今日もよろしくお願いします。
「んーっ、今日もいい天気だなぁ。」
今日、僕は風紀委員会の仕事で自治区の見回りである。
相変わらずゲヘナでは騒動が絶えず、今日の見回りでも何度も何度も鎮圧を繰り返している。
とまぁ、少しでも気楽に行かないとすぐに疲れちゃうからのんびりと見回りをしているけどね。
そうしてのーんびりと見回りを続けていると、僕のスマホが鳴った。
「? はい、もしもし。」
すぐに出て、応答を待つ。
『あっ、ユウ先輩ですか!?救援をお願いしたくて……!!』
「! 座標を送って。すぐに行くから。」
電話の相手は風紀委員会の後輩で、切羽詰まる声で救援を求めてきた。断る理由もないし、送られてきた座標を見てすぐに現場へと向かう。
数分も経たないうちに現場に到着する。そこでは、2つの不良グループが抗争を繰り広げていた。隅には数十人の風紀委員会の子達の姿もある。
「状況は?」
「ユウ先輩……!えっと、あのヘルメット団とスケバンの抗争を止めようとしたのですが……その時だけ謎に結託して返り討ちにあってしまい……」
不良達の抗争がヒートアップしていく中、後輩たちから話を聞く。僕が来たことに後輩たちからは安堵の声が出ていた。中にはかなりの怪我を負っている子もいるため、のんびりはしていられない。
僕は状況説明してくれた後輩の頭を撫でる。
「ありがとう。君たちは先に撤退して、怪我人の手当をしておいて。」
「!? 私たちも戦えます!」
そう言って後輩たちは武器を構えているけど……怪我だらけだし、戦わせるわけにもいかない。
「気持ちは嬉しい。でもね、君たちにそれ以上怪我を負ってほしくはないんだよ。」
僕だって、人が多いほうが嬉しくはある。だけど、それ以上に怪我をする身内を見るのが辛い。
「だから、ここは僕に任せて。」
「っ……はい。」
聞き分けの良い後輩で助かった。班長の子が撤退指示を出し、後輩達は現場を後にした。
「さて……やりますか。」
今だ続く抗争を睨み、戦闘の準備をする。
相手はすべて合わせて100人近くはいそうだ。だが全員僕には気づいていない。お互いに銃を撃ち合い、取っ組み合っている。
「(人も多いし、一気に片付けたほうが良さそうですね……)」
ということで、僕は血を使って大剣を作り出す。これで全員薙ぎ払おうという考えである。
「ん…?り、リーダー!あれ!!」
大剣を作ると、流石に僕の存在に気づいたようで、何人かの不良は僕を見た。
そしてその生徒から広がるように僕を見る人が増えていく。
「ま、まじかよ……」
「うそ……ヤバくない?」
「くっそ……最悪だ……」
「リーダー、逃げたほうが良くないっすか?」
戦闘が一時的に止まり、ひそひそと僕について話し始める。中には顔が青ざめている子もいた。
あ、これいつものパターンかも。
僕がそう思った矢先。
「今日のところは一旦引いてやる、次はぜってぇぶっ飛ばすからな!」
「望むところだ!言っとくが、これは逃げるわけじゃねぇからな!!」
お互いのリーダーらしき2人がお互いに言い合ったと思えば、その場から不良帯がぞろぞろと逃げていった。
100人近くいたはずのこの場には、僕が一人取り残される。
「いや……まぁ、良いことなんだけどさ……なんかちょっとさみしいかな。」
確かに、戦わずに済むならそっちのほうが良いに決まってる。でも怖がられているみたいでなんとも言えない気持ちになる。
「まぁ……僕も戻りますか。あの子達の様子も見なきゃだし。」
武器を仕舞いつつ、僕は風紀委員会本部へと戻った。
「あっ、ユウ先輩!!」
医務室に顔を出すと、先程会った後輩たちが治療を受け、休んでいた。
「みんな大丈夫なようで、良かった。」
見渡す限りでは大怪我しているような子はいないため安堵した。
「はい。ユウ先輩の方も、大丈夫でしたか?」
「あー……うん、大丈夫だったよ。」
確かに怪我無く終わったが、問題解決までは行けなかったため完全に大丈夫とは少し言いづらい。
「……その様子だと、また相手に逃げられちゃった感じですか?」
さすがは僕の後輩。そのへんも分かるもんなんだなぁ。
「まぁ、ね。」
「先輩、それってむしろ良いことだと思うんですけど、なんでそんなに落ち込んでいるんですか?」
純粋な疑問が投げられた。
「うーん、僕を見ただけで逃げられちゃうと、なんだか僕は怖がられてるのかなって思っちゃって。たしかに、たくさんの不良を鎮圧していれば、怖がられるのは無理はないと思うけど、それでも自分が怖い人って認識なのはちょっと嫌というか。」
「そんな事ないですっ!!」
後輩は僕の手を握り、そう言った。
「先輩は強くて、かっこよくて。でもたまに可愛いところもあって……怖いなんてことないです!尊敬できる先輩です!!」
「……!」
突然の称賛に驚き、何も言えなくなってしまう。
「あっ、すみません……いきなり変なこと言っちゃって……」
僕の様子を見て後輩は申し訳なさそうにそう言った。なんだか僕も申し訳なくなってしまい、後輩の頭に手を置いた。
「ありがとうね。」
「ふぇっ!?えと……あの……」
僕の突然の行動に後輩の顔が赤くなっていく。流石にいきなりはまずかったか……
「そう言ってくれると、とっても嬉しい。これからもよろしくね。」
「あぅ……ぅぅ、はい……よろしくお願いします……」
はい、可愛い。なんだか後輩達のことは可愛く見えちゃうんだよね。事実だからなんだけども。
「うらやましい……」
「私もいつかはユウ先輩にああやって……」
「?」
部屋の奥の方で声が聞こえた気がするけど、気の所為だよね。
この日から、なんだか後輩からの視線がちょっとだけ変わったような気がする。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
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