはミリアとクレアだった。

 

イザーク

『あいつにはまだまだ隊長としての自覚が足りん』

『ジュール家の軍人としてはもっとこう……』

 

父親としての厳しさが、言葉の端々から滲み出る。

 

アスラン

『そういうのは本人の意思もあるだろ』

 

イザーク

『そういう貴様は相変わらず』

『シュダともクレアとも上手くいっていないらしいな』

 

アスラン

『…………』

 

思わぬ方向から自分へ話が飛んできた。

その沈黙を見て、シンがすぐに続ける。

 

シン

『そうなんすよ』

『前も極東基地に来てた時』

『偶然、査察で来てたクレアと会ったのに、そっけない態度して』

『しかもシュダには顔も見せずですよ』

 

キラ

『変わらないよね。アスランのそういうとこ』

 

ラクス

『まったくですわ』

 

アスラン

『…………』

 

アスランは何も言い返さない。

言い返せない、と言ったほうが正しいのかもしれない。

 

カガリ

『……サクラはどうなんだ?』

 

話題を変えるように、カガリが別の名前を出す。

 

アスラン

『ああ、よくやってくれているよ』

『アグネスの娘と仲が良過ぎるのが気になると』

『トダカ艦長から報告は来ているが……』

 

シン

『確かに彼女の話はよく聞きますね』

 

ディアッカ

『アグネスって月光のワルキューレか?』

『あいつの娘がオーブ軍に居んのか』

 

イザーク

『確か、アークエンジェルの操舵手と結婚したんだったか?』

 

キラ

『なんか思ってるよりも世界って狭いよね』

 

それぞれが知っている過去と現在が、少しずつ繋がっていく。

かつての戦争を知る者たちだからこそ、その繋がりの多さを実感していた。

 

アスラン

『……シン』

『ハイネを覚えているか?』

 

その名前が出た瞬間。

今度は、シンの表情から僅かな笑みが消えた。

 

シン

『ハイネって、ディオキアでミネルバに合流した?』

 

アスラン

『ああ』

『あのイリュリアのエルフェルトだが』

『エルフェルト・ヴェステンフルスと名乗っていた』

 

シン

『え!?親族ってことですか?』

 

アスラン

『そこまではわからないが』

『少なくともヴェステンフルスという姓は珍しい』

 

シン

『……ハイネ……』

 

その名を口にしたシンの声は、先ほどまでとは違っていた。

 

イザーク

『ハイネって名は聞き覚えがあるな』

『確かミゲルの先輩だったか』

 

ディアッカ

『ヤキンではホーキンス隊だったよな』

 

キラ

『ザフトの人?』

 

アスラン

『………ああ』

 

短い返答。

それだけで、かつての記憶が彼らの中に蘇っていく。

 

遠い過去の話。

かつての大戦時、ダーダネルス海峡で行われた、ザフトのミネルバと地球連合軍の海戦。

地球連合軍に組するオーブ軍を止めようと、フリーダムで介入したキラ。

 

フリーダムの介入によって混乱した戦場で――。

ハイネは、命を落とした。

 

当時、ミネルバに乗艦し、共に行動していたアスランとシンにとって、ハイネは馴染みの深い人物だった。

宇宙(ソラ)に居たイザークとディアッカの耳にも、

『FAITHのハイネが、フリーダムの介入で戦死』

という話は届いていた。

 

だが、キラはハイネという人物すら知らない。

 

それぞれが同じ戦争を経験していた。

しかし、同じ出来事を同じ場所で見ていたわけではない。

だからこそ、その名前一つで蘇る記憶も、それぞれ違っていた。

 

シン

『なかなか本人には聞きづらいですけど』

『機会があれば、それとなく聞いてみます』

 

イザーク

『……そうだな』

 

それ以上、誰もハイネについて口にしなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。