光よ!!よろしくお願いします。
徹夜明けの朝、僕達はアリスさんの武器をどうするかの話をしていた。
「やっぱ、武器といえばエンジニア部だよね。」
「エンジニア、部?」
アリスさんは首を傾げた。
「えっと…ゲーム風にいうなら、鍛冶屋のこと…ですかね?」
「…なるほど…!」
「なら、早速行ってみよっか!」
■
ということで、僕達はエンジニア部を訪れた。
「…なるほど、だいたい把握できたよ。新しい仲間に、より良い武器をプレゼントしたい……と。」
そう言ったのはエンジニア部の部長の白石ウタハさん。
「そういうことであれば、エンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね。」
「そっちの方に、私達がこれまで作ってきた試作品が色々と置いてある。そこにあるものなら、どれを持っていっても構わないよ。」
ウタハさんが指差す方向を見る。そこには確かに様々な武器がおいてあった。
…ちょうどいいかも。
武器を見に行ったアリスさんたちにはついて行かず、僕はウタハさんに話しかけた。
「…お願いしたいことがあるんですけど…」
「おや…君は…」
「シャーレ所属のユウです。」
「ユウ君か。それで?お願いというのは……」
僕がお願いしたことというのは…
「武器の改造をお願いできませんか?」
そう。武器の改造だ。実は、今使っている「ヴァンプリーパー」を改良したいと思っていた。
「ふむ。依頼ということでいいかな?」
「はい。もちろんお金も払います。」
「…そうか。なら、その依頼、受けようじゃないか。」
そうして、僕はウタハさんに改造案を伝える。
「…できないことはない…が、少し時間がかかってしまうだろう。」
「構いません。」
「そうか。なら、この案で進めさせてもらうよ。できたら連絡する。」
ウタハさんとモモトークを交換する。
話が終わった僕はアリスさんたちの方に戻る。
すると、アリスさんは壁にかかった大きな銃をじっと見つめ、他の部員のコトリさんから熱い解説を受けていた。
その解説を聞くに、なんとその銃は”レールガン”らしい。
だけど、予算の七割もかかったらしい…
「そんなの計画段階でわかることじゃん!どうしてものレールガン、完成まで持っていっちゃったのさ!」
こればっかりはモモイさんに同感だ。部活の予算というのは命の次くらいに大切なものだろう。しかも、技術者ともなればなおさらだろう。
だが、ウタハさんは真剣な顔で言った。
「愚問だね、モモイ。……ビーム砲は…」
「ロマンだからだよ。」
その言葉に他の部員の二人もウンウンと頷いた。
「そのとおりです!ビーム砲の魅力がわからないなんて、全くこれだからモモイは。」
「バカだ!頭いいのにバカの集団がいる!」
モモイさんが大きな声で叫ぶ。
「…そうだね、ビーム砲はロマンだよ。」
「先生!?」
なんと、先生までロマンとか言い始めた。
「エンジニア部の情熱が注ぎ込まれた、この武器の正式名称は……」
「”光の剣:スーパーノヴァ”!!」
「また無駄に大げさな名前を……」
「なんか、ゲームっぽいですけど…」
「…!」
するとなんと、アリスさんがキラキラと目を輝かせていた。
「ひ、光の剣……!?」
「アリスさん!?」
「…これ、欲しいです。」
その言葉にエンジニア部の三人は固まる。
そこに近づき、アリスさんは言う。
「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ。」
と。ちょっと変な喋り方だったが、欲しいということはちゃんと伝わっていた。
…が。
「うーん、そう言ってくれるのは嬉しいのだけど……」
「申し訳ないのですが、それはちょっとできないご相談です!」
なんで!?とモモイさんは叫んだ。
「…理由は?」
「あぁ。……この武器は、あまりに大きすぎるし、重すぎる。」
たしかに、そのビームライフルは僕の身長、何ならモモイさんたちの身長すら越すほどの大きさだった。
「なんと、基本重量だけで140kg以上です!更に光学照準器とバッテリーを足したうえで砲撃を行うと、瞬間的な反動は200kgを超えます!」
なんと。……頑張ったら持てそうかな…?
「これをかっこいいと言ってくれただけで、私達は嬉しいよ。ありがとう。持っていけるのならば、本当にあげたいところなのだけど……」
ウタハさんは申し訳なさそうにそう言うが、アリスさんは気づいたかのように口を開く。
「…汝、その言葉に一点の曇もないと誓えるか?」
またもや独特な言い回しではあったが…
「ん?それはどういう…」
「多分ですが、”本当なのか”って聞いてるんだと思います」
「もちろん嘘は言っていないが…それはつまり、あれを持ち上げるつもり、ということかい?」
アリスさんはコクリと頷く。
そして、アリスさんは光の剣に近づき……
「この武器を抜くもの……此の地の覇者になるであろう!」
グググググッ!!
「も、持ち上がりました!」
なんと、持ち上げてしまった。
「えぇっ!?アリスさん、大丈夫なんですか!?」
「嘘、信じられない……」
「えっと、ボタンは…これがBボタンでしょうか……?」
僕達の言葉は聞こえていないのか、アリスさんはレールガンのトリガーに指をかけ…
「っ、光よ!!!!」
ドカアアァァァァァン!!!!!!
極太のビームが、天井に発射された…
……かっこいい!!!
「ユウ君…?」
「……ウタハさん、先程の言葉は撤回させてください…」
「…ビーム砲は、ロマンですね!!!!」
「!…そうか、ユウ君もこれの良さに気づいたか。…よし、アリス。それは君にあげようじゃないか。」
「あ、ありがとうございます!」
「いや、お礼にはまだ早い。」
アリスさんが頭を下げようとするのをウタハさんは止める。
「さて、ヒビキ、以前に処分要請を受けたドローンとロボット、全機出してくれるかい。」
…もしや、これは。
「…その武器を本当に持っていきたいのなら…」
「私達を倒してからにしてください!」
ウタハさんたちの言葉にモモイさんとミドリさんは驚きと困惑の声を上げていたが、僕は冷静に考え、話す。
「ちゃんと使えるかどうかの確認……ということですか。」
「その通りだ。」
「…わかった!ふたりとも、来るよっ!」
そうして戦闘が始まった……が、
「光よ!」
とてつもない破壊力を持った光の剣の前では、楽勝だった。…僕は見てるだけだったんだけどね。
「素晴らしい。」
「くっ、悔しい……ですが、これが結果ですね!アリス、その”光の剣”は改めて、あなたのものです!」
「わぁ、わぁっ…!」
アリスさんは満面の笑みを浮かべた。……かわいい。
アリスさんが色々と教えてもらっているのを先生と眺めていると、ウタハさんが近寄ってくる。
「先生、ユウ君。アリスについて、どう思う…?」
「どう思う……って。」
最初はその質問の意図が分からなかった。
「……あの体のことだね。」
「!」
先生の言葉でやっと理解する。
「…あんなに重いものを持ち上げた……」
「あぁ、それに、さっきの戦闘でついているはずの傷が全くと行っていいほど見えない。」
「…つまりは、アリスの体はロボット…ってこと?」
「…そう思うのが自然だろう。そして、その目的は……」
「……”戦闘”、ですね。」
「…だとしても、アリスも私の生徒だよ。」
「ふふっ、そうですね。」
「…だが、多少の警戒はしておくべきだろう。」
アリスさん……あなたは一体何者なんですか…?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ユウはカッコいいものには結構目がないです。結局は年頃の男の子ってことですね。