0章最終話。よろしくお願いします。
激務な風紀委員で働いて、気がつけば3年生になっていた。
「今年の新入生は皆普通ですね。」
「そうね、良くも悪くも。と言ったところだけれど。」
今年の新入生は去年のイオリさんや温泉開発部の部長なんかと比べれば、特段強かったり問題を起こしそうな生徒は少なかった。
「そういえば、万魔殿にユウと歳が同じくらいの子が入ったって聞いたわ。」
「そうなんですね。今度行く時にでも聞いてみます。」
■
さて、今日も今日とて鎮圧に出向いている。
「そこまでですよ、温泉開発部。」
「げっ、ユウ......」
またもや問題を起こした温泉開発部。
まぁ、もう慣れてしまったけれど。
「あれ、今日は人が少ないですね。」
「お前が昨日捕まえて行ったんだろ!!」
「あぁ、そうでしたね。」
もちろん、忘れていた訳じゃない。
いつもいつも問題を起こす温泉開発部に対しての小さな嫌がらせみたいなものだ。
ちなみに、部長のカスミさんと現場班長のメグさんは昨日捕まえた。
「温泉開発をしたい気持ちは分かりますけど、他人に迷惑をかけてしまっては、ダメじゃないですか?」
そして、血で作った剣を両手に構える。最近は近接戦闘がメインになっている為である。
「今度は反省して欲しいんですけど...ねっ!」
温泉開発部に向かって飛び出す。
カチッ
「えっ。」
ドカーン!!!
「よし!よくやったみんな!これならあのユウでも...」
砂煙が晴れる。
「けほっけほっ」
まったく。罠を貼っていたなんて。咄嗟に血で防壁を作ったから衝撃を減らせた。
「「「「!?!?!?」」」」
「クソっ、どう見ても当たってじゃないか!」
「確かに、少し怪我をしちゃいましたね。」
「少しかよ!?」
「ま、もう大人しく捕まってください。」
ザシュ!ザシュ!
まとめて切り伏せる。そしてバタバタと倒れる温泉開発部。
「ふぅ。医学部にでも寄ろう。」
温泉開発部を引渡し、救急医学部に寄る事にした。
「失礼します。怪我の手当をお願いしたいんですけど...」
「どうぞ、こちらへ。」
「(初めて見る人だな...1年生かな?)」
「風紀委員の方ですよね...?医療部があると思うんですけど...」
「...人手が足りてないんですよ。」
「そう...ですか。」
手当をしてもらいながら、ポツポツと会話をする。
「あの、1年生の方ですか?」
「はい、1年の火宮チナツです。」
チナツさんと言うらしい。1年生にしては、とても手際が良い。
「お上手ですね。風紀委員に欲しい位ですよ。」
「そう...ですか。......はい、終わりましたよ。」
「ありがとうございます。またお世話になるかもしれません、その時はまたお願いしますね。チナツさん。」
挨拶を交わして出た。去り際、チナツさんの顔が少し赤かった気がするが......気のせいだろう。
■
「そうですか。」
「...止めないんですか?」
私、火宮チナツは部長のセナさんに退部届を出した。
理由は風紀委員に転部するため。
「今日のことは聞きましたから。」
「...短い間でしたが、お世話になりました。」
「いつでも戻ってきていいですからね。」
「はい...!」
次の日
入部届を出すため、風紀委員本部へと来ていた。
「あれ、チナツさん?」
後ろから話しかけられた。振り向いて見ると、昨日手当した男の子だった。
「昨日はありがとうございます。それで、今日は風紀委員に何か?」
「はい、これを出しに...」
鞄から入部届を取り出す。
「入部届...?救急医学部の部員でしたよね?」
「そちらは昨日退部してきました。」
「え!?......まぁ、チナツさんの決めたことなら。じゃあ、これ。受理しますね。」
「あの、君が受理する...?」
「あ......そうでした。僕は風紀委員長補佐の空崎ユウです。権限的に言うなら委員長とほぼ同じですので、大丈夫ですよ。」
驚きました。目の前にいる男の子は、風紀委員のTOP2の1人、空崎ユウさんだったのですから。
名前は入学前から知っていましたが、容姿までは知りませんでした。
「立ち話もなんですし、中に入りましょうか。」
そうして、風紀委員本部の応接室に通された。
「コーヒーでいいですか?」
「は、はい。」
せっせとコーヒーを準備するユウさん。
その姿は愛らしかった。
「......可愛い。」
思わず口にしてしまう。
「...久しぶりに言われました、それ。」
ユウさんはコーヒーの入ったマグカップを置きながら、そう言った。
「風紀委員のみんなには言わせないようにしてるんですよ。」
あっ。と思い口を隠す。
「ふふっ。チナツさんなら...いいです。可愛いって言っても。」
「(...なんですかその顔、かわいすぎます。)」
「チナツさん?」
「は、はい!」
「少しボーッとしてたようですけど...」
「大丈夫です...はい。」
「そうですか。なら、本題に入りたいんですけど...」
コクリと頷く
「チナツさん、幹部として加入しませんか?」
「幹部......ですか。」
「はい。チナツさんの医療の腕は、昨日拝見しました。少し忙しくなってしまうと思いますが、その腕を遺憾無く発揮してもらいたいです。」
「私でいいのでしょうか...」
「はい。チナツさんだからです。」
「......わかりました。一生懸命頑張ります。」
ユウさんは私の言葉にパッと目を輝かせました。
...かわいい。
■
「チナツさん、こっちです。」
新しく入部したチナツさんをみんなに紹介するため、執務室へ向かっていた。
「はい。」
「この前も言ったと思いますが、幹部のみんなは優しい方たちなので、もう少し肩の力を抜いていいと思います。」
「......委員長はユウさんのお姉さんなんですよね。」
「はい、そうですよ。お姉ちゃんも優しいので、大丈夫です。」
そうしてあれこれ話している内に、執務室へとたどり着いた。
「失礼します。予定通り、チナツさんを連れてきました。」
「おかえりなさい、ユウ。」
中にはいつもの3人。
「...チナツ、ユウから話は聞いているわ。これからよろしく。」
「...よろしくお願いします。」
「行政官の天雨アコです。よろしくお願いしますね、チナツ。」
「イオリだ。気軽に接してくれ、チナツ。」
「よろしくお願いします。医療支援、頑張ります。」
ぺこりとお辞儀をするチナツさん。
よかった、仲良くできそうかな。
「僕からも改めて、よろしくお願いします。チナツさん。」
「はい。怪我をしたら、いつでも言ってください。」
「その時は、すぐ頼りますね。......あと、少し変わったことをお願いするかもしれません。」
「変なこと...?」
「...僕、吸血鬼なんです。だから、血を吸わせて欲しいと頼む時があると思います。その時は、お願いします。」
「...吸血鬼......ですか。......分かりました。」
「ありがとうございます、迷惑をかけますね。」
「ふふっ。いえいえ、かわいいユウさんに血を吸われるなら、いくらでも。」
「もう、かわいいだなんて......チナツさんだからいいですけど...」
「「「!?」」」
「い、今...かわいいって...」
「えぇ...」
「ズルいですね...」
その後、チナツさん以外の3人からかわいいと言ってもいい許可が欲しいとお願いされ続けたが、お断りした。
なんで。とも言われたがごめんなさい。僕にも分かりません。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回で0章は終了となります。次回より1章です。
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