ユウ視点オンリーで進んでいく鏡奪還作戦。よろしくお願いします。
「よし…アリスさん、準備はいいですか。」
「はい。準備万端です!」
「作戦開始と行きましょう。」
鏡奪還作戦はすでに始まっており、僕とアリスさんはその第一陣として配置された。
「光よ!」
ドカアアアァァァン!
差押品保管所へ向かうためのエレベーターには指紋認証がついているので、アリスさんの光の剣で無理やりぶち抜いてもらう。
「このままオペレーションルームに向かいますよ!」
「はい!」
なぜ差押品保管所ではなくオペレーションルームなのか。それは…
僕達は囮…というか、時限爆弾のような役割だからだ。
ドカアアアァァァン!
「っ!爆発!?…はっ、アリスさん!」
「くっ…ユウ、ごめんなさい。やられてしまいました………」
廊下を進んでいると急に爆発し、アリスさんがそれをモロに食らって倒れてしまった。
煙の中から二人の人影が出てくる。
「信じられない、どんな方法でくるかと思ったら正面突破だなんて……」
「この子がアリスちゃんですね。それで…もう一人の子が、ユウ君ですか。」
一人はユウカさんで、もう一人はメイド服を着た少女。おそらくC&Cの方だろう。
「ふたりともとっても可愛いですね、エージェントメイドとして育てたくなってしまいます。連れて帰ってもいいですか?」
「それはダメ………ユウ君、大人しくしてくれる?私も、あんまり二人に怪我をさせたくはないのよ。」
「…はい。」
僕は大人しくユウカさんに従い、アリスさんと一緒に反省部屋へと閉じ込められた。
「(第1段階は成功……あとは合図を待つだけ…)」
■
時は遡り、二時間前。作戦会議にて。
「差押品保管所に行くためにはまずエレベーターで最上階まで行く必要があるんだけど…」
「なかなかに強力なセキュリティが組まれている……と。」
「そう。でも、弱点として外部電力を遮断する方式に弱い。電力を絶ってハッキングの隙を作る…けど、それは持って6秒。」
「6秒……十分だね。」
ときは現在に戻り、反省部屋にて。
「アリスさん、大丈夫ですか?」
「はい。HPはすでに満タンです!」
閉じ込められた僕達はいつ合図が来てもいいように万全の状態を保っている。
「…もう侵入は済んだ頃でしょう。僕達の出番もあと少しですね。」
「ヒーローは遅れてやってくる…と言うやつですね。」
その時。
ブツン
部屋が停電する。そして、これが”合図”である。
「きました…!」
「出ますよ、アリスさん!」
停電、そしてハッキングのお陰で反省部屋のセキュリティは解除され、出ることができた。
これから僕達が向かうのは、”差押品保管所”。作戦会議の結論として、誰か一人だけでも捕まらず鏡を奪還できればいい。ということになり、その役目が僕達だ。
廊下を走っていく。
すると、アリスさんは足を止める。
「アリスさんどうしました?」
「…このままでいいのでしょうか。」
「え?」
アリスさんの言葉に、僕は首を傾げてしまう。
「このまま、仲間たちを見捨てて、いいのでしょうか。」
「でも、それは作戦成功のため…」
僕達がここで鏡を奪還できなければ、それこそ皆の努力が無駄になってしまう。
「私がプレイしてきたゲームの中で、どんなゲームだとしても、主人公たちは……決して、仲間のことを諦めたりしませんでした。」
アリスさんは決意を込めながら続ける。
「なので、アリスもそうします。モモイとミドリ、そして先生のことを助けに行きます!」
「…………」
実のところ、僕もそう思ってはいた。だけれど、決心がつかなかった。
この行動が意味のないものだったら?鏡を取り戻していたほうがいい結末を迎えられていたら?
でも…アリスさんのお陰で僕も決心がついた。
「…僕も行きますよ、助けに。」
「!…行きましょう!」
そうして僕達は差押品保管所に向かう足をくるりと変え、モモイさん達がいるであろう方向に進んでいった。
■
「いました!」
「アリスさん、光の剣を!」
廊下で戦っているモモイさんたちを見つける。誰も僕達の存在には気づいておらず、不意打ちができる状況だった。
アリスさんが光の剣をチャージする横で、僕も改造されたヴァンプリーパーに弾を込めていく。
「ユウ!チャージ完了です!」
「僕も…いけます!」
僕達はC&Cの方に照準をあわせる。そして…
「「光よ!!!」」
ドカアアアァァァン!!
アリスさんの光の剣のビーム、そして僕のヴァンプリーパーからもビームのような弾丸の雨が飛んでいく。
「きゃあっ!」
それは一人のC&Cにクリーンヒットし、行動不能にさせた。
「モモイ、ミドリ!今です!」
「先生も!行きましょう!」
「アリスちゃん!?それにユウ君も!?」
「どうしてここに!?」
「主人公は、決して仲間を諦めません!試練は、共に突破しなくては!」
「はい。それに、このまま捕まってしまっても全部終わり…ですよね?」
「……うん、そうだね。行こう、ゲーム開発部!」
「うん!」
「くっ、まずいですね…!」
「っ、逃げられる!」
「いえ、そうはさせません……!」
「アカネ、戦闘を開始します!」
僕達の前に立ちふさがったアカネと名乗った生徒。僕とアリスさんを最初に行動不能にした方だ。
全員が銃を構え直し、戦闘が始まる。
「ロボットは僕が相手します!皆さんはアカネさんを!」
「うん!頼んだ!」
銃を撃ち、剣で切り、道を切り開いていく。
「待ちなさい…!」
「っ、お姉ちゃん!」
ロボットの対処をしている横で、ミドリさんの叫ぶ声が聞こえる。それが聞こえて数コンマ、僕の銃の銃口はアカネさんへと向いていた。
「(一点集中…!!)」
ダダダンッ!!
「くっ!?」
ヴァンプリーパーの改造内容…それは連続射撃である。スナイパーの正確さを保ちつつ高速の連続射撃を実現した。
「ありがとうユウ!!」
アカネさんはその場に膝をついて追ってこれなくなった。
その後、差押品保管所にたどり着いた僕達。
「なかなかに荒れていますね……鏡が無事だといいのですが…」
戦闘の余波のせいか、差押品保管所の中は棚が倒れ、ガラスは割れているというなんとも悲惨な状態だった。
「あっ、見つけた。”鏡”!」
「よしっ!さぁ、早く帰ろー…」
その時、気配を感じた。アリスさんも同じのようで、人差し指を口に当て、僕達を静かにさせた。
「誰かが来ています…」
「誰だろ……無理やり突破する?」
「接近対象を確認、ミレニアムの生徒名簿を検索……対象把握。」
「身長146cm、ダブルSMG、メイド服の上から龍柄のスカジャン……」
「え…それって…」
アリスさんの言葉にモモイさんとミドリさんは顔が青ざめていくが、僕と先生はよくわかっていなかった。
「隠れてっ!」
ミドリさんに言われ、近くにあった机の下に先生と潜り込む。
「ユウ、狭くない…?」
「大丈夫ですから…とりあえず早く…」
すると、一人の少女が入ってくる。先程アリスさんが言っていた外見と一致している。
「……ふーん。もうめっちゃくちゃだな。」
「(この人、強い……!)」
僕が見てわかるほどの威圧感を持った人だ。おそらく、この人が度々話に上がっていたネルさんなのだろう。
「ん?気配がすんな…机の下か…?」
まずい!どんどんと近づいてくる!見つかったら終わる!…その時。
「あ、あの!」
「あん?」
「ね、ネル先輩!大変です!」
なんと、ユズさんが入ってきたのだ。これにはモモイさんたちも驚いている。
「あんたは…?」
「せ、セミナー所属のユズキです。…戦闘ロボットが暴走したせいで今、あちこちがめちゃくちゃなんです!アカネ先輩とカリン先輩が制圧を試みていますが……」
よく見ると、ユズさんは震えていた。でも、それを隠しながら言葉を続ける。
「じょ、状況的に、助けが必要かと思い…それで、ここにいらっしゃると聞いたので……」
「はぁ、仕方ねえな。」
「わ、私はここの整理をします。そ、その、戦闘は怖くて…経験も…あまりないですし。」
そう言うと、ネルさんは出口の方に歩いていく。そして、顔をユズさんの方に向け、
「あんた、覚えときな。戦闘で一番大事なのは、武器でも経験でもねぇ。」
「は、はい?」
「度胸だ。その点で、あんたに素質がないとは思わねぇ。」
うんうんと僕も頷いてしまう。僕もネルさんのことは怖い。だけど、勇気を持って話しかけたユズさんはすごいなと思った。
そして、ネルさんが出ていくと、ユズさんはその場にべたりと崩れ落ちた。
「し、死んじゃうかと思った……」
「ユズうぅぅぅぅぅー!!」
「ユズちゃんすごい!お陰で命拾いしたよ!」
「ち、力になれてよかった………それより、今アリスちゃんが持ってるのが…」
「はいっ、これが人類と世界を救う、私達の新たな武器。」
「”鏡”です!!」
「や、やっと…!」
「皆さん、帰るまでが遠足。というものです、まだ気を緩めずに行きましょう。」
「そうだね、まだ任務は終わってない!」
「早くこの”鏡”をヴェリタスに届けよう!」
「皆、戦闘準備!行くよ!」
『はい!』
バラララッ!
「ユウのその武器チートすぎじゃない!?」
眼の前に迫りくるロボットを撃ち抜いていく。モモイさんの声が聞こえるが、無視無視。
「アリスさん、お願いしますっ!!」
「はい!」
「光よ!!」
ドカアアアァァァン!!
「ナイスです、アリスさん!」
敵を倒し、開いた道を進んでいく。
そうして、ヴェリタスの部室へとたどり着けた僕達。あとは、パスワードの解除を待つだけとなった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
一話に詰め込んでしまいました。読みづらいなどあれば申し訳無いです。
次回、チビVSスーパーチビ