一発目はここ。よろしくお願いします。
「やっほー、来たよ。」
私はミレニアムの中の少し奥まった位置に存在するとある部室へと足を運んでいた。
「おっ、待ってたよ〜ヒガン。」
出迎えてくれたのは小塗マキ。ここの部、ヴェリタスの一員だ。
「ヒガンさん、いつもありがとうございます。」
「ヒガンちゃん、こんにちは……」
そして、奥で作業をしていた音瀬コタマ先輩と小鈎ハレ先輩もこちらを向いて挨拶をした。
相変わらずヘッドホンで音を聞いているコタマ先輩と何本目かも分からないエナドリを飲んでいるハレ先輩。だいぶ疲れているようだった。
「お疲れ様です。お邪魔しますね。」
「ささ、ヒガン。こっちこっち!」
「わわっ。」
マキに手を引かれて部室の奥へと連れて行かれる。
すると、奥ではもう1人の部員、各務チヒロ先輩が座って待っていた。
「ヒガン、こっちだよ。」
チヒロ先輩が指した椅子に座り、先輩と向き合う。
多分、私が今日ここに呼ばれた理由の説明だろう。先輩は軽く息を吐いて、話し始めた。
「さて……今日呼んだのは――」
「私たちの組んだ新しいセキュリティシステムの検証だよ!!」
「はぁ……。マキの言う通り、私たちは依頼でセキュリティシステムを組んだの。で、それの検証とデバッグを色々としないといけないんだけど……」
「人手が足りない……ということですね?」
「そう。」
うーん……私、そこまでハッキングとかには詳しくないんだけど……
「……分かりました。手伝える限りのことはしますね。」
「ありがとう、助かる。」
「やった!こっちで一緒にやろ〜!」
「はいはい。」
そうして、検証とデバッグ作業が始まった。
「それじゃ、ヒガンにはここの部分をお願いね。」
「りょうかい、ちゃちゃっと終わらせますか〜。」
表示された画面には大量のプログラムが書かれている。
「(うひゃー、いつ見てもこれはきっついなぁ……)」
あらゆる条件下でプログラムが正常に働くかどうか。もしダメなら書き直さないといけないし、バグがあるなら取り除く。
とはいえ、専門家というわけではないので最低限のことしか分からないけどね。
「ふんふん……問題ないね…………っと、これはダメか……」
「あっ、これダメだ……ってうわっ!」
作業を進めていると、隣でマキが大声を上げた。
「どうした?」
そうマキの画面を覗く。そこには大量のエラーコードが。
「わっ、これは大変だ。ちょい貸して。」
マキは結構慌てていたので代わりに私が画面の前に座った。
「ん〜……と、そんなに複雑じゃないね。ここをこうすれば………」
コードを確認し、問題箇所を素早く書き直す。
そうすれば――
「いや〜、ありがとう!助かった!」
エラーコードは全部消え、正常な動作をするようになった。
「ううん。困った時はお互い様でしょ?」
私は自分の作業に戻った。
数時間後
「ヒガン〜、後どれくらい?」
「ちょっと待って……後ここだけ…………よし。問題なし。終わりっ!」
結構大変だったけど、なんとか作業を終わらせることができた。
「お疲れ様。ヒガン的に見て、このセキュリティをどう思う?」
既に終わって休憩していたチヒロ先輩がそう質問してきた。
「うーん……どう思う……ですか。」
「簡単なことでも良いよ。頑丈だとか、もし欠陥みたいなのがあったら教えてほしいし。」
「それで言うと……」
私は、今日の作業を思い返していく。そして、その中に一つ、変だなと思ったことを思い出した。
「あ、セキュリティロックされた時の、”you are an idiot”の文章はいらないと思うんですけど……」
you are an idiotというのは、訳すと”お前はバカだ”みたいな感じで、相手を煽る感じになっている。
「え?私はそんなの入れた覚えはないけど……」
「あ〜……」
私とチヒロ先輩はマキの方を見た。
「……」
「マキ?」
「ひっ。」
「変なコード入れないでってこの前も言ったよね。」
あ、初めてじゃないんだ。
そして、説教が始まってしまった……
「また始まってしまいましたね。」
「うん。あ、ヒガンちゃん、妖怪MAX飲む?」
「え、遠慮しときます……」
その説教を眺めるコタマ先輩とハレ先輩。2人にとってこの光景はもう慣れてしまったようで、止めようともしない。……まあ、これはマキが悪いと思うけど。
「そう言えばヒガンちゃん、今日この後暇?」
「え?はい。暇ですけど……」
「もしよかったら、”MM”やらない?」
MMというのは最近流行りのオンラインゲーム、”モンスター物語”のことである。
「あ、はい。いいですよ。」
この時の私はまだ知らない。このゲームで、一夜漬けになってしまうということを。
ここまで読んで読んでいただきありがとうございます。
現実の話になってしまいますが、雨がヤバいらしいので皆様お気をつけください。
私も、死なないようにします。