チビじゃないもん!よろしくお願いします。
鏡奪還作戦から少しして…
「終わった……全部終わった!もうおしまいだぁ!!」
「…今はもう、何も考えたくない……」
「怒り、破滅、腐食、絶望、虚脱……世界は今、破滅に向かって…」
「……」
ゲーム開発部の部室には、絶望しかなかった。
こんな状況になってしまったのは……そう、
G.Bibleのせいである。
僕達があんなにも必死こいて手に入れたG.Bible。その中身には、とんでもない技術が入っている。そう考えて、それがあれば最高のゲームが作れると思い行動してきた。だけど、G.Bibleの中に入っていたのは……
[ゲームを愛しなさい。]
この文ただ一つであった。
期待外れ。という言葉では済まされないレベルで、この状況になってしまうのも無理はなかった。
「最後の手段がこんなのって……」
「G.Bibleなしじゃ、いいゲームは作れない……」
モモイさんとミドリさん、ユズさんはすでに諦めモードになっている。
だが、アリスさんは違った。
「…アリスは、”テイルズ・サガ・クロニクル”をやるたびに思います。…あのゲームは、面白いです。」
アリスさんは、自分の気持をポツポツと語っていく。
「感じられるのです。モモイが、ミドリが、ユズが……このゲームをどれだけ愛しているのかを。」
アリスさんの言葉は、皆さんにとても響いていた。
そして、その言葉は……
「…作ろう。みんなに、面白いって言ってもらえるような。そんなゲームを。」
「…うん。」
「よし。ねぇ、今からミレニアムプライスまで、時間どれぐらい残ってる?」
三人の心を復活させるのに、十分だった。
「6日と4時間38分です。」
「……それだけあれば十分。さぁ、ゲーム開発部一同!そして、シャーレの二人!”テイルズ・サガ・クロニクル2”の開発、始めよう!!」
『うん!!』
誰も断りなんてしない。改めて心が一つになった僕達は、地獄と分かっている道を進み始めた。
■
6日後。
毎日徹夜、休憩は最低限。そんな中、ゲーム開発を進めていき、応募締切のギリギリと言うタイミングで応募をすることができた僕達。
「あとは3日後を待つだけ…!」
「うん、でも、まだ結果が出たわけじゃない。」
そう。応募ができただけ。重要なのはその結果である。…ダメなら、この努力は水の泡……
「提案があるんだけどさ。」
モモイさんが自身の考えを述べていく。
「3日って長いじゃん?だから先に、Web版の”テイルズ・サガ・クロニクル2”をアップロードしてみるのはどう?」
「!?」
「…理由を聞いても…?」
「だって、3日間も待てないよ!それに、審査員の評価より先に、ユーザーの反応を聞きたくない!?」
確かに。3日というのはそこそこ長い。その間結果に怯えて過ごすのも……
「うーん…ちょっと怖いかも…低評価コメントとか…」
「…僕はいいと思います。結局、重要なのは”審査員”ではなく、”プレイヤー”の意見ではないですか?」
「うん。だって、このゲームはミレニアムプライスに出品するためだけに作ったゲームじゃないから!」
「……そうだね。」
「もし、低評価がいっぱいついちゃったとしても……わたしたちは全力で頑張った。だから、きっと大丈夫。」
「じゃ、アップロードするね!」
アップロードが完了し、感想を待つことになった。といっても、数時間の間は空くだろうけれど。
緊張や期待もあり、全員がモニターの前で座って感想が来るのを待つ。
そして、段々とコメントがついていく。最初は否定的な意見が多かったが、次第に期待や興味がこめられたコメントが書き込まれていく。
「ちょっと……予想以上ですね。」
「うぅっ!期待と不安で心臓が爆発しそう!」
その時。
ドカアアアァァァン!!
巨大な爆発音がする。
「えっ!?ほんとに爆発させてどうするんですか!」
「ち、違う!私の心臓じゃない!」
「これは…!この砲撃は13.97mm砲……カリン先輩の!」
「!カリン先輩というのは、C&Cの方ですか!?」
「そうっ!」
「とりあえず、逃げよう!このままだと部室が壊れちゃう!」
そうして廊下に出て、逃げていく僕達。なぜか敵対状態にあるロボットを打ち抜きながら進んでいると、段々と攻撃も止んでいった。
「はぁ…はぁ…なんとか逃げ切れた?」
「でもどうしていきなり攻撃なんて……」
「こ、これからどうする…?」
「出品は済んでるから……とりあえず結果が出るまでこのまま逃げつづけよう!」
すると、廊下の奥から声が聞こえる。
「逃げ切れるとでも思ったか?」
ダダダッ!
「きゃあっ!」
銃弾がミドリさんに当たる。その弾を打った主はネルさんであった。
「…なるほどな。どうりで、いちいちいい反応だと思ったぜ。」
「さっきこのチビ達を指揮したのも、ミレニアムの差押品保管所を襲撃したのも。」
「あんただったか。先生……って呼べばいいのか?」
「(今チビって言いませんでしたか…?というか…ネルさんも同じくらいでは…?)」
実は僕はチビと言われるのが嫌だ。年齢的にしょうがないにしても、身長が高いほうがかっこいいじゃん?
「チビって、身長はこっちの皆と同じくらいじゃない?」
先生も同じようなことを思ったのか、そう言った。
「んなこたねぇよ!あたしは三年生だぞ!それに、そこの白髪のチビはあたしより全然小せえじゃねぇか!」
「…はい?今なんと……」
「だから、あんたのほうがチビだろって話だ!」
「……リーダー、落ち着いて。」
「なんだか最早新鮮ですね。まだネル先輩に対して、身長の話ができる人がいたなんて。」
ネルさんは顔を真っ赤にしながらも、冷静さを取り戻す。
「まぁ、こんな話はどうでもいい。おい、そこの無駄にデケェ武器を持ってるあんた。」
おそらくアリスさんのことだろう。……アリスさんは自分のことだと気づいていないようだけど……
「(キョロキョロ)」
「あんただよ、あんた!」
「アリスのことですか?」
「そうだ、てめぇには用がある。」
「C&Cに、一発食らわせてくれたらしいじゃねぇか。ちっと面貸せや。」
「?それなら、ユウも一緒に撃っていましたよ…?」
「アリスさん!?」
事実だけどっ!
「ん?ユウってのがこの白いチビのことか。なら、あんたもだな。」
「……」
「告白イベントですか?チビメイド様はアリスに惚れていると。スチル獲得です。」
「ふ、ふっざけんなこの野郎!ってか、だれがチビメイド様だ!?ぶっ殺されてぇのか!?」
「……やっぱチビですね。」
「はぁ!?」
「ユウ!?なんでそう煽っちゃうの!」
「自分がチビって言われるのが嫌な割には、人にはチビチビ言うんですね。」
ずっとチビチビ言われすぎて、少し怒っている。…だから、絶対に喧嘩を売ってはいけない相手に、喧嘩を売ってしまったわけだ。
「チッ。もともとアリスとかいうやつの確認に来たが、予定変更だ。ユウ、てめぇを叩き潰す。」
「やってやりますよ。」
「せっかくだ、アリスも一緒でいいぜ。」
「!。決闘イベント開始ですね!」
ネルさんとの戦いが始まる。
「光よ!」
ドカアアアァァァン!!
早速アリスさんの光の剣が辺りを吹き飛ばす。だが……
ダダダッ!
「うぁっ!?」
「確かに、並大抵の威力じゃねぇが、ただ、それだけだ。」
そう話す間に、僕は血の双剣を持って突っ込む。
「僕のこと、忘れないでくださいね。」
「忘れてるわけねぇだろ。」
キンッ!!
ネルさんは僕の剣を銃身で受ける。
「っ。」
「なかなかに重いな。チビのくせに、力はあるんだな。」
「……そっちこそ。」
そして、お互いに接近し、近接戦が始まる。
キンッ!
武器がぶつかりあったり。
ダダダッ!
パパパパパパッ!!
弾を撃ち合ったり。
「チッ。そんなこともできんのか。」
弾を受けるため、飛び上がるネルさん。
「…がら空きですよ。」
大剣に作り変えた武器を、空中にいるせいでがら空きの横腹に叩き込む。
「っ!」
ズドオオォォォン!!
「やりましたか!?」
「ちょ、ユウ!それフラグだよ!」
ダダダッ!!
「くっ!」
「あ〜…いってぇ……なかなかやるな、あんた。」
「……そろそろ終わりにすんぞ。」
ヒュン!
僕とネルさんは同時に踏み込む。
ガキンッ!!
武器がぶつかり合う音が、より強く鳴り響く。
ジュルジュルッ!!
「!?、なんだ!?」
ネルさんを拘束するように血の武器の形状を変える。
「こんくらいすぐにっ…!」
ネルさんは拘束を解こうと力を込めるが、びくともしない。なぜなら、僕が大量の血を流し込むことで血をありえないほどの硬さにしているからだ。
「か、硬ってぇ!」
「アリスさん!今です!」
僕の狙いは、拘束したネルさんに光の剣を直撃させること。
「ですが、今撃つとユウが!!」
「構いませんっ!」
そう、これは自滅覚悟の作戦。アリスさんには少し申し訳ないが、こうでもしなければ、まともに勝つのは難しいだろう。
「っ。わかりました。…光よ!!」
ビームが射出される。
「チッ。…はぁ、あたしの負けだ。つえぇな、あんたら。」
ドカアアアァァァン!!
煙が晴れる。
そこには、血のドームがあった。
『ユウ(君)!』 『リーダー!』
ドームが解除され、中にいる僕とネルさんの姿が見える。
「…なんで守った?」
「うーん……怖かったから…ですかね?」
「はぁ…そういうことにしとく。」
そう言うと、僕の意識は飛んだ。
戦闘での大量血の消費、純粋な戦闘での体力の消耗。それらが重なってのことだ。
そして、僕が起きたのはなんと3日後でしたとさ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
なんだか小学生みたいな言い合いになってしまいました。
でも、書いていて一番楽しかったです。
ユウは学ばない子なので倒れることは今後も多いんじゃないですかね。