ちょこっと日常編。よろしくお願いします。
シャーレ奪還作戦から少し経ったある日...
「連絡来てる...先生だ。」
先生から連絡が来ていた。
お手伝いのお願いと聞きたいことがある...との事だ。
「お姉ちゃん、先生から呼ばれたのでシャーレまで行ってきますね。」
「分かった。いってらっしゃい、気をつけて。」
日傘を指し、シャーレへと歩き始めた。
■
「先生、来ましたよ。」
シャーレのオフィスに入ったが、先生の姿は見えない。見えるのは、白い書類の山のみ。
すると、その山からひょこっと先生が顔を出した。
「あっ、ユウ!来てくれてありがと〜!」
先生の顔は酷く疲れていた。この山のせいで、恐らく寝れていないのだろう...
「早速なんだけど、ちょっとでもいいからこれ手伝って欲しい...!」
「いいですよ。というか、先生は一旦休んだらどうですか?」
「いや、生徒が仕事をしてるのに休む訳には行かないよ。」
「...そうですか。」
そして、3割ほど山から書類を取り、仕事を始めた。
邪魔にならない程度の会話を先生としながら、進めること1時間...
「ん〜っ!ユウ、そろそろ休憩しよっか。」
先生は大きく伸びをしながら言った。
...何がとは言わないけど、強調されて目のやり場に困る。
「先生、コーヒー淹れますね。」
「ほんと?ありがと。」
テキパキとコーヒーの準備をする。
「...なんだか、手馴れてるね。」
「まぁ、風紀委員でよくやってますから。」
「そっか。」
会話をしてる内に完成したコーヒーを先生に渡し、座る。
「そういえば、先生。聞きたいことってなんですか?」
「主にユウのことだよ。」
「なるほど...わかりました、なんでも聞いてください。」
「じゃあ、1番気になってた事なんだけど、ユウって何歳なの?」
「えっと...正確な年齢は分からないですけど、12歳です。」
「若っ!...正確な年齢って言うと?」
「僕の生い立ち...と言いますか。」
僕の言葉に先生は少し複雑な顔をしていたが、「そっか。」とだけ言って話題を変えた。
「次なんだけど...チナツとはどういう関係なの〜?」
「えっ!?」
初めて聞くような先生の少し調子のいい声。例えるなら...そう、
恋バナをする女子のような。
「えっ...と。チナツさんとは仲良くしていますが、ただの仕事仲間ですよ。というか、なんでそんな質問を?」
「だってこの前シャーレから出たらさ?リボンを外して顔の赤いチナツと、距離の近いユウがいたんだよ?」
シャーレ奪還作戦の時、チナツさんの血を吸ったことだろう。
「...その事でしたら、僕の体について説明します。」
その言葉を聞いて少し真面目モードになった先生に、僕が吸血鬼であること。また、血を吸う必要があることを説明した。
「というわけなので、あの時はチナツさんから血を吸っていただけです。」
「なるほどね...でもまあ、それは少し特別な関係と言ってもいいんじゃない?」
「うっ......そう...ですね。」
実際、チナツさんとはただ仲がいいと言う訳には行かないほど親密ではある。
でも、それは恋愛としてではない。
「ふふっ、ユウがどう思っていたとしても、チナツの気持ちをちゃんと分かってあげるのよ?」
「...はい。」
僕が静かにそう答えると、先生は元気よく立ち上がった。
「さっ、休憩終わり!残りも片付けちゃうよ!」
そうして、仕事を再開する。
「そういえば、シャーレってまだ先生1人なんですか?」
「そうなんだよね...今はまだこうやってお手伝いをお願いしてるけど...ユウ、シャーレに加入する気は...?」
「今のところは無いです...が、それも良さそうですね。考えておきます。」
「うん、無理にとは言わないから。私はユウの考えを尊重するよ。」
「ありがとうございます。」
会話をしながらも仕事を続け、書類の山は無くなっていた。
「今日はありがとう。ユウ。」
「はい。またいつでも言ってくださいね。すぐ手伝いに来ますから。」
こうして、僕のシャーレでの一日が終わった。
■
ユウが帰宅したあと、先生は1人悩んでいた。
「12歳...かぁ。」
おおよそ12歳という年齢でこのキヴォトスで生きているユウ。
そんな彼と、先生の昔の出来事が重なっていた。
「ダメダメ...ユウとあの子は違うんだから...」
先生の過去。
それは心に強く刻まれており、決して忘れられるものではない。
それは傷であり、癒えることはないと思っていた。
だが、ユウという生徒と出会い、その考えは覆された。
「ユウが、加入してくれたらな...」
そんな考えを胸に、先生は眠りについた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この先生の過去、いつかもっと掘り下げます。