アビドスを駆け抜ける。よろしくお願いします。
今日はシャーレではなく風紀委員会で仕事だ。
「...よし。終わりっと。......ん?なんだか外が騒がしいな...」
少し早足で外に出る。
そこにはヒナさんとイオリさんと先生の3人がいた。
......先生が土下座してる...?...2人の顔は赤いけど......
「あの、何やってるんですか...?」
そう言いながら、覗き込むように先生のことを見るが......
先生は、イオリさんの足を舐めていた。
「!?!?先生!ほんとに何やってるんですか!?」
「あっ、ユウ!助けてくれ!」
「......イオリさんが原因な気もしますが。先生、その辺にしてください。」
僕の言葉に先生はイオリさんの足から口を離した。
「...イオリ、これでいいかな?」
「本当にやる奴がどこにいるんだ!」
イオリさんの反応を見るに、先生に足を舐めろとでも煽ったのだろう。
「...先生、私たちにお願いがあるのでしょう?」
ヒナさんが少し呆れながらそう言った。
「実は......」
先生はアビドスの事について話し始めた。
アビドスの借金。土地の問題。そして...
ホシノさんについて。
「............っ。」
先生が話を進めるにつれ、僕の中で怒りがどんどんと湧き上がってきた。自分でも不思議なくらいに。
「というわけなんだ。......どうか、力を貸してくれないかな。」
「分かった。2人も、いいよね。」
「...もちろんです。」
「はい...」
「アコとチナツにも手伝ってもらう。」
「ありがとう...!ヒナ!」
「大丈夫よ、先生。この前の罪滅ぼしでもあるから。」
そうして、僕はこの怒りを一旦しまい、準備を始めた。
■
アビドス砂漠に着いた僕たち。カイザーとの決戦は、もう始まっているようだった。
「私たちはこのまま北側から攻める。行くよ、皆。」
「「「『はい!』」」」
「......お姉ちゃん。本気で戦ってもいいですか...?」
僕が言う本気というのは、血を惜しみなく使って戦うということを意味する。
前にその戦い方をして、ヒナさんからやめてと言われてからはしなくなっていたが、ただ、今はこの怒りをぶつけたかった。
「...分かった。ただ、血は十分に吸って行って。」
そう言って首元を開けたヒナさんに噛みつき、血を吸う。
「...行けます。」
「じゃあ改めて、殲滅開始。」
ヒナさんの掛け声と共に駆け出す。
手に持つは血で作った双剣。
そして、兵士の首をはね飛ばしていく。
「速っ!?」
ザシュッ!
「クソッ!なんなんだよアイツは!」
ザシュッ!
「一旦引け!引いて体制をっ」
ザシュッ!
出てくる兵士を、ただ切って行った。
「......ふぅ...ほとんどやりましたかね。」
「ええ、そうね。」
「...ユウ、あんなに強いのか...」
「いつもは力をセーブしてたんですね...」
かなりの数いたカイザーの兵士たちも、もうガラクタの山になっていた。
「......ユウ、ここはもう大丈夫だから、先生の方に行ってあげて。」
「はい。行ってきます。」
足に血を送る。
最速で先生たちの元へ向かった。
...
ホシノの元へ向かう対策委員会の目の前には、巨大な兵器が立ち塞がっていた。
「あれは...ゴリアテ!?」
「ん、面倒。」
「みんな...あいつを倒して、ホシノを助けに行くよ!!」
「言われなくても...!!」
ヒュンッ!
その時、風を切る音が皆の耳に聞こえる。
直後、ゴリアテの片腕が吹き飛ぶ。
「...こいつは僕に任せてください。」
「ん!ユウ先輩!」
「ユウ!?」
「ユウさん...!」
「強力な助っ人ですね...!」
...
「ユウ!ヒナたちは大丈夫なの?」
「向こうは殲滅しました。ですのでこちらに。」
『貴様は...!』
「貴方がカイザーPMCの理事...ですね...?」
ゴリアテを操縦しているであろう理事を睨みつける。
『くっ、邪魔をするなっ!』
残った片腕で殴りかかってくる。
ザシュッ!
「皆さん、行ってください。」
「...分かった!ユウ、任せたわよ!」
先生たちはホシノさんの元へ向かった。
さて...
視線をゴリアテに向けると、両腕が無くなりながらもかろうじて立っていた。
『クソッ!貴様がいなければっ!』
「僕が居なくても、結局はこうなってましたよ。」
『なんだとっ!』
「子供を利用する大人なんて、ろくな結末は迎えられません。」
この言葉を言った時、何故か胸がズキリと傷んだ。
『弱者は利用される存在だ!何も出来ない子供を利用して何が悪い!』
「...もういいです。」
ゴリアテの操縦席から理事を引っ張り出す。
「っ!何をする気だ!」
地面に這いつくばっている理事を見下ろす。
「やめろ!何だその目は!」
グシャッ。
「最後まで、うるさい人でしたね。」
理事の頭を踏み潰す。
こういう奴らはバックアップがあったりするけど......
残った兵士を片付け、息を整えていると、先生達が戻ってきた。
ホシノさんを連れて。
「先生。無事でよかっ...た...」
ドサッ。
急に体から力が抜け、倒れてしまう。......血の使いすぎだろう。
「ユウ!」
薄れ行く意識の中で、先生とアビドスの皆さんが駆け寄って来るのを見た。
■
『......貴方がそれを言うんですね。』
『子供を利用した、貴方が。』
「っ!」
「わっ!びっくりした...」
飛び起きる。
何だろう、今の声は。
夢......じゃない気がする。
「ユウ...?」
「あっ。...ごめんなさい。ボーッとしてました。」
傍には先生がいた。僕はベッドの上で、多分ここはアビドスの保健室か何かだろう。
「ユウ、体調は大丈夫?」
「...大丈夫............ではないですね。」
起きてから血の渇きを感じていた。
...久しぶりに、これを聞いたな。
「もしかして...血?」
「えっと...はい。」
すると先生はネクタイを緩め、ボタンを外し始めた。
「わー!ちょっと先生!」
先生の行動を手で制止する
「えっ、なになに。」
「何やってるんですか!」
「何って...血を吸うんじゃないの?」
「......だとしても、もう少し恥じらいと言いますか...」
「何言ってるの...私の体なんて誰も興味ないって。」
「え?」
「ん?」
いや、何を言っているんだ、この先生は。自分の体を見たことがないのか?
「いいから、ほら。」
先生は服をグイッと引っ張り、首元を露出させる。
少しドキッとしながらも、先生に噛み付いた。
ちゅう...ちゅう...
「んっ。吸われるのって...こんな感じなんだ......」
「ぷはっ。......ご馳走様です。」
「ふふっ。いつでも吸いたいって言ってくれていいんだよ?」
「別にそこまでは.........ん...?」
「ユウ?どうしたの?」
視線を感じ、その方向を向くと......
対策委員会の皆さんがこっそり覗いていた。
「...いつから見てました...?」
「ん〜、最初から?」
「っ〜!!!」
恥ずかしすぎて死にそうだった。
血を吸ってるところはあんまり他の人に見せたくなかったのに...
「...5人とも、軽くお説教かな...?」
先生もさすがに恥ずかしかったのか、顔が赤くなっていた。
その後、対策委員会の皆さんは仲良く先生から説教を受けていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ユウが血を惜しみなく使って戦うと、キヴォトスの戦闘力ではトップクラスになります。ヒナや他学園のトップとやり合える位。
あ、1章はもうちょっと続きます。