ハッピーエンドのない箱庭より   作:生姜も無いし仕方ない

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投稿間隔が大きく開いてしまい申し訳ありません。
誤字報告や感想等ありがとうございます。励みになっております。

それはそれとして仕事とソシャゲで忙しかったので初投稿です。


不死者と"金髪"の異星人

 気が付けば、私は知らない空間にひとり佇んでいた。

 

 

「……どこだここ」

 

 

 えーっと確か……アリサのスマホ(だと思われる光)に向かっていったら、めっちゃ眩しくなったとこまでは覚えてる。思わず目を閉じちゃって、次に目を開けたらここにいた。

 周りを見回してみると、この空間にはいくつか扉があった。それぞれの扉にはプレートが掛かっていて、それはどうやら部屋の中に仕舞われているものの名前みたい。

 

 

「いやつーか……暗くね?」

 

 

 もう我慢ならねぇ! この空間を一目見てからずっと言いたかったんだけど、暗い! もうとにかく暗いの!

 明るさが暗い! 雰囲気が暗い! 空気が暗い! 暗い暗い暗い!!

 どう考えてもトンデモ空間だよねここ、ホントにアリサのスマホの中なの!?

 

 でも『アリサ』だもんなぁ、ありえないとは言い切れないんだよねぇ……。

 パーカーのポケットからチーズとかタルトとか出てくるし、この前なんてでっかい斧が出てきたんだから!

 どこからかって? もちろんポケットから。意味分かんないよね、私にも分からん。

 

 まぁとりま動くしかないか。扉しかないなら扉を調べるしかないし。鹿もいないし。

 ……うおヤバ、アリサが良く言ってる謎のギャグが移っちゃった。『○○ない。○○もない』みたいな、よー分からんギャグをアリサがめちゃくちゃ言うんだよ。

 鹿なんてどーでもいいから、早く扉を調べなきゃ。そう思って私は扉の一つに手を伸ばした。

 

 

 

 ……んん? 『手を伸ばした』?

 

 

「って、てててて、手ぇ! かぐやちゃんハンド! うおぉぉ手だけじゃなくて身体もあるぅぅぅぅ!!」

 

「数年ぶりのマイボディ! パーフェクトデザインのボディに、この麗しのかぐやちゃんボイス!うぅぅぅぅ嬉しすぎて嬉しキングダム!!」

 

 

 失礼失礼、思わず最大級の"嬉しキングダム"が出ちゃったよ。

 でもでも身体、身体があるんだ! もう諦めてて一生ウミウシのまんまだと思ってたのに、今は確かに自分の身体がある。自分の意思で動かせる手足があって、自分が思うようにハッキリ出せる声もあるの……!

 

 じゃあやっぱり私はアリサのスマホに入れてるんだ! 壊れかけてた『もと光る竹』の中じゃ絶対こうはなってないもんね! 改造した本人が言うんだから間違いナシ!

 

 

「よっしゃあテンション爆上がりぃ!」

 

「早いとここんなシケた場所からオサラバだよっ!」

 

 

 そうと決まれば早く扉を見てみなきゃだね! うぉん今のかぐやを止められる存在などいないのだよ!

 まずはさっき開けようとしたヤツから行こう!

 

 

「『アイテム』ねぇ、まぁなんとなく予想は出来るけど」

 

 

 その扉には『アイテム』と書かれたプレートが掛かっていた。たぶん見たまんまの物が中に入ってるんだろうけど、行かないことには何も分からない。

 変なのとかなかったらいいけど……。

 

 そう思いつついざ中に入ってみると、そこに広がっていたのは意外な光景だった。

 

 

「お邪魔しまーす……って、なんか思ってたのと違う……?」

 

「普通、だなぁ。THE☆普通の物置きって感じだけど……」

 

 

 『物置き部屋』、それがこの部屋を端的に表すにふさわしい言葉だった。

 引っ越し前の彩葉の家と同じくらいの広さで、そこに多くの棚が置いてある。その棚には前に見たチーズとかタルトとかの食べ物みたいなヤツや、何かが入っているビン、鉱石みたいなものとか果ては懐中時計なんてものもあった。

 棚には収まっているものの雑に置かれてる感が強く、それが『物置き感』を加速させている。

 

 中には段ボールに入れられた上に厳重に梱包されているものもあったけど……とてつもなく嫌な予感がするので触らないでおいた。だって中身を見なくても絶対ロクでもないって分かるし!

 

 

「アリサは『インベントリ検索機能』とか言ってたけど、これってスマホの中にアイテムが格納されてるんじゃないの?」

 

「まー、うん。深くは考えなくていっか」

 

 

 目ぼしいものは見つからなかったので、物置き部屋を出る。

 いっこめの部屋がコレなんだったら、他のとこもおんなじなんじゃない? と思わなくもないけど、行かなきゃ分からない。

 

 ってことで次の部屋!

 

 

「ここは……『武器・防具』ね」

 

「分かりやすくて助かる助かる、そんじゃおじゃま~」

 

 

 そこはプレートに書かれた通り、ラックに沢山の武器や鎧とかが置かれている部屋だった。なんの捻りもないね。

 でも生で武器なんて見たことないし、ちょっとワクワクしちゃう。

 

 心を躍らせながら部屋を見て回っているけど、本当に色々な武器が置いてある。

 オーソドックスな剣や刀、大きな斧に杖にメイス、あとは……なんだコレ、おたま? おたまって武器なの? おたまってアレよ、料理に使うアレだかんね? 意味分からん。

 他にはクソデカい錨とかもあって私の中の"武器の定義"が揺らいだけど、なんとか私は元気です。

 

 そんな風に若干頭を抱えそうになりながら歩いていると────

 

 

「ほわぁ~~……」

 

 

 思わず声を漏らしてしまうほど、綺麗な剣が飾ってあった。まるで夜空に浮かぶ月のような、というか『月光をそのまま剣の形にした』ような剣だった。

 月光ってなんだよって思われるかもしれないけど、月人である私がそう思うんだから結構的を射てる表現のハズ。

 その神秘的な光に手を伸ばしそうになるけど、自制して抑える。いくら綺麗なものでも持ち主はアリサなんだから、変な呪いとかあっても不思議じゃないし。よくあるじゃん『剣が持ち主を選ぶ』みたいなの。せっかく戻って来た身体なんだから大事にしないと。

 

 名残惜しいけど月光の下を離れて、今度は防具を見ることにしよう。

 見た感じ"盾"のコーナーと"防具"のコーナーがあるっぽくて。盾は無造作に置いてあるものも少なくないけど、防具はいくつかトルソーに着せられているものがあった。シリーズ物なのかな?

 

 

「騎士に武士に魔術師、こっちは船乗りでこれは……潜水士ってヤツ? うわ、バニーガールまであるし」

 

「ほえー、鎧だけでもいっぱいあるなぁ。マントもあるし天使っぽいのとか巫女っぽいのまであるしで、鎧はともかくマントとかは防具じゃなくないか?」

 

 

 もう武器もアレなら防具もアレだよ。意味分からんのバーゲンセール!

 でも盾は分かりやすく"盾"って感じだったから良かった。何故か銃も一緒にしまわれてたけど、誤差だよ誤差。……これもアリサがよく言ってるフレーズじゃん、すんごい移っちゃってる。

 

 まぁいいや、この部屋はこの辺にして次行こっか。

 

 

「あと扉はふたつか、じゃあこっちから」

 

「『指輪』、超シンプルで分かりやすっ」

 

 

 分かりやすいのは良いことか、うん。てなわけでもう扉も3つ目、いざ突撃!

 

 

「うーん、指輪だね。いかにも指輪って感じの指輪だ」

 

 

 いやもうそうとしか言いようがない!

 なんか宝石店とかで見る指輪がいっぱい差してある箱みたいなのがあるでしょ? 中にクッションが敷かれてて、そこに穴があって1個ずつ差していくアレだよアレ。

 それがもう部屋いっぱいに置かれてるんだけど、それがまぁ指輪でしかなくて……。

 

 でもデザインはすごい凝られてる。それにアリサがさっき海に入る前に着けてた指輪も見つけたし。……なんか同じのが10個くらいあるけど。

 よく見たらデザインの種類は沢山あるのは間違いないんだけど、同じデザインの指輪それぞれが10個とか20個ずつあるんだけど……。なんで同じ指輪がこんなに大量にあるの……?

 

 

「ここまでおんなじものがあるとキモい、うん」

 

「ただ綺麗な指輪もそれなりにあるし、1個ずつ飾るならアリかも」

 

 

 あくまで飾るだけで着けたりとかはしないけど。

 だってどんな効果があるか分からないし。たぶんアリサに聞けば教えてくれると思うけど。

 ファンタジーに心惹かれる気持ちはあれど、その冒険心を出すのは今じゃないってことよ。

 

 

「じゃあ最後、いきますか!」

 

 

 まずはこの謎空間を抜けないと。アリサに話を聞くことすら出来やしない。

 ここまでの扉は全て倉庫みたいな部屋に繋がっていたんだから、最後の扉が出口っしょ!

 

 指輪の部屋から出て、意気揚々と扉に向かう。

 するとそこには……!

 

 

「『大切なもの』ぉ!? 出口じゃないじゃん!」

 

 

 はい、出口なんてなかったです。なんだよじゃあどうやって出るのぉ!?

 

 ……ふう、少し落ち着いた。ともかく入ってみよう。もしかしたら物置きに見せかけた出口かもしんないし。

 

 

「どうか出口でありますよーに!」

 

「……あれ? なんか、狭くない?」

 

 

 祈りつつ開けた扉の先にあったのは、さっきまでの部屋と比べると格段に狭い部屋だった。というか置くものが少ないから部屋も狭いのかな?

 というのも、置いてあるものが数えられるほどしかないんだよね~。

 黒い粉みたいなものと、あとは歯車と切符くらい。なんとも寂しい数しかないけど、わざわざ『大切なもの』っていうくらいだから、なにか思い出の品だったりするんだろうか。

 

 

「だったら変に見るのも良くないかー」

 

「でもここを出ても次行くとこなんてないし……どうしたもんかなぁ……」

 

 

 結局プレートの通り出口じゃなかった。

 口をついてボヤキが出てしまうけど、沈んでばっかりもいられない。

 でもこれからどうしたらいいんだろう。扉は全部見てきたけど、他にどこか調べられそうなものはあったかどうか……。

 とか色々考えながら部屋を出た。

 

 すると不思議なことが起こっていた。

 元いた空間に戻った私の目に飛び込んできたのは、さっきまでは絶対になかった扉だった。

 

 

「うぉぉぉ扉が生えてきてるーっ!?」

 

「これあれじゃんホラゲーでよくあるタイプのやつじゃん! イヤだー行きたくねー!」

 

 

 『全部の扉を通った後に先に進む道が解放される』っていうのはゲームじゃよくある話だけど、ここはゲームじゃないんだが!? いやでもスマホの中だからゲームみたいなもの!?

 あぁもう分かんなくなってきたー!

 

 お、落ち着け。とにかく扉の様子を調べよう、もしかしたら『出口』って書いてるかもだし?

 そんな一縷の望みを抱き、扉に近づく。その扉にも例にもれずプレートが掛かっており、近づくにつれて書かれている文字がハッキリと見えてくる。

 そのプレートには……

 

 

『繧ュ繝」繝ュ繝ォ』

 

 

「読めねー!! 全然読めないんだけどー!?」

 

 

 もう全く読めなかった。これ文字化けしてるじゃん! いくら月人がプログラミングとか学習能力に優れてるって言っても法則分かんなきゃ分かんないっての!

 

 しかし扉はこれだけ、読めなくても入るしかない……。

 

 

「死ぬほど行きたくないぃぃぃぃ! でも行かないと進めない気もするぅぅぅぅ!」

 

「すぅー……はぁー……」

 

「よ、よし」

 

「いち、にの、さん、で開けるぞ~……!」

 

 

 そうして私は

 

 

「いち!」

 

 

 意を決して

 

 

「にの!」

 

 

 その扉を

 

 

「さーん!!」

 

 

 開いたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「────何も、起きない……?」

 

 

 相当覚悟を決めて開けたのに、何も起こらなかった。

 先の空間は至って普通の、書斎のようなところだった。

 その部屋を見て、全身に入っていた力が抜けて座り込んでしまう。

 

 

「お、驚かせやがって~……」

 

「文字化けしてたのは見かけ倒しってことか~、あー良かった良かった」

 

 

 もしかしたら文字化けで『出口』とか書かれてたのかもしんない。

 これでようやく出られる!

 

 と思ったのも束の間のこと、正常に視界情報を処理し始めた私の目は『あるもの』を映し出した。いや『映してしまった』。

 

 

「ひ、ひ、人……!?」

 

「なんかめっちゃノイズ走ってる人影が椅子に座ってる……っ!?」

 

 

 思わず腰が引けてしまった。

 だってこんな空間で、文字化けした扉の先の部屋で、ノイズがかった人なんてマトモなわけないって!

 いつアレに認識されるか────

 

 

 ────アリスか?

 

 

「ひぃぃぃぃぃ喋ったぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 喋りかけてきたんだけど!? 怖すぎ!!

 てゆうかアリス? アリスって誰!?

 

 

 ────アリスか?

 

「い、いや……私はアリスじゃないけど……?」

 

 ────アリスではない?

 

 

 あのー、アリスってずっと言ってるんだけどこの人(?)。

 つーか私はかぐやだし。アリス要素皆無じゃない? いやアリスって本当に誰なんだよ。

 

 真っ先に思いつくのはやっぱ『不思議の国のアリス』だ。配信のネタ探ししてた時に童話とかも見てたから知ってる。それにしたって共通点どこ?

 今の身体は彩葉と一緒に暮らしてた時のヤツだから……まー強いて言うなら"金髪"ってくらい?

 でも髪色が似てるってだけで見間違うとかありえる?

 

 

 ────だがその髪……やはりアリスだ

 

「違うが!?」

 

 ────ああ、アリス……私のアリス……

 

「なにコイツ! 話が通じないんですけど!!」

 

 

 マジで髪色だけで判断してたよ! ありえないって!

 もしかして出会った頃のアリサが『名前を間違えるな』とか言ってたのって、この人の影響とかあったりしたんかな!? いや怖いってガチで!

 

 そんな風にアリサに同情してたからか、私は異変に気づけなかった。

 目を離してなんかいないはずなのに、座っていたはずの人影が一瞬のうちに目の前まで迫ってたんだ。

 

 

 ────アリス

 

「ひょえっ!? わ、私はアリスじゃないって!」

 

 

 否定しても人影が止まる様子はなく、こっちに向かって手を伸ばしてきた。もしかして触ろうとしてる……?

 やだやだ! こんなのに触られるとかぜーったいイヤ! なにされるか分かったもんじゃない!

 

 えっと、えーっと……そ、そうだ!

 アリサが何か言ってた気がする……! あれは確か、そう────

 

 

「こ、こっち来ないで! 私はかぐや! アリスじゃない!」

 

 ────アリスではない?

 

「私は私の大切な人に会うために頑張ってるんだから! ハッピーエンドを目指すって、そう約束したんだ!」

 

 ────アリスではない?

 

「だからここから出してよぉ!」

 

 ────アリスではない?

 

 

 うわ、なんかバグっちゃった……? 同じことしか言わないようになっちゃったけど……。

 いやこんな不気味なヤツの心配してどーするって話よ。動かないんだったら別の部屋とか手段を探すまでだし!

 

 

 ────アリスではない?

 

 ────いいやアリスだ

 

 ────その髪はアリスだ そうだ……

 

 

 うえっ? なんか雲行きが怪しくなりそうな言葉が続きそうな感じじゃない……?

 もう完全にホラゲーなんだけど……。もう帰りたいって。

 

 

 ────アリスはそんなこと言わない

 

「やっぱり続いたー!? てかこっち来ないでー!!」

 

 

 迫ってきた手を反射的にかわす。

 迫ってきてはかわし、迫ってきてはかわし……を何度か繰り返しているうちに、気付けば部屋の壁にまで追いやられてしまっていた。

 

 ウッソかぐやちゃん史上最大のピンチってやつ!?

 そんなこと言ってる場合じゃない! マジマジマジでヤバイって!!

 

 

 ────アリス

 

 

 どうやっても逃げ場がないぃぃぃぃ……! 誰か、誰か……!

 

 

誰か……()()()……!!

 

 

 出てしまった言葉、今まで散々使ってきた言葉。

 でも言ったところで、今回ばかりは誰もいないんだ。

 

 そして、人影の手が

 

 

 私に

 

 

 

 触れ

 

 

 

 

 

 

 

 

『はいそこまで』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようとしたところで声が聞こえた。

 いつもとは違ってくぐもった声だったけど、私には分かる。

 だって、3年間毎日聞いてた声なんだもん!

 

 

「アリサ!」

 

 

『やっほ、かぐやちゃん』

 

 

 帰ってきた返事で少しだけ泣きそうになっちゃった。だってこんなホラー体験してんだよ? そりゃ涙のひとつも出るよ。

 

 

 ────アリスか?

 

 

 まーた言ってんのかコイツはァ! と思ったけど、これ私に言ってるんじゃない……?

 人影の身体は明らかにアリサを向いていた。というか待って、アリサの身体なんか赤くない? なんかアバターの設定間違えたかってくらい真っ赤なんだけど!?

 

 

『久しいね、アリス狂い。邪神と戯れた時以来かな?』

 

 ────おお、アリス……その髪、その目はまさしくアリスだ

 

 

 ……あれ? アリサがアリス?

 アリサって確か、金髪で、目は青くて……ヤバ、要素だけ見たら不思議の国のアリスみたいな姿かもしんない。ってなるわけあるかぁ!

 ダウナー系野暮メガネ不死者ガールがアリスとか片腹痛いわ! まずはかぐやちゃん級に可愛くなってから出直してこい! あ、でもかぐやもアリスじゃないけど!

 

 

『いつまで経っても変わらないね』

 

『悪いけど』

 

『その子はボクの可愛い友人なんだ、手出しは無用で頼むよ』

 

 

 うお。

 アリサになんかスゴイこと言われた気がする。『可愛い友人』とか……へへ、分かってんじゃないの。

 

 ちょっと照れ臭くなっちゃったけど、真っ赤なアリサは私には目もくれずに人影の方を見ていた。

 そしてそのまま手に持っていた刀を抜いた。

 

 え? 刀を抜いた?

 

 

 

 

 

 

『悪夢は終わりだ、かぐやちゃん』

 

 

 

 

 

 

 鬼哭啾々

 

 

 

 

 

 

 なにかが2回閃いた、その後アニメでよく聞いた『チン』っていう刀を鞘にしまう音がひとつ。

 音がしてからようやく理解した。閃いたのはアリサの刀、それが一瞬で2回……ツクヨミの『神戦(KASSEN)』でもやっとるんか? この不死者は。

 

 きこくしゅうしゅう? ってのは技の名前とかかな。とにかくアリサがなんかしたのだけは分かった。分かったけど、それでどうなったの……?

 

 

 ────アリ、ス……

 

『じゃあね先生、今度はかぐやちゃんがいない時に出てきてよ』

 

 

 声を上げた人影を見ると、2本の筋が走っていた。たぶんアリサが斬ったのだろう、でも血は出ていなかった。

 そのまま崩れ落ちるように人影は倒れ、そして塵になって消えていった。

 

 

「消えちゃった……」

 

『ほんと見境ないんだから。とりあえず君は無事?』

 

「う、うん。でもなんで……」

 

『手助けは出来ないとは言ったけど、手出しが出来ないとは言ってない。そういうことだよ』

 

 

 言葉遊びかなにかなの? アリサって言い回しが変になる時があるのが厄介だよな~。

 今回もようは『助けには来てくれる』ってことだったみたいな意味なんでしょ? 素直にそう言ってくれたら私がここまで怖い思いをすることなかったんじゃない?

 

 そう考えたら腹立ってきたぞ~?

 

 

『危機は去った、あの扉を通ればこの空間から出られるよ』

 

「そうなの!? だったらこんなとこ早く出てやるんだから! ここから出たらアリサには聞きたいことめっちゃあるから覚悟しててよね! その真っ赤具合とか!」

 

『これは悪夢霊っていう────』

 

 

 人影で見えなかった位置にあった扉をアリサが指さしたと同時に、私の身体は動き出していた。

 アリサが何かを言いかけていたけど、もう私は止められないし止まらない。

 

 

 

 

 

 

 こんな空間、二度と来ないからなー!!!




このあとのスマホのアレコレを書こうと思ったら1万字超どころの話ではなくなってしまうのでここで切ります。
前回の後書きで終わらすって書いていたのに終わりませんでした……。
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