銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

15 / 84

困ったらユウを可愛がればいいのよ。よろしくお願いします。



日記15:見せつけられるこっちの身にもなってほしいよね(by先生)

 

 

 

 

 

 

ある日のシャーレ

 

 

いつも通り仕事が行われているオフィスには、一つの異変があった。

 

「すぅぅぅぅ〜………」

 

「……」

 

机に乗った書類をどんどんと片付けているユウの背には、ユウカが抱きついていた。しかも、匂いを嗅いでいるのか大きな深呼吸をしながら。

 

「ねぇ、先生……」

 

「私に聞かないで……」

 

「む〜……」

 

先生とヒガンは混乱しつつも羨ましそうにその光景を眺めていた。

 

 

 

 

少し前

 

 

 

 

キーボードを叩く音、ペンを走らせる音、椅子の軋む音。そんな静かな空間に、一つの声が響いた。

 

「ユウ君を吸いたい……」

 

その声は全員に届き、先生とヒガンは反応した。

 

「ちょっ、何言ってるのユウカ!?」

 

「そ、そうですよ!パパを吸うだなんてうらやま………ダメですよ!!」

 

突拍子もないユウカの発言に当たり前だが先生とヒガンはダメだと言った。そしてさすがのユウもダメだと言うと思われたが……

 

「……いいですよ。」

 

「じゃあ、失礼するわね……」

 

なんと、ユウはいいと言ったのだ。

 

こうなってしまったのは今日のシャーレの激務のせいである。それのせいでユウカ、ユウの2人はかなり疲れ、まともな思考ができなくなっていると言っても過言じゃない。

 

そしてユウカはユウに近づいていく。

 

「ちょっとちょっと!!?ストップ……って力強っ!?」

 

先生はそれを止めようとするが、ひ弱な体ではユウカを止めることはできず、ユウカはそのままユウの後ろに回り込んだ。

 

「ん……」

 

ユウに抱きついて髪に顔を埋める。そして……

 

「すぅぅぅぅ〜………ふぅぅぅ……いい匂い……」

 

ユウカは深呼吸をしながら匂いを嗅ぐ。ユウはそれを全く気にせず仕事を続けていた。

 

 

 

 

そして時は現在に戻る。

 

 

 

あれから吸い始めて10分が経ってもユウカは吸うのを止めようとしない。相変わらずユウも気にしていない。

 

「ユウカ、そろそろ仕事に戻って……」

 

先生がそう言っても2人に反応はない。

 

先生は内心羨ましいと思っている。ユウの髪はふんわりとしているし、いい匂いがするという噂もある。同じようなことをしたことがあるアコやミカの話も聞いて、自分もやってみたいと思うのだ。

 

「パパぁ……少し休も?ね?」

 

ヒガンは無心となっているユウをゆすり懇願する。だが反応はない。

 

ヒガンは昔からユウにくっついたりはしていた。だからそこまで羨ましいとは思っていないが、ユウに甘えたいという気持ちもある。でも疲れすぎて目が死んでいるユウを見て心が苦しくなっていて、その気持ちのほうが強い。

 

 

 

先生とヒガンが声をかけ続けること数分、ユウが動いた。

 

「?」

 

ユウカも抱きつくのを一旦止める。そしてユウはくるりと向きを変えてユウカの方を向いて……

 

「んぅ……」

 

ユウカに抱きついた。

 

「!?!?!?!? ゆ、ユウ君!!?」

 

さっきまで抱きついていたというのに逆に抱きつかれたことでユウカは大変おどろき、正気に戻った。

 

「くんくん……ん……いいにおい……」

 

ユウはユウカの匂いを嗅ぐ。ユウは仕事の疲れのせいで半分無意識でそれを行っているのであろう。人に抱きつくこと、ましてや匂いを嗅ぐなど普段ユウからは絶対にしないので、その場にいる全員が驚いていた。

 

「ユウ、一旦休もう。ほら、ユウカから離れて。」

 

先生は内心驚きつつも落ち着いてユウをユウカから離そうとしている。

 

だが、軽く抱きついているように見えるユウの身体はそう簡単に動かすことはできなかった。

 

ということで

 

「ごめんユウカ、落ち着くまではそのままで。」

 

「えっ、せ、先生!?」

 

先生は申し訳ないと思いながらも、ユウを引き剥がすのを諦めた。

 

「えっと……パパに悪気はないと思うので……」

 

「それは分かってるけど……うぅ、恥ずかしいわ……」

 

ユウカは先程まで自分が逆の立場にいたことを忘れているのか、とても恥ずかしがっている。また、先生たちはそれを指摘することはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たいっっっっっへんっ!!!!すみませんでしたっっっ!!!」

 

ユウは綺麗な土下座をユウカに披露していた。

 

経緯は簡単、ユウがしばらくユウカを吸った後、正気に戻って状況を理解、そこからは流れるような土下座からのさっきの謝罪。

 

「いいのいいの、さっき聞いたけど、私も同じようなことやっちゃってたみたいだし……」

 

「それでもですっ!!私は別にされても気にしませんが、ユウカさんは気にしてますよね?」

 

「……べつに?」

 

「やっぱそうですよね……って、ん?」

 

「別に気にしてないわ。それに、ユウ君に抱きつかれて、ちょっと……嬉しかったし………っ、とにかく!私は別に気にしてないわ。だから……土下座は止めてちょうだい?」

 

優しくそう言われ、ユウはゆっくりと顔を上げた。

 

「い、良いんですか…?」

 

「いいのよ。ユウ君とはこれからも仲良くしていきたいからね。」

 

「っ〜〜!ありがとうございますっ、ユウカさん!!」

 

ユウは笑顔でそう言った。

 

 

 

「……やっぱり、その笑顔は反則よ……」

 

 




ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。

いつでもリクエスト待ってます!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。