吸血姫にTS転生した俺、ダンジョンマスターになる〜最強ダンジョンを作って美少女眷属と引き篭もりたい〜   作:光の道筋

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ダンジョンのルールと眷属

 ダンジョンのルールその1は、ダンジョン内で生物が死ぬと保持していた魔力を貰える、というものだった。

 しかし、イレーネによると生物が死ななくても魔力が貰えるらしい。ダンジョンのルールその2は一体何なのだろう。

 

「では発表します! ダンジョンのルールその2! ダンジョン内の生物は、1時間につき最大魔力の1%が徴収されます!」

「それは自動で?」

「はい! 自動です!」 

 

 生物がいるだけで勝手に魔力が増えるのか。わざわざ殺さなくていいなら手間が省ける。

 

「1日で24%、丸4日でほぼ100%の魔力を貰えるのか。でも生物の魔力が全部無くなっちゃうな」

「大丈夫! 魔力は自然回復するので! 回復速度も1時間に1%ぐらいです!」

「徴収量と回復速度は同じってことだな」

「はい! その通りです!」

 

 イレーネは笑顔でウンウンと頷いている。とりあえずダンジョン内に居るだけで死ぬことは無さそうだ。魔物をしっかり管理して飼えば、4日以上生存させるのも可能だろう。そうなれば殺すよりもお得になる。

 ならば最初に創るのは最大魔力が高く、かつ繁殖力も高い魔物がいいな。飼育も楽な魔物なら完璧だ。

 あ、そういえばダンジョン内の生物なら吸血鬼も当てはまるよな。俺とイレーネからも徴収されてるのか。

 

「俺とイレーネも魔力を取られてる最中か」

「いえ、ダンジョンマスターは魔力を徴収されませんよ。あとマスターの眷属もですね」

「眷属? よくわからないけど、イレーネは徴収されてるってことか?」

「私は徴収されてません。リリィ様の眷属なので!」 

 

 至極当然のような口ぶりだ。なんだよ眷属って。重要そうなワードをサラッと言わないでほしい。こっちはダンジョンのルールを覚えるのに精一杯なんだ。一旦深呼吸をして落ち着こう。驚き疲れてきたが、まだまだ知らないことがありそうだ。

 

「ふぅ……眷属って、何」

「吸血鬼が他者を従属させた者のことです。普通、吸血鬼は同族を眷属に出来ないんですけど、王族なら可能っぽいですね」

「いやいやいや、ちょっと待て。いつ俺が眷属にしたんだよ」

「私の血を飲んだじゃないですか。あれで眷属になりました」

「……マジかよ」

「マジです」

 

 いつのまにか眷属にしちゃっていた。あの時は急いでいたとはいえ、そんな話は初耳だ。

 吸血鬼にとって眷属がどういうものなのか、俺には分からない。しかし、従属という言葉が出てくる以上、軽いものではないはず。イレーネは眷属になって良かったのだろうか。

 

「イレーネは眷属でもいいのか?」

「全然大丈夫です! 眷属になると命令に絶対遵守なんですけど、それは眷属じゃなくても変わらないので!」

「……そうか」

 

 命令に絶対遵守とは重い縛りだ。それでもイレーネの雰囲気は明るい。眷属になったのが不満ではないらしい。それは嬉しいな。けれども責任重大だ。安易な命令は控えよう。無茶な命令を無理強いしたくはない。

 

「と、ルールその2の説明はここまでですね。要するに、魔物を繁殖させまくると魔力がめちゃ増えるってことです」

「繁殖力の高い魔物がいいな。試しにここで創ってみよう」

「マスタールーム内でないと創れません。ダンジョンコアまで帰りましょ」

「えっ……あの臭い道をまた通るなんて……嘘だろ……」

「嘘じゃないです!」

 

 嘘であってほしかった。腐肉が放置されてるダンジョンなんてもう歩きたくない。あそこは鼻が腐りそうになるんだ。

 山ほどある死体をどうやって片付けよう。早く処分しないと、俺とイレーネが病気になってしまう。

 

「帰るか……本当に嫌だけど……」

「そんなこと言わないでください! リリィ様のおうちですよ!」

「家が死体まみれなんて最悪だ……」

 

 イレーネに手を引っ張られ、渋々地下に潜る。階段を下る途中で既に臭い。早く何とかしなければ。ダンジョンの清潔感は俺が守る。

 鼻を摘み、駆け足でダンジョンを進んでいった。帰り道は覚えていないため、イレーネに案内してもらう。1階層を走り去り、すぐさま2階層へ。止まることなくダンジョンコアがある部屋へと辿り着いた。息を切らせながらダンジョンコアに触る。

 

 俺とイレーネはマスタールームに移動した。空気が清潔で心地よい。真っ白で汚れが存在しない世界なのも嬉しかった。ダンジョンもこれくらい綺麗にしたい。

 

「ぜえ……ぜえ……私は運動能力も落ちてるので……あまり走らないでいただけると……」

「はぁ……はぁ……疲れた……寝っ転がりたい……あのベッド使ってもいいか……?」

「いいですよ……あ、私も寝ます……」

 

 2人ともクタクタに疲れきっていた。死にかけのような状態で、高級感のあるベッドにうつ伏せで倒れ込む。ふかふかで気持ちいい。体の疲労が、ベッドに吸い込まれるように消えていく気がする。イレーネも俺の横に身を沈め、彼女の顔がすぐ目の前に来た。1つのベッドに2人で添い寝している。ちょっと狭い。

 

「落ち着きますね……」

「だな……このまま魔物創っちゃうか」

「いいですね。どんな魔物を創りましょうか。こんな魔物がいいなー、みたいな希望ってあります?」

「そうだな……ダンジョンを綺麗にしてくれる魔物がいい」

「そんなの存在しますかね」

「いないかな。カタログ見てみよう」

 

 仰向けになり、カタログを開く。そこに載っている魔物の種類は実に多い。

 定型か不定型か、陸生か水生かといった分類に加え、哺乳類・両生類・爬虫類など、さらに細かく分けられている。あまりにも種類が多すぎるな。まずは創りたい魔物の条件を考えてみよう。

 

 1つ目、魔物には死体を処理してほしい。なら腐肉食の生物が望ましいか。死体は沢山あるから餌の代わりにもなって飼育が楽になる。

 2つ目、生成に必要な魔力が少ない魔物。今蓄積されている魔力は622。繁殖のために雄と雌をそれぞれ1匹ずつは創りたいから、必要魔力は高くないほうがいい。

 3つ目、最大魔力量が多く、繁殖力が高い魔物。これは手っ取り早く魔力を増やしたいからだ。

 繁殖力はともかく、最大魔力量の優先度はそこまで高くない。妥協してもよい点だろう。

 

 この3つの条件の条件を満たす魔物がいるか、イレーネに相談する。彼女は少しの間考えた後、何か思いついたようだ。

 

「苔スライムでいいんじゃないですか?」

「苔スライム? どんな魔物なんだ?」

「その名の通り、苔やキノコを食べることで有名なスライムです。魔物の死骸も食べちゃうんで、ダンジョンの掃除もしてくれると思います」

「おお! それはいいな!」

 

 1つ目の条件はクリアだ。後は2つ目と3つ目の条件。これらを満たしているのだろうか。

 

「スライムなので創る魔力は安いです。多分200前後で創れるんじゃないですかね」

「200だったら3匹創れるな」

「繁殖力も高いですよ。体内にある程度の栄養が溜まったら分裂します。餌がいっぱいあるので、すぐに増えそうです」

「死骸が腐るほどあるしな」

「優しくて強い誰かが殺したからですね! リリィ様は誰なのか知ってます!?」

「さぁ……」

「それはイレーネちゃんです!」

 

 イレーネの明るい声を聞き流しながら、カタログの中から苔スライムを探す。あった、これだ。苔スライムは緑色の粘液のような姿をしており、体表のあちこちに苔が生えていた。

 

「あ、最大魔力量は多くないですよ。個体差がありますが100くらいです」

「100だけ? 200も使って創るのに」

「こんなもんです。基本的に、創る魔力より魔物の最大魔力量は少なくなっちゃいます」

「そうなのか。創るのは苔スライムでほぼ決まりだな」

 

 最大魔力量100なら4日で96%、8日で192%の魔力が徴収される。9日生存させれば元が取れるんだ。頑張って飼育しよう。

 

「一応、他の魔物も考えてみます? もっと条件にピッタリな奴がいるかもしれません」

「他の魔物……死体を食って繁殖力があるなら虫系とか?」

「む、虫は嫌いです! やっぱ苔スライムにしときましょう! ね! ね!?」

「あ、あぁ。提案しただけだから。そんな揺すらないで……」

 

 イレーネに肩を掴まれ、激しく揺すられる。俺も虫は好きじゃない。半分冗談で言ったが、想像よりも拒否されてしまった。

 やはり苔スライムか。条件を満たしている上に見た目も気持ち悪くない。創るならば、この魔物しかないだろう。

 

「虫は創りませんよね!?」

「虫は創らない。創らないから」

「絶対ですよ!」

「絶対だ。一緒に苔スライム創ろう!」

「はい! 苔スライムなら可愛いので好きです!」

 

 やっと揺するのを止めてもらえた。苔スライムは可愛いのか。実物を見るのが楽しみだな。

 




次回、いよいよ魔物を創ります。リリィのステータスも公開されます
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