ハッピーエンドのない箱庭より 作:生姜も無いし仕方ない
「ふーん……君はウミウシの姿をしてるけど、それは仮の姿ってわけなんだね?」
「疑わないのが不思議? まぁ前例というか似たようなものは知ってるし、そもそもボクだって今の見た目
「意味が分からない? 分からなくていいんだよ」
ソウルだけだった女の子が気が付くとウミウシになっていた。
それでボクは今、そのウミウシちゃんと会話をしているところなんだ。
不死者とウミウシが篝火を挟んで会話してる光景、すごくない?
面白いよね、ボク側で
もちろんタダのウサギじゃないよ? 人の死体が主食のウサギさんたちでね、初見のときはそれはもう気味悪かったさ。今となってはなにも感じはしないけど。
ま、そんなウサギモドキなんてどうでもよくて。
目の前のウミウシちゃんはどうも宇宙人らしい。正確には月から来たんだって言ってた。月……月面……望遠鏡……うっ頭が。
彼女は不慮の事故でこの辺に墜落して(ついでに不死者を1キルしてから)途方に暮れていたところ、偶然ボクが近くを通りがかった。そして火事場のクソ力でウミウシの姿になってボクを呼び止めたっていう流れみたい。
「あなたが来るまでちょー暇だったんだから! それこそ暇が売れたら家賃35万円のタワマンに楽勝で住めるくらいにはさぁ!」
「そりゃ大変だったみたいだ。宇宙船が隕石に衝突して、なんていうのはちょっと想像しづらいけど……君が嘘をついてないっていうのはなんとなく分かる。そもそも思念体なんて初めて見たしね」
「んぐっ……。いやー、そう思ってもらえるのはありがたいんだけど……こっちとしては月人のアレコレを一発で理解されてかぐやちゃん困惑ってゆーかぁ」
「なら君のこと無視したほうがよかった?」
「そうは言ってないじゃーん! お願いだから見捨てないでぇー……」
どうもこの子は感情表現豊かなタイプのようだね。あんまりボクの周りにはいなかった性格だ。
ウミウシの小さな身体をフル活用して、軽快に話しながら飛んだり跳ねたり動き回ったり。ついさっきウミウシになったとは思えないよ。
「それでそんなウミウシちゃんは何のために月から来たの? やっぱり侵攻?」
「違うし!! てか私には"かぐや"って名前があるんだけど!」
「あらま、それはゴメン。どっかで言ってた?」
「今初めて言ったよ?」
「ならボク悪くない気がするなぁ……でも侵攻じゃないなら尚更、君は何をしに地球へ?」
なんて子だ。こりゃあ仲良い子とか相当振り回してたでしょ。
ただここまで自分のことを明け透けに話すような存在が侵略者であるはずないよね。というか向いてないでしょ絶対。
そう思って再び問いを投げかけると、途端にかぐやちゃんの元気がしぼんでいくのが感じ取れた。うーん、こいつは事情が重そうだぞ。
少しぺしょっとしてしまったウミウシを尻目に、篝火に薪を放り入れる。
扱いを間違えれば誰をも傷つける炎ではあるけど、暗がりの中に灯せば導火となって迷いを抱く者の目印にもなってくれるんだ。『この先、篝火があるぞ』ってね。
不死者に限らず、暗闇の中の明かりってのは安心するってものだよ。
「……あんま面白くない話になるけどいいの?」
「話を振ったのはボクだし、ボクの身の上話よりは絶対マトモだから気楽に話してみなよ。ボクが君の話を笑うことはないからさ」
「……わかった」
そうやって彼女は語り始めたんだ。
2か月程度のわずかな、それでいて宝物のように輝いていた日々を。
***
【友達に】かぐやちゃんっていい子だよね【なったよ】
1:ありきたりな不死者さん
やっほ ボクだよ
ボクを1キルしてくれた宇宙人と話してたら「すごくいい子じゃない?」って思ったよ
こんな子が今から8000年も孤独に耐えながら過ごすと考えるといたたまれないね
2:名無しの転生者さん
不死者のイッチじゃん
超かぐや姫の世界に行ってる転生者はそれなりにいるけど、中でもかなーりブッ飛んでるって噂のイッチじゃんか
3:名無しの転生者さん
と同時に『絶対百合に挟まる男にはならないイッチ』でもあるぞ!
超かぐや姫の世界の転生者ってなぜか男ばっかりなんだわ
4:名無しの転生者さん
その点イッチは百合に挟まっても百合にしかならないからヨシ!
5:ありきたりな不死者さん
それはそれでどうなの? ボクは自分で言うのもなんだけどインモラルの塊みたいな女だよ?
というか、かぐやちゃんの容姿を聞いてからボクは気が気ではないし
6:名無しの転生者さん
一目惚れでもした?
いや見てはないから一聞き惚れ?
7:名無しの転生者さん
キマシタワ-?
8:ありきたりな不死者さん
そんな良いものじゃないんだけど……まぁいいか、気にしても生姜無い
とりあえずかぐやちゃんの今までの話を聞いて、今はボクのことをすごい勢いで聞かれてるところなんだ
なんて答えればいいと思う?
この子がいた月ってどういうところだったかによって、話す内容を吟味しなきゃいけないんだけど
9:名無しの転生者さん
それに答えると「イッチ……お前は何も喋るな」になるがよろしいか?
10:名無しの転生者さん
月
・決められたことをこなすだけのプログラムみたいなところ
・人は死なない
・怪我も寿命もない
・思念体であり物理的な肉体を持たない
・だから"インモラル"もない
イッチのクソ世界
・決められた役割をこなすための箱庭みたいなところ
・人はバンバン死ぬ
・怪我欠損敵対殺傷籠絡なんでもござれ
・"インモラル"もありまくり
11:名無しの転生者さん
いやーきついでしょ
12:名無しの転生者さん
俺たちのかぐやちゃんを汚さないで……
13:名無しの転生者さん
似てるのは世界のあり方くらいよ
しかし文字にするとイッチの元いた世界は地獄のようなところだな
世界の管理者はイッチを不死者にしたっていう邪神らしいし
14:名無しの転生者さん
いや実際どこ話せばセーフなのか分かんねえよ
イッチの半生で話せるのなんて、それこそ不死者になる前とかじゃない?
15:ありきたりな不死者さん
あー、不死者になる前のボクの話かぁ。それなら当たり障りないかも
16:名無しの転生者さん
転生前の話なら確かに普通か
俺はただ働いてゲームして漫画読んでの繰り返しの日々だったし
17:名無しの転生者さん
そんなこと言い出したら誰でもだいたい一緒だろ
18:ありきたりな不死者さん
あ、良くないや
そういえばボクかぐやちゃんが思念体だった時から見えてたよって感じのこと言っちゃってたんだった
もう面倒だし全部話してもいいかな?
19:名無しの転生者さん
ダメです(真顔)
20:名無しの転生者さん
だめに決まってるでしょ!?
かぐやちゃんになんてこと言おうとしてんだ!
21:名無しの転生者さん
申し訳ないがエログロゴアの三重奏みたいな話はNG
22:名無しの転生者さん
まーあれでしょ
転生してその時に特殊な体質になった、みたいな濁し方しといたら?
23:名無しの転生者さん
その辺が無難だよな
てかイッチ誰にも見えてない状態のかぐやちゃん見えてたの?
24:ありきたりな不死者さん
>>22 なるほどね、参考にするよ
>>23 見えてたよ
あの世界では魂の力がいろんなものに宿ってたんだ。言ってしまえばダ〇ソのソウルとかブ〇ボの血の遺志だね。落ちているソウルを砕けば手に入るし、殺せばソウルを奪える。それを使ってレベルアップしたり、商品を取引したり、人との交渉とか供給に使ったりって感じだね
で、ボクの目はそのソウルを視認出来る。この身体は半分くらい邪神だからさ
思念体っていうのはたぶんボクらの言うところのソウルと近しいんだと思う。だから見えてたってワケ
25:名無しの転生者さん
はぇー不死者ってすごいんやなぁー
26:名無しの転生者さん
身体の半分くらい邪神っての不穏すぎてヤバイ
今までの話からして絶対厄ネタじゃん
27:名無しの転生者さん
俺の中で『かぐやちゃんを見つけてくれてありがとう』と『半邪神とかいうロクデモがかぐやちゃんに近づくなよ』という気持ちがせめぎ合っている
心がふたつある~
28:ありきたりな不死者さん
あれ、言ってなかった?
ボクの身体というかソウルは今『ボク自身4割:"男"2割:邪神3割:旧神1割』のキメラ状態なんだよ
こう見えてボクは頑張って邪神の因子を抑え込みながら生活してるの
29:名無しの転生者さん
は?
いや、あの……は?(思考停止)
30:名無しの転生者さん
"男"ってあれよな、イッチの元いた世界の主人公みたいな人のことで合ってるよな?
その男の因子がイッチに混ざっているということは
つまり……どういうことだってばよ?
31:ありきたりな不死者さん
あー……ごめん、混乱させた
これを話し始めるとだいぶ語ること多くなるし時間もかかるしで、今話す余裕はないかな
ひとまずボクの話は置いておいてよ
頑張って抑えてるとは言っても、特定の条件でボク以外の要素が顔を出すってだけだから。こんな平和な世界じゃボクを押しのけて"何か"が出てくることはないと思うから、安心してほしい
それに、ボクよりかぐやちゃんのほうが関心あるでしょ?
32:名無しの転生者さん
……まぁ、イッチがそう言うのなら今は深追いしないぜ
33:名無しの転生者さん
確かにかぐやちゃんのほうが気になりまぁす!
34:名無しの転生者さん
そうだ!
俺たちのハッピーエンド大作戦は始まってすらいないんだからな!
35:名無しの転生者さん
作戦名はもうちょっと何とかならんかったの?
安直すぎてダサいんだけど
36:名無しの転生者さん
シンプル=わかりやすさでしょうが!
それに『ハッピーエンド』って単語は原作でいっぱい使われてんの!
由緒正しい単語なの!
37:ありきたりな不死者さん
聞きたかったんだけどさ
『ハッピーエンド』ってなにを指してるの? 超かぐや姫って作品はバッドエンドで終わるから君たちは躍起になってるってこと?
38:名無しの転生者さん
いや、そういうわけではなくてぇ……
原作もちゃんとハッピーエンドとは言えるんですけどぉ……
39:名無しの転生者さん
なんというか「転生者って存在がいたらもっと上手いことできるだろ」っていうのがあってですね……?
40:名無しの転生者さん
それ具体的にはどこをどうすんだよ
イッチだって適当な指示じゃ動きようもないだろ
いやそもそもイッチはお前らのための駒でも舞台装置でもないんだけどな?
41:名無しの転生者さん
それはまぁ、そうなんだが……
42:ありきたりな不死者さん
そこはいいじゃん
ボクは君たちに助けてもらったわけだし、だったら君たちの要望くらい聞いてあげないと。かぐやちゃんの話を聞いてから、この子を助けたくなったのも事実だし
この世は全てギブアンドテイク、ところにより踏み倒しも可(ただし命の保証はない)ってね
でも助けるって言ってもさ、流石に時間旅行は無理だよ?
43:名無しの転生者さん
うぅ、優しいなイッチは……
44:名無しの転生者さん
優しい、か?
なんか物騒なこと言ってますけど
45:名無しの転生者さん
具体的に、っての見てから考えてみたわ
・かぐやちゃんの8000年の孤独を癒す
・いろPの苦学生緩和
・月に帰っちゃうかぐやちゃんを止める
大枠はこんな感じかなぁ
46:名無しの転生者さん
あれ?
上2つはいいけど、月に帰るのを止めたらタイムパラドックスなんじゃなかったっけ?
47:名無しの転生者さん
確か循環してるんだよな
48:名無しの転生者さん
かぐやとヤチヨが輪廻の中をグルグルしている
49:名無しの転生者さん
ヤチヨってどちらさま?
50:名無しの転生者さん
イッチの前に8000年前の地球にタイムスリップしてきたかぐやちゃんがおるじゃろ?
彼女が現代に辿り着いたら『ツクヨミ』っていう仮想空間を作るんよ
で、ツクヨミの管理人兼AIライバーって肩書で『月見ヤチヨ』って名乗り始める
51:名無しの転生者さん
それで、かぐやちゃんの大切な人である『酒寄彩葉』は父親が他界し、さらに母親と折り合いがつかずメンタルを病んでいた
その沈んだメンタルを救ったのが『月見ヤチヨ』の歌
つまり『月見ヤチヨ』が誕生しないと彩葉さんのメンタルが回復しないっていう
52:名無しの転生者さん
月見ヤチヨが誕生するためには、かぐやちゃんが事故って8000年の地球に行かないといけない
つまり酒寄彩葉の元にやって来たかぐやが月に帰り、彩葉の歌で地球に帰る決断をしてタケノコに乗って隕石と衝突しなきゃいけないってこと
53:名無しの転生者さん
いろPのメンタルがもたないと一人暮らしすることもなくなると思われるので、かぐやちゃんと出会うこともなくなり破綻するってわけですねぇ
54:名無しの転生者さん
うえぇ……なんかSFみたいなことしてんのな
55:ありきたりな不死者さん
とりあえず一見複雑そうに見えて実際複雑なのは分かったよ
問題はこの世界が『ドラ〇もん的法則』なのか『
56:名無しの転生者さん
どゆこと?
57:ありきたりな不死者さん
ドラ〇もんのタイムマシン回って想像できる? あれって過去なり未来なりを変えると、それに合わせて他の時間でも変化が起こるでしょ? 親の結婚相手を変えたら自分が消えたりさ
並行世界みたいな法則があるんなら、何かを改変した時点でその世界は"枝分かれ"して別の世界になるから大抵のことは許されると思う
まぁそういう違いがあるから、分かるなら聞きたいなって
58:名無しの転生者さん
ようはタイムパラドックスが起きるのか否かって話か
輪廻を止めてしまった場合のしわ寄せで誰かが消えるとかになると絶望だもんな
59:名無しの転生者さん
うーん……
正直なところ、分からんとしか言えない
60:名無しの転生者さん
ヤチヨ本人は「輪から外れることはできない」って言ってたけど、世界の法則的な話なのか輪廻を作ってる本人だからなのか判断できない
61:名無しの転生者さん
やってみないと分からない
けどやってからだと致命傷になりうる
うーんこの
62:ありきたりな不死者さん
分からないか
だったらこっちでも調べてみるよ
63:名無しの転生者さん
すまねぇイッチ
64:名無しの転生者さん
俺たちもイッチにやってほしいことブラッシュアップしとくわ
スレでも立てるか
65:名無しの転生者さん
始めるぞ!
俺たちの『真・ハッピーエンド大作戦』を!
66:名無しの転生者さん
なんかバージョンアップしてる
それはそれとして、普通に考察とか楽しそうだからスレ覗きに行くわ
67:名無しの転生者さん
ちょっとテンション上がって来たな
68:ありきたりな不死者さん
ま、最悪ボクがなりふり構わなければなんとかはなるからさ
気楽に考えて?
ボクのことは壊れないおもちゃとでも思ってくれていいよ
69:名無しの転生者さん
コラッ!
そんなこと言っちゃいけません!
70:名無しの転生者さん
出たよ不死者特有の自分の命を軽く扱うやつ
俺たちだってちゃんと心配するんだからな!
***
「……ちょっと~?」
「どしたの? なんか不満気だけど。まだボクに聞きたいことでもあった?」
「それはまあ、いっぱいあるけど……ってそうじゃないっ! 私と話してるのになんでずっとスマホ触ってるの!?」
「うわ」
「うわってなに!? どういう意味が込められてるのかなあその『うわ』にはさぁ!?」
「『めんどくさい彼女みたいなこと言い出したぞこの軟体生物』」
「めんどくさい彼女!?」
ぐぬぬぬぬ、かぐやに身体があれば目の前の女の子に猛抗議出来たというのにぃ……!
ウミウシの身体じゃぴょんぴょんするくらいでしかこの気持ちは表せないのがもどかしい! これも全部『
まぁ設計の大部分を担当したのはこの私、天才かぐやちゃんなんだけどねっ!
……つまり自業自得じゃーん! いやでも時間を渡る時に隕石と衝突するかもなんて予想できなくない!? 『かもしれない運転』にだって限度はあるよ!
いっぱいやったシミュレーションも役には立たず、現実は非情である。かなちい。
というか私のやらかしはどうでもよくて! こっちの話が終わってからすぐにスマホを触り始めたダメ彼氏みたいなこの子をどうしてやろうかって話!
「スマホは禁止! きーんーしー! ちゃんと目を見て私とお話しして!」
「……まぁいいよ、スマホでやることも終わったし。それで? 聞きたいことはいっぱいあるって言ってたけど、なにから聞きたい?」
「うぬっ、いざ素直に応じられるとこっちが悪いみたいじゃん……いやそんなことないし! おほん、じゃあじゃあ聞いちゃうよっ!」
真っ先に聞くことは決まってる。だってこれを聞かなきゃ始まんないし!
「名前っ! あなたの名前を教えてほしいの!」
私は名前を言ったけど、あなたの名前は聞いてない!
名前っていうのは大事、私も"かぐや"って名前はそれはもうお気に入りだしね!
私がそう聞くと女の子は少し意外そうな顔をした。なんでだろ?
でもそんな顔をしていたのも一瞬で、すぐに表情が変わる。私の思い違いじゃなかったら、その顔は少し嬉しそうだった気がする。
「そういえば名乗ってなかったね、ボクの名前はアリサ。……こうして自己紹介するのもなんだか久しぶりだから忘れてしまっていたよ。名前を知るのはコミュニケーションの第一歩だっていうのに」
「アリサ、アリサ……うん、可愛い名前!」
「そうかな? あぁでも1つ注意して欲しいんだけど、絶対にボクのことを『アリス』って呼んじゃいけないから気をつけて。たまに間違われるんだ」
「……『アリス』って呼ばれるのが嫌なの?」
「────。……ふぅ、まぁそんなとこかな。あんまりいい思い出がないっていうのも事実だし、覚えていてくれると嬉しいな」
……? 私が『アリス』って言葉を口にしたらアリサが少し苦しそうな顔をした気がする。
言うとおりいい思い出がないのかもしれないし、言い間違いには気をつけよう。だってこんなところで初めて知り合った人なんだもん。
『もと光る竹』の誤作動で飛ばされたここが、どういうところなのかも分かっていない中で、こんな状態の私とお話しできる人を逃がすわけにはいかない!
あ、というかそうだよ!
ここって地球じゃない可能性があるんだった! あんな化け物がいる地球とか私ヤなんだけど!
なんか転生してるとか言ってたし、アリサが何か知ってるかもしんないよね?
「……ねぇアリサ、ここって地球であってる?」
「うん? ボクはそう思ってるけど。いろいろ調べた結果ボクが知ってる地球と大差はないっていう結論になったから。まぁ
「そっかぁ……そっっっかぁぁぁぁ……」
「リアクションが予想外だなぁ。君の大事な人は日本人なんじゃなかった?」
「いやそうなんだけど、そうなんだけどさぁぁぁぁ……」
やっぱり地球なの……?
すんごい信じたくないんだけど。いや地球っていうのは嬉しいよ?
でもやっぱり化け物は怖いじゃん!? 月人でもあんな不気味な恰好してないんだから!
「すごい声がウミウシボディから出てるね。まぁまぁの衝撃映像感あるけど大丈夫そ?」
「だいじょばない……だってこの砂浜って……」
「砂浜が?」
「うー……出るんだよ!」
「何が出るのさ」
「化け物……化け物が出るの! この砂浜に!」
私のその言葉を聞いてまたアリサはきょとんとして、それからすぐ表情が変わった。
……こっちを小馬鹿にしたようなムカつく表情に。
人が意を決して言ったっていうのにぃ!
くっそ許せない……!
「信じてないね!? ホントに、ほんっとにいるんだから!!」
「んふ、分かった分かった」
「笑ってるよね? その心笑ってるよ絶対! 触手の化け物みたいなのがお昼にここを通っていくの見たんだって!」
「はいはい……あれ? お昼って今日の話?」
「へ? うん、そうだけど……?」
このまま続くかと思った勢いにブレーキをかけてきたアリサは、私の返答に少し考え込んでしまった。
え、なになに……? なんか嫌な予感がするんだけど……。
いやーそんなことないよね、かぐやちゃんの杞憂ってやつだよねきっと! あの化け物とアリサになにか関係があるなんて、そんな訳ないでしょ!
「その化け物って、さ」
「……」
「もしかしてなんだけど──」
"ギリギリ"っていう、ゼンマイを巻くような音が聞こえる。
かぐや知ってるよ?
だってホラゲーの"
「こんな姿じゃなかった?」
その言葉に釣られて目線を上げた。
今まで目の前にいたはずの女の子の姿はそこにはなくて……
「ひょ……ひょ、ひょ……っ」
私にないはずの感覚を味わわせてくれた、お昼に見た化け物の姿がそこにあった。
「ひょわあああぁぁぁあぁぁぁあぁあっっっ!!!!」
書いているのはここまでなので失踪します。