銃社会を、吸血鬼は生きる   作:MIKAZUKIN2525

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アリス初登場!よろしくお願いします。



ユウとアリス、そしてTSC

 

「あっ、ユウ。おかえり。」

 

「只今戻りました……そちらの方は?」

 

ゲーム開発部の部室へと戻った僕は、先程までの三人に加えて一人知らない人がいる事に気づき、質問をする。

 

「ふっふ〜ん。聞いて驚かないでよ?…この子はゲーム開発部の新しい部員だよ!」

 

モモイさんが元気にそう言う。

 

「…はい?」

 

僕は理解に苦しんだ。

モモイさんたちはG.Bibleを探しに廃墟に行っていたはずだ。それなのに、なんで新しい部員がいるのか。

 

「それについては、私から説明しますね。」

 

僕が困惑していると、ミドリさんが説明してくれた。

 

どうやら、モモイさんたちは廃墟に向かい、G.Bible探しをしていたが、その途中で眠っているこの少女……アリスさんを見つけたらしい。

 

「アリスさん…というのですね。」

 

「肯定。本機の名称、アリスです。」

 

僕の言葉にアリスさんは返事をしてくれるが…少しの違和感があった。

 

機械っぽい喋り方。…そもそも、本”機”って言ってたよね?

 

「よしっ。ユウも戻ってきたし、私は学生証をなんとかしに行くから、ミドリたちでアリスに”話し方”を教えてあげて。」

 

「は、話し方?」

「なるほど。」

 

「ミドリだってさっき言ってたでしょ。今のアリスの話し方だと疑われちゃう。」

「もしユウカに本当にゲーム開発部なのかって言われたときに、”肯定、なんとかかんとか〜”って言っちゃったときには、全部台無しになりかねない。」

 

「…どうにかして、人間っぽい喋り方にしろってことですね。」

 

「そういうこと!じゃあ任せたからね!」

 

そう言ってモモイさんは部室を飛び出していった。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「さて…ミドリさん、先生。どうしましょうか。」

 

「うーーん………」

 

「喋り方ってのは、自然に身についていくものだからね……いきなりっていうのは、ちょっと難しいかも…?」

 

「そうですよね……子供用の教育プログラムって、インターネットに落ちてるかな…」

 

僕達が考えていると、アリスさんは部室の中をキョロキョロと見ていた。すると…

 

「正体不明の物を発見。確認を行います。」

 

「ん?」

 

そう言ってアリスさんが拾い上げたのは、一冊の本だった。

 

「あっ、そ、それは…っ!?」

 

「ゲーム雑誌…ですね。」

「だね。」

 

「えっと……ちょっと恥ずかしいけど、実はその中に、私達が作ったゲームが載ってるの。まぁ、すごい酷評されちゃったんだけどね。」

 

酷評…というと、この前言っていた”テイルズ・サガ・クロニクル”というゲームのことだろうか。

 

すると、ミドリさんがあっ。と声を上げる。

 

「そうだ!クソゲーランキングでは一位になっちゃったし、アリスちゃんがどう思うかはわからないけど…」

 

「アリスちゃん、私達のゲーム……やってみない?」

 

「”会話”をしながら進められるから、ゲームをやってみるのも勉強になるかも。」

 

「たしかに、RPGなんかは、ストーリーでの会話文も多いですもんね。」

 

僕達は納得していたが、アリスさんはまだ少しだけ困惑している様子だった。

 

「……?」

 

「…ここまでの言動の意図、完璧には把握しかねます。しかし……」

 

「…肯定、アリスはゲームをします。」

 

アリスさんの言葉に、ミドリさんは目を輝かせる。

 

「ほ、本当に!?ちょ、ちょっとまってて、すぐにセッティングするから!」

 

そうして、いそいそとミドリさんは準備を始めた。

 

「……僕も、一緒にプレイしてみますかね…」

 

「ユウもやりたくなった感じ?」

 

「まぁ、そうですね。…ゲームなんて、触ったことありませんでしたから。」

 

実は、ゲームをプレイしたことがないのだ。

ヒナさんはお休みのときにたまーに遊んではいて、何回か誘われたこともあったが、僕はそれに興味を示さなかった。

 

「えっ!?ユウ、ゲームしたことなかったの!?」

 

「恥ずかしながら…」

 

 

そんなことを話してるうちに、ミドリさんが準備を終わらせる。

 

「…よしっ、準備完了!」

 

「……」

 

モニターの目の前に座るアリスさん。

 

「僕も、隣に座っても?」

 

「…(コクリ)」

 

確認を取り、僕は隣りに座る。

 

「アリス、ゲームを開始します……」

「はい。楽しみましょうね。」

 

一人用のゲームではあるが、協力プレイのような形で、僕達はゲームを開始した。

 

 

”テイルズ・サガ・クロニクル”を

 

 

「タイトルから分かるかもしれないけど、このゲームは童話テイストで、色彩豊かな王道ファンタジーRPGなの。」

 

ミドリさんの細かな解説を受けながら進めていく。

 

 

[コスモス世紀2354年、人類は劫火の炎に包まれた……]

 

「「?」」

 

……王道ファンタジーとは…?

 

「えっと、王道とは言っても、色々な要素を混ぜてたりするんだけどね。トレンドそのままでもダメだけど、王道に拘り過ぎても古くなるからってことで。」

 

「ボタンを押します…」

 

[チュートリアルを開始します。]

 

[まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください。]

 

「Bボタン……」

「待ってください、アリスさん。罠の可能性が…」

 

嫌な予感がし、アリスさんを止めようとするが、時すでに遅し。アリスさんはボタンを押す。

 

[ドカーーーーーン!!]

 

「???」

「……なるほど…?」

 

[GAME OVER]

 

予感は的中し、ゲームオーバーになってしまう。

 

「!?!?」

 

「あはははっ!」

 

すると、ここにはいないはずの声が聞こえた。振り返ると、モモイさんが立っていた。

 

「予想できる展開ほどつまらないものはないよね!本当はここで指示通りじゃなくて、Aボタンを押さなきゃいけないの!」

 

「ユウはなんとなく予想してたっぽいけど……」

 

「お姉ちゃん…?学生証を作りに行くって言ってなかった?」

 

「行ってきたんだけど、遅い時間だったから誰もいなかったの。また明日行く。」

 

「それはさておき、改めて見てもこの部分はちょっとひどいと思う。」

 

「も、もう一度始めます……」

 

アリスさんは困惑しながらもプレイを再開した。

 

「再開……テキストでは説明不可能な感情が発生しています。」

 

「あっ、私それわかるかも!きっと興味とか期待とか、そういう感情だと思う!」

 

「ちょっと違うと思いますけど……」

「どう考えても怒りか困惑だと思うけど……」

 

[武器を装備しました。]

 

「装備完了……」

 

初見殺しを乗り越え、先に進んでいく。

 

[エンカウントが発生しました!]

 

「!?」

「戦闘ですよ、アリスさん。」

 

[野生のプニプニが現れた!]

 

「緊張、高揚、興味。」

「僕も、ちょっとワクワクしますね…」

 

「Aボタンをおして!今度は嘘じゃないから!」

 

「Aボタン……[秘剣つばめ返し:敵に対して2回攻撃する]」

 

「行きます、プニプニに対して……」

「ちょっと待ってください、あのプニプニ、変なものを持ってませんか?」

 

画面をよく観察していた僕は発見した。プニプニのイラストは、謎の黒いモノを持っていた。

 

「…あれ、銃ですね。」

「…なるほど、射程距離把握に努め、接近します…」

 

[ッダーン!!]

[即死しました。]

[GAME OVER]

[ふっ、どれだけ剣術を極めようと、我が銃の前では無意味…]

 

「!…当たってしまいました。」

「どんまいです。試行を重ねましょう!」

 

「すごいじゃんユウ!初見でプニプニの銃を見抜くなんて!」

 

「今度はもっと銃の射程距離把握に努めながら、接近しないようにプニプニを排除します。」

 

アリスさんはコントローラを握り直し、プレイを再開する。

 

「そう、まさにそれ!諦めずに繰り返し挑戦して、試行錯誤の末に答えをみつける!それがレトロチックなゲームのロマンだよ!」

 

 

そして、僕達はゲームに没頭していった。

 

 

2時間後…

 

「これは…なかなか独特な言い回しですね…」

「……電算処理系統、及び意思表示システムに致命的なエラーが発生。」

 

「頑張ってアリス、ユウ、ここさえ乗り越えれば待望のクライマックスだよ!」

 

ちなみに先生は後ろで軽く寝ている。

 

「…植物人間では、そもそも言葉すら出せないのでは…?」

 

「うっ…それはお姉ちゃんが”草食系”って言葉が思い出せなかったから…!」

 

「っていうか、そのテキストアリスちゃんが読んだときに一瞬意識を失ってたじゃん!」

 

「……質問。どうして母親がヒロインで、それでいて実は前世の妻で、さらにどうしてその妻のもとに、子供の頃に別れたきりの腹違いの友人がタイムリープしてきているのか……いえ、そもそも”腹違いの友人”という表現はキヴォトスの辞書データに登載されていなー」

「これは…なかなか……」

 

「エラー発生、エラー発生!」

 

本当に独特な言い回しというか…日本語が怪しい部分が多すぎる…シナリオはモモイさんの担当だったよな……

 

「が、がんばってアリスちゃん!クライマックスまでもう少しだから!」

 

「……リブート。プロセスを回復。」

 

「……ふぅ。これが…ゲーム。……再開します。」

 

「僕も、ここまで来たなら頑張ります。」

 

 

1時間後…

 

「こ、ろ、し、て……」

「……ふぅ。」

 

「すごいよアリス!ユウ!開発者二人が一緒とはいえ、三時間でトゥルーエンドなんて!ユウに関しては、初見殺しの回避すごすぎたし!」

 

なんとかトゥルーエンドにたどり着いた僕達。だが、怒涛の展開の連発でありえないほど疲弊していた。

 

それに…

 

「アリスさん、随分と喋り方が多彩になってきましたね。」

 

「勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう。」

 

「…本当にゲームをやればやるほど喋れるようになっていくなんて…」

 

「確かに…そう、かも?」

 

「でも、ゲームからそのままなので、ちょっと不自然なところもありますね。」

 

「うん。でも、言葉を羅列してただけの時よりは、かなり良くなったと思う!」

 

そう、当初の目的であったアリスさんの喋り方を治すという目標が不自然ながらも達成されつつあるのだ。

 

「と、ところでその……こういうのを面と向かって聞くのは緊張するんだけど……」

 

「わ、私達のゲーム、どうだった?面白かった!?」

 

ミドリさんが聞いてくる。

 

「「……」」

 

数秒の沈黙。そして、アリスさんが口を開いた。

 

「……説明不可。」

 

「ええっ!?な、なんで!?」

 

「……類似表現を検索。」

 

「ロード中……」

 

アリスさんのまさかの言葉に身構える二人。

 

「悪口を探してる…とかじゃないよね…?」

 

だけど、それは杞憂だった。

 

「……面白さ、それは明確に存在…」

 

「おおっ!」

 

「プレイを進めれば進めるほど…まるで、別の世界を旅しているような…夢を見ているような、そんな気分……もう一度…」

 

そこまで言って、アリスさんの瞳から涙がポロッと落ちる。

 

「ええっ!?」

「あ、アリスちゃん!?どうして泣いてるの!?」

 

僕はなんとなくその感情が理解できる。

 

 

…夢、夢かぁ。

 

 

「泣くほどなんて……ありがとうアリス!そのへんの評論家の言葉なんかより、その涙のほうが100倍嬉しいよ!あー、早くユズにも教えてあげたい……!」

 

モモイさんがその名前を挙げると、気配がしていたロッカーが開き、中から人が出てくる。

 

「…ちゃ、ちゃんと、全部見てた。」

 

その光景にモモイさんとミドリさんは驚いていたが……いや、同じ部員なのでは?

 

「あっ。ユズ!」

 

ユズと呼ばれたその少女。やはり、この前紹介されたときにも出ていた名前だ。

 

「い、一体いつから…?」

 

「えっと…みんなが廃墟から帰ってきたときから…」

 

「あ、アリスとユウは初めてだよね、この人が部長のユズだよ。」

 

「はじめまして、ユズさん。」

「(ペコリ)」

 

そしてユズさんはアリスさんに近づく。

 

「……ありがとう。ゲーム、面白いって言ってくれて……もう一度やりたいって言ってくれて。…泣いてくれて、本当に、ありがとう。」

 

感謝の気持ちがわからないのか、アリスさんは少し困惑していた。それでも、ユズさんは言葉を続ける。

 

「面白いとか、もう一度とか……そういう言葉が、ずっと聞きたかったの。」

 

「ユズちゃん…」

 

「あっ、ユウは!?ユウの感想は!?」

 

モモイさんは僕の感想を聞いてくる。

 

「え…っと。」

 

「面白かった……です……」

 

「困惑はしましたけど…でも…それでも…」

 

言葉に詰まる。どうやら、僕もアリスさんと同じなようだ。

 

「…世界に引き込まれて………グスッ。……もう一つの現実…というか……」

 

涙がボロボロと出てくる。

 

「わっ、ユウ。もう大丈夫だよ。気持ちは十分伝わったから!」

「ユウ君…」

 

「ユウさん…かな?…ありがとう。そう言ってくれて、本当に嬉しい。」

 

 

その後、僕が落ち着いてから、改めてユズさんが挨拶をする。

 

「あらためまして。ゲーム開発部の部長、ユズです。この部に来てくれてありがとう、アリスちゃん、ユウさん。これからよろしくね。」

 

「よろ、しく…?…理解。」

 

「ユズとユウが仲間になりました、パンパカパーン!……あってますか?」

 

「はい。…まあ、僕は一時的なものですけれど。」

 

「あれ、そうなんですか…?」

 

はい。とユズさんに僕のことを説明した。

 

「そっか…」

 

「ですが、僕はこの部活のことが好きになりました。……臨時パーティーメンバーって感じ…ですね。」

 

「いいね!それ。お助けキャラってめちゃくちゃ強いし!」

 

「確かに。」

 

「(あぁ、この雰囲気、好きだなぁ。)」

 

 

 

その後、皆さんから様々なゲームをおすすめされた僕とアリスさんは、片っ端からプレイし、徹夜をする羽目になったとさ。

ちなみに、先生はシャーレに帰しました。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。

長々と書いてるだけの駄文になってしまった感が否めません。

次回からは程よい長さに落ち着いていくと思います。
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